〈凍結〉イナイレ×バンドリ 笑顔を護る英雄   作:夜十喰

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1週間空いてしまい申し訳ないです。゚(゚´ω`゚)゚。最近なにかと忙しく、更新ペースが日に日に落ちてきていますが、途中で終わらせる気は無いので、最後までどうぞお付き合いください。

日常回がだいぶ続いてきたので、残り数話で県予選に入ろうと思います。今回はそれに向けた話です。

それではどうぞ〜


目指す資格

6月も半分を切り、7月のはじめに行われるインターハイ出場をかけた県予選まで残り2週間近くに迫った。俺たちは予選に向け、日々激しい練習が行っていた。が、梅雨の影響かここしばらく朝から蛇口をひねったような強い雨が続いているため、俺たちは学校の教室に集まり、ミーティングを行っていた。

 

「知っての通り、IH(インターハイ)予選まで残り2週間まで迫った。俺たちが出場する東東京予選は強豪が多い、前回優勝したからといって油断してたら初戦敗退だってありえる。気を引き締めて臨むぞ」

 

俺の言葉に、全員の表情が引き締まる。去年スタメンとして試合に出ていた現3年全員と2年は蒼夜、彩瀬、佐々木の3人は、予選の激しさを肌で感じている。それ故に、一段と表情筋に力が入っているように見える。

 

 

「はいはーい!質問!」

 

重い空気が漂う中、そんな空気はぶった斬るような緊張感の無い声を上げながら手を挙げたのは、茜だった。

 

「なんだ?茜」

 

 

「県予選って、結局何回勝てば優勝なんですか?」

 

ガクッ!!

 

「あ、あれ…?」

 

茜の基礎中の基礎の質問に、ガクッと崩れる面々、日向に至っては額に手を置き、はぁ…とため息を吐いて呆れている。

 

「なんでそんな常識が分かんねえんだよ……」

 

そんな茜に悪態を吐く黒騎、茜はイラッと来たものの、知らないのは自分の落ち度だと黒騎を睨むだけで言い返すことは無かった。

 

「アハハ……そうだな、茜のためにももう一度おさらいしとくか」

 

俺は、黒板にわかりやすく絵を描きながら予選についてのおさらいを始める。

 

「基本的なことだが、IHは各都道府県予選を優勝した代表が全国へ駒を進め、その中から日本一を決める大会だ。全国は基本的に1つの県につき1校しか出場出来ない。だが、俺たちのいる東京都は、参加チームが多く予選にもかなりの期間を要してしまうため、東東京予選と西東京予選の2つに分けられ、それぞれで優勝した高校が全国に出場出来るようになっている」

 

俺は淡々と説明して行く。途中、チラッと茜の方を見たがどうやらついていけてるようだ。俺は説明を続ける。

 

「俺たちが出場するのは、この東東京予選だ。ここには、前に練習試合をした羽丘も含まれている。勝ち進めばいずれ当たるだろう」

 

羽丘と聞いて、全員の表情が少し変わる。各々がライバル意識を持っている相手だ、思うところがあるのだろう。かくいう俺も、羽丘の桐ヶ谷には負けたくないからな。

 

「さっきの茜の質問だが、優勝するには1回戦、2回戦、3回戦、準決勝、決勝の計5試合に勝たなきゃならない」

 

俺の答えに、質問の主である茜はうへ〜…といった顔をする。

 

すると、茜の前に座っていた水瀬が手を挙げる。

 

「あ、あの...せ、先輩たちって去年優勝したんですよね...シード枠とかには入っていないんですか?」

 

水瀬の最もな質問に、初出場となる1年生たちは確かに…といった表情をする。

 

「いい質問だな。これは毎年のことなんだが、予選ではシード枠が無いんだ。前回優勝した高校もベスト4に入った高校も、いずれも1回戦から参加しないといけないんだ」

 

俺の解説を聞いて、1年たちはなるほど...と小さく頷いた。

 

「まぁそのかわり、前回ベスト4のチームは、トーナメント表で四方に分けられて少なくとも準決勝までは当たらないようになってるんだけどね」

 

「そうだな。だが、ベスト4のチームが決して勝ち上がってくるとは限らないぞ。それほど東京のチームはどこも強いからな」

 

俺の説明に、和泉が補足を入れる。それを聞いた片桐が、手を挙げて俺たちに質問してくる。

 

「じゃあ先輩たち的に警戒してるチームってどこなんですか?」

 

「そうだな〜、去年ベスト4のチームももちろん警戒してるが、それ以外で言うと『繚乱(りょうらん)学園』だな」

 

