〈凍結〉イナイレ×バンドリ 笑顔を護る英雄   作:夜十喰

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さぁ、いよいよ試合開始です!長らくお待たせいたしました。試合のシーンは基本的に三人称視点で進みます。たまに視点が切り替わるかもしれません。読みづらい部分もあると思いますが、どうぞよろしくお願いします。


そして今回から、前書きに対戦チームの選手情報を載せていきたいと思います。光ヶ丘は数話前に登場させましたが、分かりやすいように今回も載せます。

光ヶ丘高校

名前:桔梗 遥希(ききょう はるき)
性別:男
学年:1年
性格:友達思い。しかし、自分が負けている、と感じていると後髪を掻く癖がある。
容姿:灰色の髪の毛に灰色の目。
ポジション:DF
その他:光ヶ丘の主将。1年でありながら中々の実力を持っている。
ただし、自分が負けていると感じれば焦ってしまう。
友達思いで、メンバーが悩みを抱えていれば相談に乗る事もある。
〔キャラ考案:artisanさん〕

名前:工藤 義隆(くどう よしたか)
性別:男
学年:1年
性格:何事も楽しむ。少々熱血。
容姿:全体的に茶髪。しかし、右側の前髪だけ白髪のメッシュが入っている。目色は赤。
ポジション:GK
その他:サッカーが大好きな、光ヶ丘のゴールキーパー。
その心は熱く、サッカー以外でも前向きにやる。ただし、熱くなり過ぎる時がある。
中学3年から始めたので実力は申し分無いが、皆の気持ちに応えなければ、と思っている。
〔キャラ考案:artisanさん〕

名前:四十住 臨(あいずみ のぞむ)
性別:男
学年:1年
性格:冷徹。しかし、意外と熱い。
容姿:ボサボサの茶髪。しかし、右の前髪だけ長い。目は銅色。
ポジション:MF
その他:いつも冷静で居る少年。しかし、時には熱くなる事も。
戦況を見てどのように動くべきか、どの技を出すべきかを考える。
〔キャラ考案:artisanさん〕

名前:城戸 好太郎(きど こうたろう)
性別:男
学年:1年
性格:のんびり飄々としており、お気楽。
容姿:黄緑の髪で黄緑の瞳の端正な顔立ち。
ポジション:FW
その他:のんびりかつ飄々としており、お気楽な性格の選手だが、やるときはやる。
〔キャラ考案:鳳凰院龍牙さん〕

名前:氷河火麟(ひょうがかりん)
性別:女
学年:一年生
性格:心優しく努力家だが泣き虫なところがある。
容姿:前髪に白のメッシュ、黒髪のツインテール赤と青のオッドアイに胸は普通の痩せ型
ポジション:DF
その他:誰にでも優しく、サッカーがうまくなるために努力している。練習で技が失敗するとすぐ泣き出してしまうことが多い。
〔キャラ考案:茨木翡翠さん〕


長くなりましたが、それではどうぞお楽しみください!


1回戦vs光ヶ丘 挑戦の幕開け

フサフサと生い茂る緑色の人工芝の上、転がる白と黒のボールと、それを追いかけるそれぞれの統一されたユニフォームを着た両チームの選手たち。試合開始時刻が近づく中、両チームはピッチの上でアップを行なっている。

 

「…………」

 

「…………」

 

両チーム共に初戦ということもあり、口数は極端に少なく、ただ淡々とアップを済ませていく。客席にいる観客たちの熱い視線と期待が一斉に注がれたフィールドで、いつも通りのプレーをする方が圧倒的に難しい。それが、練習試合と本番の違いであり、ここに立つまで誰も練習出来ない難関の一つである。特に、今大会が初出場となる光ヶ丘のメンバーはこの熱く重々しいプレッシャーに、完全に萎縮してしまっていた。

 

「……うぅ、腹痛くなってきた」

 

「おい!もうすぐ試合開始だぞ!キャプテンがそんなんでどうするよ!」

 

