姉がアイドルになるらしい   作:Clear2世

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いやぁ、最近はシャニマスのSS増えてきましたね。
この調子でドンドン書いてくれる人が増えて来るといいなぁと思いつつ。シャニマスしながら、指揮官しながら、映画撮影とかしてました。
シャニマス作品増えれば私も読み専に徹底できるしね、うん。



今回は姉妹回です。やったら長いので、分割しようと思ったのですがキリのいいとこがなくて、そのまま投稿しちゃいます。
次回書いたら、そろそろまだ出してないユニットを出したいなぁ(願望)


3周目withアルストロメリア

「はぁ〜……空からお金が降ってこないかな」

 

「誰もが一度は考えそうなことだよな。なんだ?金欠なのか?」

 

さらば諭吉ぃ!

そろそろこの至言も使えなくなる時が来るのか。時が経つのははやいね。

平日のお昼時。社会人も学生も次のお仕事(学業)に備え各々が自由に過ごせる憩いの時間。俺はというと二人の男友達と飯を食い、今は教室前の廊下で駄弁っていた。

ふぅ……我ながら良い出来の弁当だった。姉さんからもさっきlineで美味しかったよ♡とのメッセと、目をキラキラさせ口元に両手を当ててるイワトビペンギンのスタンプが送られてきたし。

この姉さんからのお言葉だけで昼からの退屈な授業も乗り切れますわ。

 

「今月色々と使いすぎちゃったからなぁ」

 

「何に使ったんだ?課金?」

 

「課金だけじゃないって。コミックサイトで面白そうな漫画を片っ端からダウンロードしちゃってさ」

 

さっきから金が無いと嘆きながら、スマホの画面を見せてくる前髪が滅茶苦茶長く両目共々隠れている中性的な男子は富山大和。上から呼んでも下から呼んでも一致しないが、名字名前にヤマが入っている。クラスの自己紹介の時、真っ先に覚えたわ。

で、手すりに背中を預けながら顔を窓の外に出して、空から女の子のパンツが降ってこないかなーと期待しているのは杉崎である。

食欲が満たされた後は性欲か。ここまで欲望に忠実なのもある意味人間らしくてすげぇわ。

大和のスマホを受け取り、確認していくと本にして数百近くのデータが入っていた。これセット売りで安くなっていても、結構な額に届くんじゃないか……?

 

「これまたえらい数を落としてんな……ちゃんと全部読んだのか?」

 

「それがまだなんだよねー。中には読み終わった作品もあるけど、一話目から地雷臭がプンプンするのは放置してるし」

 

「アホだろ」

 

「せめて試し読みくらいしとけ」

 

「だって面白そうだったんだよ!表紙もスタイリッシュでカッコよかったしさ!」

 

わかるでしょ!?と左右に顔を向け同意を求めてくるが、いくらなんでもそんなほいほいとダウンロードできねぇよ。

安売りしてようが、タダであろうがある程度他の読者からのレビューやら感想を見るか、試し読みなりパラパラと捲ったりして確認してからだな。

お宝探しみたいなドキドキwkwk感は無くなるが、時間と金をドブに捨てるよか遥かにマシだ。

 

「そんでもって、今やってるゲームでUR確率2倍ガチャなんてくるし」

 

「排出率高めてくれるとはお優しいゲームだな。なんかの記念かなんか?」

 

「うん。一周年記念でね。ガチャの確率が渋いから、嬉しいんだけどね」

 

「ちなみに何パーよ?」

 

「元が0.25だから、0.5パー」

 

「低すぎだろ!?」

 

優しくなんてなかった。叫ぶ杉崎の気持ちもごもっともである。運営はやっぱ儲けることしか頭にないんだってはっきりわかんだね。

コイツもよくもまぁ、そんな当たらす気のない運営に貢ぐ事ができるな。

んで、いくら貢いだのかね。ぶっちゃけ気になるので、聞いてみることに。

 

「いったい今月はいくら課金――――趣味に課金したんだ?」

 

「人の趣味を課金で括ろうとしないでくれないかなぁ。えーっと、課金で5万で、漫画に二万くらい……かな?それに加えて新作のゲームも買ったし……合計で9万ちょっとってとこ」

 

「は!?1ヶ月で9万!?馬鹿かお前!!」

 

「額も額だが、漫画とゲームを足してもソシャゲの課金より下ってやばいな……」

 

やっぱガチャは悪い文明。はっきりわかんだね。

あっけらかんと言ってのけた大和だが、杉崎の言う通り馬鹿なんじゃないか。

学生の身で9万ておま……俺もたまには課金したりするが、それでも数万は超えんぞ。

 

