「ん?あそこにいるのって...」
それは、咲真が夕飯の買い出しに駆り出されている時だった。商店街の肉屋に来ていた咲真は、少し離れたところにエメラルドグリーンの髪色をした女の子と一緒にいる氷川らしき人物を見かけた。
「氷川...だよな? 隣にいるのって...」
「おまたせ、咲真の兄ちゃん!豚バラと合挽き肉ね!」
「おっ、サンキューおっちゃん。これ、代金ね。」
「おお!いつもありがとな、こいつはサービスだ!兄弟たちに食わせてやんな!」
そう言って肉屋の店主は咲真にお店自慢のコロッケを袋いっぱいに詰めて渡す。
「こ、こんなに⁉︎ 流石に悪いって⁉︎」
「いいんだよ!兄ちゃんたちにはいつもご贔屓にしてもらってるからな!遠慮せずに持ってってくれ!」
咲真は断ろうとしたものの、店主の勢いに負けご厚意に甘える事にした。
「ありがとう、また来るよ。」
「おう!いつでも来い来い!」
咲真は店主から買った肉と貰ったコロッケを両手で抱えながら、店を後にする。
しばらく歩いた時、前からさっき見かけた氷川とエメラルドグリーンの髪の女性が並んで歩いてきた。すると、咲真に気がついた氷川が驚きつつも咲真に挨拶をする。
「あっ、キャプテン!どうも。買い物ですか?」
「おう、氷川。晩飯のな。」
「すごい荷物ですね、手伝いましょうか?」
咲真が手に抱える肉たちを見た氷川がそう聞いてくる。
「(流石氷川...できた奴だな...)」
咲真は心の中でそう思う。
「いや、大丈夫だ。それよりお前の方こそ何したんだ?そっちの子は...彼女か?」
「ち、違います!///」
氷川の隣に居た女性が顔を赤らめながら、否定する。冗談のつもりだったのに、まさかここまで反応するとは...
「紗夜、落ち着けって。キャプテンもあんまりからかわないで下さい」
「悪い悪いw」
隣の女性を落ち着かせる氷川、なんだか満更でも無いような表情見せるその子を見て、咲真は「なるほど...彩瀬と同じか...」と思った。
「紹介しますね、キャプテン。こいつは...」
「蒼夜君、大丈夫です。自分で出来ます。」
そう言って、その子は自分から咲真に自己紹介をする。
「初めまして。私は2年の氷川紗夜と申します。蒼夜君...氷川君とは従兄弟です。よろしくお願いします、奥沢先輩」
「ん?俺のこと知ってるのか?」
「もちろんです。氷川君が所属するサッカー部のキャプテン。去年の全国行きの立役者、うちの学校内では結構有名人ですよ?」
し、知らなかった...咲真は自分がそこまで有名になっているとも知らず、苦笑いをする。
「てことは、君も花咲川の?」
「はい。私は弓道部に所属しています。先輩の話は氷川君から常々聞いています。とても、素晴らしい先輩だと。」
彼女...氷川紗夜の口からそう告げられ、咲真は少し顔を赤くする。
「そっか...サンキューな、氷川」
「いえ、本当の事なので」
氷川は当たり前のように返す。
「あっ、そうだキャプテン!」
「ん?どうした?」
「俺のこと名前で呼んでください。」
氷川は咲真に名前で呼ぶことを要求する。咲真は突然の事に驚きつつ氷川に理由を問うと……
「だって、氷川だと紗夜と被りますし」
「そうですね。では、この際ですから私のことも名前で呼んで下さい。」
と、氷川に便乗してくる紗夜に、えぇ〜、と咲真は心の中で不満の声を漏らす。
「いや、別に良く無いか?」
「ダメですよ、こっちが分かりにくいですし」
「はい。名前の方が一発で分かって効率的だと思います。」
2人に言いくるめられ、咲真は渋々名前呼びを受諾する。
「分かった...蒼夜、紗夜。これでいいか?」
「「はい」」
2人は満足そうに返事をする。
「こうなったらサッカー部全員名前呼びにしたらどうですか?和泉先輩も喜ぶと思いますけど...」
「いやいや、それは流石に...ってか、なんで和泉が喜ぶんだ?」
蒼夜の言葉に疑問を抱いた咲真はそう聞き返す。
「はぁ...和泉先輩、苦労するな〜」
「(なんかよく分からんが、蒼夜に言われると無性にイラっとするぞ...)」
咲真がそう思った時、向こうの方から凄いスピードでこっちに向かってくる人が見えた。髪は紗夜と同じエメラルドグリーンで、顔も紗夜と瓜二つの女の子だった。咲真からは正面ですぐに気づいたが、蒼夜と紗夜は気づいていない。
「何だ?あれ」
咲真の言葉を聞いて、2人が後ろを2人が後ろを振り向き、迫る人の顔を見ると、2人の顔が驚きの表情に変わる。
「蒼く〜〜ん!おね〜ちゃ〜〜ん!」
「「日、日菜⁉︎」」
2人に日菜と呼ばれた少女はスピードを緩めることなく、2人に突っ込み、思いっきり抱きついた。
「こんな所で2人に会えるなんて、るんっ!て来たよ〜!」
2人に抱きついた少女はそう言うと目をキラキラと輝かせながら2人から離れる。すると、その後ろから咲真もよく知る人物が日菜と呼ばれた少女を追いかけてきた。
「待って〜、日菜〜」
「彩瀬?」
それは、サッカー部の後輩で蒼夜と幼馴染の彩瀬七美だった。
「あれ〜?咲真さん?こんな所で何してるんですか〜?」
七美はいつものようにマイペースに咲真に聞いてくる。
「いや、買い物の帰りに偶々蒼夜に会ってな。少し話をしてたんだ。」
「ん〜?蒼夜〜?咲真さんって〜いつから蒼夜のこと名前呼びするようになったんですか〜?」
口を滑らせた事に後悔する咲真、どう言ったかと考えていると、思わぬ人物から説明が入った。
「私と蒼夜君が頼んだのよ。同じ氷川でややこしいから、これからは名前で呼んで下さいって。」
「あれ?紗夜?」
咲真の代わりに彩瀬に説明したのは紗夜だった。
「ええそうよ。こんにちは、七美さん。」
紗夜が彩瀬に挨拶をする。どうやら彩瀬とも知り合いらしい。ってことは、さっき突っ込んできた紗夜にそっくりな子も...