そのプレッシャーによる腹痛を訴え出した光ヶ丘の主将である桔梗に、こちらも緊張や何やらで少しアガってしまっている工藤がうるさいくらいの声量で声をかける。

 

「少し落ち着け2人とも。キャプテンと元気だけが取り柄のお前がそんなんじゃ、他の奴らに示しが付かねえだろ」

 

「大丈夫大丈夫〜、気楽に行こうよ〜」

 

そんな2人を見て、やれやれと声をかけたのは、このプレッシャーの中でもいつも通りの冷静さを崩さない四十住とマイペースな城戸の2人だった。四十住は、うろたえる工藤を落ち着かせようとするどこか、なぜか煽るような言葉をかける。

 

「おい!元気だけが取り柄ってなんだよ!」

 

「事実だろ?」

 

真顔でそう言われた工藤は、ぐぬぬ…といった表情で歯ぎしりをしながら四十住を睨みつける。

 

「なにアガってんだよ。こんな状況、初めから理解してただろ?……ハァ、こんなもんでうろたえてちゃ、()()()は思いやられるな」

 

ため息混じりに呟いた四十住の言葉に、ピクっと反応する工藤。そして、その後ろで話を聞いていた桔梗も、同じような反応を見せる。

 

「お前ら、この先に行く気あるのか?」

 

それは、彼らの覚悟を問う質問だった。「俺は勝った先を見ている。お前たちはここで立ち止まったままなのか?」と2人に言っている。無論、四十住も目の前の(花咲川)を見ていないわけがない。だが、自分たちはそれを超えるのだと、勝って全国へ行くのだと、彼らにそう伝えているのだ。

 

「……そうだよな。ようやくここまでこぎつけたんだ!行くに決まってんだろ!」

 

ようやく今まで下を向いていた目線を真っ直ぐに向けた工藤は、自分の拳と掌をバチン!と合わせ、気合いのこもった返事を返す。

 

「アハハ〜、やっぱり工藤くんはそうじゃないとね!」

 

いつも通りに戻った工藤を見て、城戸が嬉しそうに笑う。そして工藤はおもむろに振り返る。するとそこには、さっきまで腹痛に顔を歪めていたのは何処へやら、凛々しく、真っ直ぐな男の表情をした、光ヶ丘のキャプテン、桔梗遥希の姿があった。

 

「やろう...俺たちは先へ進む!この試合に勝って、次も勝って、その次も勝って、優勝するんだ!ここがスタートラインだ。後ろは無い。ただ進むのみ!」

 

「「「おう!」」」

 

桔梗の言葉に、3人が力のこもった言葉を返す。

 

「何の話をしているんですか?…仲間外れにしないで下さい」

 

話し合う4人を見て、さっきまで念入りにアップをしていたチームの紅一点である氷河火麟が4人の元へ寄ってくる。

 

「みんなで力を合わせて優勝しようって話してたんだよ。氷河も一緒に頑張ろうぜ!」

 

「もちろんです。勝つ以外の選択肢など、学校に置いてきました」

 

工藤の勝とうという思いに、当たり前だと返す氷河。そんな話をしていると、ぞろぞろと光ヶ丘サッカー部のメンバーが全員5人の元へ集まってきた。その顔には、緊張も見えるが、それ以上のやる気と覚悟が見て取れる。そんな彼らの顔をもう一度見回した桔梗は、全員で円陣を組むように呼びかける。

 

「よし!やるぞみんな!」

 

円陣を組んだ光ヶ丘のメンバーは、それぞれの両隣のメンバーの服をガッチリと掴む。

 

「「「「「光ヶ丘〜!ファイ!オー!」」」」」

 

彼らにとって初めての公式戦。いよいよ待ちに待ったルーキー達の挑戦が幕を開ける。

 

 

 

 

 

 

 

 

場所は変わり、花咲川ベンチ。咲真たちは、監督の本郷の前に整列し、フォーメーションの確認を行っていた。

 