「こういったサブカルチャー文化にはお金がかかるんだよ。二人もわかるでしょ?」

 

「だからと言って飛ばしすぎ。いきなりフルスロットルでいくか。ちったぁ抑えろ」

 

「僕は春みたいに引きが強くないからね。お金の力で運を買うしかないのさ」

 

んな爽やかな笑顔で言われましても……

 

「いったいどっからそんな金が出てくるんだよ」

 

「たしかに。大和ってバイトしてなかったはずだよな?」

 

杉崎のもっともな疑問に、俺は過去の記憶を探ってみるがそんな話を聞いた覚えがない。

それにコイツは甜花程ではないにせよ、コミュニケーションを苦手としてるし、社会を舐め腐ってるような気がしてならないんだよな。

とてもじゃないが、アルバイトなんて出来るとは思えん。

インドア人間で体型も痩せ細ってるし、日焼けとは無縁な真っ白肌だし。……力仕事もまず無理だな。

 

「そだよ。だって働いたら負けって思ってるし」

 

「……ってことはまさか、親の金か?」

 

「なるほど。今のご時世、親名義で携帯払いとか出来るもんな」

 

「それか親のクレジットカードを使ってたり……」

 

「「うわ〜〜……」」

 

「まってまって!僕そこまでクズじゃないよ!二人して距離をとろうとしないでっ」

 

だって……ねぇ。

杉崎と顔を見合わせる。俺は言わずもがなバイトしてるし、親元を離れ姉さんと二人暮しだ。バイト代の半分は生活費として姉さんに渡している。それなりにお金の重要性はわかっているつもりだ。

杉崎は杉崎で一人暮らししてる上に、バイトもしてる。

俺以上にお金の大切さは知っているだろう。

……親の金を使い込んでないとはいえ、なんだかなぁ。

ゴミを見る目から、道端に転がっている空き缶を見るような目に変わりった杉崎が大和に問いただす。

 

「だったら、10万近い金額どうしてんだよ」

 

「普通にお小遣いで工面してるんだって」

 

あぁ、そこは普通なのね。けど、それがコツコツ毎月の小遣いを貯めてやりくりしたもんじゃないのはわかりきってることだし。

数万くらいは月に貰ってそうだが……聞いてみるか。

 

「毎月いくら貰ってんだ?」

 

「10万」

 

は!?

 

「お、おま……そんなにもらってんのか!?」

 

「うん。……え、そんなに驚くほど?」

 

「当たり前だわ!つーか、毎月そんだけもらっていて足りなくなるってどういうことだよ!?」

 

俺が言いたかった事を杉崎が掴みかからん勢いで代弁してくれる。

あっけらかん言ってのけた大和だが、俺と杉崎は明かされた衝撃の事実に驚きを隠せなかった。

年間120万か。バイトでさえそんなに貰ってたら、税金でめちゃくちゃ引かれるってのに。

働かないで家でゴロゴロと学校に行くだけで10万って……世のフリーターの方が聞いたらマジギレものだわ。

 

「凄まじいな……そんだけもらってりゃ、金銭感覚もおかしくはなるわな」

 

「どうりでおかしいと思ってたんだ……学食でコイツが注文してるもんって、ほぼ四桁以上のメニューばっかだったからよ」

 

マジでか……そういったとこでも金遣いの荒さが出てたわけか。

俺は基本弁当メインだし、二人みたく学食の券売機で買うことほとんどないからな。

今回ので合点がいった。杉崎の頼んだメニューは定番の財布に優しいメニューなのに、大和だけ無駄に豪勢だったのはこういうことだったのね。

……大和って実はどっか良いとこ出の坊っちゃんだったりすんのか?

 

「それでさあ、来月のお小遣いまで我慢しなきゃならないんだけどさ。それまでにどうしても欲しいものがあるんだよね。春と鍵ってバイトしてるでしょ?僕でも出来る楽なバイトとか知ってたりしないかなーって」

 

言葉を交わさなくてもわかることがある。

俺と杉崎の心の中は今間違いなく同じ思いを抱いているだろう。

……社会を舐めるんじゃないと。

取りあえず奴にはコンビニのバイトと引っ越しのバイトを適当にでっち上げ、勧めておいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「と言うことがあったんだが、二人の小遣いってどんな制度よ?」

 

「つ、月に10万……そんな額恐ろしすぎて、使えないよ……」

 

