更新が少し遅れました、すみません。
自分ごとですが、リアルでバイトを始めました。そのため、小説の投稿頻度が今までよりも遅くなる可能性があります。ご迷惑をおかけするかもしれませんが、これからもこの小説をよろしくお願いします。
遂にやってきた花咲川高校文化祭。校舎は華やかな装飾に包まれ、いたるところで盛り上がりを見せている。そして、咲真たち3年B組はというと……
「3-Bで、メルヘン喫茶やってまーす!ぜひ来てくださーい!」
大きな手持ち看板持った和泉が、大きな声で客呼びをしている。
現在和泉は、白雪姫の格好をしている。落ち着きのある鮮やかな色のドレスが、和泉の清楚な雰囲気を引き立てている。
「なあ、あの人可愛くね…?」
「うわっ...まじ可愛いじゃん...!!」
「.....///」
ドレスによって引き上げられた和泉の魅力に、和泉の前を通り過ぎる男たちは皆頰を赤らめながら、和泉に目を向けている。
和泉はその視線に気づいているのかいないのか、視線を向ける男たち一人一人に微笑みを返している。
「「「ズキューーン♡♡♡」」」
和泉に微笑みを向けられた男子たちはこぞってお店に入ってくる。現在、和泉のこの客引きもあってか、店内は男性のお客さんで溢れかえっている。
すると和泉は突然教室の前に立てかけられているメルヘン喫茶と書かれた看板の方に目をやる。
「ちょっとー、いつまで隠れてるつもり?」
和泉は、看板に向けて話しかけ始めた。傍目から見れば、和泉の行動は違和感しか無いのだが……
「勘弁してくれって....まじ無理だから....」
そこには、姿は見えないが確かに奥沢咲真がいた。
「もう!似合ってるって言ってるのに〜、クラスのみんなも絶賛だったじゃん!」
和泉はそう言いながら、咲真の腕を引っ張る。咲真は精一杯抵抗しながら、看板の裏から出ようとしない。
「ざけんな!あんなよいしょに引っかかってたまるか!」
「ほんとのことだって〜!男子たちだって顔赤くしてたじゃん!」
必死に引き摺り出そうとする和泉と、意地でも抵抗する咲真。2人の終わらない戦いが続いていたその時....
「あれ?和泉先輩?」
「どうかしたんですか〜?」
「???」
蒼夜、彩瀬、紗夜の3人が、和泉の前に現れた。
「あっ、蒼夜くんと七美ちゃん!それからそっちの子は、氷川紗夜ちゃんだよね?」
和泉は看板からはみ出している手を引っ張りながら3人の方を向く。
「はい。はじめまして、いつも蒼夜君と七美さんがお世話になってます。」
看板からはみ出した腕を引っ張る白雪姫という異様な光景を見つつも、紗夜はそのまま和泉に挨拶を返す。
「こちらこそはじめまして!サッカー部マネージャーの和泉渚です!よろしくね、紗夜ちゃん!」
「はい、よろしくお願いします....ところで先程から何をなさっているのですか?」
見かねた紗夜が、気になっていたことを代表して聞く。蒼夜と彩瀬も、よくぞ聞いてくれたと言った表情をしている。
「あっ、それはね〜、この頑固なうちの看板娘を引っ張り出そうとしてるの?」
「「「看板娘??」」」
和泉の答えに首を傾げる3人、その3人を尻目に和泉は、ああもう!と引っ張る手に更に力を込める。
「いい加減に出て来なさい!」
「っ⁉︎」
グイッと予想外の力で引っ張られた咲真は、体勢を崩し遂に看板の後ろから姿を現した。
看板の後ろからいきなり現れた、金髪のカールのかかったロングヘアーに、水色がかった白のドレスを見に纏った誰が見ても美人と答える容姿をした長身の女性が出てきた。
「おい!また美人が出てきたぞ!」
「今度は優雅で可憐だ....///」
「……///」
2人目の美人の登場に周りも更にざわざわし出す。が、視線を向けられている本人はそれはもう誰が見てもわかるくらい沈んだ表情をしている。
「「「………」」」
