〈凍結〉イナイレ×バンドリ 笑顔を護る英雄   作:夜十喰

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お、お久しぶりです....期間が空いてしまい、申し訳ありませんでした。ここ最近学年が上がると同時になぜかモチベが急激に下がってしまい、中々筆が進まないという事が続いてしまいました。

ここから、なんとかペースを戻していこうと思っているので、引き続きよろしくお願いします!

それではどうぞ!


反省と“次”

初戦を見事な快勝で終えた咲真たち花咲川は、つかの間の入念なクールダウンを終え、控え室へ戻って来ていた。前回王者といえど、初戦という事もあり、花咲川の選手たちは勝利の喜びに浸っている───────訳ではなかった。

 

 

 

 

 

 

 

「で?何か申し開きはあるかな...奥沢くん?」

 

控え室の中には、勝利で熱くなった空気は微塵もなく、反対に氷点下とさえ思えるほど冷たく、そして何よりその場にいれば子供が泣いて逃げ出すような、そんな恐怖を感じさせる空気が流れていた。

 

「……いえ、特にございません」

 

そんな冷たく恐ろしい空気を流している根源は、控え室の中心で腕を組みながら仁王立ちをする花咲川のマネージャー、和泉渚だった。彼女の顔は笑顔で満ちていたが、その笑顔からは喜びや嬉しさというものは一切感じられず、ただただ冷たくそしてドス黒いオーラがその満面の笑みの間から滲み出出ていた。

 

そんな彼女の前には、花咲川の主将である咲真が身を竦めながら正座をしている。しかもその正座を組む足の下には、和泉がどこから出したか分からない足つぼマットが引かれており、和泉の醸し出すドス黒いオーラと相まって、咲真の心と身に同時にダメージを与えていた。

 

「うん、そうだよね。じゃあどうして自分がこんな目にあっているのか...分かってるよね?」

 

またしても和泉が、笑顔を向けたまま咲真に問う。

 

「え、えーっと....それに関しては心当たりが無いでも無いんですが...」

 

「ですが、何かな?」

 

「ですのでそのー...あれに関してはその場の勢いでやってしまったというか...つい頭にきてやってしまったというか...」

 

「私は別にやった理由を聞いてるんじゃ無いんだよ?自分が何をしてこんな目にあってるのか分かってるの?って聞いてるの」

 

また一段と和泉の雰囲気が重く黒いものになった。周りにいる他のメンバーたちも普段と一転した和泉の雰囲気に日向や河野といった落ち着きがある冷静な性格の2人でさえ、小さく肩を震わせている。加えて、水瀬やシャロンといった普段からおどおどしている事が多い2人と茜や片桐といった1年生たちは、お互いに体を寄せ合い完全に萎縮してしまっている。

 

「こ、ここ、、怖、、怖いです.....」

 

「怒った時のお姉ちゃんと同じくらい怖いよぉ....」

 

「オ、オレ....絶対和泉先輩には逆らわないようにしよう....」

 

「う、うん。華蓮ちゃんの言う通り...あ、あれは逆らっちゃ、ダメ」

 

咲真を笑顔で見下ろす和泉に、かつて無い恐怖を感じた1年生女子の4人。心の中で、もう2度と和泉を怒らせないようにしようと固く決意するのだった。

 

 

「ほら早く。言ってごらん?どうして自分がこんな目にあってるの?」

 

和泉は表情を一切変えず、次々と咲真に質問を投げかける。

 

「お、俺が観客席に向かってシュートを打ったから....?」

 

「……」ギロッ

 

「────はいッ‼︎自分が観客席に向かって故意にシュートを打ったからです!」

 

和泉に睨まれ、素直に白状した咲真。和泉は咲真の答えに満足した様子を微塵も見せる事なく、未だに笑顔のまま仁王立ちしている。

 

「うん、そうだよね。一スポーツ選手が観客に向かってシュートを打つ、しかも前回大会王者のキャプテンがそんな事するなんて...ほんと、何を考えていたのかな?あの時のキミは?」

 

それどころか、和泉の雰囲気はますます黒くなっていき、迫力が一段と増した。さらに、和泉はまたしてもどこからともなく5kgのダンベルを取り出し、咲真の太ももの上に乗せた。

 

「グァっ.....!!」

 

ダンベル追加の負荷により、咲真の足は足つぼマットにより深く刺さり、咲真に鈍痛を味あわせる。

 