アフタースクール。

今日はシフトが入ってなかったので、大崎姉に誘われ学校から近場のゲームセンターに来ていた。

俺たち以外にも、学生と思わしき男子たちが罵倒し合いながら格ゲーしたり、アーケードゲームを一人でずっと占領してる如何にもな人がいたり。

この周辺にゲーセンってここしかないからなぁ。結構人がいて、ゲーセン特有の煩さと騒がしさが増して、盛り上がっていた。

 

それで、控えめに誘ってきた人物はというと、普段ののほほんとした姿とは想像がつかない程の華麗な手裁きで、ガン○ムオンラインをプレイしていた。

そしてそれを後ろから見守る俺&甘奈。

 

昼に杉崎たちと話してた事を甘奈に話てみると、顔を真っ青にして戦慄していた。まぁ、それが普通の反応だよな。

ビビりながらも甜花の勇姿を抑えようと手元のスマホを固定したままなのでいるのはさすがというべきか。

 

制服姿で来ても大丈夫なのかって?大丈夫だ、問題ない。

先生たちの前では猫を被りまくっているから、頭のお硬い教育指導の先生に見つかっても適当に言い逃れ出来る自信があるし、ノリの良い先生、素の俺を知っている先生ならばこっち側に抱き込んでしまえるし。

通報とかされたらどうするかって?そん時は俺が二人を無理矢理誘った事にして、俺が全部抱え込んだ後にチクった奴とっ捕まえて、二度とそんな舐めた真似ができないように――――なーんて、そんなことこの俺がするわけないじゃないですかやだなーあっはっはー

 

「趣味にハマるってのは生活に色がついてるって事とはいえ、どハマリすぎて金を使い込むのは良くないわな」

 

「そうだよね。なんでもかんでも好きなように使うのはダメだよね。決められたお金で、上手に遣り繰りするのも1つの楽しみだと、甘奈思うな」

 

「見掛けによらず、倹節家なんだなお前って」

 

「見掛けによらずはよけいっ。こう見えても甘奈結構しっかりしてるんだよ?」

 

ギャルらしいメイクや振る舞いをしている甘奈だが、こういった細々とした所で妙にらしくなかったり、家庭的な所が見受けられる。

過剰なまでに甜花を世話焼きたがるくらいだし、甘奈の本質は世間一般からしたギャルのイメージとは真逆の物なんだろう。

……しっかし、甜花の奴とんでもない動きをしてやがるな。対戦相手からしたら、こんなキチ○イ染みた動きをするガン○ムのパイロットが(見た目)可愛い新人アイドルだと知ったらどう思うんだろうか。

 

「そんで、大崎家のお小遣い制度ってどうなんだ?ナンボもらってるん?」

 

「んーっとね、今は毎月5千円もらってるよ。でも来月からはアイドルでお給料もらえるからまた変わって来るかな」

 

「あぁ、そういやそうか。何割かは家に入れる感じか」

 

「それはもちろん☆全部自分の為だけに使うわけにもいかないしね。それで、家のお手伝いをすれば追加でもらえたりするかな。どうしても欲しいものがあったりする時はお母さんと交渉して、お小遣いの前借りすることもあるけどね」

 

あははーと後頭部に手を置いて、照れくさそうに笑う。

バイトしてない高校生からしたらそんなもんか。

世の中把握しきれない程の娯楽が存在しているんだ。月5千円だと足りないと感じるかもしれないが、甘奈なら上手く遣り繰りしているのだろう。

……それよりもだ。

 

「家の手伝い言うても、甘奈って普段から炊事、洗濯と家事手伝ってないか?」

 

この働き者の妹は、姉に至高の料理を食ってもらう為にはなんだってするくらいだしな。

ほぼ毎日家の手伝いに貢献してるはずだよな?それならもうちょっと色を付けてもらってもいいんじゃなかろうか。

俺の疑問に対し目を閉じて、少し考えるようにしてこう答えてきた。

 

「うーん……甘奈からしたら、当たり前の事をしてるだけだしなぁ……お手伝いって気にはならないかな」

 

「……なるほど。日常の一環として染み付いているわけだ。さすがしっかり者だと自負するだけはあるな」

 

「そ、そっかな。これくらい普通だしっ。それに春彦君だって家の事もアルバイトもちゃんとやってるんでしょ?千雪さんがすっごい褒めたし」

 

「当然だ。姉さんに負担は極力かけたくないしな。自分で出来ることを出来る範囲内でやってるだけさ」

 

「……やっぱり春彦君も甘奈と同じじゃん」

 

「お前は単に甘やかしてるだけだろ」

 

