今まで日常で絡めたことがなかったので、書いてみようと思いました。(バンドリのキャラも出ますよ〜)
夏になるにつれ、日差しが強くなって来たある日、俺は駅の前でとある人物と待ち合わせをしていた。照りつける日差しが俺の肌をジリジリと焼く。普段から日差しの元で激しい練習をしている俺でも、この暑さには全然慣れない。
「遅いな」
スマホの画面を見て時間を確認する。現在の時刻は10時15分、集合は10時ちょうどだったため、既に待ち合わせの相手は集合時間を15分オーバーしている。
まぁすぐに来るだろ...と、イアホンを耳につけ、音楽を聴きながら待とうとしたその時だった。急に視界が真っ暗になる。
「だーれだ?」
耳元で囁かれる声に驚くも、そのあざとい行動に若干呆れつつ、囁いてきた人物の質問に答える。
「……こんなあざとい行動をするのは、うちの可愛い可愛いマネージャーの和泉さんかな」
目を塞がれつつ、俺は後ろにいる待ち合わせしていた人物である和泉渚に声をかける。
「あざといなんて失礼だなー、彼女のいない非リアの奥沢君に少しでもリア充の気持ちを味わってもらおうと思ったのに」
「別にリア充の気持ちとか味わいたいわけじゃないから。それに、お前も俺と同じ非リアだろ」
未だに俺の視界は真っ暗なまま、俺は前を向きながら後ろにいる和泉と会話を交わす。
「私は非リアじゃないよ〜、毎日充実してるもん♪サッカー部のみんなと一緒に過ごせて」
「はいはい、そうですか」
「もう、テキトーだなぁ」
そんな他愛もない会話が続く。そろそろ手を退けて欲しいと俺は和泉に頼む。
「なぁ、そろそろ手離してくれないか?」
「ヤダ」
和泉は即答した。
「いや、なんでだよ」
「だって奥沢君...離したら怒るでしょ?15分も遅刻して...」
どうやら和泉は俺に怒られることを恐れて俺と正面から向き合わないようにしていたらしい。
「はぁ…別に怒ってないから」
「ホント?」
「ホントホント。それに、せっかく来たんだからずっとこのままってわけにも行かねえだろ?」
「……」
そう言うと、和泉は仕方なくと言った感じでゆっくりと俺の目から手を離す。真っ暗だった視界が、一気にひらけ目の前が真っ白になる。目を細め、明るさに目を慣らしていく。十分に慣れたところで、俺は振り返り、遅れて来た和泉の方を向く。
そこには、普段見ている制服やサッカー部のジャージ姿では無く、白いTシャツの上に淡い桃色のロングニットカーディガンを羽織り、デニムを履いた姿の和泉がいた。
「………」
俺はいつもと違う和泉の雰囲気に言葉を失う。
和泉は元々ルックス、スタイルともに良く、普段から華やかな印象だった。だが、今までは制服やジャージ姿しか見たことがなく、普段和泉を見ても言葉を失うほどでは無かった。が、私服姿の和泉は、いつもの華やかさに加え、服の効果もあってか、女子らしい魅力が増しているような気がする。
俺が無言のまま頭の中でそう思っていると……
「あ、あの...奥沢君?///そんなにジーッと見られると恥ずかしいんだけど///」
和泉が顔を赤らめ、体を横に反らしながらモジモジする。
「えッ⁉︎」
無意識に和泉をじっと見つめていたと気づいた俺は、おどろき慌てる。
すると、いきなり和泉の表情が一転し、落ち込んだような顔になる。
「それともやっぱり怒ってる....?そうだよね...」
和泉の瞳が少し潤んでるように見える。俺はそんな和泉を見て、慌てて否定しようとしたが、それではとってつけた風になると思い、一旦自分を落ち着けてから和泉に言葉をかける。
「違う違う。別に怒ってないから。ただ、いつもと雰囲気が違ったから驚いただけだよ。服、凄く似合ってて和泉ってこんなに可愛かったんだなって思っただけだから」