どうやら目の前にいた3人も、いきなりのことで言葉を失っているようだ。なんとか切り替えた蒼夜が、和泉に説明を求める。
「あ、あの...和泉先輩、そちらの方って?」
蒼夜は金髪美人の方へ、手を向けながら和泉に聞いた。どうやら誰か本当に分かっていないようだ。
「あれ、分からない?.....フッフッフッ〜、こちらの金髪の美人さんは、何を隠そう我らがキャプテン、奥沢君だよ♪」
和泉が今日一の笑顔を3人に向けながら、楽しそうにそう答えた。答えを聞いた3人は状況理解が追いつけていないのか、固まっている。
「「「・・・・・」」」
無言のまま5秒ほど静止した3人は、次の瞬間、驚愕の声を上げる。
「「「ええェェェ〜〜!! キャプテン(咲真さん/奥沢さん)⁉︎⁉︎」」」
「.....おう」
目を見開き口を大きく開けながら驚く3人に、見た目よりもやや低い声で答える咲真。その声を聞いて、3人は本当に咲真だと改めて認識する。
「どうどう?すっごく似合ってると思わない?」ドヤッ
和泉がドヤ顔をしながら、高いテンションで3人に聞く。3人は未だに完全に理解できていないようで、少し受け答えに詰まりがある。
「え、えーっと...ほ、ほんとに、キャプテン...なん..ですか?」
「そうだよ......」
明らかに沈んだ声で返す咲真。それに追い打ちをかけるように彩瀬が....
「咲真さん....すっごいキレイ!!! 本物のお姫様見たい!!」
「だよねだよね♪さっきからそう言ってるのに、全然信じてくれないんだよ〜!」
キラキラと輝いた目を向ける彩瀬、それに同意する和泉の2人に挟まれ、咲真は身動きが取れなくなる。
「その格好...メルヘン喫茶ということは、お二人は白雪姫とシンデレラですか?」
少し遠目から分析していた紗夜が、咲真や和泉の格好と、お店の名前からそう結論を出した。
「紗夜ちゃんだいせいかーい!そう、紗夜ちゃんの言う通り、私が白雪姫で、奥沢君がシンデレラだよ♪」
クルッとその場で一回転し、ドレスを見せる和泉。
隣では咲真が肩を落としている。
「はぁ....最悪だ....」
「に、似合ってますよ、キャプテン」
落ち込む咲真に、励ましの声をかける蒼夜だったが、その言葉は、咲真には皮肉にしか聞こえていなかった。すると……
「あ、あの!」
突如、花咲川の1年生らしき女子3人組が咲真に声をかけてきた。
咲真が受け答えに困っていると、和泉が代わりに対応し始める。
「どうしたの?」
和泉が聞くと、3人のうちの1人が口を開く。
「よ、良かったら、一緒に写真撮ってくれませんか?」
「っ⁉︎」
その要望に、咲真は驚き、恥ずかしさのあまり無理だと断ろうとしたが、咲真の言葉を遮るように、和泉が先に答えた。
「もちろんいいよ!」
「はぁ⁉︎」
咲真が何勝手に、と言った反応を見せる。すると和泉は咲真の方を向いて、ニヤニヤしながら言った。
「別に写真くらい良いよね〜? 奥沢
和泉はしてやったりといった表情で咲真を見る。
すると、咲真が一瞬漏らした声を聞いた3人組の女子たちは、可憐なシンデレラから発せられた、女子にしては低い声に目を見開いている。
「えっ...今の声、男の人⁉︎」
「嘘ッ⁉︎ こんなにキレイなのに⁉︎」
「ぐっ...女としてのプライドが....」
三者三様な反応を見せる3人組、そんな彼女たちを見て、和泉はあちゃ〜バレちゃったか〜と、イタズラが失敗した時のような反応を見せる。
「悪いな...と言うことなんだ、俺は男だから写真とかは……」
咲真が正体がバレたことにかこつけて、写真を断ろうとした時
「いえ、全然!むしろオッケーです!!」
「是非お願いします!!」
「是非是非!!」
先程よりも幾分かテンションが上がったように見える3人。キラキラ輝く目で咲真を見ながら、咲真に詰め寄る。
「あっ、.....むぅ」
咲真が詰め寄られるのを見た和泉は、頬を膨らませながら、咲真をみる。
