いきなり重めの話で申し訳ないです。それではどうぞ。
フゥー……よし。落ち着いて今目の前で起こった事を整理しよう。
えーっと、俺はさっきスタジアムの入り口近くで次の対戦相手が決まる試合を観ていた。そして、試合が終了し俺たちの2回戦の対戦相手が『椿原女学院』に決まった。その結果を見て、俺はその場を後にしようとした。そこまではいたって普通のことで、問題など無かった。けどその時、突然俺は1人の女の子に声をかけられた。俺に声をかけてきたその人物こそ、今まさに俺の目の前にいる織田絵凛と言う少女。彼女は俺に声かけ、一言二言交わしたのち、突然衝撃的な事を口にしたのだ。
「わたくしと、結婚していただきたいのです!!」
そして、今に至る─────────
「えーっと、悪い。もう一度言ってくれないか……?」
全くもって現状を理解できない俺は、自分の聞き間違いだと言う事を信じ、もう一度目の前の彼女が言った事を聞き返した。
「わたくしと、結婚していただきたいのです!!」
ハッキリと、さっきと一言一句違わずに聞こえた言葉に、俺は心の中で大きく溜息を吐いた。2度目を聞いても目の前で起こる現実を受け入れられない俺は、三度目の正直を……と、再び同じ返しを口にした。
「悪い。もう一度言ってくれ……」
「Please marry me!」
すると今度は、それは何とも流暢な英語の発音で、彼女は答えた。
「いやなんで英語⁉︎」
「もしかしたら日本語が通じていないのかと思いまして。あ、もしかしてフランス語かイタリア語の方が良かったでしょうか?」
「いや、どっちで言われても分かんねえから……日本語の段階で理解してるよ」
なんだこの独特の空気は……と、俺は彼女から醸し出される雰囲気について行けず、再び心の中で溜息を吐いた。
「まあとりあえず、ひとまず聞かせてくれ。なんでいきなり告白、しかもプロポーズなんてしてきたんだ?初対面だよな、俺たち」
「それはですね…………」
俺がそう聞くと、彼女は頬を赤らめ、その頬を両手で挟むように自分の手で触れる。そして、俺から少し目線を外した。
「一目惚れです」
「……はい?」
「ですから、わたくしは奥沢様に一目惚れしてしまったのです!」
体をクネクネさせ、彼女は恥ずかしそうにそう答えた。対する俺は、再び来た予想を超える解答に、少しばかり理解するのが遅れ、その隙を見逃すまいと、彼女は続けて言葉を発する。
「貴方様の初戦、拝見させていただきました。大変お見事でした!洗練された見事なプレー、どんな状況でも瞬時に対応した見事な采配、味方と完璧に息のあった見事なチームワーク。どのプレーにおいてもとてもお見事でした!そしてなによりカッコ良かったのです!」
すると、さっきまでモジモジと恥ずかしそうに喋っていた織田は突然俺に体を寄せ、グイッと顔を近づけて来た。俺は、織田が俺の好きになった所を真っ直ぐ言って来た事と、顔を近づけられた事が相まって、咄嗟に目を逸らしてしまった。おそらく俺の顔はかなり赤くなっているのだろう。今までこんなにも真っ直ぐに正面から好きだと言われた事も無いのだから、仕方ない。
「そ、そうか…ありがとう、で良いのか?この場合」
「(ちょ、ちょっと待ってッーーーーー!!!??なに、今の話⁉︎なんでお兄ちゃんがプ…プ…ププ、プロポーズされてるの!!!??)」
私は、聞こえた会話の内容に、自分の耳を疑った。
今私は、お兄ちゃんの初戦を観戦し、無事に勝利した事、お兄ちゃんに怪我が無かった事に安心してスタジアムを後にしようとしていた。一緒に応援に来ていたこころと花音さんが飲み物を買ってくると言ったので、一旦2人と別れて、入り口で2人を待っていた所だった。
その時偶々、視界の隅にお兄ちゃんを見つけた私は、嬉しさのあまりお兄ちゃんに声をかけようとしていた。でも、その時私より先にお兄ちゃんに声をかけた女の子がいた。私は何故か咄嗟にそばにあった柱の影に身を隠してしまった。私はこっそり聞き耳を立て、2人の会話を聞く事にした。そしてその時私の耳にハッキリと衝撃的な一言が入ってきた。『わたくしと、結婚していただきたいのです!!』と、それはまさにプロポーズの言葉だった。