「違うよ!甘奈はただ甜花ちゃんには何不自由なく過ごしてほしいだけで、ご飯の時も食事後の歯磨きもお風呂に入るときも寝る時も甜花ちゃんに関わる全てのことをお世話したいだけだからっ!」

 

「全てといいながら、だけとはどういうことなんですかねぇ……」

 

「な、なーちゃん……はずかしいからやめてぇ……」

 

手を前にかざしてドヤ顔でんなことを宣言する甘奈。

店内がゲームの騒音で煩いとはいえ、近くにいる人には聞こえているんだよなぁ……

じっさい甜花が対戦を終えたようで、羞恥で顔を赤くし縮こまりながら戻ってきた。

さすがの甜花も人の目は気にする模様。

 

「甜花ちゃん!おかえり〜。楽しかった?まずは手を拭いちゃおうか。色んな人が何を触ったかわからない手でボタンとか触ってるし☆」

 

「気にしすぎだろ……おめーはいちいち電車の吊り革を掴む度に気にすんのか?」

 

「甘奈は気にしないよー。甜花ちゃんの綺麗な手が汚れるのが嫌なの!」

 

「なんか向こうに人だかりが出来ているな……よし、甜花行こうぜ」

 

「あっ……ひーくん」

 

「ちょ、ちょっとー!」

 

ウェットティッシュを取り出しマジで甜花の手を拭こうとした甘奈を置いて、甜花の手を掴み密集している方へと進む。

たしかこっちのエリアは音ゲーメインのアーケードが置かれていたはず。となると人だかり中心になっている物は……

 

「D○Rか」

 

DanceDance○evolution。ゲームセンターに置かれているゲーム中でもトップクラスの知名度を誇る音ゲーだ。

野次馬から聞こえてくる会話から察するに、結構上手いプレイヤー同士がやっているらしい。

俺のDD○暦はガチプレイヤーではないが、たまに姉さんや男友達の連中とプレイしたりはする程度のライトユーザーだ。

ゲームでも体を動かせるって良いよね。最近は色々自宅でも出来るゲームが売り出されているし、子供の頃宿題もせず引きこもってゲームばっかして親に「たまには外に出て日の光を浴びて来なさい!」なーんて怒られてもごまかせるしな。

まぁ、俺にそんな過去ないけど。

 

「あの……ひーくん……手」

 

「ん?あぁ、すまん。掴んだままだったか」

 

周囲の人の数にやや萎縮しながらも、空いている側の手でこちらの裾を軽く引いて――――摘んでくる。

いけないいけない。いくら相手が甜花だとはいえ、同級生の異性だ。気軽に接触するのは良くなかったな。

掴んでいた甜花の右手を離そうと

 

 

 

「ま、まって!ち……ちがう、の」

 

したら、今度は逆に手を握られた。

えっ?離して欲しいんじゃないの?

 

「え、えっと……手、繋いだままでいい、から……ひーくんの手……すごい安心、する。……いっぱい人いるけど、これならだいじょーぶ。甜花、無敵……!」

 

相変わらずつっかえつっかえで、言いたい事をまとめきれていないが、俺の顔と握った手を見て不器用ながらも一生懸命に伝えようとする。

……やばい、不覚にも心がキュンとしてしまった。

手のかかる妹みたいなもんとして見てきたはずなのに、甜花に恋愛的欲求、もとい○的欲求は感じるなんてことはありえないと思っていたのに!

 

 

めっちゃ甜花を膝の上に乗っけて撫で回したい。具体的には一緒にスーファミのドラ○エⅤでもやりながらで、フローリングの上でコントローラーを握りながらプレイする甜花を後ろから抱きしめたい。

膝の上ではなくなるけど、足の間に入り込んでもらって背もたれと化すのも悪くないな。

 

 

………………はっ!?いや、悪いわ!

何が股の間に挟んで逆だいしゅきホールドしたい、だ!気持ち悪いわ!!

ここは公共の施設!ゲームセンターだぞ。いくらラブコメの波動が流れ始めたとしても、流されるのはヨクナイ。

この場だけ世界から切り離されたとしても、いつかは現実に帰って来ざるを得ないもの……!

今俺の視界には甜花しか映っていなくとも、甜花もさっきから俺を潤んだ目で見上げていても、いつヤツが現れるかわかったもんz

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…………二人とも何してるの?」

 

ヤツ(甘奈)が来てしまったーー!!