俺は、和泉の頭に手を置きながら、落ち着いた口調で思っていたことを正直に全部言った。最後の方は、凄く恥ずかしいことを言っていると自覚はあったが、この際は仕方ないと自分の言葉に若干後悔しつつ、和泉に話した。
「………ずるいよ///」
和泉は、顔を耳まで真っ赤に染めながら下を向いたまま呟いた。小さな呟きは、俺の耳の入ることは無かったが、和泉から落ち込んだ様子が無くなったのは見てわかった。
「よし、じゃあ行くか。時間も勿体無いし」
「そうだね、せっかく来たんだから楽しまないと」
そう言って俺たちは駅の近くにあるショッピングモールへ足を運ぶ。今日和泉と来たのは、先日の文化祭でシンデレラのドレスを破いた埋め合わせが目的だ。初めはドレスを買って和泉に渡すだけのつもりだったのだが、和泉の方から一緒に買い物に行って何か奢ってくれれば許すと言われ、特に何も言えない俺は、こうして和泉と買い物に行くことになったわけだ。
「買うものは決めてあるのか?」
「うん!ちょうど新しい服が欲しいなって思ってたんだ〜♪夏に向けて揃えないと♪」
「あんまり無茶はしないでくれよ....」
「え〜、どうしよっかな〜♪」
「(和泉の奴、面白がってるな...まぁ仕方ないか...幸いお金は結構持って来たし、今回は埋め合わせだからな)」
俺と和泉は、そんな会話をしながらショッピングモールを回っていく。途中、目に入ったお店に入っては、和泉が色々物色し、うーんと頭をひねっている。
「ねえねえ奥沢君。コレとこれ、どっちがいいと思う?」
そうやって和泉は、両手に2種類の服を持ち、自分の体に交互に重ねながら俺に聞いてくる。
「いや...俺に聞かなくても....自分の好きな方でいいんだぞ?最悪両方でも俺は別に構わないぞ?」
「私は奥沢君に聞いてるの!奥沢君が選んで!」
グイっと距離を詰めてくる和泉、身長差があるため和泉は精一杯背伸びして俺に顔を近づける。
「わ、分かった!! 分かったから離れろ、近い!!」
俺は慌てて和泉の両肩を掴み和泉を離す。
和泉を離した俺は、和泉が両手に持っている服を交互に見ながら和泉に似合いそうな方を考える。
和泉が右手に持っているのは、黒いチェック柄のシャツワンピース。軽く風通りの良い素材で夏でも動きやすく、和泉の淡い赤髪も映える。左手には、反対に白いコットンレースのブラウス。ふわふわとした少し透けたブラウスが涼しそうな印象で、大人っぽい雰囲気の中にも女子らしい可愛らしさが見て取れる。
「う〜〜ん……」
俺は顎に手を置き、頭を悩ませる。そのまま数分悩み、一方を指差す。
「こっちかな」
俺が指を指したのは、和泉の左手に持たれていた白のブラウスだ。
「こっち?オッケー、じゃあちょっと試着してくるね♪」
そう言って和泉は軽い足取りで試着室に入って行った。
和泉が試着するのを待っている間、俺は店内を物色していた。店内はレディースの服が8割を占め、メンズの服は残りの2割しかない。そのため必然的に女性客が多い。その中で男1人でウロウロするのは若干気が引けるが、和泉が絶賛着替え中の試着室の前にずっといる方がもっと気が引けるので気にしない。
店内をウロウロしていると、ショーケースに飾られているアクセサリー類が目に入った。
「ん?」
俺はその中の1つに目を引かれた俺は購入することを決め、店員さんを呼んでショーケースから出してもらった。パパッとアクセサリーだけ会計を済ませ、綺麗にラッピングしてもらいポケットに隠した。そのまま俺は、和泉の元へ戻って行った。
「じゃーん♪どうかな?」
俺が試着室の前に戻って来たのとほぼ同じくらいに、試着室のカーテンが開き、着替えを済ませた和泉がクルっとその場で一回転して俺に感想を求める。
