トレーナーになったグレイシア 【始まりのイッシュ地方編】   作:包帯ぐるぐる

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 この世界では、ポケモンと共にバトルを重ねて成長したり、ポケモンと共同生活を送ったりしている。

「先生!ポケモン用の輸血パックがあまり残っていません!」
「あとどのくらい残ってる!」
「あと、1パックです!」

 大きなポケモン病院の手術室、ドクターやナースたちがかなり焦っていた。

 何故なら、ポケモン用の輸血パックが底をついたためである。

 出血の多いグレイシアの治療、例え傷口を治したとしても失った血液を輸血しなければ命に関わってしまう程の血液を失っていた。


人間になっちゃった

 事の発端は1時間前に遡る

 

 とある山の広場に、イーブイ、ブースター、サンダース、シャワーズ、リーフィア、グレイシアの6匹が共に暮らしている

 

 調理担当の三女のサンダースと次女のブースター、食料調達担当の四女のリーフィアと長女のシャワーズ、そして末っ子のイーブイの教育担当、長男のグレイシア。

 

 それぞれの担当に別れ、助け合っていた暮らしていた。

 

 と言っても集まったのはつい最近だ。イーブイの時にみんなバラバラになって暮らしていたが、末っ子を育てるのが大変という事で、3ヶ月前にまた集まったからだ。

 

 男女比は、と言うと・・・グレイシア以外全員メスである・・・現実は非常なり。

 

 今日は妹のイーブイにでんこうせっかを教える日、他のポケモンたちに当たると危ないので山の頂上続く広い山道に行くと早速特訓を始めた。

 

「(兄ちゃん、こう?)」

「(こうだよ)」

「(ありがと〜♪)」

 

 たいあたりとちょっぴり違う足さばきに悪い癖を付けないように教え込む。

 こまめに休憩にそこら辺から取ってきたカゴのみ等の木の実を食べさせるなどの気分転換をさせながら日が暮れるまで特訓を行うとイーブイはでんこうせっかの形をマスターしていた。

 

 特訓も終えてゆっくりと下山する。技の覚えも早いからか明日には、完全にマスター出来そうだ。グレイシアはイーブイの頭を撫でるとイーブイは嬉しそうに尻尾を振った。

 

「(やり方は出来ているから明日には完全に身につくと思うよ)」

「(ほんと!わ〜いやった〜♪)」

 

 喜びのあまりイーブイは帰りの山道で未完成なでんこうせっかをグレイシアに見せ始めた。最初は微笑んでいたグレイシアたが、次第に何か嫌な予感がするとグレイシアは感じた。

 

 山道で使うのも危ないから、やめるように言おうとしたその時だった。

 いきなりイーブイが崖の方に飛び込んで行った。そこはこの前、土砂崩れが起きて断崖絶壁になった所だ、こんな所から落ちでもしたら一溜りもない。

 

「(・・・あれ?)」

「(危ない!)」

 

カラカラカラ・・・

 

 落ちるイーブイの尻尾に首を伸ばして噛み付き凍らせた尻尾を地面に突き刺して体を固定することでイーブイを間一髪で救う事が出来た。

 

 でも、グレイシアの力ではぶら下がったイーブイを引き上げる程の力はなく、掴むだけで精一杯だ。リーフィアのようにツルを自在に操れたら・・・

 

 突き刺した地面の亀裂が時間が経つにつれてどんどん広がっていく・・・どうやらこの足場はもう持たないようだ。

 

 恐怖で泣き叫ぶイーブイを必死に咥えるグレイシア。

 そして遂に足場が崩れてグレイシアたちは山の麓に転げ落ちて行った。

 

 イーブイが気が付くとそこは全く知らない未開の地だった。と言ってもイーブイは広場から出た事がないから知らないのも無理はない。知ってそうなグレイシアを探すが何処にも見当たらなかった。

 

 多分、目覚める前に辺りの探索でも行っているのだろうか?そう考えたイーブイはグレイシアを探しに歩き始めた。

 

 それにしても良く無事で入れたものだ。特に対した怪我もない。少し足を痛めては居るけれど、グレイシアの氷が傷に張り付いていて痛みを引いてくれている。

 

 後でありがとうと言おう・・・そう思っていると向こう側から何やら匂いがする・・・

 

 どちらかと言うと鉄の匂い・・・ただ事ではない事を感知したイーブイは走って向かった。

 

「(お、お兄ちゃん!!)」

 

 しばらく進んだ先には兄のグレイシアが血を流して倒れているのをイーブイは発見した。

 揺さぶっても返事どころか目も開かない。このままでは死んでしまう!