「よし。では、フォーメーションとスターティングメンバーの最終確認を行う」

 

監督の言葉に、選手たちの表情はより一層引き締まったものになる。

 

「まずはFW。水嶋、佐々木、そして...日向茜」

 

「はい!」

 

「うっす」

 

「〜っ!! ハイ!!」

 

「次にMF。彩瀬、日向灯里、奥沢」

 

「は〜い」

 

「はい!」

 

「はい」

 

「DF。氷川、紅城、河野、猫神」

 

「はい!」

 

「…うす」

 

「はい」

 

「はいにゃ〜!」

 

「最後にGK。岩隈」

 

「はい!」

 

監督に名前を呼ばれたメンバーが、それぞれ返事をする。返事の仕方は各々だが、特に唯一1年でレギュラー入りとなった茜は、目を爛々と輝かせ、気合いに満ちた表情で大きく返事をした。

 

 

ちなみに、今回の咲真たちのフォーメーションはこう。(()は背番号)

 

FW:佐々木(9) 水嶋(10) 茜(11)

MF:彩瀬(6) 咲真(7)

MF:日向(8)

DF:猫神(5) 河野(2) 紅城(3) 氷川(4)

GK:岩隈(1)

 

ベンチ:水瀬(12) シャロン(13) 黒騎(14)

 

4-1-2-3のフォーメーション。佐々木、水嶋、茜のスリートップ。右サイドに咲真を置くことで、茜のスピードに合わせたパスを出し、そのスピードを最大限に活かし、先手を取るための布陣だ。中盤下、ボランチには、チームのディフェンスリーダーである日向を置き、DFの4人が日向の指示に柔軟に対応出来るような配置となっている。

そして、もっと重要な中盤をセントラルミッドフィルダーとして、ボールキープ力、前線への持ち込みがチームトップの咲真と彩瀬を置き、盤石な体制を整えている。

 

 

「以上だ。お前たち、いまこの場においては今までの失敗も、後悔も、全て忘れろ。頭に入れるのは勝利のイメージと、勝つという信念だけ。それ以外の雑念は全てピッチには必要ない。お前たちならば、どんな壁も、どんな逆境も超えられる」

 

監督の口から、激励の言葉がかけられる。普段は物静かな方の監督も、こういった場面では、とても心強い言葉を咲真たちにかける。そして、それは決した士気を高めるために用意した言葉じゃなく、今自分の心から出た素直な言葉だと、咲真たちも知っている。知っているからこそ、監督の言葉は彼らの支柱となり、彼らもそれに応えようとする。

 

「───お前たちは...強いよ」

 

「「「「「────っ!」」」」」

 

監督のその一言に、全員の表情から緊張と不安が消え、やる気がみなぎっていく。一種の誇らしさのようなものか、たったその一言で勇気が湧いてくる。

 

 

 

「よし!監督から心強い言葉ももらったし、後は俺たちが監督の言葉を証明するだけだ」

 

監督からの激励を受けた後、咲真たちはベンチの前で円陣を組んでいた。その輪の中には、マネージャーである和泉はもちろん。初めは拒んでいた黒騎も咲真たちが無理やり輪にいれ、本人も渋々入っている。

 

「俺たちは去年優勝した。でもそれ(優勝)がなんだ。それは“過去”のことだ。“過去”はもう消化した。“過去”は“今”になって俺たちの身体になってる」

 

そういうと咲真はぐるりと全員の顔を見回す。咲真が見たみんなの表情は、ニヤっという微笑みとともに、自信とやる気に満ちている。

 

「スゥー……」

 

咲真は目を閉じ、深く息を吸う。そしてゆっくりと目を開き────

 

「ゼッテェェ勝つぞォーー!!」

 

「「「「「オォ!!」」」」」

 

全員の声が1つに重なり、大きな音を生み出した。

 

 

いよいよ彼らの...王者の挑戦が幕を開ける。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

いよいよ試合が開始される時刻となった。コート中央には、両チームの選手たちが互いに向き合いながら整列している。

 

