ヒノキの元に一週間。
ヒノキの近くに居るだけではなく、久々に古代樹の森や大蟻塚の荒地に訪れて色々な調査もとい、絵を描いてきた。
ネルギガンテがクシャルダオラを喰らいつくしてからはリオ夫婦も戻って来た。
リオ夫婦の子育てが佳境に差し掛かっているという事で緊迫した状況だったが、その住処としている古代樹の頂上は意外と観察がし易い。
その近くにテトルーの住処もある事もあり、一日程そこに泊まり、誕生した子供の数も数えて報告した。
ヒノキが回復するまでに雄――リオレウスの子が三匹、雌――リオレイアの子が二匹が誕生しており、卵はまだ幾つか残りがあった。まだ夫婦の緊張は解け無さそうだった。
回復したヒノキは壊れた防具の為に竜を狩りたいと言うので、そう言えばと、カシワはあの一際凶暴なオドガロンの事を思い出した。クエスト一覧を見てみれば案の定ある程度難度の高いクエストとしてあり、それを教えた。
マハワと組んで、先に準備を整えたヒノキが調査基地へと向かっていった。
マハワは、何だか神々しく、ヒラヒラとした装備を身に着けていた。聞けばゼノ・ジーヴァ、古龍渡りの原因だという古龍の装備だと言う。
要するに、マハワにはネルギガンテに襲われても対処できるという自信を持っているのだろう。腹を貫かれたというのに、と思うと同時に、また戦いたいと思ってもいるのだろうと感じられた。
そして、マハワも行った後、カシワも忘れ物など無いか入念に確認してから、研究基地に戻る事にした。
研究基地に戻れば、もう既にヒノキとマハワは瘴気の谷へと向かっていた。
*****
外は快晴。聞けば、数日に一度のペースでキリンは訪れるようになりつつあると言う。
雷雲と共に訪れるというキリンだが、そうでない時も時々あり、狩人がばったり出くわしてしまった事もあったとか。
「こちらからちょっかいを掛けなきゃ襲ってきそうには無いね。出くわした狩人も無傷で帰って来たし」
「分かったニャ」
「でも、追い回したりはするんじゃないよ、その狩人怯えててね、動けないでいるところの――」
「目の前に雷を落とされたニャ?」
「ああ、そうだ」
「ボクもそれ、されたニャ。たっぷり分かってるニャ」
「……なら、良い」
誰かが言った言葉だったと思う。古龍以外の全ては、古龍の気紛れで生かされているに過ぎない。
妙に脳裏に残っているその言葉は、こんな時に良く思い出す。
「まあ、今日も行ってきますニャ」
「……出ても……いや、行けば分かるか」
「?」
その言葉の先は、外に出ればすぐに分かった。
キリンが頻繁に訪れるようになったからか、陸珊瑚の台地は全体的にかなり静かだった。
高台にまで足を運んでも、その隅々まで歩き回ってもレイギエナの痕跡は全くなかった。ツィツィヤックもあの個体が死んでから別の個体が訪れたりもしていないようで、結構な場所を歩き回ったが精々ケルビがぴょんぴょん跳んでいたり、シャムオスが走り回ったり、ラフィノスが飛んでいるのが見えただけだった。小型のモンスターはいつも通りに見えても、大型のモンスターは誰も居ない。
採集や食料、素材の調達などは簡単に出来るが、竜達の生態を知る事は出来なくなる。その原因のキリンがこちらから手を出さなければ威嚇で済ませる程度の温厚さを持っているのならば、それに対してもそう気を付ける必要さえなかった。
ただ、この状況は平穏というには、余りにも賑やかさが足りなかった。静か過ぎた。特に、絵を描く事、様々なモンスターの命の営みを見る事が好きなカシワにとっては、すぐに退屈さを覚えた。
良い事も悪い事もあると言えばそうだが、研究者も狩人も、誰しもが今の現状を正直退屈に思っているだろう。
狩ってしまえと思う狩人もきっと居るのだろうニャ、とカシワはトテトテと、堂々と台地を歩きながら思った。
カシワ自身、そんな気持ちを覚えない事は無かった。
「つまらないニャァ……」
暫くの間歩けば、そんな言葉も出て来る。ただ、だからと言ってキリンが来てもそれはそれで怖い。とても。