咲真がそう思いさっき蒼夜と紗夜に抱きついた少女に目線を送ろうとすると、、、
「ねぇ!貴方が蒼くんがいつも言ってるキャプテンさん?」
「おわッ⁉︎」
急に目の前に現れた少女に咲真は驚き仰け反る。
「(なんか前もこんなことあったような……)」
咲真は突然目の前に現れた彼女に、笑顔のお姫様を重ねる。
「こら!日菜!失礼でしょ!」
「え〜〜〜」
「妹がすみません、奥沢さん」
そう言って、頭を下げてくる紗夜。咲真は気にするなと声をかけ、紹介を求める。
「ほら、日菜。挨拶しなさい。」
「は〜い」
日菜と呼ばれた少女はそう言って、咲真に自己紹介をする。
「氷川日菜でーっす!おねーちゃんの双子の妹なんだ〜、よろしくね、先輩♪」
後ろで紗夜と蒼夜が、はぁ…と、ため息をついている。
「ああ...よろしく。えっとー...」
「私のことは2人みたいに名前でいいよ♪日菜って呼んでね♪そっちの方がるんってするし♪」
「るんっは、よく分からないが、よろしくな日菜。」
「うん♪」
「すみません...妹が...」
そう言ってもう一度謝ってくる紗夜、相当苦労しているようだな。
「所で、おねーちゃんたちは何してたの?」
「偶々、奥沢さんと会ったから少しお話してただけよ。」
「そうなんだ〜♪」
双子で会話を弾ませる2人。隣に居た俺たちも少し会話をする。
「蒼夜と彩瀬はあの2人とは昔から?」
「はい。従兄弟ってのもあって昔からよく親戚の家とかで遊んでました。七美も一緒に。」
「そうですよ〜、よく一緒にサッカーやったよね〜」
「そうだな」
「へぇ〜、じゃあ今はやってないのか?」
「「・・・・」」
「(あれ?なんかまずい事言ったか?)」
咲真は2人の空気が変わった事に気付き、慌てて話題を変える。
「わ、悪い。それにしてもあの2人、仲よさそうだな。」
「「・・・・」」
「(えっ⁉︎これもダメか⁉︎)」
「なんか悪い...」
咲真はどうすることも出来ず、素直に謝った。
「い、いえ⁉︎ キャプテンが謝ること無いですよ...ちょっとだけ問題があると言うか何というか....」
咲真はそれ以上何も聞かなかった。
「あっ、そうだ。」
そう言って、咲真はゴソゴソっと肉屋でサービスしてもらったコロッケを4つ取り出す。
「ほら、これやるよ」
いきなりコロッケを渡された4人は目をパチパチする。
「まぁ、お近づきの印って奴だ。遠慮せず食え。」
咲真がそう言うと、4人はコロッケを口に運ぶ。
「っ!美味い」
「ん〜、美味しい〜」
「うん♪るんってきた♪」
「ええ、美味しいです。」
「それは良かった」
咲真自慢のお店のコロッケは好評なようだ。さっきまでの少し重かった空気が和らいだ。
「(何があったのかは知らないが、少なくともこういう時くらいは気にせずに過ごしてほしいからな......)」
コロッケを食べ終わった後、すぐに解散となり4人と別れる事になった。
「じゃあ、また明日な。2人とも」
「はい!ありがとうございました」
「コロッケご馳走さま〜、咲真さん!」
「紗夜と日菜も、またな」
「はい。今日は楽しかったです。また」
「今度はもっと遊ぼうね〜キャプテンさん♪」
そう言って、それぞれの帰路に着く。
出会った新しい繋がり、それを大切にしようと決めながら家族が待つ家へ帰っていく咲真だった。
本日はここまでです。そいう事で氷川姉妹が登場しました。話し方これで合ってるかな?w
ちょっとグダってしまったような気がする...もっと精進せねば...