「繚乱?繚乱って言うとあのバリバリのスポーツ高っすか?」

 

「ああ、あそこは日本の中でもかなりスポーツに力を入れてる学校だからな。去年は3回戦で羽丘と対戦して惜しくも敗退したが、それまでは何度も全国出場をしている強豪だ。攻撃力だけでいえば、県内トップだろう」

 

県内トップというワードに、片桐はビクッと体を震わせる。

 

「県内トップ……戦ってみたいです!」

 

片桐は怯むどころか、更に闘争心が燃え上がったようだ。目に炎が灯っている。

 

そんな片桐と反対に、ダルそうに机に突っ伏す人物が1人、佐々木だ。

 

「出来ればあいつらとはやりたくね〜、ガンガン攻めてくるからしんどいんだよなぁ………」

 

佐々木は、繚乱というチームに対しそんな愚痴をこぼす。

 

「にゃはは〜、佐々木っちはほんとへなちょこだな〜。ていうか佐々木っちって基本守備しないじゃん」

 

「だな……大変なのはむしろ俺たちなんだがな」

 

そんな佐々木に、猫神と紅城の2年DFの2人が鋭い指摘をする。2人の最もな指摘に、佐々木は反論すら出来なかった。

 

 

 

 

「あとは、言わずもながら羽丘だな。どこも一筋縄じゃいかないだろうが、あいつらを倒さなきゃ結局全国へは進めない」

 

羽丘という言葉を聞いて、それぞれが思い思いの相手を頭に浮かべる。以前練習試合を行った時、自分が「負けたくない」「超えたい」と思った相手、超えなければならない相手だ。

 

 

「負けるわけにはいかないな。個人としても、チームとしても」

 

日向は、自分に勝つと宣言した白い氷のようなDFに

 

 

「次こそ絶対抜いてみせる!二度とボクの前で居眠りなんてさせないよ!」

 

「オレもだ!眠気が覚めるくらいのプレーであの人を本気にさせてやる!」

 

日向と片桐は、自分たちの好きなことを思い出させてくれた、あの時はまるで敵わなかった眠り続けるDFに

 

 

それぞれの思いを乗せて言葉にする。

 

 

「…………」

 

黒騎もまた、自分に余計なお世話をしてきた羽丘の守護神、暁のことを頭に浮かべる。

 

『そのプレーはチームに敗北を味あわせることはあっても、勝利をもたらすことは無い』

 

『君は本来チームプレーに向いている』

 

あの練習試合で暁から言われた言葉。それが黒騎の頭の中にこべりついて離れなかった。自分はチームなんてどうでもいい、チームプレーなんてくだらない、頭の中でそう何度も復唱する。

たが、あの練習試合の最後、暁からゴールを奪うために蒼夜に協力したあの時....黒騎は、屈辱的にもある種の達成感を感じてしまった。自分だけでは超えられない高い壁を、仲間と協力して超えたという達成感。

 

「(違う...!あの時は仕方なくそうしただけだ!チームプレーなんてクソくらいだ!)」

 

自分の感じてしまった達成感を掻き消すように、自分の頭の中を言葉で埋め尽くす。

 

「(次は...俺の力だけであいつらを圧倒してやる!チームプレーなんてくだらないってこと...あいつらにも、ここにいる奴らにも、わからせてやる...!)」

 

 

 

 

ガラガラガラッ!!

 

 

その時、教室の扉が開き、監督の本郷が1枚の紙を持って入ってきた。

 

「全員揃っているな」

 

「監督、お疲れ様です」

 

「「「「お疲れ様です!」」」」

 

俺の挨拶に続いて、全員が同時に挨拶をする。俺は、監督に自分の立っていた席を譲り、近くの席に座った。

 

「みんな、ミーティングご苦労。話の途中に割って入ってしまい申し訳無い」

 

監督はそう一言俺たちに謝ってから、手に持っていた1枚の紙を俺に渡し、全員で見るよう指示を出した。

 

「早速本題に入る...IH東東京予選の組み合わせが発表された」

 

監督の言葉を聞いて、俺たちは紙に目を通す。そこには、50校近くある出場校の名前と会場、日時などが記されていた。

 

「ねぇねぇ!ボクたちは?どこと当たるの?」

 

「落ち着け茜。そんなに焦らなくても、私たちは前回の優勝校でベスト4に入っている。つまり、4つ角のいずれかに名前があるはずだ」

 

焦る茜を落ち着かせながら、日向が冷静に俺たちの入るグループと対戦校を確認する。

 

「…………おっ、あったな」

 

日向の言う通り、俺たち花咲川の名前はトーナメント表の1番右上に書かれていた。

 