かけられていた魔法が解けてしまったように、俺達の周りにはたくさんの野次馬がDD○を観戦している風景に戻り、ラブコメチックなBGMが流れていたのが人の声とゲームの騒音に戻っていた。

 

「甘奈を置いてって、甘奈の目がない所で、二人はいったい

……ナニヲシテイタノ?」

 

「……な、なーちゃん……!?こ、これは、その……ち、ちがうのっ」

 

ゆらり、ゆらりと長い髪と手を揺らしてこちらににじり寄ってくる。

その姿はさながら怪談で登場してくる女性の怨念が、化けて霊となって出てきたようだった。普段前髪を目にかからないよう気にしているはずなのに、今はそんなことを全然気にしていない。

それどころか、顔の影で両目共見えなくなってますよ甘奈さん!?

何時もとはまったく様子が違う甘奈に、俺も甜花も恐怖と困惑でいっぱいだ。下手な怪談話よりも寒気がやばい。

甜花に至っては浮気が妻にバレた亭主関白夫みたいな言い訳してるし。

ていうかこれ本当に甘奈?実は三つ子の末っ子のAMANAさんとかじゃなくて?実はいとこのそのまたはとことかじゃないんですか?

 

「ちがう……?二人仲良く手なんて繋いでおいて?甘奈を独りぼっちにしておいて?甜花ちゃん?…………ウソハヨクナイヨ?」

 

「ぴぃっ……!なーちゃん、こわい……!」

 

現実逃避をしてる場合じゃなかった。甜花のなっさけない悲鳴で我に返る。俺にだって現実を受け入れたくない時だってあるんですよ……。

……うん、アレは甘奈じゃない。アレは嫉妬と悪意によって作られた悲しいモンスターよ。

とてもじゃないが、アイドルの卵だとは思えませんわ。

百歩譲って、昼ドラに出てくる彼氏をヒロインにNTRれ非行に走る引き立て役だよ。

 

「ひーくん……たすけて……!」

 

「や、そんなこと申されましても」

 

俺の背中に隠れ、盾代わりにされる。

あんな暗黒面(ダークサイド)に落ちた奴の相手をしろって言われても……ねぇ?

ていうか、手を離せばいいんじゃね?

 

「まずは手を離そうか。話はそれからだ」

 

「……なーちゃん怖いし、よけい、離したくない」

 

「俺だって正面からプレッシャーを浴びているんですが」

 

「だい、じょうぶ。ひーくんならタンク役として、鉄壁……!勇者、甜花パーティーの守護神……!」

 

「いつ誰が肉壁役やるつったよ。そもそも俺は盾職よりも魔法派だっての」

 

なにさりげなく勇者面してんだ。お前は世界を救うどころか、一人旅もできない引き篭もりだろうが!

良いからさっさと手を離して、AMANAさんを刺激しないようにだな……!

って、コイツ全然手を離す気がないらしい。なんとか空いている手で引き剥がそうと試してみる。……おい、離れるどころかもう一本手が増えているんだが。

変に重みを感じたと思ったら、コイツ両手で握ってやがる……!

なんでこの(甜花)(甘奈)を煽るような事を無自覚でやりやがるんだ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「二人とも?(ニッコリ)」

 

死んだじいちゃんの友人のそのまた友人の親戚のおじいちゃんの娘さんの娘さんが言ってた。

追跡者から目を離したら……次のシーンでは死んでいる、と。

後ろで甜花とごちゃごちゃやっていたら、目の前に素晴らしい笑顔を浮かべている甘奈さんがおった。

……実にアイドルらしい、良い笑顔です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

…………?いつゲームオーバー画面が表示されるかと目をつぶって、来るべき衝撃に備えていたのだが、一向に衝撃がやって来ない。

衝撃というよりかは、フリーだった方の手に感触が……

 

「これでよし☆ほら、春彦君。いつまで目閉じているの?」

 

…………目を開けるとそこは、ゲームセンターだった。

……や、それはさっきと同じだ。目を閉じる前まではいた甘奈が消えて――――

 

「おぉ〜……春彦君の手って結構ゴツゴツしてるんだ〜」

 

「………………あの、甘奈さん?」

 

「うん?どうしたの?」

 

「どうしたもこうも…………なんで俺と甜花の手を握っていらっしゃるんですか?」

 

小さく歪な三角形を作りましたとさ。

…………いや、なんで?空いていた右手を甘奈に取られていた。

ていうかいつの間にか野次馬たちもいなくなってるし。

 

「なんでって、甘奈だけをノケモノにしたからだよ!二人だけ仲良くするなんて、ずるいじゃん!」

 

繋いだ手を上げ、口を尖らせる。

とてもさっきまでAMANAさんと化し、俺と甜花を恐怖に縛り付けた人物とは思えない。

 

「なに?私の甜花ちゃんを惑わすどこの馬の骨とも知れない野郎はターミネートしてやるとかじゃなく?」

 

「どこの馬の骨って……春彦君の事知ってるし、甘奈そんな殺し屋みたいな事するわけないでしょ。一体甘奈をなんだと思っているのさ」

 

クレイジーサイコシスコンです。

……なんて言えるはずもなく。心の内に留めておくことにする。

俺だって冗談を湧きまえなきゃいけないとこは区別しますからね!

