姉がアイドルになるらしい   作:Clear2世

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これ書いたのも、多分3ヶ月くらい前です。
主人公がウザくてごめんなさい。

シャニマスに登場するアイドルみんな、キャラが魅力的でいいですよねー。
SDキャラもかわいくてすこ……


俺と姉と交友関係

駆ける。ただひたすら駆ける。

朝日の心地よい光を全身で浴びながら、駆け抜ける。

イメージするのは常に最速の自分。風が、太陽が、自然そのものが俺を祝福しているような錯覚さえ覚える。

今この瞬間は、世界に自分一人しかいないような錯覚さえ受ける。

駆ける。ただそれのみ。それだけなのに……最高に気持ちが良い。

この一時は……誰にも邪魔はさせねぇ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おぉ、春秋君じゃないかぇ。今日も元気じゃねぇ」

 

「あ、おはようございます。それと春秋じゃなくて、春彦です、自分」

 

直ぐ様に邪魔をされました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

やぁ、俺の名前は桑山春彦。絶賛青春を謳歌している高校二年生さっ。趣味は読書にゲーム。部活は特に入部してないけど、週3で雑貨屋のアルバイトをしているんだ。ごく普通の男子学生でごく普通に学園生活をエンジョイしてる。何処にでもいる普通の男の子さ。

強いて違う所を上げるとするなら、7つ上の美人な姉と一緒にマンション暮らししてるってとこかナ。

はい、というわけでキャラを忘れて自己紹介しろって囁きがどこからか来たので、実行したわけですが。

 

まだ日が昇り始めた早朝の時間帯。俺は日課のランニングをしていた。天気が悪い日は気分次第で走らなかったりするが、晴れてる日は大体やっている。

 

「あらあら、春彦君じゃない。おはよう。今日も良い天気ね」

 

「おはようございます、青葉さん。そうですね、心なしかいつもより綺麗に見えますよ」

 

「おやまぁ!嬉しいこと言ってくれるじゃないの。今度私の店にいらっしゃい。お野菜安くしたげるから」

 

すれ違い様に挨拶を交わしたり、軽く世間話をしたり、地域の人たちが話しかけてくれる。

これも俺の日頃の行いがいいからだな、うん。

……すんません、調子こきました。日差しの心地よさについ、テンションが上がってしまいまして……これくらい普通だよな?誰だってあるよな。今現在俺だって経験あるしね。

 

 

真実はというと俺ではなく、姉さんの日頃の行い。だな。

今日は同伴してないが、姉さんと一緒にランニングする時がある。曰く、健康の為にも頑張ってる俺を見習って、一緒に走りたいとのこと。

俺は健康云々関係なく、日課と化してるだけなので特別頑張ってるわけじゃないが、姉さんと一緒ってのが嫌なわけなく、むしろこっちのモチベ向上に繋がる。

さすがに、毎日というのは社会人である姉さんには厳しいため、今日みたく俺一人で走る時がある。仕事で疲れているだろうに、まだ寝ていたいはずなのに、それでも健気に付き合ってくれる姉さんでマジ天使。

週の半分は付き合ってくれるからな……ホント俺には出来すぎた姉だよ。うん。

で、一緒に走っている時の姉さんだけど。道行く人に、爽やかに満面のスマイルで挨拶だからねぇ……見るからにコミュ障っぽくて、話しかけ難いオーラを放っている人でさえ、姉さんの笑顔にはイチコロだもんな。

それが野郎であれば、魅了効果も付与されます。

 

 

なんか解説パートみたいに、長ったらしくなったが、結論を言えば住民の皆さんは姉さんの人柄の良さに絆されたってことだ。

言い方はアレかもしれないけど、実際そうだし。

自分を追い込み、精神が削られている最中、突如現れる女神の微笑み。

それは水を求めて砂漠をさ迷う中、オアシスを発見出来た気分のようなものだろう。

俺は毎日経験してるが、姉さんの朝の挨拶は文字通り一日の始まりだ。姉さんの微笑みには何かしら人を元気にさせる成分があるんじゃないかと、常日頃から思ってたりする。

 