「対戦校は……『光ヶ丘(ひかりがおか)』?」

 

「聞いたことない名前ですね」

 

『光ヶ丘』と言う名前を聞いて、俺や蒼夜が自分の記憶を辿る。が、何度思い返してみても、『光ヶ丘』と言うチームは聞いたことがない。

 

「和泉」

 

「やってるよ〜」

 

仕方なく俺は、和泉の名前を呼んだ。すると和泉は、すでに自分のノートパソコンを使って、『光ヶ丘』と言うチームの事を調べ始めていた。

 

「ふむふむ....なるほど」

 

「何かわかったか?」

 

調べ終えた和泉は、今得た情報を全員に説明する。

 

「調べてみたところ『光ヶ丘高校』は、今年サッカー部が出来たばかりの高校らしいよ。部員も全員1年生で、サッカー経験者もそこまで多くないみたい」

 

和泉が調べてくれたおかげで、対戦相手の概要を知ることが出来た。それにしても、今年出来たばかりの高校か...1年生だけってことは、春から必死にメンバーを集めたのだろう。サッカーに対する熱い情熱を感じるな。

 

「なんだ、ただの新米かよ。こりゃあ1回戦は楽勝だな」

 

創部1年目のチームと聞いて、黒騎が相手を馬鹿にしたような発言をする。そんな黒騎に対し、怒りを覚えた蒼夜が黒騎に突っかかる。

 

「おい黒騎!他校に対して失礼だろ!」

 

蒼夜に怒りをぶつけられても、黒騎はどこ吹く風、気にすることなく続ける。

 

「だってそうだろ?さっきキャプテンも言ってたじゃねえか、東東京予選は強豪が多いって。そんな中、ポッと出の高校なんて相手にならないって、あんたらも思ってんじゃないんですか?」

 

相手を煽るような発言を続ける黒騎に、蒼夜を始めとした上級生たちが、顔をしかめる。が、黒騎の言うように、東東京予選は創部1年目のチームが優勝できるほど甘いものではない。それは自分たちが1番分かっている。だから、蒼夜たちは黒騎に摑みかかることは出来ても、言い伏せることは出来なかった。

 

そんな中…………

 

 

 

 

「自惚れんなよ—————」

 

 

怒気を孕んだ低い声で黒騎に鋭い言葉をかけたのは、咲真だった。

 

 

「ッ⁉︎」

 

黒騎は、今まで感じたことのない咲真の雰囲気に圧倒され怯んだ。怯んだ黒騎を見下ろしながら、咲真は低い声で続ける。

 

「まともにチームプレーも出来ないお前が、誰かを見下せる立場なのか?入部してからこの3ヶ月で随分と偉くなったもんだな...学校の名前にすがってんじゃねえよ、1年坊主」

 

一変した咲真の気迫に、黒騎以外の1年生たちも完全に怯えてしまっている。

気迫を正面から受けている黒騎は、怯えてはいないものの、少し体が震えている。

 

「お前の言う通り、東東京予選は創部1年目のチームが勝ち進むには厳しいものだ。だがな....優勝を目指す資格っていうのは、どんなにチームにもあるんだよ」

 

咲真はそう言いながら、黒騎に近づいて行く。近づいてくる咲真に、黒騎は距離を取ろうとするも、引いた椅子に後ろの机が当たり手こずってしまう。

 

そんな黒騎の肩に、ポンッと手を置く咲真。

 

「だから、絶対に相手を見下したらダメだ。相手はきっと全力でかかってくる。だから、俺たちも全力で答える。それが本気で優勝を目指す相手に対する礼儀ってやつだ」

 

そう言って軽く微笑んだ咲真。その雰囲気は、先ほどまでと全く異なり、いつもの優しい彼に戻っていた。

 

「お前たちもだぞ。目指すは優勝、日本の頂点ただ1つだ!そのためにもまず目の前の一本、必ず取るぞ!」

 

咲真は振り返り、メンバー全員に声をかける。

 

咲真の言葉に奮い立ったメンバーは、大きな声で咲真に答える。

 

「「「「「おう!!」」」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

場所は変わり、ここは光ヶ丘高校—————

 

 

「おーい!トーナメント表出たぞー!」

 

グラウンドに、灰色の髪と瞳をした見た目から優しそうな男子が入ってくる。その手には、折りたたまれた1枚の紙が握られている。

 

彼の名は桔梗(ききょう)遥希(はるき)。光ヶ丘高校サッカー部のキャプテンであり、サッカー部創立の立役者である。

 

 

「おお〜、遂に来たね〜!」

 