「そういえば魔がさしたって言ってたっけ?確かにあの野次には私もムカついたけど、やっていい事と悪い事ってあるよね?何キミ、そんな事も分からなくなっちゃったのかな?ね?どうして?バカ沢君」

 

和泉の怒りはそれだけで収まらず、咲真の足に1つ、また1つと5kgのダンベルが追加されていく。

 

「グフッ!!......うぐっ!!......ぁぐ!!」

 

そして、咲真の足の上に乗るダンベルが合計25kgになったところで、和泉は一呼吸を置くように手を止めた。

 

「い、和泉?もうその辺りにしてはどうだ?流石にやり過ぎなような...」

 

和泉から容赦なく罰を浴びせられる咲真を見兼ねた日向が、和泉を止めようと2人の間に割って入る。自分が一言かければ和泉がいつもの落ち着きを取り戻すと思っていた日向だったが、そんな思いは無残にも打ち砕かれる事になった。

 

「灯里ちゃん....」

 

「あ、ああ」

 

自分の制止が効いたと思った日向が、安堵したその時だった。

 

「灯里ちゃんはこのバカ沢君がやらかしちゃった時怒ってたよね?なのにどうしてすぐに許したの?灯里ちゃんは副キャプテンだよね?副キャプテンならバカキャプテンが問題を起こした時は問答無用で叱るべきじゃないかな?なのにどうして気にするなって風にすぐに許したの?」

 

「……へ⁉︎」

 

「ねぇ、どうして?」

 

この時日向は、咲真がさっきまで浴びせ続けられた和泉の怒気をその身に正面から受け、体を大きく震わせた。冷たい視線を向けられた日向は、震える口に力を込め、なんとか声を発する。

 

「....い、いや確かに私は怒っていたが、あの時はすぐに切り替えなければ相手に付け入る隙を与えると判断してだな!」

 

「でもあの時ちょうど前半が終わったよね?ならハーフタイム中にいくらでも時間はあったと思うんだけど?私もあの時は何も言わなかったけど、灯里ちゃんならビシッと言ってくれると思ってたのに、後半になったらいきなり仲よさそうに拳合わせてたよね?最初の怒りはどこへ行ったのかな?」

 

「はい....申し訳ありませんでした」

 

しかし抵抗虚しく、和泉に完全に言い伏せられた日向。和泉の怒りを目の当たりにし、咲真同様完全に心が折れた日向は、シュンと肩をすぼめ咲真の隣に正座した。

 

その状態のまま、和泉の説教は小1時間ほど続いた。説教が終わる頃には咲真と日向はすっかり疲労困憊してしまっており、加えて長時間の正座により足が痺れ一歩も動けない状態になっていた。

マネージャーに説教されるキャプテンと副キャプテンという異様な光景を目の当たりにした他のメンバー達は、今日改めて、部内の逆らってはいけない人物を明確に理解したのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「うぅ...まだ足に違和感が....」

 

ようやく和泉の長い説教と足の痛みと痺れから解放された咲真は、飲み物を買おうとスタジアムの入り口付近まで来ていた。スタジアムの入り口には大きなトーナメント表があり、ついでに次の対戦相手を確認してようと思った咲真は、自動販売機に行く前にトーナメント表の元まで足を運び、トーナメント表へ目を通す。

 

「ええーっと」

 

まず自分たちの名前を見つけようと、視線を上から下へと降下させて行く。

 

「あったあった。今やってる試合の勝った方が次の対戦相手か....ん」

 

自分たちの名前を見つけた咲真。次に当たる高校を確認した時、ふと視線を右にゆっくりずらすと、自分たちの名前の横の黒い線が、ピンクのマーカーペンでなぞられているのが目に入った。このピンクの線は、自分たちが次に進んだことを証明している。咲真たち、いや、今日この会場にいるもののほとんどが、このピンクの線を最後まで繋げる事を目標としているだろう。しかし、すでに数名の学校の名前の横には、ピンクの線は無く、ただ黒い線があるだけ。咲真はそれを数秒の間ただただ眺めていた。

 

「あれ?奥沢咲真さん?」

 

その時突然、横から自分の名前を呼ばれた咲真は、反射的に声がした方を向くと、そこには、つい1時間ほど前まで自分たちと試合をし、自分たちが負かした光ヶ丘高校のキャプテン、桔梗遥希が驚いた様子で咲真に指を指しながら立っていた。

 

「桔梗?」

 

「あ、自分の名前知っててくれたんですね」

 

「まあ、対戦相手の事だからな」

 

 

「「…………」」

 

 