 

「おう!春じゃねぇか。はよーさん。今日は千雪ちゃんとは一緒じゃねぇのかい」

 

「おはよーございます、マサさん。俺だっていつも姉さんと一緒ってわけじゃありませんから」

 

なーんてことを考えながら走ってたせいか、いつもの休憩ポイント。言わば中間地点の公園までやってきていた。声をかけられるまで気付かなかったよ……けど、誰だって集中している所であればしょうがないだろう。俺だってそうだしね。

 

剽軽顔でツルッとした輝かしい頂に巻いた鉢巻。積み荷にクーラーボックスを固定した、愛車の自転車に今日もペダルを漕ぎます。

この如何にもな気前の良さそうな風貌のおじさんはマサさん。エリーりゃんみたく、あだ名が正式名称と言っても過言ではない程、その愛称で近所の人たちに親しまれている。

本名は俺も知らん。

 

「なぁ~にぃ?ガキの頃から千雪ちゃんのケツを追っかけてたマセガキがなーにいってんでぇ。あれか?春も色を知る頃ってか!」

 

「いや、ガキの頃つっても、俺がこっちに来たのって5年前くらいですから」

 

「中坊は立派なガキだっつの!ったく、いっちょまえに口が達者になりやがって。口先だけの男は女にモテねぇぞ?」

 

余計なお世話です。とマサさんに返し、ちょうど良い木陰となってる木の側に腰を下ろす。

持参してきたスポドリの入ったペットボトルを取り出し、水分補給をしつつ涼む。

疲れた体にヒヤッと快適!みたいな宣伝をどっかのアイドルがCMで紹介してたっけコレ。CMの口上なんてあんまあてにしてないけど、実際これは良いものだ。

 

「カーーーッ!そんな消極的なすたいるじゃ良いおなごはやってこねぇぞ。男だったらガンガンと積極的に、押し倒す勢いで腰を振ってかなきゃな!」

 

ガッハッハと気前よく笑うマサさん。その潔さっていうか、豪快さは尊敬に値する。リスペクトしたいとは微塵も思わんけど。

てかその親指と人差し指で輪っかを作って、反対の手の人差し指を入れ差しする動きやめてください。

ほら、あそこで走ってるお姉さんがこっちを真っ赤な顔で見てますし。

 

「耳の穴かっぽじってよーく聞けよ、草食系男児。近年のわかい奴らは昔と比べて、交際傾向が下がってきてやがる。なぜだかわかるか?」

 

まぁ、なんとなくは。

お互いの理想のパートナーを求める像が高かったり、今じゃアニメや漫画。現実逃避にはうってつけのエンターテイメントが揃ってるからなぁ。

 

「そうっ、その通り!」

 

俺がマサさんに返答するよりも早く、マサさんはビシッとこっちに指を指して答えを突きつけて来た。

まだ何も言っておりませんが。

 

「お前みたいなひょろっちぃもやし男子が世に蔓延ってるせいだからでぃ!」

 

えぇ……俺ってそんなにガリガリ君に見えるのかね。

アクセ◯レーターみたいに骨だけってわけでもないし、かといって阿◯々木さんみたいな細マッチョってわけでもないけどさ。

人並みには鍛えてる……はず。

 

「そうですか?それも関係なくはないと思いますけど、街中を歩いてると、如何にもなインテリ系男子が、同年代の女の子と仲睦まじくデートしてる光景なんてありふれてますし」

 

言い方はあれだが、ぽっちゃりしてるオタク系の男がめっちゃ美人な人と腕を組み合っていたりするし。

逆も然りだ。確かに第一印象としてルックスも大丈夫ですだろうが、最終的に男女の仲を決めるのって中身……てか、互いの相性だと思う。

が、マサさんに俺の声は伝わらず、ますますヒートアップしていく。

 

