さて、ライザーはもう終わったな…
三つ巴の大戦から数年後のことだった。
私の家を含めてあの大戦を生き残った『七十二柱』の一族は半分以下だった。
悪魔を従えていた四大魔王様は戦争で死んでしまったために、悪魔社会には新たな変革が促された。
『
チェスに準えたこの制度によって、悪魔はその数を着実に増やしていった。
斯く言う私も自分の眷属をきちんと作っている。
皆、私の家族も同然。
このまま平和な日々が続いて、好きな人ができて、その人と結婚して、愛するその人との間に子供を作ると思っていた。
あの時……突如現れた謎の軍勢に襲われるまで…
私はこの平穏が壊されることを想像すらしていなかった…
白貴族の頭は潰れていた。
いや、文字通りの意味で…
自分の眷属に潰されるとは思っても見なかっただろう。
白ホストの体が突如炎に包まれ、その炎が消えるとそこには無傷の白貴族がいた。
流石に不意の一撃だったからか、白貴族は息切れを起こしたように息を吐いている。
「殴られて興奮したのか?」
兵藤が見当外れのことを言っているが、傍から見たらそう見えなくもないな…
「「うわっ…」」
グレモリー眷属が全員で引く。
勿論アーシアは首を傾げているだけだが…
「貴様…」
因みに白ホスト貴族は俺を殺気の篭った目で睨みつけてきている。
「リアス。そこの下賎な輩も参加させてやる。ついでに十日の猶予もやろう」
「私にハンデをくれるということ?」
え?
なんで俺まで参加する羽目に…
「ちょっと待て、俺は関係ないだろう!!」
そんな面倒なことに参加できるか!!
「話は聞かせてもらった!!」
この声は…
部室の入口…現在は白ホストの眷属が邪魔で見にくいがそこにいるのはリアス嬢と同じ紅髪。
「仕事サボってんじゃねえよ、サーゼクス」
魔王が仕事サボってんじゃねえよ…
「お兄様!?」
「サーゼクス様!?」
両眷属は突然の魔王の登場に跪いている。
兵藤とアーシアも見よう見まねで跪いている。
「夕牙君、リアス達の特訓を依頼したい。」
「20億だ」
「高くないかい?」
「前払いな」
「スルーはやめてくれないかい?」
「さっさと払えよシスコン」
「今日はいつにもまして辛辣だね!?」
俺とサーゼクスのやり取りに他の物はついていけていない。
誰も彼もが口を開けてポカーンとしている。
「今回の報酬は
その言葉で俺の行動が止まる。いや、止められた。
俺がやっている万事屋への支払い方法は、現金か情報のどちらかだ。
そして情報での報酬の場合は9割コカビエルの情報だ。
「いいだろう。リアス嬢を含めて全員を最上級悪魔クラスまでシゴキ抜けばいいんだな?
任せろ。軽く死にかければ成長ぐらいはするだろうからな…」
俺の満面の笑みにグレモリー眷属が軽く後ずさる。
「それとライザー。君の願いも叶えてあげよう。
夕牙君もリアス側として参加させて欲しいと、そういうわけだね?」
サーゼクスが今度は白ホストに問いかける。
そこでやっと白ホストの意識が戻る。
「はっ!?…はい!自分で言っておいてなんですが、可能なのですか?」
殊勝な白崩れに兵藤が少し驚いている。
「可能だよ。ただし、夕牙君には少しハンデが必要だね」
「そうだな。神器使用禁止とあとはどうする?」
「ふむ……魔力を含む身体能力を百分の一まで落とさせてもらおう」
「いいだろう」
俺とサーゼクスのやり取り(Take.2)にまたもや驚きを隠せない奴等。
「サーゼクス様…それはどう言う意味です?
俺がこいつに負けるとでも?」
「そういうことだよ、ライザー。
彼は強い。私でも引き分けに持ち込むので精一杯だった」
「「なっ!?」」
サーゼクスの実力を知っている奴等が今日一番の驚きをその表情に現している。
「嘘ですよね、お兄様?」
リアス嬢の言葉にサーゼクスは苦笑するだけだった。
「それでは私は仕事があるのでこれで失礼するよ」
そう言ってサーゼクスは魔法陣で帰っていった。
この状況どうするんだよ…
取り敢えずこいつらの調教か…
『調教……ある意味間違ってないわね…』
「というわけだお前等…一旦家帰って準備してこい…
初日から半殺しで行くから…」
「「物騒すぎるわ!!!」」
なんかグレモリー眷属が一致団結して突っ込んできた。
「で、お前らはいつまでいる気だ?