「(なんでお兄ちゃんにプロポーズしてんのあの子!というか誰!!?あんな子私見たこと無いんだけど!お兄ちゃんの彼女?いやでも、そんな話聞いたこと無いし……なによりお兄ちゃんも驚いてるみたいだし)」
私は自分の動揺を全く制御出来なかった。それはそうだ。いきなり大好きな──ゴホンッ!!…大切なお兄ちゃんに彼女、それも今まさに婚約を迫っている人がいるなんて考えられなかったからだ。
「(と、とと、とにかく!お兄ちゃんに確認しないと。で、でもどうしよう……知らない女とはいえ、プ、プロポーズの邪魔するのはなんか忍びないし....かといってこのまま見てるのも嫌だし....)」
私が、自分の欲望と理性の間で葛藤しているその時だった。
「あら?美咲!なにをしているの?」
飲み物を買いに行っていたこころと花音さんが戻ってきた。
「こ、こころ!?花音さんも……」
「ど、どうしたの?美咲ちゃん。なにか慌ててるみたいだけど」
私の様子がいつもと違う事に気付いた花音さんが心配するように私に聞いてきた。
「そ、それが…………」
私が今の状況を2人に伝えようとしたまさにその時…………
「あ!咲真だわ!さ〜く〜まッ!!」
「あ、ちょっと待ってこころ!」
お兄ちゃんに気がついたこころが、私の制止も聞かずお兄ちゃんに向けて飛び出してしまった。こころはもの凄いスピードで飛び出し、あっという間にお兄ちゃんの元へ到着してしまった。どうするべきか一瞬悩んだ私は、こころをこのままにすると更にややこしい事になると思い、急いでこころの後を追った。突然走り出したこころとそれを追いかける私を見て、花音さんもかなり驚きながらも後をついてきてくれた。
「さ〜くまッ!!」
「うおッと⁉︎」
俺が織田からの突然のプロポーズに、答えを濁していたその時、俺の背中に強い衝撃が走った。いきなりの事に俺はたじろぎかけたが、なんとかその衝撃に耐えた。俺が振り向くと、そこにはいつものお日様の様な明るい笑顔をしたこころが俺に背中から抱きついていた。
「こころ⁉︎それに、美咲と松原も……」
更にこころの後ろからは、美咲と松原が慌てた様子で走ってきているのが見えた。
「咲真〜!なにをしているの?……あら?」
こころはどうやら俺と話をしていた織田には気付かずに俺に抱きついてきた様で、織田を見るなり目をパチクリとさせていた。対する織田も、驚いた様子でこころ同様目をパチクリさせていた。それはそうだろう。今まで話を、それも告白というビッグイベントを行っている最中に、相手にいきなり女の子が抱きついたのだから。
「こ、こころ。悪いんだが、今は取り込んでるというか...なんというか...とりあえず今は離れてくれないか!?」
「そうだよこころ!!なにがなんでも流石にこのタイミングでそれはまずいって!!!」
俺が慌ててこころに離すように促すと、美咲も焦った様子でこころを俺の体から剥がそうとする。まさにその瞬間だった──────
「絵凛じゃない!!久しぶりねー♪」
「「え?」」
こころはパッと顔を明るくし、自分の目の前に立つ織田に対しそんな事を口にした。どうやらこころは織田と面識があるようだ。その予想外の事実に、俺と美咲の口から間の抜けた声が漏れた。
「はい!お久しぶりでございますね、こころちゃん♪」
それはどうやら織田も同じなようで、こころを見て彼女もパァーっと顔を明るくした。そのまま2人は近づき、両手を互いに合わせてぴょんぴょん跳ねながら喜び合ってある。そんな可愛くほんわかした空気が流れる中、驚きから戻ってきた俺は、2人に改めて関係を聞くことにした。
「こ、こころ?お前、織田の事知ってるのか?」
「ええ!絵凛はあたしのずーっと小さい時からの友達だもの♪」
「へ、へぇ〜...こころにハロハピやバンド関係以外でこんなに仲の良い友達いたんだ...しかも、そんな昔から....」