「最近のわかい奴らは体裁やらプライドやら余計な事ばかり考えて、行動に移ろうとしやがらねぇ。気になった雌を見つけたら、即行動!頭で考えるよりも行動で示さにゃねーとな。ウカウカしてたら、他の雄に食われちまうぞ。良い獲物は自分だけじゃなく、他のライバルたちも狙ってるんだからな。俺っちが若い頃なんてなぁ……おっと、勘違いすんじゃねぇぞ?俺っちは今もまだまだ若い。俺の息子だってまだまだ現役だし、上さんとの夜のプロレス勝負は、毎度俺っちに軍配が上がってるしな!!」

 

年寄りの過ぎ去った栄光話は長いとよく言うが、ホントその通りだと思う。

自分に酔ってるかの如く、過去話を交えた恋愛教授が続く。

それは別にいいとして、せめて奥さんとの生々しい夜のやり取りは語らないでほしい。それともっと声のボリュームを落として下さい。

愛犬の散歩で公園に足を運んで、談笑をしていたおばさんたちがこっちを見て、ひそひそ話してますから。

 

……早朝からおっさんと共に猥談で盛り上がってる(旗から見て)光景。うん、俺じゃなくても嫌だわな。

あんまり雑に応対しても、後々面倒なことになるのは過去の事例からして目に見えているので、話半分程度に聞いておく。

自分の武勇伝を交えたマサさん式恋愛指南も終わりが見えてきた。バレないように、腕時計に視線を移し、時間を確認する。

うん、わかっていたがいつもより結構ギリギリになりそうな時間だ。これは帰りのペースは早めないと姉さんに心配されそうだ。

 

「きっと千雪ちゃんも色んな野郎共に言い寄られてるに違いねぇな。あんだけのべっぴんさんだ。放っておく方がどうかしちまってるってもんだ」

 

弟フィルター越しでさえ、姉さん以上の女性を見たことがないって断言できるもんな。

浮わついた話とかあんま聞かないけど、どうなんだろうか。良い人の二人か三人はいたりして……ないな。

一人ならまだしも、複数人はないだろうな。

彼氏……いるのかな?姉さんの友人に間接的に聞いたことはあるけど、本人に聞いてみたことはない。

仮にいたとしよう。高学歴、高身長、高収入。いわゆる3Kのじゃなくてもいい。姉さんを幸せにできそうな人なら、俺はどんな人だろうと祝福できる。

あ、そういえば今の女性は3Kよりも低姿勢、低リスク、低依存、低燃費の4Tな男性の方を求めてるらしい。……時代は高より低なのかね。

……それよか、幸せの定義がどんなもんかは人によって違うしな……幸せ、幸せ……うーん。

 

「って、聞いてるか春?」

 

「すみませんマサさん。ちょっと時間推してるんで、ここらで失礼しますね」

 

話の途中で申し訳ないが、一礼した後背を向け、来た道をまた戻っていく。

うーん……恋愛だけが幸せとは限らないけど……うーーーーん。

 

「お、おう。カルシウムはしっかりとれよーーー!若人よ!!」

 

マサさんお決まりの台詞が聞こえてきたが、俺の意識は早く帰宅することにしか向いていなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……美しすぎる花が身近すぎて、本人はその花しか目に入ってないのかねぇ……はてさて、どうなることやら」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

というわけで、聞いてみることにした。

 

「姉さんって、彼氏いるの?」

 

ガシャーン!