日程は決まったんだからさっさと帰れよ…
ぶっちゃけ邪魔だから」
俺の言葉に貴族崩れが声を荒げる。
「貴様のような下賎な輩に言われずともすぐに帰るさ」
俺にそう言うと今度はリアス嬢に近づいていく。
「ではな、リアス。もうすぐお前を俺のものにしてやるぜ」
そう言って、リアス嬢の手の甲にキスを…
できなかった。
リアス嬢の『兵士』、兵藤一誠。
兵士は命をかけてでも王を守る。
その言葉を表すように動いて、リアス嬢を守った。
別に命の危険があるわけでもなし後で手を洗えばいいだけだろうに…
「おい、その汚い手を離せよ…この劣等が!!!」
「部長に軽々しく触れてんじゃねえよ、この焼鳥野郎が!!」
なんでこいつらキレてんだよ?
『自分の獲物を横取りされそうになったからってところかな?』
大体あってるな…
てか、焼き鳥は俺の好物だからその例えは止めて欲しい。
「焼き鳥だと?この下級悪魔風情がァァァァァァァァ!!!」
火に油を注いで更にガソリンを投下する兵藤。
「レーティングゲームなんて必要ねぇ!!今すぐ俺がここで全員ぶっ倒してやるぜ!!」
無理だな
『無理ね』
「やれ、ミラ」
貴族の命令で前に出たのは棍を持ったロリっ子。
あ、兵藤の負けだ
『そうね。あの子のほうが強いわね』
先手必勝とばかりに兵藤が前に出るが、ロリっ子の方が早かった。
棍を突き出し、兵藤の鳩尾に向けて突く。
だが、当たらなかった。
「なっ!?」
俺が止めているからだ。
ただ、単純に突き出された棍を兵藤に当たる前に掴んだだけだ。
「悪いが護衛対象をやらせるわけには行かないんでな…」
ロリっ子は棍を戻そうとするが俺が掴んでいるせいかピクリとも動かない。
可哀想なので離してやると、また棍を構えて今度は俺に敵意を向ける。
「なら、あんたから!!」
コイツはさっきの仮面女の時のことを忘れたのか?
ロリっ子が俺に向けて棍を突き出す。
仕掛け其ノ二を発動させてまたもや部室内の別の位置に一瞬で転移させる。
現れたのは白貴族の目の前。
ここで考えて欲しい。
高身長の者と低身長の者が向かい合う。
低身長の者は腰を落とし棍を突き出す。
結果は……
「□※▽ΩΘ◇~~~~~」
声にならない悲鳴を上げて股間を抑えて崩れ落ちる。
「「ひっ!?」」
兵藤と木場が短く悲鳴を上げる。
「可哀想に……これでお家断絶だな…」
白貴族は尻を突き出した体勢から動かない。
眷属たちは自らの主が崩れ落ちたことに心配して白貴族に近寄っていく。
そして白貴族を連れてやっと帰ってくれるようだ。
帰り間際に出てきた化粧の濃いおばさんが三下セリフを吐いていったのがなかなか印象的だった。
非公式レーティングゲームに参加することが決まってしまった翌日のこと。
俺はグレモリー眷属を引き連れてグレモリー家所有の別荘に向かっている。
ゲームに参加するのは不本意だが、これもコカビエルの情報のためだ。
仕方ない。
「遅いぞ。さっさとしろ」
俺の後ろにはヘロヘロのグレモリー眷属がいたが、俺の声に応えるものはない。
いや、答えられないのだ。
全員には既に重りをつけてもらっている。
重りといっても俺があいつらの周囲の空間を弄っているだけの簡単仕様なんだが、
「はぁ…はぁ…はぁ…」
全員の息が荒い。
「興奮していないで歩けや」
「「するか!!!」」
今度は俺の言葉に反応できたようだ。
「余裕ありそうだしもう少し重くするか…」
「「えっ!?」」
グレモリー眷属の顔が青くなる。
因みに俺の肩にはオーフィスが乗っかっている。
所謂、肩車である。
オーフィスは景色を楽しんでいるのか時折俺の頭の上から鼻歌が聞こえる。
『オーフィス可愛いよオーフィス、ハァハァ』
なんかティアがぶち壊れちまった。
更に2回ほど重りを追加しているとやっとのこと別荘に到着する。
グレモリー眷属は返事をすることもなく死んだように地面に寝転がっている。
俺はオーフィスを降ろすとオーフィスは別荘の広すぎる庭を探検でもするようにトテトテと駆けていった。
「おら、さっさと起きろ雑魚共。
調教の時間だ…」
返事がなかった。
「ラビ呼ぶか…」
「さあ、頑張って修行するわよ!!」
「「おお!!!」」
お前等そんなにラビが嫌いか?
まあいいや、仕事だ。
こいつらを調教しないとな…
…………楽しみだ…
焼き鳥ざまああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ
結構無理矢理感あるけど大目に見てくださいな。
さて次回からは修行です。
オーフィスも参加してるからどうなることやら…