こころに、自分たちの知らない友達がいたことに、美咲はなんとも煮え切らない表情を見せる。それは確かに俺も驚いた。元々こころはその自由で天真爛漫な性格と独特の感性を持ち、さらにあの弦巻家のお嬢様という事もあって、彼女の周りには知り合いと呼べる者たちは居ても、心の底から本音で語り合える友達という存在がいなかったと聞いた。今となっては美咲や松原と言ったハロハピのメンバーや、戸山たちポピパのメンバー、他にもバンド仲間たちが居るが、こころがハロハピを結成する前の事を、俺も美咲も、1番初めにメンバーになった松原でさえ知らない。
「美咲?どうしたの?」
少し表情を曇らせた美咲の元に、織田と話をしていたこころが戻ってきた。
「え?な、なんでもないよ⁉︎それより良いの?織田さんと話さなくて」
「ええ!だから美咲たちを呼びにきたのよ♪」
「え⁉︎どういう事?」
「絵凛に美咲たちを紹介したいの。私の1番大切な友達だって!」
「え⁉︎///」
「ほら!花音と咲真もよ♪」
「ふぇ⁉︎私たちも⁉︎」
「もちろんよ!だって花音も咲真も、私にとって大切な人だもの!」
相変わらずこいつは...そんな恥ずかしくて正面から絶対に言えないような事をよくもまあそんな真っ直ぐ言えるもんだな。
俺たちはそのままこころに手を引っ張られ、織田の前に連れて並ばされる。
「絵凛、紹介するわね♪美咲、花音、それに咲真。私の世界で1番大切な友達よ!」
ドーン!という効果音が聞こえたかのような、そんな表情とポーズで堂々と、こころはそう言い放った。
「そっか...こころちゃんにも、そんなに大切な人達が出来たんですね」
「ええ!みーんな大切なお友達よ♪」
いつも以上にハイテンションなこころに、優しく微笑みかける織田。その微笑みは、まさにこころの幸せを心の底から喜んでいるようだった。
「もちろん絵凛も大切な友達よ♪」
「うん!ありがとうね、こころちゃん」
この2人のほのぼのとした雰囲気に、俺と美咲、花音は自然と口角が上がっていた。そして俺は、さっきまでしていた織田との話を完全に忘れていた。しかし、それを思い出したのは次の瞬間だった。
「あら?そういえば絵凛はどうして咲真と一緒にいたのかしら?」
「「!!」」
不意に溢れたこころの疑問に、俺は肩を震わせた。なぜか隣にいた美咲も同じような反応をしていたが、今はそれどころじゃない。俺は慌てて誤魔化そうと、こころに話しかけようとしたが───────
「ああそれはですね。わたくし、今まさに奥沢様にご結婚の申し込みをしていたのです!」
─────時すでに遅かった。
「え……」
「ふぇぇぇーー!!け、けけ、結婚⁉︎」
こころがなにやら声を漏らしたようだったが、その声は側にいた松原の声によって遮られた。まあそう言う反応になるだろう、突然、しかもこんなムードも無いサッカースタジアムで、しかも高校生の俺が、結婚の申し込みをされていた最中と知ったら誰でもこんな風に驚くだろう。
「はい!今まさにお返事をもらうところでしたの」
あいも変わらずなんの恥じらいも見せない織田に、俺はどう返したものかと頭を悩ませていると、俺の隣にいた美咲が一歩前に出て織田に質問を投げかけた。
「あの、ちょっと良いですか?」
「あら、貴方は美咲さんでしたね。はい、なんでもおっしゃってください」
「うちのお兄ちゃ……兄にいきなり結婚の申し込みなんて、にわかには信じられないんだけど、本気なんですか?」
いつもより少しだけ目を鋭くし、声色を低くした美咲が織田に尋ねる。その気持ちは本物なのかと。美咲のとった意外な行動に、俺はただ見つめることしか出来なかった。
「…………」
しかし、質問を投げかけられた織田は、美咲に目線を向けたままなぜかその場で動かなくなってしまった。
「ん?あのー……」
「貴方!」
「うわッ⁉︎」
すると突然、織田は美咲の両手を掴み、胸のあたりまで上げると、ギューっと力を込め、キラキラと輝いた瞳を美咲に向けた。
「貴方、奥沢様の妹様だったのですね!流石ご兄妹!確かにそっくりですわね!」
「え⁉︎あ、ありがとう...?///」