思い返してみれば、あのキリンは強者の部類に入るのだと思う。
両極端だ。
取り合えず、こんな状況が続くのならば主に観察をする場所を瘴気の谷にでも移そうかと思いながら、カシワは研究基地に戻る事にした。
戻れば、もうヒノキとマハワも戻ってきていた。
キリンにも戦意を剥き出しにしていたあの一際凶暴なオドガロンの死体が置いてあった。傷の数はそう多くない。致命傷は首をざっくりと切った、多分ヒノキの一撃だろう。
まだ、死んでから時間もそう経っていないようで、その首からは血がたらたらと流れていた。
ヒノキが訪れて来て言った。
「マハワのサポートがやっぱり強かった」
その後、小声で「マハワだけで十分だったろうな……」とも零していた。
後ろから声を掛けられる。
「何話しているんだ?」
「いや、マハワはやはり強いな、って」
「そうだなー……」
その強さは努力の結果もあるだろうが、それ以上に狩人としての才能が宿っている事にあるのは紛れも無い事だと、皆が、そしてマハワ自身も知っていた。
「まあ、ヒノキも十分強いよ」
マハワはオドガロンの首に手を当てて、続けた。
「クシャルダオラの翼を切った時もそうだが、チャンスに最大の一撃を叩きこめる事、それがきっちり出来る狩人がどれだけ居るか。それに、その一撃もこんな鋭く出せる太刀使いは少なくとも、そう多くない」
「……どうも」
「ま、無駄話はこれくらいにして、痛まない内に早く解体してしまおう。
防具、作るんだろう?」
「そうだな」
二人は剥ぎ取りナイフを手に、さくさくとオドガロンを解体していった。
カシワは、そんな様子を眺めながら手伝いに専念した。
そう時間の経たない内にオドガロンは原型を失い、素材の塊になった。
*****
翌日、ヒノキとマハワはアステラへと帰り、カシワは久々に瘴気の谷に訪れていた。
陸珊瑚の台地の下層から連なる、一生を終えた生物が溜まり積もる場所、瘴気の谷。
そこはヴァルハザクを頂点とした、その陸珊瑚の台地からの死肉を糧とした独特な生態系が築かれている。
瘴気の谷に訪れれば、相変わらず鼻を刺す死臭がツンと来る。カシワにとっては、余り好きな場所では無かった。
しかしここには流石にキリンも足を運ばないようで、いつもと変わらない。
陸珊瑚の台地と地続きで行こうと思えば行けるのにも関わらずキリンがここに来ない理由は、単純にこの死臭が主な原因な気がした。
古龍であれば、この環境に適応した体を持っていなかろうとその身に宿る超常の力で生きて行けそうだが、こんな臭いのする場所に好き好んで来ようとは思わないだろう。
また、キリンは食性もそう深く知られている訳でも無いが、少なくとも草を食む事だけは分かっている。
ここには草も無く、水も基本的に腐っているか酸に冒されているか、そんなものだった。
瘴気は薄く、ヴァルハザクは今、この地には居ないようだった。
この近辺で研究者達が二十年という期間を過ごしても、この瘴気の谷は陸珊瑚の台地と比べると調査が進んでいない。
ヴァルハザクが稀にしか姿を現さなかった事よりも、アステラと連絡が断絶された状態で体を蝕む瘴気や強酸の池、そしてドスギルオスはともかく、ラドバルギンやオドガロンという危険な竜が歩き回るこの土地を調査する事はリスクが高すぎたのだ。
そんな中で調査出来たのは、探索の能力に長けたフィールドマスターくらいだった。
アステラと連絡が回復した今でも瘴気の谷の調査は、そう深くまで進んではいない。
ゼノ・ジーヴァの影響によってか古龍の活動が活発になった時期に、マハワがヴァルハザクを一度発見、討伐したが、生態系そのものを崩す事になると判断して止めまでは刺さなかった。
ヴァルハザクはそれからまた、どこかへと姿を消した。ただ、ここからそう遠くにまで行く事はないようで、瘴気はこの谷に在り続けている。
道の端を歩いていると、ゴロゴロと音が聞こえて来た。