 

同時に姉さんの方から何かが割れる音が響いた。

 

「ちょ、大丈夫?」

 

慌てて、流し台で洗い物をしていた姉さんの所へ向かう。

ランニング後、姉さんお手製の朝食を食べ、通学の時間までの間、ニュースを見ていたわけですが……さりげなさが足りなかったか?他の話も交えて、自然に切り出したはずだが。

 

「ご、ごめんね。春君。春君が大切にしていたマグ割っちゃって」

 

「いや、気にしないでいいから。それより、怪我はない?手とか大丈夫?」

 

「うん、特に怪我はーーーーあっ」

 

聞くよりも早く、姉さんの腕を取り確認する。

この人は人に心配をかけまいと、我慢したり、表に出さなかったりと強情な所があるからな。

本人はそれが俺にバレてないと思っているだろうが、ばればれである。

 

「……出血もしてないし、大丈夫そうだね」

 

腕を離し、顔を上げると顔を赤らめつつ、頬を膨らませてこっちを睨んで?いた。

 

「もう……春君、急に女の子に触れたりするのはダメ、なんだからね」

 

「え、あーうん。それについてはゴメン。でも、姉さんが怪我をしてたらと思ったら、居ても立っても居られなくて」

 

怪我による後遺症や、傷跡が残ったりでもしたら大変だ。

説くに姉さんは女なんだし、治療が遅れて傷跡が残りましたーなんてのは最悪だし。

 

「そ、そういう勘違いさせそうな発言も禁止っ」

 

そんなこと言われましても、事実なんだし。

なんかよくわからんが、ぷりぷりしている。

若干顔がにやけてるようにも見えなくはないし、怒ってるのか喜んでるのか判別に困るが、先に床に散らばっている残骸を片す方が優先だ。

軍手を両手に装着し、破片を改修工事していく。

姉さんには収集用のビニール袋を構えてもらっている。初めは「割ったのは私だから、私がやるから」なんてこの期に及んで、一人で片付けようとしたので、問答無用で姉さんに指示をし、強引に手伝うことにした。

 

「……あの、春君は」

 

俯きながら、絞り出すかのように小さな声だった。

聞きたいけど聞きにくい。それでも勇気を出して聞いてみよう。そんな感じの雰囲気をまとっていた。

 

「今気になる人……ううん。付き合ってる人っているの?」

 

「それって女性限定で?」

 

「あ、当たり前だよっ。男の子同士でなんて……待って。そんなこと言うってことは……気になる男の子がいるの!?」

 

あ、これは後で面倒なことになるやつだ。

気落ちしている姉さんを和ませようとした冗談だったのだが、マジに捉えたらしい。

破片が入ったビニール袋を落としたにも関わらず、その華奢な腕のどこに力があるのだろうかと思うぐらいの強い力で、両肩を掴んでくる。

 

「だ、ダメだよっ!春君がどんな趣味嗜好の持ち主でも、お姉ちゃんは受け入れてあげれるけど……同性愛はダメっ。別に同性愛を否定してるわけじゃないけどね、最近は世の中で色んな動きがあるし……ってそうじゃない!女の子に興味がないの?柔らかい肌とか、女の子特有の香りとか……それよりも、男の子の硬い筋肉や、運動後の汗の臭いの方がいいの!?……はっ!?だ、だからなの!?春君のお部屋に一つもえっちな本がないのって!店長のセクハラにも満更じゃなさそうなのは……そうなのっ!?そういうことなの!?以前お姉ちゃんが着替えていて、下着姿だったのを見て反応がなかったのはそういうことなのね……ふふっ、春君ったら、いつの間にかお姉ちゃんの知らない春君になっていたのね……」

 

アカン。姉さんの瞳から光が徐々に失ってきてる。

こんなに感情が無になったのを見るのは初めてかもしれない。

早々にさっきのは冗談でした~テヘペロ(・ω<) で済めばいいんだけど……完全にタイミングを失った上に、遅かれ早かれ結果は変わらない気がする。

今の発言に山程ツッコミたいことはあるが、それよりも姉さんを戻ってこさせないと。

 

「もうこうなったら、私が体を張って春君に女の子の良さを教えるしか……」

 

「いや……姉さん?さっきのは冗談だから」

 