実際のところ、俺が選んだブラウスはとてもよく似合っていた。元々履いていたデニムとも相性が良く、和泉の可愛らしさを引き立てつつ、少し大人っぽさも感じられる。
「おお〜、凄えよく似合っていると思うぞ」
「えへへ〜///そうかな?///」
俺の素直な感想に、和泉は照れくさそうに後頭部に手を置く。
「じゃあこれにしよっかな♪」
「ほんとにそれで良いのか?似合ってるけど、俺が選んだやつだし、自分で選んだ方が……」
「良いの!奥沢君が選んでくれたってことが重要だもん♪」
そう言って和泉は試着室のカーテンを閉める。どうやら譲る気はないらしい。仕方ないと思い俺は諦めて和泉が出てくるのを待つ。
「ふんふふんふーん♪」
和泉が試着室から出た後、俺たちは会計を済ませ店を後にした。店を出てからというもの、和泉は上機嫌で鼻歌を口ずさみながら買った服が入った袋を両腕で抱えている。
「えらく機嫌がいいな」
「そうかな?」
とぼける和泉だが、明らかに頬が緩んでいる。まぁ買った側としてはそこまで喜んでもらえるのはありがたいと思う。
「あれ〜?そこにいるのって奥沢先輩〜?」
和泉と歩いていると、突然後ろから声をかけられた。俺たちは振り返り声のした方を見ると、そこには、以前やまぶきベーカリーで会った青葉モカとその両脇には初めて見る女の子2人の計3人が立っていた。1人はショートの黒髪に一部に赤いメッシュをつけたきつそうな見た目の女の子で、もう1人はピンク色の髪を肩の辺りで2つに分けた髪型の女の子だった。
「おお、青葉か。偶然だな」
「こんな所で会うなんて〜、やっぱりアタシたち運命で結ばれてるんですな〜」
そう言って青葉はニヤニヤと、俺と和泉を交互に見ながら言ってくる。こいつ…完全に面白がってやがるな…
「奥沢君…」
「は、はい!!」
隣からこれ以上ないくらい冷たい声が聞こえてくる。俺はその声を聞いて、背筋を凍らせる。
「この子って〜奥沢君の知り合い?運命ってどういう事?明らかに歳下だよね?また歳下の女の子に色目使ったの?」
和泉が一定のトーンのまま、俺に質問を続ける。返答するスキがないほど次々に質問してくる和泉に、俺はなんとか話を聞いてもらおうとする。
「ち、違うから!こいつはバイト先の常連で、何回か会ったことがあるだけだから。青葉も誤解を招くような事言うなよ!」
和泉に詰め寄られながら必死に弁解する俺。この問題の元凶である青葉は、してやったりと言った表情でこちらを見ている。
すると、青葉の隣にいた女子のうち、黒髪に赤いメッシュをつけた方の女子が、見かねて青葉に問う。
「…ねぇモカ、これ何?どう言う状況?ちゃんと説明して欲しいんだけど」
「えっと〜、あそこにいる男の人とモカちゃんは〜それはもう親密な関係なんだよ〜。モカちゃんが
この状況に追い打ちをかけるような言い方で、青葉は懲りずに口を開く。この期に及んでまだ問題をややこしくする青葉に、俺は少しイラつきを覚えた。
「ええ〜⁉︎」
青葉の言葉を聞いて、早速勘違いしたピンク色の髪の女の子の方が、顔を赤らめながら驚きの声を上げる。
「……」
それに対して赤いメッシュの方の女の子は、鋭い眼光を俺に向けてくる。
「そっか...奥沢君...君がそこまでだったなんて知らなかったよ...」
和泉は和泉で、冷たい視線を送りながら笑顔のままゆっくりと俺に近づいてくる。
「待て和泉!だから誤解なんだって!」
そこからなんとかショッピングモールのフードコートに移動した俺たちは、昼食を取りながら青葉以外の3人に事情を説明することにした。はじめの方は話を聞いてすらくれなかった和泉も、空腹には勝てず、俺が奢ることで話だけでも聞いてくれることになった。
