FAIRY TAIL 毒龍の滅竜魔導士   作:大枝豆もやし

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第28話

 その日、私は絶対的な力を目にした。

 

 

 あんなに大勢いた盗賊たちをたった一人で制圧し、ゼレフの悪魔をも圧倒する滅竜魔導士。その様はまさしく巨悪殺しの異名に相応しいものだった。

 

 腕を振るう。それだけで魔導士たちは虫けらのように吹き飛ばされた。

 息を吐く。それだけで空気は汚染されて魔導士たちは殺虫剤をかけられたかのように倒れた。

 

 圧倒的。数の差など軽く潰す圧倒的な個の力。ソレは私がほんのちょっぴり憧れていたものだった。

 

 

 

 

 彼の持つ個の力は同じく個の力を持つ相手にも通じた。

 

 

 おそらく二人に力量差は殆どなかのだろう。しかし、傍から見ればレベルの違いは一目瞭然だった。

 

 

 経験が違う。知識が違う。技術が違う。そして何よりも格が違う。

 

 

 人々から恐れられるはずであるゼレフの悪魔を彼は難なく倒してしまった。

 

 彼は特にこれといったダメージを受けてない。

 楽々とまでは言わない。少し難しい作業に手間取ったかのカのような、そんな感覚だったはずだ。

 

 力。私が目にしたのはまさしく力そのものだ。

 

 

 私は滅竜魔法使いだけれども、戦闘はからっきしだ。

 滅竜なんて強そうな名前の割に、私は虫すらマトモに“滅”せない。そんな魔導士だ。

 力も滅竜という名に相応しい力が欲しい。そう思ったことはある。

 

 だからといって気に病んだことはあまりない。

 ギルドのみんなもシャルも私の力を認めてくれる。そのままでもすごいと。初めて会ったあの人も私の力を褒めてくれた。

 けど、だからといって力への憧れが消えることはない。

 私は表に出さなかったものの。力へのあこがれは確かにあった。

 

 

 そして今日、私はその理想に出会った。

 

 検束魔導士や兵士たちとはまた違う統率された武力。魔獣や闇ギルド魔導士とはまた違う猛り狂う暴力。……全てに私は惹かれた。

 

 

 

「は…ハハハ……」

 

 あの人の力に、私は静かに興奮した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 後処理というものはいつの時代も面倒なものだ。

 体育祭や文化祭の後片付け然り、喧嘩の後の仲直り然り、殺したターゲットの後始末然り。いつも面倒事は後になってやってくる。

 今回もそうである。俺たちは被害者だといのうに検束魔導士たちは俺たちを捕縛し、尋問同然の取り締まりをしやがった。

 

「これより魔導裁判を開廷する」

 

 そして現在は裁判を受ける羽目になっている。

 

 周りには評議員と言われる連中が俺とウェンディを囲むように居座っている。

 俺の毒を警戒してか全員思念体だ。こんなことしなくても暴れねえってのに。いい加減俺を信用してくれ。

 

 俺の後ろにいるウェンディは震えている。どうやら初めての裁判に緊張しているようだ。

 大丈夫だ、安心しろ。自分の身に何か後ろめたいことがないのなら何も心配することはない。堂々としてろ。俺なんて何十回も受けてきたのだから。

 そう言い聞かせながら彼、安心させるように女の手を握る。

 

「ありがとう…ございます」

 

 顔を赤くしながら、恐る恐るといった様子で握り返すウェンディ。……可愛い。

 なんなのこの可愛い生き物。このままお持ち帰りしたい。お家でナデナデしたい。

 あ、でも家にはエルザ達が居着いてる、というか俺がエルザの家に住んでるんだったら。……こりゃ諦めるしかないか。

 

「被告人、イクマン・ヤハタ、ウェンディ・マーベラルよ。証言台へ」

 

 俺はそのままじいさんの命令に従い証言台へ立った。

 あとで知ったのだが、今回は闇ギルドが魔導士を狙ったという事件だけが報道され、ギルドの依頼が餌になってたという情報は流れなかった。影で処理したのだろう。

 

 評議院の連中がもみ消したのだ。

 もしギルドの依頼が闇ギルドと関わってるなんて情報が流れたらギルドを取り締まる評議院まで信用問題に関わる。

 

「聞いておるかイクマン・ヤハタ!」

「聞いてるよ。今年に入ってもう三回目なんだからいい加減信用してくれ」

「三回もじゃろうが! 何をしたらこんだけ裁判受けるんじゃお前は!?」

 

 どうやら俺は評議会にブラックリスト認定されているらしい。

 何度かボロを出して逮捕されたり尋問されたりしてるのだが、なんとかいつも切り抜けている。

 今回だってなんとかして見せるぜ!

 

「それで、どうせ今回も何か交渉材料持ってきておるのじゃろ。さっさと出せ」

「はいよ」

 

 俺は一枚のプリントを投げ渡した。

 

「……ハァ~。次から次へと厄介なモン出しおって。一体どこにそんな情報網があるんじゃこの大悪党め」

「褒めとらんわい!」

 

 いつもそういってるが分かってるぜ爺さん。本当は俺の事褒めてくれてるってな。

 

「二度と来るなこの史上最悪最凶の悪党めが!」

 

 とまあ、こんな風に俺は無事に今日も裁判から解放された。

 問題はその後。トラブルというかハプニングが起きた。

 

「もう……お別れですか」

 

 そう、可愛い生き物ことウェンディが悲しそうな顔をして俺との別れを惜しんだのだ。

 もう本当になんなの!? この子俺のこと殺す気!? 俺の事キュン死させる気なの!?

 だから俺は彼女にあるものを渡した。

 

 それは魔導具の指輪だ。魔力を吸収することで魔法訓練のギプス代わりにもなり、非常時には貯めた魔力を解放することで魔力を回復させるアイテムにもなる。

 エルザ達にも同じものを渡した結果、大喜びされた。女性受けにデザインして作った甲斐がある。

 彼女も大喜びしてくれた。それから俺たちは色んなことを話しながら、別れるギリギリまで一緒にいた。

 

「それじゃあいつかまた会おう。この空の下でな」

「はい!」

 

 なんか俺めっちゃかっこよくない!? 自分で言っておいて痺れたんだけど。

 

 

 

 

「……また。会ったな」

「え…ええ。そ、そうですね……」

 

 三日後、次の任務で俺たちはあっさりと鉢合わせしてしまった。

 あんなに格好つけたのに……恥ずかし!

 

滅竜魔導士を全員女体化したいんですけどいいですかね~?

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