「そう……冗談、冗談なのね………………………………冗談?」

 

「っていうか、俺一言も男に興味があるって言ってないけど」

 

「…………………あ」

 

誤解を招く方向に持ってたのは俺だが、肯定したわけではない。姉さんが暴走して、勘違いしただけだ。

要は一人相撲である。

勘違いに気がついたようで、咳払いし落ち着きを取り戻そうとしていた。

尚、顔が赤くなっている模様。

 

「それじゃあ、春君に興味があるのは……」

 

「異性、女性、ウーマン。女の子だけですよ?」

 

「本当に?店長みたいな人がタイプじゃなくて?」

 

「完全に守備範囲外どころか、選択肢にすらないから。それと、さっきエリーちゃんのセクハラに満更でもなさそうとかって言ってたけど、嫌だから。店長じゃなけりゃ、ぶっ飛ばしてるから」

 

「えっちな本とか一つも所持してないのは?」

 

「今は紙媒体じゃなくて、データ化の時代だからね。俺はHDD保存してるだけだから、そういうのに手を出してないわけじゃないから」

 

「そ、そうなんだ……興味本意で聞くけど。ど、ど、どんなのがあるの?」

 

「いや、さすがにそれは教えられないから」

 

シュンと肩を緒とされてしまった。

馬鹿正直に答えてるとはいえ、羞恥心の一つや二つは誰にだってあるさ、俺にだってあるしね。

 

「で、最初の質問の答えだけど今付き合ってる人はいないよ」

 

一通り片付け終わり、立ち上がる。

あんだけ姉さんを勘違いさせてしまったので、ここで答えないのはさすがに酷だった為、フリーであることを伝える。

 

「そうなんだ…?告白されたり、告白してみようとか思ったりしないの?」

 

「されたことないね。告白するしない云々以前に、相手がね……」

 

謂わば、年齢=DTな人ってやつ。回りの男子学生たちは常日頃から、かわいい女子と付き合ってみたいだとか、ドスケベなことしてみたいだとかな性欲に忠実な会話を良くしてるが、俺はそんなにガッツいてるわけじゃないっぽい。

人並みには興味がある……とは思うんだけど。

こういうとこなんかね。俺に積極性がないってのは。

 

「ほんとに?春君みたいに、優しくて、気が利いて、かっこよくて、頼りになる男の子を放っておくなんて、回りの子は見る目がないのかな」

 

これが他の人が言ったものなら、お世辞なんだろうとわかる。

が、この淀みのない台詞に加えほんわかオーラを放つ御方の言葉である。

それが本心から思っていることなんだとわかる。

で、最後にボソッと「私だったら、放っておかないんだけどなぁ」言ったみたいだが、バッチリと聞こえているんですよね。

これがハーレム物の鈍感ラノベ主人公ならば、お得意の難聴スキルが発動して、聞き逃すんだろうけども。

残念ながら、これはリアル。俺は主人公でもなんでもない。

滅茶苦茶頬がにやけそうなのを耐える。ポーカーフェイスに自信がありますので。

 

「女の子のお友達はいないの?」

 

「え?うーん……」

 

友達……友達ねぇ。向こうがどう思ってるのかしらないけど、いるのだろうか。

いや、俺がコミュ障のボッチってわけじゃありませんよ?俺にだって男友達の一人や二人はいるよ。ギャルゲー主人公お得意のたちとは比較にならない程には……ね。

言っておいてなんだが、ギャルゲーとかエロゲーの主人公って男友達が一人もいない作品って結構あるよな。

諸事情やら大人の事情ってのがあるんだろうけど……世の中の社会並みに理不尽にモテまくるからかね。男が寄ってくる前に、ヒロインたちがやって来るからなのだろうか。

それはさておいて、取り敢えず今までの女性関係……いや、言い方が悪いな。異性の交遊関係をたどっていく。

 

 