俺と青葉の関係を、誤解を招かないように詳しく正確に3人に伝える。途中何度か青葉が割り込んできたが、やまぶきベーカリーのパンを青葉には二度と売らないと言ったら一瞬で大人しくなった。そんなの俺の一存で決められないのだが、青葉にはこれほどない薬だっただろう。
「な〜んだ〜、そうならそうと言ってくれればよかったのに」
「先輩がモカがいつも行ってるパン屋の店員さんで、モカがそこのお客ってことだったんですね」
「…モカ、なんであんなややこしい言い方したの?」
どうやら3人の誤解は解けたらしい。赤いメッシュの女の子は、先ほどまで俺に向けていた眼光を今度は青葉の方に向けている。
「いや〜、つい魔が差して〜」
そんなその場しのぎをする青葉に、彼女は眼光を強め
「次やったら許さないから」
「もうしません……」
友達に睨まれ、流石の青葉も懲りたらしい。シュンッと少し小さくなった。
「とりあえず、お互いに自己紹介しません?まだ名前も知らないし」
「そうだね、しよっか♪」
すっかり意気投合した様子の和泉とピンク髪の女の子は、互いに自己紹介しようと提案する。その提案に、赤メッシュの女の子の方が、えっ…と少し嫌そうな反応を見せるも、まあまあ〜と青葉に押され、渋々承諾する。
「はいはい!じゃあまずは私から!…コホン、上原ひまりです。羽丘高校の1年生で、そこにいる2人と一緒にAfterglowってバンドをやってます!趣味はコンビニスイーツの食べ比べです。よろしくお願いします」
「へぇ〜、3人はバンドをやってるのか...」
「はい!ほんとは他に2人メンバーがいて、合計5人でやってるんです!」
この辺りにはバンドをやってる女の子が多いんだなーと、改めて思う俺であった。
「じゃあ次はアタシね〜。奥沢先輩は知ってるけど、青葉モカで〜す。好きなものは、三度の飯よりパンです!よろしく〜」
「いや、パンも言ったら飯だろ……」
青葉のゆったりした自己紹介に、思わずツッコミを入れてしまう。
「さすがせんぱ〜い♪鋭いですね〜」
青葉は待ってましたと言わんばかりの反応を見せる。
「ほら、最後は蘭だよ〜」
「いいじゃん別に…自己紹介なんて……」
「そんなこと言わずに〜、せっかくなんだから〜」
そう言って青葉は、赤メッシュの蘭と呼ばれた女の子に自己紹介を催促する。
「わかった、わかったから。やればいいんでしょ…」
蘭と呼ばれた女の子は、渋々と言った感じで自己紹介を始める。
「……美竹蘭。さっきもひまりが言ってたけど、Afterglowってバンドやってて、ボーカルとギターやってます…よろしく」
あまり人と話すのに慣れていないのか、少しゆっくりと喋る美竹。青葉は良く出来ました〜と言って美竹の頭を撫でようとする。それを顔を赤くしながら弾く美竹、随分と仲が良いんだなと素直にそう思った。
「ひまりちゃんとモカちゃんと蘭ちゃんか...うん覚えた♪」
「えっと、じゃあ次は私ね。私は花咲川高校3年の和泉渚です。気軽に渚って呼んでね♪好きなものは抹茶味のスイーツ。隣にいる奥沢君とサッカー部に所属していて、そこのマネージャーをやってます。3人ともよろしくね♪」
和泉のなんとも完璧な自己紹介に、青葉たち3人は、はい!とそれぞれで返事をする。自己紹介を終えた和泉は、俺の方を向き期待のこもった視線を送ってくる。
「いや、そんなに期待されても何も無いから…」
「俺の名前は奥沢咲真。和泉と同じ花咲川の3年で、サッカー部のキャプテンをやっている。趣味はギターと料理かな、まぁよろしくな」
俺の簡単な自己紹介にも、3人はそれぞれ返事を返してくれる。