2人の間に長い沈黙が流れる。方や勝者で方や敗者。気まずいとしか言いようのない雰囲気の中、その沈黙を破ったのは桔梗の方だった。

 

「あ、あの!」

 

「ん?」

 

突然桔梗が大きな声を上げた。

 

「あの時は、ありがとうございました!!」

 

そしてそのまま腰を90度に折り、ピシッとした綺麗な姿勢で頭を下げ、咲真にお礼の言葉を言った。

 

「ど、どうした?突然」

 

「いえ、ちゃんとお礼を言ってなかったなと思ったので....」

 

突然頭を下げられ何事かと思った咲真だったが、桔梗が自分に礼を言う理由がさっきまで自分が和泉に怒られていた内容の事だとすぐに理解した咲真は、驚きつつも「そうか…」と、一言言うと、桔梗は下げた頭をゆっくりと上げた。しかし、未だに視線は下を向いていた。

 

「俺...!あの時何も出来なくて...みんなが不安な時、ほんとは自分が一番しっかりしないといけなかったのに...真っ先に足が動かなくなって...」

 

下を向いている状態でも、咲真には今の桔梗がどんな顔をしているのか理解出来た。きっと悔しくて仕方がないだろう。何も出来なかった自分に、自分の弱さに、心底腹が立っていることだろう。その証拠に、握り込まれた桔梗の拳は、プルプルと小刻みに震えていた。

 

「だから……」

 

バッ!!と桔梗は下を向いていた顔を勢いよく前に向けた。その顔は清々しい笑顔に包まれていて、握り込まれていた拳も開かれていた。

 

「あの時貴方がやったプレー...不謹慎ですけど嬉しかったです。かなりスカッとしました」

 

「ああー...うん。それは良かった」

 

「あの後すぐにチームメイトに言われたんです。『テメェは何のためにここまでやって来たんだッ!!』って、そこで俺はようやく思い出しました。俺がここに来たのは勝つ事もそうですけど、それ以上に………俺は、あのチームでただサッカーがしたかったんだって!」

 

桔梗の顔にはすでに曇りの表情など微塵もなく、咲真の目の前にはただただサッカーが、自分のチームが大好きなサッカー少年がいた。

 

「だから……次は勝ちます!貴方達にも、他のどんなチームにも負けないくらい強くなって、みんなと全国に行きます!」

 

大声で、一切の迷いも躊躇も無くそう宣言した桔梗。その瞳は、真っ直ぐ咲真を見ていた。いや、少し違う。その瞳はすでにその先を見据えていた。

 

「クハハ!!いいなお前。そんな宣言をこんな目立つ場所でするなんて」

 

桔梗の宣言を聞いた咲真は、突然笑い出した。そう、今咲真と桔梗がいるのはスタジアムに入る入り口の真ん前。そこを通る人の数は多く、通行人のほとんどが、今の桔梗の大きな大発言を聞いて、チラチラと桔梗に目線を送っている。

 

「あ……」

 

その事にようやく気がついた桔梗は、顔を赤くしながら再び顔を伏せた。

 

「だったらいつでもかかって来い。相手になってやるよ。………ま、その前に」

 

咲真はそう言うと、一呼吸おき桔梗が顔を上げるのを待った。桔梗が顔を上げると、咲真は力のこもった瞳で桔梗を見据え、迫力のある声でこう言った。

 

「お前たちは強かったって、俺たちが勝ち続けて証明してやる」

 

「っ!!」

 

「お前たちの勝ちたかったって想いも全部、俺たちの背中に背負わせてくれ」

 

「はい!俺たちの分まで勝ってください!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

初戦を戦った両校のキャプテンが、密かに熱い約束を交わしていた頃、スタジアムの観客席では、和泉や日向といった他の花咲川サッカー部のメンバーが現在行われている試合を上から観戦していた。

 

「この試合で勝った方が次のみんなの対戦相手だね」

 

「ああ、どっちが勝っても私たちは私たちのサッカーをするだけだ」

 

 

そしてその瞬間───────

 

 

ピッ!ピッ!ピーーーーーッ!!