 

そう言って俺の手を握る力を強めてくる甘奈。

この姉妹俺が実力行使に出ない事を知ってなのか、俺がある程度力を入れないと振りほどけないように、俺の指5本全て握ってやがる。

 

うーむ、これっていわゆる両手に花って奴ですか?

右手に甘奈を左手に甜花を。速攻魔法

効果 このカードは自分の場に三枚以上のキャラカードが場に出ていないと使用することができない。自分のフィールドにいるキャラカードを一枚選択し、その対象のぼうぎょりょくを2倍にする。相手はそのカード以外を攻撃対象に選択することはできない。

また相手の場にいる男属性を持つカード全てのこうげきりょくが2倍になり、ぼうぎょりょくが元の値の半分となる。

 

うん、OCG化するならきっとこんな感じだろう。

されても実用性皆無だろうけど。

そしてこの速攻魔法は既に発動しているというね。

ほーら、耳を澄ましてみれば聞こえてきた。

 

 

 

「おい、見てみろよ。あの娘らめっちゃかわいくね?激マブじゃね?」

 

「マジ?……おぉ!アイドル並みにかわいいじゃん!…………でも男いんじゃん」

 

「ちっ、二股かよ……ここは純粋な紳士達の集いの場だぞ。イチャコラ不純異性交遊する場じゃ……そこおねぇさ〜ん!俺と一緒に木の棒で(太○の達人の鉢で)あんなとこやこんなとこを(太鼓を)叩きあいませんかー?」

 

「離せ下条!俺はハーレム王としてあいつを……出る杭を打たなきゃならねぇんだ!!」

 

「落ち着け!お前はハーレム王なんかじゃなくただの妄想王だから!王なんて器じゃないから!ただの召使いだから!」

 

野郎の嫉妬なんざ豚の餌にもならんよなぁ……

なーんか聞き覚えのある変態の声がしたが……無視でいいや。スマホが無駄に振動してるけどこれもスルーで。

 

「にへへ……なーちゃんとひーくんの手……甜花、もう何も怖くない……!今なら一人で、カフェにも入れそうな気がする……!」

 

「完全なフラグですね本当にありがとうございます」

 

なんで貴方も嬉しそうにしているんですかね。

さっきまで人をシールド扱いして、犠牲もやむ無しみたいに仰ってっませんでした?

 

「よーし、次はどこに行こっか。甜花ちゃんはどのゲームやりたい?」

 

「あれ……?でも甜花、さっきガン○ムやったよ……?次はなーちゃんがやりたいのを……」

 

「いいっていいって。甘奈は甜花ちゃんが楽しそうにしてる姿を見れれば、満足だし」

 

俺を置いてけぼりにし、きゃいきゃいと姉妹仲良く話す二人。

なぜこの状況下で平然としてれるんだコイツラ……!

 

「いやいやちょっとお待ちをお二人さん。このままでゲーセン内を歩き回るつもりですかい?」

 

握られた両手を上げて、君ら正気ですかと尋ねる。

どう考えても目立つし、なんやかんや言っても俺らまだ学校帰りの制服姿だって事を忘れないでね?

教師に見つかっても誤魔化し通せるとは言ったけど、姉さんにバレたら無理だから。姉さんにバレたらお説教コースだから。

 

世のお母さんみたいに、エプロン着用してお玉片手に怒鳴り散らしたりではなく、めっちゃ悲しそうに、自分が悪いことをしたわけでもないってのに泣きそうな顔で説教してくるんだもの。「春くんを信じていたのに……」なんて、こっちの罪悪感を直で刺激してくるもんな。

まぁ、それでもやる俺なんですが。今回は甜花だけじゃなく、甘奈とも一緒だし。姉妹二人でゲーセンはほぼほぼ行ったことないし。

ていうか、貴方等新人とはいえ一応アイドルですよね?これってスキャンダルに含まれるのでは……?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「うん。そーだけど?」

 

「うん……そーだよ?」

 