自己紹介を終えた俺たちは、そのまま昼食を食べながら軽い話をしていた。特に、和泉と上原の2人が会話に花を咲かせている。俺、美竹、青葉の3人は、そんな2人を横目に見ながら、音楽やギターの話をしていた。すると突然、和泉たちの方から上原の驚きの声が上がる。
「ええッ⁉︎ あの○witterのトレンドだった女装シンデレラって、奥沢先輩だったんですか〜〜⁉︎」
「ブフッ⁉︎」
それを聞いた俺は、思わず口に含んでいた水を勢いよく吹き出してしまった。
「おい和泉!何喋ってるんだよ!」
「ええ〜、ひまりちゃんが女装シンデレラに生で会いたかったっていうから、隣に本物がいるよって教えてあげただけだよ〜」
和泉は、なんの悪びれもなく言う。上原は今時の女子高生らしくSNSをやっているらしい、そこから女装シンデレラのことは知っていたようで、その正体にかなり驚いているようだ。スマホの写真と俺の顔を何度も往復して確認している。
「言われてみれば確かに....顔がそっくり」
「さっきからひまりは何の話をしてるの?」
俺たちが騒いでいると、美竹からそんなことを聞かれる。どうやら美竹はSNSをやってはいないようで、女装シンデレラと聞いてもピンときていないようだ。更にそれは、青葉の同じようで首を傾げている。
「これこれ!見て2人とも!」
上原は、俺のシンデレラの仮装の写真をスマホの画面に出し、2人に見せる。
「これってシンデレラ?文化祭か何かの写真?」
「キレイな人だね〜、本物みた〜い」
写真を見た2人は、それぞれ反応を見せる。俺は、誤魔化すのを諦めて、テーブルに突っ伏す。
「このシンデレラ、奥沢先輩なんだって!」
「「え……」」
ひまりの解答に、2人の動きが一瞬止まる。
「嘘...だってどっからどうみても女の人じゃ...」
「うんうん、モカちゃんも蘭に同意〜」
2人はどうやらまだ信じてはいないようだ。するとそこに和泉が入っていく。
「ほんとだよ。文化祭の出し物で、奥沢君が女装したのがそのシンデレラだよ♪」
そう言って和泉が今度は自分のスマホを3人に見せる。画面にはいつのまに撮っていたのか、俺が試着室に入り、シンデレラの格好で出てくる動画が再生されていた。
「ほ、ほんとだ…」
「これはびっくり〜」
2人はどうやら完全に信じたようだ。俺はもう終わりだ、とテーブルに顔をつけたまま出来るだけ動かないようにする。まさかここで黒歴史を蒸し返されるとは思っていなかった.....
「そうだ!」
いきなり上原が、大きな声を上げた。
「ひーちゃんどうしたの?お腹減った?」
「違うよ!今食べたばかりじゃん⁉︎」
モカのボケにツッコむ上原に、全員がどうしたのかと視線を送る。すると、上原はおもむろにスマホを俺たちに向け…
「せっかくだし、この5人で写真撮りませんか?」
そう提案してきた。いきなりの提案に、特に美竹が凄く嫌そうな顔をする。俺も正直遠慮したかったのだが……
「いいね〜♪撮ろっか、いいよね奥沢君?」
ガシッと俺の腕を掴み、逃げられないようにしてからいい笑顔で質問してくる和泉。俺は諦めるしかないと思い、渋々首を縦に振った。
「モカもほら!」
「しょうがないな〜」
そんなこと言いつつも、満更ではない様子で青葉も俺たちの方に寄ってくる。残すは美竹のみ。
「蘭も早く〜」
「ほら蘭!一回だけだから、お願い!」
「蘭ちゃんも一緒に撮ろ?」
俺以外の3人が、しつこく美竹を呼ぶ。結局最後は美竹が折れ、椅子から立ち上がり俺たちの方へ来る。
「一回だけだから……」
どこか嬉しそうにも見える美竹の表情に、俺はめんどくさい性格だなぁと、失礼ながらクスッと笑ってしまった。
「はぁ〜い!じゃあ撮りますよ〜」
5人が一箇所に固まると、上原はどこから出したのか、自撮り棒を取り出しスマホをセットする。
カシャッ