どうやら織田は、美咲が俺の妹だと言うことを知って、テンションが爆上がりしたようだ。楽しいことを見つけた時のこころみたいになっている。
「ああ!こんな可愛らしい妹様がいたなんて!しかもこころちゃんと同じ歳と言うことはわたくしとも同じ....失礼ですが美咲様!」
「様⁉︎えーっと、な、何?」
「もしよろしければ美咲様、こころちゃんだけで無く、わたくしともお友達になっていただけませんか?普段の奥沢様のこと、わたくしに教えてくださいまし!...あ、美咲様はお名前なのに奥沢様は苗字と言うのも変ですわね...咲真様?いえ!これはまだ早いですわ!///ですが、近いうちにそうならないとも限りませんし、今のうちに訓練を積んでおくと言うのも....は!ではそれだと奥沢様にもわたくしのことを絵凛と名前で呼んでいただく事に......キャーーー!とっても素敵です!そしてそのまま奥沢様とわたくしで式を....ああ!どうしましょうー!ウエディングドレスも着てみたいですし、白無垢も良いですわね〜!奥沢様はタキシードも羽織袴もどちらもお似合いになりそうですわ!あとそれから───────」
「織田さん⁉︎ちょ、ちょっと待って落ち着いて!話がどんどん膨れ上がって言ってるから!」
突然自分の妄想の世界に入ってしまった織田の肩を、美咲は慌てて強く揺らす。
「は!わたくしとした事が、取り乱してしまいましたわ」
「はぁ、もう分かったから...貴方がお兄ちゃんのこと本気なのは十分伝わったから...」
織田の口からマシンガンの如く発せられた、先走り過ぎている話の内容に、美咲は肩を落とした。かくいう俺も、織田の妄想に苦笑いが止まらない。
「あのさ、織田は本気で俺と...そのー....け、結婚したいって思ってくれてるんだよな...?」
「はい!もちろんです!」
「そっか....」
そこから、この場に沈黙が流れる。美咲も織田の本音と言うか、思いを聞いて、何も言えなくなってしまったらしい。松原は相変わらず混乱しているようで、目を回している。こころは……なぜか下を向いたまま何も言わない。
そんな沈黙の中で俺の頭の中で、考えが何重にも交錯する。今日が初対面とは言え、ここまで自分を好いてくれている彼女の気持ちを無下にも出来ない。しかも俺は高校3年、法律的に言えば今年で18だから結婚は出来る。でも、だから「はい。じゃあ結婚」って簡単な話なわけがない。それに俺は今、絶賛夢に向かって登っている最中だ。ここで織田との関係を選んで、どちらも中途半端になってしまったら、サッカー部のみんなにも、織田にも迷惑をかけてしまう。
「(……いや、違うな。これは俺に覚悟が足りないんだ。いくら悩んでも、それは逃げているだけ。俺にはここで織田の申し出を断って彼女を傷つける勇気も、彼女との結婚を選ぶ決断力も、彼女と自分の夢のどちらも背負う覚悟も無い。ほんと...自分でも最低で嫌になる)」
いくら頭の中で、自分の心の中で考えても、答えなんて出ない。俺は自分の不甲斐なさ、優柔不断さを痛感する。
「…………ダメよ」
/
まさにその時だった。こころが小さく呟いた言葉が、沈黙の中でこの場にいた全員の耳に届いた。
「え……」
こころの呟きを聞いて、織田は驚き短く声を漏らす。それもそうだ。自身の
「こころ…?」
「こころちゃん…?」
美咲と松原も、こころの呟きに意外だと言う表情を見せる。驚いたのは咲真も同じ。咲真自身は、てっきりこころはいつもの調子で「結婚!とーっても素敵ね!」的な事を言うとばかり思っていたからだ。しかし、実際にこころが言ったのは祝福とは
「咲真が結婚なんて、そんなのダメよ....」
「こころ....」
再びこころが口を開く。この時の言葉で咲真は、こころは自分が結婚するのを拒んでいる事を理解した。
「こころちゃん...どうして貴方が反対するの?わたくし、こころちゃんなら祝福してくれると思ってましたのに...」
「それは...分からないけれど、兎に角....結婚なんて、咲真が誰かと結婚するなんて、そんなのダメよ....」