これが姉妹ってやつか……!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

この後、プライズゲームで取ったお菓子を食べたり、終始俺と甜花のワンツーフィニッシュだったマ○オカートをしたり、甜花と鉄○で対戦し、ボコったりボコされたりし、甜花煽りまくって負かした後、AMANAさんオーラをまとった甘奈に完膚なきまで叩きのめされたりした(物理ではなく、ゲーム内で)

ちなみにDD○はやらなかったよ。甘奈は俺をぎゃふんと言わせようとノリ気だったけど。俺と甜花が下スカートじゃんってしたら、顔真っ赤にして断念した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

※以下会話のみを抜粋

 

 

プライズゲーム

 

「よし!そのままそのまま、きてきてきて!!……あーっ!また落ちたぁ!ぜんっぜんとれないよコレ!」

 

「な、なーちゃん……ど、どんまいっ」

 

「ありがとっ甜花ちゃん。よーし、もっかい!」

 

「これで1000円か。ここのゲーセンだと一回100円だけど500円で6回だから12回目。……それでいて成果0とは」

 

「こ、これは一気にドーン!とゲットする為の布石なの!決して甘奈が下手なんかじゃなくて――――」

 

「スライドテーブルに一つも落とせないとは」

 

「ぐっ、あ、甘奈そんなにプライズゲームとかやらないし――――」

 

「センスないな」

 

「……こふっ!」

 

「な、なーちゃああああん!し、しっかりして!傷はあさいよっ」

 

「だ、大丈夫だよ。甜花ちゃん……甘奈はもう(景品が取れなくて)ダメだけど。甜花ちゃんなら(景品を取れる)出来るから……!」

 

「……やれやれ」(100円投入)

 

 

 

 

 

 

「ほら」

 

「すごい……お菓子が、いっぱい……!」

 

「一回だけでこんなに取っちゃうなんて……」

 

「コツがあるんだよ。そのうち教えてやっから、今日はそれで我慢してくれ」

 

「今教えてくれないの?」

 

「これだけにいったいいくら注ぎ込む気だ?次来た時にでもいいだろ」

 

「……そうだね!楽しみは後に取っておいた方がいいもんね!」

 

「おかし……おいしぃ。ひーくん、取るの得意……なんだね」

 

「このくらいはな。でも俺より姉さんの方が上手いぞ?」

 

「えっ!?千雪さんが!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

マ○オカート

 

「以外……千雪さんってゲームとかやるんだ。あぁっ……コース外に落ちちゃった!」(ちっちゃい桃姫)

 

「俺の影響だろうなぁ。家でも一緒にパーティーゲームやら対戦ゲームとかやるし。格ゲーだってたまにやるしな」(メッキ化した配管工)

 

「千雪さんが格闘ゲーム……想像、できない」(緑の恐竜)

 

「格ゲーは俺の方が勝率高いけど、パズルゲームとかシューティングゲームは姉さんの方に軍配が上がる事が多いな。ゲームの話を振っても割と会話についていけるぞ?」(アイテムブロック回収)

 

「そうなんだ……今度、新作のゲーム、千雪さんとやろうかな……」(無敵スターでCPUを次々と蹴散らす)

 

「あーっ!そのアイテム甘奈が取ろうとしたのに!」(最下位)

 

「姉さん、プレイする側でも見る側でもどっちでも楽しめるタイプだから、ソロプレイのゲームでもいいかもな」(激突は避けたが、甜花追い抜かれ現在2位)

 

「ぐぬぬ……この甘奈だけ蚊帳の外みたいな感じ……!でもそんな余裕もここまでなんだからっ。このCPUから拝借させてもらった雷で目に物を見せて上げる☆」(サンダー使用)

 

「感動的だな。良い引きだな。……だが」(テ○サ使用)

 

「……無意味……!」(スター使用)

 

「あぁぁぁあああっ!!」(最下位確定)

 

 

 

 

 

 

 

 

鉄○

 

「ま、まけた……」(三連敗)

 

「クハハハッ!最強キャラ使えば勝てると思った?俺が初心者だと思った?なぁーーーんちゃって!今明かされる衝撃の真実ゥ!極めてはいないが、たまに明久や杉崎なんかとゲーセン行った時にやってりしていてなぁ!」

 

「ひーくんが使っているキャラ……つかいにくくて、最弱キャラのはず……なのに」

 

「最弱キャラにだって、見せ場はありましたよ。強キャラとは比較できないほどの……ね」

 

「も、もういっかい……!今度は甜花のマイキャラ……で!」

 

「ふんっ、いいだろう。キングは何時如何なる時でも挑戦は受けて立つ!何度だって地面に這いつくばらせてやる!!」

 

「……甜花ちゃん」

 