カメラのシャッター音が聞こえ、撮影が終わる。撮れた写真を見てみると、和泉と上原は笑顔でピースサイン、青葉と俺はそんな2人を見ながら微笑み、美竹はぎこちない表情で写った写真が撮れていた。
「うん!バッチリ!」
上原は満足そうだ。和泉が後で送ってねと、上原とアドレスを交換する。和泉の方から俺にも撮った写真が送られて来た。自分の方でも確認してみると、そこには思いの外楽しんでいる自分が写っていた。
「(ま、たまにはこういうのもありだよな...)」
写真を撮った後、俺たちは青葉たち3人と別れ、和泉と2人でショッピングモールを後にした。
すでに時間は19時近くになっており、西には鮮やかな夕日が出ていて、辺り一面を夕焼け色に染めている。
「わ〜!綺麗だね奥沢君!」
夕日をバックに、和泉が振り返りそう聞いてくる。
和泉は今日一日ずっとテンションが高かった。そんな和泉を見ていると、なんだかこっちまで心が弾んでくる。
「そうだな」
俺は簡潔にそう答えた。
「うーーん!」
夕日の暖かな光を浴びて、グーッと伸びをする和泉。そんな彼女を見て、俺はポケットにしまってあった箱を取り出した。
「和泉」
「ん?なに?」
俺の呼びかけに、和泉はすぐに振り返り首を傾げながらこっちを向く。
「はい、これ」
そんな和泉の前にポンッと持っていた箱を出す。
「え……」
突然のことに驚いて、目と口を開きにしながら動かなくなる。俺は動かない和泉の手を掴み、箱を握らせる。
「ほい」
「な、なに?これ…」
「プレゼント、ドレスのお詫びと日頃の感謝を込めて」
「……あ、開けてもいい?」
「おう」
和泉は箱の包みを丁寧に開け、中身を取り出す
「——ッ!これ…」
箱の中には、4枚ある銀色の花びらのうち、1枚だけ鮮やかなメタリックのピンクで染色された花のネックレスが入っていた。
「服を買った店で見つけたんだ。和泉に似合うと思って」
「……」
和泉はなにも言わなかった。気に入らなかったのかと思い、和泉に声をかける。
「い、和泉?」
「……つけてみてもいい?」
「お、おう」
和泉は首の後ろに手を回し、ネックレスをつける。
ネックレスは俺の思った通り、和泉にとてもよく似合っていた。
「どうかな?///」
「凄く似合ってると思うぞ」
顔を赤くしながら上目遣いで聞いてくる和泉に、俺はすぐに答えた。
「……そっか」
小さな声でそう呟いた和泉は、すぐに顔を上げ……
「ありがとう、奥沢君!///」
間違いなく今日1番の笑顔を俺に向けた。
——和泉家・渚の部屋——
あれから私は、奥沢君に家まで送ってもらいそこで解散となった。私は帰ってすぐに自分の部屋に入り、着替えもせずにそのままベッドにダイブした。
「……はぁ///」
私は、左手に握られている花のネックレスを見てため息を吐いた。このネックレスを見るたびに、1人の同級生の男の子を思い出してしまう。
「……バカ///」
自分の口からその男の子に対する罵倒が溢れた。それは、彼の鈍感さ、卑怯さ、女たらしさに対して出たものだった。
「もう〜〜〜////」
ベッドに何度も足を叩きつけ、恥ずかしさを誤魔化した。それくらいしないともう二度と彼の顔が見れないと思った。
私は、そんな鈍感で卑怯で女たらしな彼のことが……
『好き』で仕方なかったから......
というわけで、Afterglowより美竹蘭ちゃんと上原ひまりちゃんが初登場いたしました〜。
和泉がヒロインする回となりましたが、いかがだったでしょうか?
余談ですが、今回のイベントのAfterglowのみんなやばく無いですか?可愛すぎるでしょ!ガチャは爆死しましたが、曲も良いですし満足してます。今後もバンロリっ子増えるのかな?個人的には、さよひな、推しの美咲が見てみたいですね〜。皆さんはどうでしょうか?