3人に言い寄られた咲真は、3人のテンションに断るのを諦めて写真を承諾した。
「わ、分かった....」
「「「やった〜!!」」」
それから咲真は、和泉から痛い視線を送られながら、女子3人と写真を撮った。
「「「ありがとうございましたー!!」」」
写真を撮った3人は、満足そうにその場を去っていった。残された咲真は、いつもとは違う緊張で、心身ともに疲労している。
「はぁ...」
「良かったね、奥沢さん。女の子たちからモテモテで」
その言葉に悪寒を感じた咲真が振り返ると、そこには満面の笑みを浮かべながら和泉の姿があった。
「い、和泉さん?な、何か怒ってらっしゃいます?」
咲真は、笑顔を向けているが明らかに怒っていると思われる和泉にオドオドしながら聞く。
「怒ってる?なんで?私笑ってるよ〜、怒ってるわけないじゃない」
言葉を紡げば紡ぐほど怒気を高める和泉に、完全に怯んだ咲真は何も言えなくなり、そのまま和泉にお店の中まで連れていかれた。
「まだ完全に女の子になりきれていないみたいだから、ちょっとレクチャーしてあげるよ」
「ちょっ、和泉⁉︎なんでそんな怒ってんだ⁉︎待って、とにかく話を…はな……し……を………」
「「「・・・」」」
そんな光景を見ていた、蒼夜、彩瀬、紗夜の3人は...
「絶対和泉先輩を怒らせないようにしよう.....」
「「そうだね〜/ですね........」」
そう心に決めるのだった。
「はぁ…疲れた……」
中庭のベンチで、可憐な格好とは真逆のダラけた格好で座るシンデレラがいた。俺だ……
あれから俺は、和泉に、知り合いの前以外では声を高くして出来るだけ男だとバレないように、と念を押され、慣れない女子っぽい行動を心がけていた。
何故だか分からないが、俺が歩いていると色んな人、特に男から熱のこもった視線を送られ、女子には何度も写真を撮って欲しいとせがまれた。まあそれは何とか対応していたものの、1番辛かったのはサッカー部の奴らに見られた事だった。今まで出会った奴らは全員、最初は俺だと気付いておらず、女子を相手にするように接していたが、いざ俺だとバラすと、全員が同じように驚愕し、男子メンバーからは大爆笑、女子メンバーからは何故か悔しそうな声が漏れた。
そして今現在、俺は休憩しようと中庭のベンチに座っているわけなのだが、どこも変わらず視線を感じる。
「これが明日も続くとなると...先が思いやられるな...」
俺がそう思いながら空を見上げていると、右の頬に冷たく固い感触が現れた。
俺が感触のする方を見ると、そこには、缶ジュースを俺の右頬に当てながら俺を見つめる、佐々木正吾の姿があった。
「佐々木……」
「随分お疲れっすね、キャプテン」
佐々木はそう言うと、俺に缶ジュースを渡し、俺の隣に腰かけた。
「よく俺だってわかったな。他の誰も分からなかったのに」
お礼を言いながら缶ジュースを受け取った俺は、佐々木にそう聞いた。すると、佐々木は……
「氷川たちに聞きました。それにまぁ噂になってますからね。『凄い美人な女装した先輩がいる』って、SNSの方でも話題ですよ、『まるで本物、女装シンデレラ』って....」
「なんだよそれ.....」
佐々木から告げられた事実に、俺は頭を抱えた。
「大変っすね」
「人ごとだな....」
「人ごとなんで。いいじゃないですか、好評なんだし」
「女装を好評されても嬉しくねえんだよ....」
貰ったジュースを飲みながら、佐々木と会話のキャッチボールをする。今まで気を張っていた分、佐々木との会話は楽で、俺は意外と助かっていた。
「お前はこんなとこで何やってるんだ?1人で」
「ああ...知り合いが来るんですけど、案内しろってうるさくて....仕方なくここで来るの待ってるんですよ」
佐々木と会話をしながら、時間が過ぎるのを待っていると……
