FAIRY TAIL 毒龍の滅竜魔導士   作:大枝豆もやし

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第27話

 毒竜は他のドラゴン達と比べて火力が少ない。

 もし同じレベルのドラゴン同士が真正面から咆哮のぶつけ合いをしたら最下位になることは間違いないであろう。

 

 しかし、火力やパワーは戦闘において全てを決める要因ではない。

 

「毒竜の咆哮」

 

 俺の毒に火力もパワーも必要ない。

 ほんの少し、ほんのちょっと吸うだけで毒が体中を駆け巡るのだ。

 

「ムハハハハ! お前対策に俺らは対毒のアイテムを装備してんだよ!」

 

 なるほど、まるでゲームみたいだな。

 しかし、まだ手はある。

 

「毒竜の鋭爪」

 

 毒を纏っている指先で軽く切る。

 ほんの少しだ。少し切るだけでコレは効力を発揮する。

 

「話聞いてなかったのかよくそボケ! お前の能力は効かねえって言ったんだよ!」

「しかもなんだこの弱ぇ斬撃! かすり傷程度の傷しかつけられねえじゃねえか!」

 

 奴らは俺をバカにしたように笑いだした。

 しかし………。

 

 

 

 

 

「「「ぎゃああああああああああああああああ!!!」」」

 

 全員傷を押さえて倒れだした。

 

「ば…バカな!? 何故……なぜ切られた箇所がこんなに痛い!?」

「お、おかしい……おかしいぞ! 対毒のアイテムがあるのに!?」

 

 対毒のアイテムを装備したというのに、毒を食らったことに驚く闇ギルド魔導士たち。

 混乱の声があたり一帯に響く。何故という疑問の声が、不良品売りつけられた等の怒鳴り声も発せられた。

 

 慌ててる慌ててる。まるでゴキブリの群れに殺虫剤をぶち込んだかのような慌てようだ。

 そりゃあ普通ならびっくりするよな。頼りにしてたアイテムが効果なかったんだからな。

 そしてだからこそ、俺は動きやすくなる。

 

 パニックになってる敵を追い詰めるのは簡単だ。

 普段出来るはずのことが出来なくなり、反応速度や処理速度が著しく下がる。

 つまりはいい的だ。

 

 こうなるとあとは簡単だ。俺は安心して攻撃出来る。

 

「こ…この野郎! 調子に乗るな!!」

 

 中には無理して反撃しようとする奴もいるけどかえって好都合だ。

 

「ぐげえ!」

「て…テメエ何しやがる!?」

「あ!? 先に攻撃したのはオメエじゃねえか!」

 

 あらあら、仲間割れですか~。

 そりゃパニックに立ち直ってない状態で攻撃すればミスしてしまうだろう。

 ただのミスで終わるなら何も問題はない。ソイツがデカい隙晒して反撃されるだけだからな。

 だか流れ弾が当たってしまうと大問題だ。ソイツだけじゃなくその周囲も巻き込んでしまう。

 

 内輪もめになると更に俺が安全になる。

 混乱が更なる混乱を呼び、ミスが更なるミスを起こす。

 内輪もめは更に悪化し、やがては……。

 

「テメエふざけんじゃねえぞ!」

「オメエは前から気に入らなかったんだよ!」

「そりゃ俺も同じだ! ここでぶっとばしてやる!」

 

 仲間撃ち状態になる。

 こうなると後は簡単だ。というか俺は何もしなくてもいい。

 あいつ等が勝手に自滅するまで待っていればいいのだ。時々煽るかのように攻撃すればいいだけ。それ以外は後ろでふんぞり返っていればいい。

 もはや安全なんてレベルじゃない。とても楽な仕事だ。

 そして相手が消耗すれば……。

 

「それじゃあ働くか」

 

 ポケットからカードに魔力を込めるとカードから一本の棒が飛び出た。

 ここまで来たら魔法なんて必要ない。体術だけで十分だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 その日、とある闇ギルドに妙な依頼が来た。