真っ先に思い浮かんだのは隣の席のクラスメイツ。姉さんが対象だったのなら、即座に浮かぶのは姉さんだけれども、残念ながら今回は枠に入らない。

 

人前に出るのが苦手、長時間人混みになんていられるかぁ!私は家に引き込もってゲームをするぞぉぉぉ!な超インドア派な双子の姉。

 

その姉を溺愛し、献身……もはや、介護の域なんじゃないかと思ってるけど、大好きならしょうがないネ。隣のクラスのギャルっぽい双子の妹。

 

いつぞやかに、迷子になっていた女の子を親御さんの元に届けてから、慕ってくれたのか、好奇心旺盛で成長期真っ最中。人懐っこいワンコを彷彿とさせる、ヒーローに憧れる小学生

 

三度の飯より食べることが好き。私、お菓子、食べまーす!特技が食べることな別学校に通ってる同年代のスイーツ?系女子。

 

道を歩くだけで、女の子は振り返る。男も当然視線が釘付けに。言動も立ち振舞いも容姿もイケメン。でも時たま魅せる女性的な表情にクラっと……する時もあるかな?うん。学校は違えど、なぜか先輩と呼びたくなる現役モデルもやってる御方。

 

友人たちとストリートバスケしている時に出会った、日本人とアメリカ人のハーフらしい天真爛漫なこれまたスキンシップが激しい一つ年下の後輩ちゃん。

同じく学校は違います。

 

 

ざっとこんな感じか。割りと学区外での交遊があるのな俺。

人数的には多いのか少ないのかわからんけど……で、男友達は…………あれ?男よりも女友達の方が多くね?

いやいやいや、同性の方は友達……もとい悪友だと断言できえうだろうが、異性の方は……わかりません。

いやだってさ、俺らの年頃で異性との距離感を測るのって至難じゃない?小学生低学年まではさ、休み時間を利用して鬼ごっことかドロケイなんてのを性別関係なくやるじゃない。

けど、高学年からはそれもなくなっていくでしょ?

女子の方が男子よりも精神年齢は高いってよく言うから、何時までたってもガキのままな男子とツルむより、楽しいのかもしれんね。

 

 

「むぅ……春君ってば、そんなに考え込んで……やっぱり女の子のお友達、いっぱいいるんだ」

 

「え?いやいや。そうでもないって。普通だよ、普通に数人いるくらいだって」

 

質問に正確に答えず、遠回しに返答し煙襟に巻く。

実際関わりがあるだけであって、友達かはわからんし。

知り合い以上友達未満的な。

 

「怪しい……」

 

が、その対処はあまりよろしくなかったらしい。

姉さんの不信感が上昇し、探るような視線を向けてくる。

 

「そう言われましても、俺が姉さんに嘘はつかないし」

 

「そうね、春君はイイ子だもんね」

 

にっこりと笑顔を浮かべ、頭を撫でてくる。

昔から事あるごとに姉さんは俺の頭を撫でようとしてくる。撫でるというより、甘やかしたいって願望が伝わってくる。

自惚れなんかじゃないよ?姉さんの事に関しては両親よりも詳しいと自信を持っていえるし。

 

頑張ったねと誉められながら、優しい手付きで撫でられるのが好きだったなぁ。……過去形じゃないな。今現在でも気恥ずかしさはあるけど、この実家にいるような安心感。好きですわ。

昔よりも、俺の方が姉さんより10㎝以上タッパがあるので、少し背伸びして撫でようとするのがまたグッとくる。

たとえ、知り合いの前だろうと、この手を払い除けるなんてとんでもない!