審判の試合開始の合図を待っている咲真の前に、正面から突然手が伸ばされて来た。

 

「今日は胸を借りるつもりで来ました。よろしくお願いします」

 

咲真が出された手の主を確認するとそこには、光らせた目で真っ直ぐ咲真を見つめながら、意を決したような面持ちの光ヶ丘のキャプテン、桔梗遥希がいた。

 

「ああ、よろしくな」

 

咲真は桔梗の気持ちに答えるように、自分も手を伸ばし桔梗の手を掴んだ。すると、桔梗は手に力を込め、握られていた咲真の手をさらに力強く握りしめた。

 

「っ!」

 

「負けません。たとえ相手が貴方達でも」

 

咲真は桔梗との握手で、強い覚悟と本気を肌で感じた。彼らは挑戦者として自分たちに全力で向かってくると、王者の首を本気で取りにくると、そんな彼の...彼らの覚悟を見た咲真は、今度は自分も桔梗の手を強く握り返した。

 

「ッ!!」

 

「その挑戦、正々堂々と受けてやる。俺達も俺達の全力と本気を持って、お前たちに勝つ」

 

桔梗はこの時、少しばかり怯んでしまった。近くで初めて感じた王者の気迫、それはまるで鋭い刃を向けられているような感覚....だが、桔梗はそれと同時に嬉しさも感じていた。咲真たちは、創部1年目のぽっと出の自分たちに、恐らくどのチームも警戒も期待もしていない自分たちに、本気を向けて来てくれていると。

 

 

 

「それでは、IH東東京予選1回戦第3試合、花咲川高校対光ヶ丘高校の試合を開始します」

 

そうこうしているうちに、審判から試合開始の宣言がなされた。両チームの表情が、より一層険しく、凛々しくなって行く。互いの目には、それぞれの正面に立つ選手の目が映っている。

 

「一同、礼ッ!」

 

「「「「「「「お願いします!!」」」」」」

 

 

 

各々が自分のポジションにつき、試合開始の笛の音を今か今かと待ちわびている。先にボールを持つの光ヶ丘。緊張と不安でガチガチだったアップの時の姿が嘘のように、彼らは試合開始を今か今かと待ちわびている。

 

「(やっと...やっとだ!試合が出来る!みんなと一緒に戦える!)」

 

中でも桔梗は、待ちわびたこの時への喜びで誰よりも目を爛々と輝かせながら、心の底から湧き続けてくる闘志を咲真達に向けている。

 

 

そしてついに…………

 

 

ピーーーッ!!!

 

 

王者とルーキーによる戦いの火蓋が切って落とされた。

 

 

 

 

 

「行くぞ!!」

 

試合開始と同時に光ヶ丘の選手たちは勢いよく駆け出した。パスでボールを小刻みに回しつつ、全員が常に走り続ける事で、マークから外れつつ少しつづ前線を上げて行く。

 

「全員止まるな!ボールを持ってない奴も常に動き続けるんだ!」

 

桔梗の指示がコート内に響く。光ヶ丘の選手たちは、それに応えるように動きを止める事なく攻め上がる。

 

「中々に厄介だな....」

 

彼らの動きを見て、日向がそう呟いた。一見ただ走り回っているように見えるが、彼らはディフェンスの視界ギリギリのあたりで動き回っている。これにより意識を僅かにそちらに向けらている。加えて、休む間も無く動き続けているため、日向たち自身も相手選手を追うために必要以上に走らされている。

 

これが彼らの編み出した作戦。常に動き回る事で、相手に的を絞らせないようにしつつ、翻弄する動きを繰り返す。かなりの体力が必要となる作戦だが、これこそが彼らが勝つために編み出した最善の策なのである。

 

「(ルーキーの俺たちが前年の王者に挑むのに、リスクを冒さずに勝てるわけがない。たとえ自分たちの体力を犠牲にしても、ここで向こうの体力と集中力を削ぐ!)」

 