 すぐ様、イーブイはエコーボイスで助けを呼ぶ。今はどんなポケモンでもいい。助けが必要だ。そう考えたイーブイは未開の地で恐怖もあったが必死に助けを呼んだ。

 

「(イーブイの声だ!何かあったんだ!)」

「(行くわよ!妹が心配だわ!)」

「(グレイシアは何をしているんだよ!)」

 

 聞きつけた仲間のブースターたちがハイパーボイスで直ぐに向かう事をイーブイに伝えるとすぐ様、下山して行った。

 

 1ヶ月前にグレイシアから聞いた「人間」の事をふと思い出した。もしかしたら人間ならお兄ちゃんを助ける事が出来るかもしれない。

 

 イーブイは必死な思いでグレイシアを街の方に引っ張って移動させる。

 周りに他のポケモンたちが集まってきた。

 イーブイはお構い無しにグレイシアを移動させ続ける。

 すると3匹のポケモンが道を塞いできた。

 ドテッコツとドッコラーたちだ。

 

「(おい見ない顔だな、何処に行く。)」

「(人間のところだよ・・・。お願い・・・どいてよ・・・このままじゃお兄ちゃんが死んじゃう・・)」

「(旦那どうしやす?)」

「(うむ・・・)」

 

 コツンコツンとドテッコツの足に頭をぶつけ、泣きながら頼んだ。

 様態は悪化していく一方。それはドテッコツたちも分かっていた。

 

「(ドッコラーたち、その怪我したポケモンを持て。)」

「(へい!旦那!)」

「(わかりやした!旦那!)」

「(え?何?なんで持つの?)」

 

 ドテッコツは、「(手伝ってやる)」と一言だけ残し、イーブイを担ぎ上げると街の方に走っていった。

 

 泣きながらお礼を言う肩に乗っているイーブイにドテッコツは頭を撫でた

 

 街が見えてきた頃、ブースターたちや森のポケモンたちが集まり、まるで百鬼夜行のようになっていた。

 

 もちろん一気に押し寄せるポケモンに街は大混乱!トレーナーはポケモンを出して警戒態勢に入っていた。

 

 街に入るポケモンたちは急いで街で1番大きな病院へと向かっていく。ガン無視されたトレーナーたちは気になり、後について行った。

 

「な、なんじゃ一体・・・!?」

 

 病院から出る院長の前に森の主のペンドラーと山の主のローブシンが居るのだから驚くのも無理もない。

 ペンドラーとローブシンの間を通るようにドテッコツたちが院長に衰弱したグレイシアと足を怪我しているイーブイを渡した。

 

「この子は・・・うむ分かった、早くタンカーを・・・」

 

 例え言葉が通じなくても涙目のイーブイとブースターたちの悲しい表情を見て院長は察した様だ。

 

 タンカーで運ばれたグレイシアは直ぐに手術室に送られ現在に至る。

 

 手術は無事に終了、足りなかった血はイーブイたちから少し貰って1パックは足りた。あと1パックはと言うと・・・奥の手で補ったらしい。

 

 奥の手が何なのかは知らないけれど、人間たちがこんなに優しいなんて・・・考えを改めなければ・・・とにかく感謝感謝。

 

 グレイシアはゆっくりと体を起こそうとする。何かが違う・・・いつもとは感覚も視野も、唯一同じなのは尻尾と耳だけ・・・

 

 とにかく自分の体に異変がないか模索してみる事にしてみた。

 

 ぷにぷに肉球じゃなくなった小さい手足、スベスベ肌、そしてサラサラな髪・・・・

 

『(なんだこれぇぇぇぇぇぇぇ!!)』

 

 オマケにテレパシーまでも使えるようになっていた。

 

 病院中に広がるテレパシーの声を聞いて別室で寝ていたイーブイと医師たちが駆けつける。

 

『(なんで!なんで人間に!!)』

「きゃー可愛いー!」

「院長、多分これは」

「奥の手による突然変異・・・!まさか本当に起きるなんて・・・」

 

 知ってるなら試すなよ!っとツッコミを入れたくなるがイーブイたちが居るため強くは言えなかった・・・。

 

 どうやら奥の手とは人間の血液で普通だったら何も影響は無いのだが、ごく稀に人間の姿に変身出来るようになる個体が居るらしい。

 

 もちろん変身できるという事はポケモンの姿に戻る事もできる。

 

 姿はと言うと・・・女の子に近いどころかほぼ女の子だった。まぁ、ポケモンの時からオスなのにメスの特徴があるので何とも・・・

 

 もう普通のポケモン生活は出来ないのだろうか・・・

 

 頭を撫で回す看護師とイーブイ、自分はこれからどうなるのだろうか・・・

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