「……?どうしたのなーちゃ――――」

 

「一回甘奈がやってもいいかな?」

 

「ひゃ、ひゃいっ!!ど、ど、どうぞっ!」

 

「なんだ?甘奈相手か?相手が未経験者であろうとも、俺は接待プレイなんてしないからな?キングは何時だって獲物を狩るときは全ry」

 

「……甜花ちゃんの仇は……私が取るっ」

 

「…………………あの、甘奈…………さん?」

 

「さ、早くキャラを選んで?甘奈は何時だって準備OKだよ」

 

「…………あーっ!いっけね!硬貨切れちまった!ちょっと俺隣街のゲーセンで両替してく」

 

「はやくしろ」

 

「はい」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

当時、現場にいたある双子アイドルの姉はこう語る。

 

「こう……ね。別人だと思っちゃうくらい、違うんです……よ。ごごごごご…って」

 

「あんななーちゃん……はじめて。信じられない……です」

 

「あのなーちゃんのプリンを食べても、全然怒らないどころか、笑って許してくれる……なーちゃんが」

 

「その時、甜花は……思いました」

 

「……普段怒らない人が、怒ると、すっごくこわいんだなぁって……」

 

後日、その時の事を本人はよく覚えて無いという……

 

 

 

 

 

 

 

 





さらば諭吉ぃ! 知らない人はググって見よう。一万円を募金箱に入れたことはないですが、作者はお賽銭に1000円は入れたことあります

富山大和 いわゆる友人T。ギャルゲーとかラノベに良くいるヲタク友達。最近の恋人は花嫁が5人いるだとか。春彦を通じて、甜花ともそれなりに話をしたりする。オンラインゲームを3つ掛け持ちしていたり、徹夜でゲームしまくっているので、授業中はよくシャーペンで顎を支え、目を瞑る姿が目撃されている。
ちなみに、携帯代は親の名義になっている。課金支払いは携帯代と一緒だとか……

杉崎 久しぶりの登場。女の子が絡まなければ、比較的常識人。月の課金額は3000円までと決めている。
空を飛ぶパンツEDを見た時は体にレールガンを撃ち込まれたくらい衝撃を受けたらしい。

甘奈 良妻要素しかない妹系ギャル。原作では図太さに磨きがかかりつつある姉とは違い、メンタルがやや柔らかくなりつつある妹。こちらでは変わらずターボ全開で妹を推す。
甜花の影響で、それなりにゲームの知識はあるものの、プレイする側としてはまだまだ。勝つことよりも楽しんで出来るかどうかを気にするタイプのライトユーザー。
運は結構低め。
現時点でのゲームの腕前(ジャンルによって変動あり)
AMANAさん>>>>>>弟>甜花>友人T>千雪さん>甘奈>

甜花ちゃん 最近はゲーセンにも通えてたりする(放課後は弟同伴)少し行動範囲が広くなった双子アイドルの姉。
お小遣いは甘奈同じなのだが、欲しいゲームが出たら、パパおねだりする。

「よーし、パパに任せなさい☆」
こーんな感じ?
真相はまだ闇の中……

実はまだ無課金プレイヤー。本人曰く、そういうのはお給料がはいってから。……らしい。
妹と同じでしっかりしているとこが見え隠れしている。

下条 エキストラ。それ以外の何者でもない。

AMANA さんをつけろよこのデコ助野朗!普段の人当たりの良い人格は鳴りを潜め、背景のAMANAAAAAAAのテロップがひび割れており、何処か世紀末世界の臭いを漂わせる。姉を想う強い姉妹愛が生み出した甘奈の中のもう一人の甘奈かなんか。
覚醒した後の出来事は覚えてないというご都合主義スキルを持ち合わせた、ハイスペックAMANAさん。
遊戯王で言ったら、攻撃力4000守備力0くらい。

弟 たまに小物臭を漂わせるゲス野郎に変化する。
妙にそういった役が似合うのは本人の本質なのかもしれない。
最近知り合いの距離が近いのを気になり始めている。
ゲームのプレイヤースキルは非常に高い。高すぎて、縛りプレイやら変則プレイをし始め、調子に乗ってボコボコにされることもしばしば。
キャラクリエイトにはまったくこだわらず、デフォルトキャラを選択するタイプ。









あぁ、特別オーディションが終わってしまった。強いフェスアイドルは特別オーディション開催してないと、作る気になれない\(^o^)/
取りあえず今は歌姫周回しつつ、新アイドルのイベントを見る日々かなぁ。
無料10連終わったのも辛い……またやらないかなぁ?

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