「正吾」
佐々木の名前が呼ばれ、声のした方を向くとそこには灰色のロングストレートの髪に薄い黄金色のような色の瞳をした女の子がいた。
「やっと来たか、友希那」
友希那と呼ばれた女の子は、正吾を見つけるなりすぐに近づき…………佐々木の耳を思いっきり引っ張った。
「『やっと来たか』じゃないわよ。校門のところで待ってるって言ってたわよね。なのに、いきなり場所を変えるし、来たら知らない女といるし、どう言うことかハッキリ聞かせてもらおうかしら」
「痛い痛いッ!場所を変えたのは悪かった、人混みが凄くて無理だったんだ」
佐々木の耳を思いっきり引っ張る少女、佐々木は何度も弁解するが、耳から指が離れることは無い。すると……
「ちょっと友希那ッ⁉︎ やめなって、こんなに人がいるんだから〜」
友希那と呼ばれた少女が来たのと同じ方向から、茶色のロングウェーブの髪に、黒い猫目のギャルっぽい見た目の少女が駆け足でやってきた。
「リサ、邪魔しないでちょうだい」
「だから〜、ストップだってば!」
リサと呼ばれた茶髪の少女が佐々木の耳を引っ張る少女を必死に止める。が、中々話さない少女に手を焼く茶髪の少女、突然振り向き、後ろの方へ声をかけた。
「手伝ってよ〜!悠哉さん」
彼女の口から出た悠哉という名前に、俺はまさか...と思い、彼女が呼んだ方を向くと……
「はぁ…仕方ないな…」
そこには案の定、羽丘サッカー部のエース、桐ヶ谷悠哉の姿があった。
「湊、そこまでにしておけ」
桐ヶ谷に止められ、渋々佐々木の耳から手を離した友希那らしい少女。
痛みから解放された佐々木は、引っ張られた耳をさする。
「で、正直に答えて、そこの女は誰?」
佐々木の耳から離れた指を、今度は俺に向けてくる友希那と呼ばれた女子。
「確かに、それはアタシも気になる」
リサと呼ばれた茶髪女子も、同じく俺に目線を向けてくる。
「ん?どこかで見たような....」
俺の顔を見た桐ヶ谷が、少し気づいたような反応を見せる。
どうしたものかと思っていた俺だったが、佐々木は何のためらいもなく俺の正体をバラした。
「そこの人は女じゃ無い。うちのサッカー部のキャプテンの奥沢先輩だ」
「「「!?」」」
佐々木の暴露に、驚く3人。俺は今日何度も見たその光景に、すでに慣れてしまっていた。
「奥沢...なのか?」
意外にも、かなり驚いているように見える桐ヶ谷。そんな桐ヶ谷に俺は、肯定の言葉をかける。
「ああ、そうだよ」
「「!?」」
見た目とは違う低い声に、再び驚く女子2人。それを聞いた桐ヶ谷は、そうか...と一言だけ言って、全体を見るように俺に目線を向ける。
「なんだよ.....」
「いや、お前にそんな趣味があったとは知らなかった」
「違うわ!クラスの奴らに強要されたんだよッ!」
真顔でそう言った桐ヶ谷に、たまらずツッコミを入れる俺。
すると、佐々木が俺に女子2人のことを紹介してくれた。
「紹介しますね。こっちの灰色の髪の仏頂面が湊友希那。で、こっちのギャルっぽい見た目の方が今井リサ、俺の幼馴染です」
佐々木の紹介に不満そうな視線を送る女子2人。そんな2人に、俺は自己紹介を返す。
「あー、俺は奥沢咲真。3年でサッカー部のキャプテンをしている。正真正銘の男だから。この格好は、ほんと気にしないでくれ。マジで気にしないでくれ。むしろ忘れてくれ」
俺の紹介を聞いた今井が、俺を見て呟いた。
「ほんとに男の人だったんだ〜。綺麗だから全然わからなかった」
その言葉を聞いた俺は、更に落ち込む。
「やめてくれ....」
「わぁ⁉︎ ごめんなさい、つい!」
俺の落ち込む様子を見て、慌てて謝る今井。俺は気にしないでくれ....と返す。
俺は話を変えようと、桐ヶ谷と今井たちとの関係を聞くことにした。
「で、なんでお前が佐々木の幼馴染たちといるんだよ」
「俺がリサと付き合ってるからだ」