桔梗たちは、その動きを繰り返し、着実に王者の背中までの距離を縮めて行く。

動き回る光ヶ丘の選手について行く花咲川の選手たちも、次第にかく汗の量が増えていく。

 

光ヶ丘の作戦はハマり、花咲川の選手たちの体力が1回戦の序盤とは思えないほど削られて行く。

自らの体力を減らしつつも、確実に敵の喉元に迫りつつある光ヶ丘。桔梗は、このまま相手の体力が尽きるまでこれを繰り返すつもりでいた。しかし………

 

「全員止まれ!向こうの動きに合わせる必要はない。相手の動きを予測してから動け!」

 

突如、花咲川の選手たちに指示が飛ぶ。その指示を一度聞いた花咲川の選手たちはピタっと走るのをやめ、指示通りに相手の動きを見つつ、自分たちのペースを守って動き始めた。

 

「っ!!」

 

相手の意図を読み解き瞬時にそれに合わせた指示を出す判断力に、桔梗は顔をしかめ、それを容易に行った人物を苦渋の表情で見つめる。その視線の先にいたのは、前回王者花咲川のキャプテン、奥沢咲真だった。

 

 

「俺に寄越せ!」

 

自分たちの作戦が読まれたと判断した四十住が、味方からパスをもらい、ひるむまいと上がっていく。だが、そんな彼の前に、咲真が立ち塞がった。

 

「悪いが通さねえぞ」

 

「っ!押し通る!」

 

四十住は咲真を抜くために何度もフェイントをかけるも、咲真はそれを瞬時に見極め、惑わされる事なく立ち塞がり続ける。

 

「くそ...」

 

抜けないことに少しずつ焦りが出てきた四十住は、そう呟きながら必死に咲真に食らいついていた。だが、そんな彼に別に位置から迫る影があった。

 

「四十住さん!右です!」

 

咲真と対峙する四十住の耳に、氷河の声が届く。四十住は氷河の声でとっさに動き、迫ってきていた人物の攻撃を交わした。

 

「クッ!」

 

「ありゃ〜、バレちった」

 

四十住に奇襲を仕掛けたのは、彩瀬だった。彩瀬は気配を消しつつ四十住に接近していたが、氷河の声によりあと少しのところでかわされてしまった。

 

だが、彩瀬の奇襲により、四十住は咲真と対峙していた時の集中を僅かに乱してしまった。それはほんの僅かなスキだったが、彼の前に立ち塞がっていた人物は、そんな僅かなスキをも見逃さなかった。

 

「っ⁉︎しまった!」

 

咲真はそのスキを突き、四十住からボールを奪った。

 

咲真はボールを持ったまま、勢いよく上がっていく。

 

「止める!」

 

「行かせない!」

 

そんな彼の前に、光ヶ丘のディフェンス2人が立ち塞がる。が、咲真はスピードを落とすこと無く突き進んでいき、流れるような動きで、ボールを連続でディフェンスの股を通し、2人を抜き去った。

 

「そんな……」

 

咲真の洗練された動きに驚きを隠せない光ヶ丘メンバー。咲真はそんな彼らを御構い無しに突破していく。

 

そして気がつけば、咲真はゴールの前まで迫っていた。

 

「絶対止めてやる!どっからでもかかってこい!」

 

工藤は、迫る咲真を前にもう一度気合いを入れ直して構える。だが次の瞬間、咲真は持っていたボールを天高く上げた。

 

「なにっ⁉︎」

 

すると、咲真の背後から高く上げられたボールを追う影が見える。

 

「っしゃァァ!行くぜェ!」

 

その人物は、花咲川のエースナンバーを背負うストライカー。水嶋葵だった。彼は、回転しながら激流を纏い、ボールと同じ位置まで到達する。

 

「アクアトルネーードッ!!」

 

水嶋の右足から放たれたシュートは、凄まじい勢いで工藤が守る光ヶ丘ゴールへ迫る。

 

突然のことに反応が遅れた工藤に、必殺技を出す暇なくボールが迫る。

 

「くそッ、ウオォォォーー!!」

 

工藤は必死にボールを止めようとするも、やはり必殺技無しでは水嶋のシュートの威力を弱めること出来ない。

 

「くそッ!!」

 

工藤の手が体ごと弾かれ、水嶋の放ったシュートがゴールに突き刺さる。

 

 

ピーーーーーッ!