端に更に寄り、音のする方を顔を向けると、ラドバルキンがゴロゴロと回って勢いよく移動していく。骨片を纏ったその肉体に一度轢かれかけた事もあり、やはりこの場所に良い印象をカシワは抱けなかった。
オドガロンは居なくなったと言え、ニャァ……。
ここも新大陸でしか見れないような独特な場所だとしても、ここの調査は有用だとしても、長居する気にはなれなかった。
取り合えず、少しだけ見るかニャ。
下層に降りていくと、瘴気が濃くなっていき、鼻に届くのは単純な腐臭ではなくなっていく。
瘴気の正体は、体を内側から蝕む微生物のようなものらしい。最終的にヴァルハザクの栄養として還元されるそれは勿論有害であり、カシワは布を口に当てながら歩いた。
今度は、ドスドスと強い足音を立てながら走って来る音が聞こえてまた身を潜める。ドスギルオスが子分を連れて元気良く走り回っていた。
何だろう、ラドバルキンもドスギルオスも、いつもより元気だニャ。
その理由はちょっと考えてすぐに思い当たった。
あのオドガロンには、狩人も研究者もアイルーも、そして竜達も誰もかもが迷惑していたのだろう。
種族として攻撃的でも、それが度が過ぎるものだったら、狩る対象になるのだ。
久々の解放感を味わっているのだろう。そんな事を思いながらカシワは群れが立ち去るのを待った。
そして、更に奥深くへと潜っていくと、今度はテトルー達と出会った。ここらに住むテトルー、谷のぶんどり族は、いつもよりやせ細っていた。
あのオドガロンのせいかニャ。聞いてみると、そうだった。
食料を分けようと思うと、拒否された。見れば、やせ細っているのに顔は爛々としている。
「アノオドガロンヲ狩ッテクレタノハ、知ッテイル。我ガ父ガソレヲ見届ケテイタカラナ、アリガトウ。
ソレハソレトシテナ、久々ニ魚釣リも出来テナ、黄金魚ガ、手ニ入ッタノダ」
「ソレモ5匹モ!」
「コレニ勝ル馳走は無イ!」
「ダカラ、大丈夫ナノダ!」
「ニャー……」
へー、と感心しながら、一つ気付いた。
「ニャ、ウロコは要るかニャ?」
「要ルト言エバ要ルガ、大シテ重要ジャナイナ」
「それニャら、沢山の食料と交換できると思うけどニャ、そうするかニャ?」
「ソウシテモラオウ!! デモ、後日デナ! 腹ガ限界ダ!!」
そうして、痩せこけている事を感じさせないように、走り去って行った。
元々飢えに強い部分もあるのかニャァ?
そんな事を思った。
*****
陸珊瑚の台地は、日が経とうとも中々に変化が無い。時々気紛れに雷雲が訪れる程度で、けれどそれをただ待っていられる程カシワは大人しいアイルーでは無かった。
陸珊瑚の台地の調査は最低限で終わらせ、一旦瘴気の谷をメインに活動する事にして、その鼻を突く臭いにもどうしてか慣れて来た頃、マハワのアイルーが長旅から帰って来た。
名は、オオバ。またすぐにどこかへと旅に出る予定だったが、一日だけ、一緒に行動した。
MHWが初モンハンの自分にとっては、アイスボーンは新モンスターより既存モンスターの方が気になるところ。
バフバロ、見た目どう見ても鹿なんだけど猛牛竜ってなんなんでしょうね。
後、どうして前足小さくしたのか気になったけど、角で物引っこ抜いてぶん投げたりするのに前足邪魔になるとかそんな感じかな。
ブラントドスはあんまり興味湧かない。
イヴェルカーナはレイギエナ従えているところ見るとあれ、ドスレイギエナに見えるぞ。
ナルガクルガが来たらトビカガチが更にかわいそうな事になりそう。
角好きが高じて社会人になってから頭蓋骨集めるようになったけど(2年で20万近く使ってる)、バフバロの頭蓋骨欲しいなー。というかリアルに言うとヘラジカの頭蓋骨が欲しい。角は売ってるの見かけたけど、もう角だけじゃ満足できねえ。
因みに頭蓋骨、会社のデスクに置いてたら人事から撤去命令下された。
あ、キリン編なのにキリン出番少ないけれど、多分次か次の次あたりから出番あるので。
気に入った部分
-
キャラ
-
展開
-
雰囲気
-
設定
-
他