なんのためらいもなく答える桐ヶ谷。あまりに自然に答えたため、俺が理解するのに数秒かかった。
「はあッ⁉︎」
「ちょっ⁉︎///」
俺と同時に、いきなり関係を暴露された今井も驚いている。こいつ....彼女いたのかよ....。
「なんでためらいもなく話すの⁉︎///」
いきなり暴露されたことが恥ずかしかったのか、今井は顔を真っ赤にしながら桐ヶ谷に詰め寄る。
「ん?事実だろ?隠す必要なんてあるのか?」
当の本人は、何食わぬ顔で平然と答えた。
「そうだけど〜///」
「佐々木は知ってたのか?」
顔を赤くする今井を尻目に、俺は佐々木に聞いた。
「俺も知ったのは練習試合の後です。なんでも結構前から顔見知りだったみたいで、去年の冬に桐ヶ谷さんの方から告白したみたいですよ」
「へぇ〜、あいつ恋愛とかあんま興味ないと思ってたけど、意外と青春してるんだねー」
顔を赤くしながら言い寄る今井、それを表情を変えずに淡々と返す桐ヶ谷、そんな2人を見て、俺はなんだかお似合いだなと思った。
「正吾、そろそろ....」
「ああ、そろそろ行くか....正直めんどいけど...」
湊の声をキッカケに、佐々木たちが移動を返ししようとする。
「あっ、その前に、ここの5人で写真撮ろうよ〜☆」
佐々木たちが移動しようとした時、今井が突然そんなことを言い出した。
俺は、これ以上写真は遠慮したいと思い、カメラマンを申し出たのだが……
「ダメですよ☆主役は先輩なんですから〜」
と、今井はカメラマンを通りかかった生徒に頼み、俺を真ん中にほかのメンバーを整列された。
「ほらッ、みんな笑って☆」
今井がそういうも、彼女以外の3人は表情を変えることなくシャッターが切られる。俺は、その光景を横目で見て苦笑いを浮かべた瞬間を撮られた。
今井はカメラマンをしてくれた生徒にお礼を言って写真を確認する。
「もう〜、みんな笑顔って言ったのに〜!」
みんな注意しながらも、彼女はしょうがないか〜、といつものことだと言った顔をする。
「そうだ、奥沢先輩!」
写真を確認した今井は、俺の方へ来る。
「どうした?」
「これ、アタシのSNSのアカウントのIDです!あとで今の写真載せるので、確認してください!」
そう言って今井は、IDの書かれた紙を俺に手渡す。
「わかった。サンキューな」
「はい!」
今井がそう言った後、佐々木たちは4人で文化祭を回るためにここを後にする。
「ではキャプテン、また」
「失礼するわ」
「またねー♪ 奥沢先輩♪」
3人がそう言って歩いていく。俺の前には、桐ヶ谷だけが残って立っている。
「お前は行かないのか?」
「行くさ。その前に....」
そう言って桐ヶ谷は、拳を俺に突き出してくる。
「前にもやったが、もう一度な」
「ふっ、そうだな」
俺も同じく拳を突き出し、コツンとぶつけた。
「ふっ」
桐ヶ谷は満足そうに微笑み、駆け足で佐々木たちの方へ向かった。
「ふぅー」
俺は4人が去った後、もう一度ベンチに座り一息ついた。
そして、今井からもらったIDで、アカウントを検索してみると、既に先ほどの写真が載せられていた。
「仕事早いなー」
そう言いながら、載せられた写真を見ると、満面の笑みを浮かべる今井と苦笑いを浮かべる俺、サイドに仏頂面で立つ佐々木、湊、桐ヶ谷の3人が写ったなんとも言えないものだったが、どこか暖かさを感じるものだった。
「笑顔が下手な奴ばっかだな.....ん?」
写真を見ていた俺は、写真と一緒に載せられていたタグが目についた。
そこには、「#女装シンデレラ」と書かれていた。
「あのギャルめ.....」
本日はここまでです。長くなってしまったので、ポピパ結成は次に持ち越しました。
リサと桐ヶ谷を出したのは、ちょっとした伏線みたいなものと思っていただければいいです。関係があるよって知っといてもらいたかっただけなので......