 依頼内容は珍しい魔導士たちの捕獲。滅竜魔導士などのロストマジックを使う魔導士、珍しい魔法を使う魔導士などを捕らえて依頼者に引き渡すことだ。

 誘拐の依頼だ。それ自体は珍しくもない。しかし、誘拐の相手が問題だった。

 

 相手はあの巨悪殺しのイクマン・ヤハタ。デリオラを倒したという化け物だ。

 

 もちろん最初は断った。そんな化け物と関わるなんて御免だと。

 すると依頼者は魔導具を渡してきた。それは毒を無効化するものだった。

 それだけではない。なんと他にもゼレフの悪魔の書までもくれた。

 ここまでしてくれたのなら断る理由はない。闇ギルドの魔導士たちは喜んで引き受けた。

 

 その結果どうなるかも知らずに……。

 

 

 

「クソが…クソが!」

 

 魔導士のリーダー格である男は後悔した。

 あのくそアマ、何が毒を無効化できる魔導具だ。全然効果ないじゃないか!

 それに俺の部下共もムカつく。どいつもこいつも勝手に動いた挙句に仲間撃ちだと?

 ふざけるな。お前には高い給料払ってんだからもっと役に立てやこのスカタン共が!! テメエらの知能は犬猫以下かこの頭パープリンかよ!?

 そして何よりもあのガキの目。まるで雑魚を見るかのような目が気に入らない。

 

 ムカつくムカつくムカつく! 何もかもがムカつく!!

 

「くそが……こうなったら……!」

 

 闇ギルド魔導士のうちの一人がゴソゴソの懐を漁る。そして一冊の本を出した。

 

 これだ。これを使えば勝てる。あの忌々しい羽虫ギルドの魔導士をぶっ殺せる!

 もう依頼なんて知ったことか! あの見下した目ん玉抉ってやる!!

 

「来い、死を司る最凶のゼレフの悪魔、オシリス!!」

 

 男は悪魔を召喚した。……その結果どうなるかも知らずに。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ほう、オシリスか。まさかこんなとこで会うとは」

 

 骸骨のような姿にパーカーを纏っている悪魔―――オシリスは気味悪い声を出しながらこの世に現れた。

 オシリス。死霊魔法を使う悪魔であり、死体や魂を操る能力を持つ。いわゆるネクロマンサーという奴だ。

 

「ぎゃあああああああ!!!」

 

 悪魔が復活したと同時に呼び出した男が塵となった。

 バカが、何の代償もなしにエーテリアスを呼び出せるわけがないだろ。

 

『シャアアアアアアアアアア!!』

 

 不気味な声を出しながら瘴気をまき散らすオシリス。

 瘴気。生物にとっては毒のようなものであり、ゾンビなどのアンデッドや悪魔にとっては酸素のようなものだ。

 毒ではない。毒とはまた違う物質であり、この世の物質ではないのだ。だから厄介なのだが……。

 

「毒竜の甲殻」

 

 対処法は存在する。魔法で防御すればいいのだ。

 瘴気はこの世界の魔法を防護服にすることで防ぐことが出来る。何故なら瘴気はこの世界のエーテルに触れると対消滅するからだ。

 また、生命エネルギーにも対消滅するのだが、ソレは今関係ないだろう。

 

 それにしてもコイツ馬鹿だな。なんでよりによってオシリスなんて使うんだ? もっといい選択肢あったろ。これじゃあ意味ないじゃん。

 もっとも、それでもエーテリアスが強大な力を持つことに変わりはないが。

 

「あ…あれはマズいですイクマンさん! 逃げましょう!」

「そうよ!あんなのに勝てる見込みはないわ!」

 

 無事を確認しに来たのか、いつの間にかいるウェンディとシャルル。彼女たちは慌てた様子で俺に逃げるよう言ってきた。

 

「確かにオシリスは死霊術を使う強力なエーテリアスだ。だが付け入れる隙はある」

「え?それってどういう…」

「まあ見てな」

 

 自信満々な俺に押される二人。いや、一人と一匹か?