 

花咲川 1ー0 光ヶ丘

 

 

水嶋のシュートで、咲真たちが先制点を挙げた。

 

「っしゃー!!」

 

水嶋がガッツポーズをする。大会での初得点、バスの中まで緊張していた彼にとって、これほど自信のつくことはないだろう。

 

「よくやったな水嶋ー!」

 

「流石っすね先輩」

 

「やってくれたな」

 

各々が水嶋のゴールに賞賛の声を送る。

 

「おうよ!次も決めてやるぜ!」

 

試合開始10分、いきなりエースのエンジンがかかった花咲川。このまま勢いそのままに勝ち上がれるだろうか。

 

 

 

 

 

 

「工藤、大丈夫か⁉︎」

 

シュートに弾き飛ばされた工藤の元へ光ヶ丘高校の全員が駆け寄る。

 

「ああ、問題ない。それよりすまねぇ!決められちまった!」

 

「いや、お前の責任じゃない。ボールを奪われたのは俺だ...」

 

それぞれが自分のプレーを反省するように顔を伏せる。たった一度の失点が、彼らの心と体に大きなダメージを与えた。全員の表情が暗く沈んでいく。

 

「はい!反省はそこまで!」

 

パンッという手を叩く高い音ともに、キャプテンの桔梗から言葉が発せられる。

 

「いいか?今の失点は相手が凄かった!」

 

ドーンッという効果音がピッタリなくらい自信たっぷりに相手チームを賞賛する桔梗に、全員がポカーンといった顔を向ける。

 

「だから、すぐに切り替えよう。こっちがへこたれたら勝利なんて不可能だ!ここで諦めたらこの先なんて一生行けなくなる!」

 

桔梗の言葉に全員の顔が上がる。桔梗自身、失点には大きく動揺していた。ただ、それ以上にキャプテンとして、彼はみんなの士気を高める選択をしたのだ。

 

「さぁまだまだ試合は始まったばかり、こっから逆転するぞ!!」

 

「「「「「おう!!」」」」」

 

桔梗の掛け声に、全員が声を揃えて返す。

 

 

「(それにしても……)」

 

桔梗はふと、咲真の方を見つめた。

 

「(流れは最初、確実に俺たちの方に来てたのに、あの人はたったワンプレー、いや、たった言葉一つで、試合の流れも、周りの空気も、主導権も全部ひっくり返してしまった。あれが....奥沢咲真)」

 

「おい、桔梗。どうした?」

 

急に黙り込んだ桔梗を心配した工藤が、彼に話しかけた。

 

「う、ううん⁉︎なんでもないよ。ただ、凄い人だなって思って」

 

工藤の質問に答えると、再び咲真の方に視線を向ける。すると工藤は、そんな桔梗の肩をポンッと叩いた。

 

「そうだな。でも...そんなあの人に勝ちたいんだろ?」

 

「……うん。勝ちたい。あの人に」

 

「よし!勝とうぜ!俺たちで!」

 

「おう!力貸してくれ!」

 

視線を前に向けたまま、互いに拳を合わせた2人。失点から始まった始めての大会。彼らの真価はここから露わになっていく。




読んでいただきありがとうございました〜!

いきなりですが……今回のイベントちょー良かった!!美咲可愛すぎませんか!?ガチャは爆死しましたけど、ストーリーがマジで良かったので満足してます。
というか、次のカバーの『Baby Sweet Berry Love』もちょー楽しみですね!

すみません、1人で盛り上がってしまいました。

評価、感想、アドバイス、どしどし送っていただけたら嬉しいです。
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