転生者との戦争 ドイツの苦痛録   作:ゆっくり霊沙

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スペイン内戦

スペイン内戦・・・それは第二次世界大戦の前哨戦と言われ、独ソの兵器を飛躍的に進化させた戦いである。

 

しかし、この世界のスペイン内戦は半年で終わる。

 

原因は2つ、イギリスの中立とソ連が15個機械化師団、3つの航空団(航空機300機)派兵をすぐさま行った事である。

 

この事態にフランス、ドイツ、イタリア、ポルトガルは反乱軍支援を表明したが、フランスは支援が国会を通らず、そのまま内閣不一致案で内閣が崩れたため、ドイツ、イタリア、ポルトガルだけの支援となった。

 

ドイツはヒトラーの命令で、現状主戦力として見られていた3号戦車とBf 109 Bと呼ばれる戦闘機に多数の爆撃機、2個歩兵師団を派兵したが、ソ連が持ち込んだKV-1重戦車、KV-2重戦車、T-34中戦車の猛攻により3号及び1号、2号戦車はなすすべもなく破壊され、航空機は大量のIl-2攻撃機によりBf 109で互角、爆撃機は鴨射ちのごとく撃墜されていった。

 

特に巨大で大火力のKV-2は見ただけでドイツ歩兵部隊が逃げ出すほど強力で、勇気ある兵士が巨大な砲身に向かって、手榴弾を束ねた物を投げ入れようとすると、長距離からの狙撃でたちまち蜂の巣にされた。

 

あまりの完敗ぶりにヒトラーは顔を真っ青にしたが、それ以上に軍部は真っ青になっていた。

 

歩兵戦闘でも狙撃で殺されているのに、こちらには狙撃兵がいないという現状(再軍備宣言で狙撃兵が兵科から消えたことによる弊害)

 

一応現戦力主戦力の戦車がなすすべもなく敗北した事実

 

戦闘機と攻撃機が互角ということ

 

何とかして破壊し、回収してきたKV-1戦車の残骸からのデータから見てとれるソ連の冶金技術の高さ、及び量産できる工業力

 

最新式の戦術

 

これ以外にも多数の問題、難問に軍部は頭を抱えたのだった。

 

「抜本的改革なくして防衛は不可能。」

 

結論は第一次世界大戦時代の戦術からの脱却と、下級士官、若手将校の言う軍隊の機械化、対抗できる兵器開発・・・今進めていることを早くさせることを再認知した事だった。

 

 

 

 

 

 

ヒトラーは寝室で考えていた。

 

それはヒトラーの夢についてだ。

 

偉大なドイツの復活

 

東方生存権

 

連合陣営への復讐

 

アーリア人による支配

 

欧州の覇者

 

・・・ヒトラーはそれが不可能だと今回のスペイン内戦で認知した。

 

今あるのはドイツにソ連の国旗が立たされ、ドイツ人が奴隷のように働き、人の目には希望もなく、ただただ絶望しかないような光景がヒトラーには見えた。

 

そして愛するエバがソ連兵士に乱暴にされる姿も・・・

 

「大戦終結時の荒廃を再び・・・起こさせてはならない・・・」

 

その日、ヒトラーは夢を諦めた。


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