 まあそんなことはどうでもいい。それよりも今は目の前の敵だ。

 

 話は変わるがこの棒はただの棒ではない。実はこの棒にはすごい機能が付いてるのだ。

 厳密にいえば棒ではなく棒の先端に付属している宝石に効力がある。これは毒属性の魔力を貯める効果のあるラクリマであり、魔力を流すことで面白い効果を発揮してくれる。

 

 

 

 

「竜化(ドラゴンフォース)」

 

 

 

 

 

 

 

 

 そうつぶやいた瞬間、俺の肉体が変化した。

 竜のような鱗が一部だけ形成され、骨格や筋肉が魔力によって強化される。

 杖の宝玉から流れる魔力が体を循環し、増幅していく。

 

 これがかつて糞親父をぶっ殺した秘密の一つ、ツインドライブだ。

 魔導具と自身の魔力を同期させた相乗効果で莫大な魔力を生成し、出力を高める手法。単純にラクリマを持った場合は魔力二倍止まりであるが、ツインドライヴシステムの場合は、互いの魔力の同期により二乗の魔力を生成する。

 しかし同期のための調整が難しく、もしミスると魔法器官とかがズタズタになる可能性がある危険な技でもある。

 普通にドラゴンフォースを使うなら予め貯めておいた魔力を摂取する程度に留めておこう。自身以上の魔力を取り込むだけで出来るから。

 

 

「そんじゃあ行くか。……毒龍の咆哮」

 

 腐食性の高い毒をブレンドして攻撃する。すると奴は聞い餅の悪い悲鳴をあげて右腕を押さえ苦しみだした。

 通常状態のブレスでも効果があるというのに、ドラゴンフォースを使ったことで上乗せされた威力。

 しかも今回は骨をも溶かす猛毒だ。骨だけのオシリスには効果覿面だろう。

 

「き、効いてる!?」

「すごい……なんて威力なの!?」

 

 オシリスの死霊魔法の真価を発揮するには念入りな準備が必要になる。たしかに瘴気や即死魔法は脅威だが対策は存在するからな。

 もちろんエーテリアスなので生半可な攻撃ではビクともしないが。

 

 毒龍の甲殻を更に分厚くして気配を断つ。するとオシリスは俺を見失ったのかあたりをキョロキョロとしだした。

 その隙に俺は奴に近づく。

 

「鈍い。少し生気を隠せば見失うのは相変わらずだな」

『!?』

 

 俺に気づいて攻撃しようとするも遅い。既に射程距離内、しかも俺の方が攻撃の準備が完了している。

 オシリスは人の生気、或いは魂を探知して相手を見ている。故にそれらを隠すと簡単に隠れられるのだ。

 

「遅い。後衛専門のお前がスピードで俺に勝てると思ってるのか?」

 

 酸を纏う俺の拳がオシリスの頭蓋骨を陥没させる。

 オシリスは典型的な魔導士タイプだ。魔法の発動には時間が掛かる。

 

「脆い。万が一に備えて接近対策をしておけとあれだけ言ったのに」

 

 陥没するに留まらずそこからヒビが拡がる。

 あれほど自身の身体を予め強化しておけと言ってたのにまだ守ってなかったのかアイツは。

 

「す、すごい……すごすぎる! あんなに強いゼレフの悪魔を圧倒するなんて!?」

「いや、今回は相性の問題だ」

 

 褒めてくれるのは嬉しいがすぐに否定する。

 エーテリアスは確かに強大な力を持っているが、全てが破壊に特化しているというわけではない。中には戦闘が得意でない個体も存在するのだ。

 例えばこのオシリス。コイツは魂や死体などがあって初めて効力を発揮する。スペースのようにその場で能力を使ったり、デリオラのように火力で押し切る戦いには向いてない。

 そして、生きた人間を操るには生命エネルギーという殻を破壊しなくてはならない。生命あるものは操れないのだ。

 

「ま、タイミングが悪かったと思ってさっさと寝るんだな」

 

 俺はニーズヘッグを呼び出し、頭蓋骨を粉砕した。




 毒竜の甲殻
全身を粘液状にした毒属性の魔力で覆う防御技。

滅竜魔導士を全員女体化したいんですけどいいですかね~?

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