彼の言葉に真っ先に反応したのは、城戸(きど)好太郎(こうたろう)。黄緑色の髪と瞳をした端正な顔立ちに、飄々とした性格の男子だ。

 

そんな城戸を皮切りに、続々と桔梗の元へ光ヶ丘サッカー部のメンバーが集まってくる。

 

「それで、私たちの対戦相手はどこなんですか?」

 

全員が集まってすぐ、前髪に白いメッシュが入った黒髪のツインテールに、赤と青のオッドアイをした女子が桔梗を急かすように質問する。

 

「そんなに焦るなよ氷河。俺だってまだ見てないんだ」

 

氷河(ひょうが)火麟(かりん)。光ヶ丘の数少ない女子選手の中でも、チーム内トップのディフェンス力を誇る、光ヶ丘の守備の要の選手である。

 

焦る氷河に桔梗はそう言うと、全員が見える位置に対戦表の紙を置く。

 

「じゃあ、行くぞ……」

 

勢いよく紙を開く桔梗、メンバーは急いで自分たちの名前を探す。

 

「あったよ〜」

 

いち早く名前を見つけた城戸が、紙に指をさしながらのんびりした口調で全員に知らせる。

すぐに全員が城戸の指が示す場所を見る。するとそこには………

 

 

1回戦 第3試合 ○○会場

花咲川高校 対 光ヶ丘高校

 

 

と書かれていた。

 

 

「「「「「………………」」」」」

 

グラウンドに長い長い沈黙が流れる。当然だ...創部1年目の記念すべき大会で、前回王者と当たることになったのだから。

 

「これって、かなり絶望的な感じだよな」

 

沈黙を破り、全員が感じていることを冷静にズバッと言い放ったのは、右側の前髪だけ長く伸びたボサボサの茶髪に、銅色の瞳をしたクールでキツそうな見た目の男子、四十住(あいずみ)(のぞむ)だった。

 

「なんでお前はそう追い打ちをかけるようなこと言うんだよ!」

 

そんな容赦ない言葉を言った四十住にツッコミを入れたのは、赤い瞳をした茶髪に右側の前髪に白いメッシュが入った青年、工藤(くどう)義隆(よしたか)だった。

 

 

「「「「「…………………」」」」」

 

四十住の言葉に、メンバーの空気が更に暗くなっていく。

 

 

「みんな!顔を上げろ!まだ試合は始まってすらないんだぞ!」

 

そんな中、漂う負けムードを払うように立ち上がり、大きな声でメンバーみんなを鼓舞するキャプテンの桔梗。彼の顔は、絶望どころか、メラメラと滾っているようにも見えた。

 

「こんな何もしてない時点で諦めるのか?まだ俺たちは、スタートラインに立っただけだ。まだ一歩も前には進んでない!じゃあどうするか……決まってる!進むしかない!前に!」

 

桔梗の力のこもった言葉を聞いて、次々と光ヶ丘サッカー部員たちが顔を上げる。

 

「この学校に入学してからここまで、必死にやってきた!最初はメンバーも集まらず、グラウンドの隅で練習するしかなかったけど、この3ヶ月で大会に出られるまでになったんだ!いきなり諦めてたまるか!ピンチはチャンスだ!花咲川は俺たちにとってもどの高校にとっても最大の壁だ!そんな壁に、まだ緊張も不安も残って、自分たちのプレーがしにくい初戦で当たるんだ、これほどチャンスな事は無い!」

 

桔梗の励ましに、遂に全員が重たかった腰を上げ、さっきまでとは全く違う凛々しい表情で、桔梗の前に整列する。

 

「未熟な俺たちが優勝するなんて、夢のまた夢なのかもしれない....だけど、夢を見る権利は誰にでもある!あとは、それを俺たちが現実にするんだ!さぁみんな!俺たちの雑草魂を見せてやろう!!」

 

最後の言葉とともに、拳を高く突き上げた桔梗。それにつられるように、光ヶ丘サッカー部の全員が、同じように拳を天に突き出した。

 

「「「「「おおーーー!!!」」」」」

 

 

 

運命のIH東東京予選まで、残り15日——————




読んでいただきありがとうございました!

本日の話で——
城戸好太郎(鳳凰院龍牙さん)
工藤義隆(artisanさん)
桔梗遥希(artisanさん)
四十住臨(artisanさん)
氷河火麟(茨木翡翠さん)
以上の光ヶ丘高校の5名が登場致しました。

県予選までもうすぐです。読者の皆様に、熱くなれるような試合が書けるように頑張ります。

※私ごとですが、この小説とは別に小説を書き始めました。そっちは続くか分かりませんが、是非目を通していただければ嬉しいです。
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