 

 

試合終了を告げる笛の音が、スタジアムに響き渡った。

 

「決まったな」

 

「決まりましたけど、これは……」

 

「ああ、なんかめんどくさそうな匂いがするな……」

 

試合の結果を見て、蒼夜や佐々木、他にも主に男子たちがやりにくそうと言った表情を浮かべた。

 

 

 

1回戦 第7試合 結果

椿原女学院 2 ー 0 ○○高校

 

 

 

この結果により、花咲川の2回戦の対戦相手が『椿原(つばきはら)女学院』に決定した。

 

「椿原女学院、有名なお嬢様学校だな」

 

「うん。偏差値もかなり高いし、文武両道でどのスポーツもそれなりに強い学校だね」

 

結果を見て、すぐに対戦相手の情報を洗い始める日向と和泉。

 

「確か部活一つ一つに個別のトレーニング用の施設があるって話。だから女子のみのチームだけどレベルは下手な男子チームより上だって言う人もかなり多いね。攻撃力・守備力はどこもこれといって特出すべきところは無いけど、やっかいなのは……」

 

「圧倒的分析力と多彩な戦術...か」

 

「うん。多分うちは特にかなり対策されてると思う。そこをどう崩すか、だね」

 

和泉の情報を元にこちらも対策を練ろうとする日向だったが、ふと椿原の1人の選手が彼女の目に止まった。

 

「ん?……なぁ和泉、あの選手なんだが」

 

「どれどれ?……えーっとあの子は情報が無いね...多分1年生じゃ無いかな。ちょっと待ってね。今選手名簿で見てみるから」

 

日向が気になったのは、赤みがかった茶色のロールアップの髪型に、黒い瞳をした小柄な選手だった。

 

「えっと、あったあった。名前は織田(おだ)絵凛(えりん)。今年入学した1年生で、家はあのこころちゃんの所の弦巻家に並ぶ財閥の娘さんだって。かなり凄いお嬢様だけど、どうかしたの?灯里ちゃん」

 

「いや、あの選手、試合中でも思ったのだが、相手が行動を起こす前に動き始めている気がしてだな。少し気になったんだ」

 

「うーん、そうだったかな?私はあまり分からなかったな。まぁでも、対戦相手も決まったし、さっさと奥沢君を拾って帰ろっか。学校に戻って作戦会議始めよっか」

 

「そうだな。そうしよう」

 

日向は自分が感じた違和感に後ろ髪を引かれつつ、その場を後にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「次の相手は椿原女学院か」

 

日向たちが撤収を始めたのと同じ時間、咲真もみんなと別のところから試合を観戦し、次の対戦相手の確認をしていた。

 

「さて、そろそろあいつらも撤収を始めてる頃だろう。戻るか」

 

咲真がその場を後にしようとしたその時だった

 

 

「あの!!待って下さい!!」

 

突然背後から声をかけられた。咲真はふと数十分前にも声をかけられたな、と思いながら振り返ると、そこには、初めて見る、黒い瞳に赤みがかった茶色のロールアップの髪型をし、ユニフォームを着た小柄な女の子が立っていた。

 

「君は……」

 

声をかけてきた女の子に見覚えが無かった咲真は、彼女が着ているユニフォームに目を通すと、胸の辺りに『椿原』と書かれているのが目に入った。

 

「椿原って、椿原女学院の事だよな?」

 

「あ、はい!そうです。申し遅れました。わたくし、織田絵凛と申します!花咲川のキャプテン、奥沢咲真()でございますね?」

 

「え、様⁉︎確かに奥沢咲真は俺だけど...」

 

名前をいきなり様付けで呼ばれた事に驚き、動揺を見せる咲真。更に織田は、間髪いれず、咲真に詰め寄る。

 

「あの!お願いがございます!」

 

「な、なんだ?」

 

グイッと身体を寄せてきた織田に、咲真が反応に困っていると、織田は咲真の目を真っ直ぐ見て───────

 

 

 

「わたくしと、結婚していただきたいのです!!」

 

 

 

「・・・」

 

 

 

 

 

 

「はあぁぁ!!!!?」

 

────────告白(プロポーズ)をしたのだった。




読んでいただきありがとうございました!!

すみません。前回で閑話を1話挟んで2回戦を開始すると言っていたのですが、今回があまり進まなかったので、試合開始は次の次くらいになりそうです。

それと、今回の話で最後に登場した織田絵凛ちゃんは自分のオリジナルキャラになります。新しいヒロインという訳ではなく、椿原女学院戦でのみの登場となるキャラになりますので、ご了承下さい。




そして、ここで少し報告があります。

私ごとですが、先日この小説の通算UAが10000を突破しましたーー!!ありがとうございます!
これも自分のキャラ募集に魅力的なキャラクターを送ってくださる方々、並びにいつも読んで下さっている皆様のおかげです。まだまだ下手で未熟者の自分ですが、これからもどうぞよろしくお願いします!
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