こころは苦しそうに自分の胸を押さえつけながら、絞り出すように言葉を並べる。
そんなこころの様子を見た時、咲真はなぜか胸が苦しくなるのを感じた。ただ、それがなんなのかは、今の咲真には理解など到底出来なかった。それでも、いつもとはまるで違う苦しそうなこころの顔を見て、気づけば咲真の手は、こころの頭に一直線に伸びていた。
「咲真……」
頭に手を置かれたこころは、すぐに咲真の方を向いた。その顔はまるで怯えているように不安の色に染まっていて、その時はただ、こころにこんな顔をして欲しく無いと、咲真はそう思った。
「ごめんな、こころ。俺が中途半端に答えに詰まったせいでお前にこんな顔させちゃったな」
「咲真のせいじゃないわ...だってこれは、私の勝手なワガママだもの...」
今の今までプロポーズをされていたのにもかかわらず、2人の世界を形成しつつある咲真とこころ。そんな2人の様子をやれやれと言った様子で見守る美咲と花音。そしてもう1人、ついさきほどまで咲真にプロポーズを迫っていた織田も、こころがいつもと違う様子である事に気がついた。
「(あんなこころちゃん、初めて見ました...いつも会うたびにお日様の様な笑顔で笑っているのに、奥沢様に対してだとあんな顔をするんですね....あ、もしかして…………)」
この時、織田の頭に1つの可能性がよぎった。
「(こころちゃんも奥沢様のこと.....)」
その頭をよぎった考えを口にすることは無かったが、織田は確信する。自身の友もまた、自分と同じ気持ちを同じ相手に抱いていると。しかし、彼女はまだ自分の気持ちに気付いていない。
「(そっか...でも、まだまだ気付いていない様子ですし、これは今のうちに手を打つべきですね)」
いくら友達とはいえ、譲る気は毛頭ない織田。彼女は2人の世界を展開しつつある2人を遮る様に、間に割って入った。
「はい。そこまでですよ。こころちゃん、奥沢様」
「「!?」」
織田に割って入られた2人は驚き、咲真は慌ててこころの頭から手を離した。その時のこころの顔は、なにやら名残惜しそうではあったが、その表情に気がついたのは織田だけだった。
「奥沢様。今は返事をいただける状況では無いですし、今日のところは失礼しますわ」
「そ、そっか...悪いな」
「いえ、謝らないで下さいませ。元はと言えばわたくしが奥沢様の事情も考えず勝手に申し上げたのがいけなかったのですわ。奥沢様も決めあぐねてらっしゃいますし、こういたしましょう」
織田はそう言うと、咲真をまっすぐ見つめこう言った。
「明日の試合でわたくしが勝ったら、わたくしと結婚を前提にお付き合いしてくださいまし」
「はぁ!!!?」
「「「!?」」」
再びの織田の突然の申し出に、驚きを隠せない咲真。もちろん近くにいたこころたち3人も、咲真同様驚き目を見開いている。
「では、それではまた明日!楽しみにしていますわ♪」
「ちょ、ちょっと待t─────」
そう言うと、織田は咲真の制止も聞かず颯爽とその場を離れてしまった。残されたのは呆然と立ち尽くす咲真たち4人。その後4人は、観客席から降りてきた和泉や日向たちに声をかけられるまで、その場に立ち尽くしていとか。
そして明日、なぜか咲真の将来のかかった運命の一戦が幕を上げる。
読んでいただきありがとうございましたー。
それでは少し話をさせていただきます。この小説を続けるか悩んだ事情というのは、少し前に起きた、大量アカウントロックの影響です。アカウントロックをされた中には、数多くのイナイレ読者参加型小説を書いていた作者様がおり、その中には自分のキャラ募集にキャラを送ってくれていた方も多くいました。そんな方々がアカウントを停止されたことにより、キャラ設定が消えてしまい今現在、主人公チームの花咲川高校のキャラ設定が4名以外消えてしまいました。
上記の理由によりこの小説を消すか続けるか悩みましたが、前書きに書いた通り続ける事にしたので、これからも未熟な自分ですが、応援していただけると有難いです。