 

「ふふ……でも」

 

撫でられていた手が止まり、頭から頬までなぞる様に触れてくる。

あ、これはヤバい流れだ。

 

「本当のことも言ってないよね?」

 

「…………」

 

普段怒らない人が怒ると下手なホラー映画より怖い。これを最初に説いた心理学者って凄いわ。

年上の美人な女性に、頬を撫でられるっていう、同級生の男子が選ぶ『されてみたいスキンシップランキング』の上位に食い込む行為をされてるというのに、トキメキがありません。

あるのは怯えによる、ドキドキです。

目線を姉さんに合わせると顔はにっこりと笑っていた。

プンプンレベル(姉さん命名)は2と言った所か。

 

「……」

 

「……ふふっ♪」

 

「…………」

 

「はーる君っ♪」

 

「えっと……あのですね」

 

俺氏陥落。

無言のプレッシャーもだが、姉さんの甘い声で囁かれてしまったらしょうがない。多分、状態以上魅了を付与してくるんじゃないかな。

ち、違う。俺は悪くねえぞっ、誰だってこんなことされたら、同じになるに決まってる!俺は悪くねぇ!俺は悪くねぇ!

 

「何人?」

 

「6人です」

 

脳内親善大使さんごっこをして、軽く現実逃避をしていたが、姉さんの一言で現実に帰る。

 

「そ、そんなにいるの?」

 

「え?ていうか、多いのかな」

 

「多いよ!絶対!私はてっきり、2、3人くらいなのかなって」

 

「まぁ……男のダチはそんくらいだけどさ」

 

「ど、同性の倍……」

 

今のでかなりの衝撃を受けたらしい。

額に手を当て、クラっと立ちくらみかけていた。片付けたといえ、ひょっとしたらまだ破片が残っているかもしれないので、慌てて抱き止める。

そ、そんなに気分が悪くなるまでのインパクトだったの?

 

「やっぱり春君は私の知らない所で、大人な春君になっていたのね……」

 

なんかまたおもっくそ勘違いされてる。

 

「あのさ、さっきは6人って言ったけどさ、他の女子よりかは少し仲が良いと思った人を上げただけだから。こっちの予想なだけだから、実際はそれ以下かもしれないし」

 

「そんなことないと思うけど……春君と一緒にいるだけで、女の子たちは楽しいと思ってるんじゃないかな」

 

「んな、ラノベの主人公じゃないんだから……」

 

「春君はきっとキ◯ト君みたいに無自覚にフェロモンを放ってるよ。間違いなく」

 

「えっ、そこまで!?」

 

もはや人間たらしの域じゃないですかヤダー。

まぁ、三国志に迷い混んだ種馬さんやら、鈍感どころか、わざとやってんじゃないかと思うくらい唐変木な、世界にただ一人男でパワードスーツを着こなす方々よりかはいいけどさ。

シャルルかわいいよね。パツキン純情乙女とかご馳走さまです。初々しい所もまたよし。

 

「……って、もうこんな時間か。そろそろ出ないと」

 

この時間に出れば、HR30分前には学校に着く。ギリギリすぎると遅刻しかねないし、かと言って早すぎても面倒事を先生に押し付けられるし(経験者)

いつもある程度余裕を持って、通学をしているんだからねっ。勘違いしないでよねっ。決して逃げようとしてるわけじゃないから!これは戦略的撤退だから!

 

「むぅ……逃げた。はい、今日のお弁当」

 

「ん、ありがとう。姉さん」

 

見るからにご機嫌がよろしくない姉さんから、弁当を受けとる。

親元から離れ、今の俺と姉さんは2LDKのマンションに二人で暮らしている。実家の山口からこっちに移ってきたのは姉さんが専門学校へと進路が決まった時だから、約5年前のこと。

本来俺は姉さんとこっちにくることはなかったんだけど……やっぱ姉さんと一緒にいたかったし、少しでも姉さんの負担を減らしたかったから。

なんて言っておいてるんですが、姉さんもこの後仕事だってのに、俺の分の弁当に朝食を作ってもらってるんですけどね。

最初は俺が朝、夜そして昼の分の弁当を全部やってたんだけどね……いつだったか、姉さんが

 

『私の為に頑張ってくれているのすっごく嬉しいけど、春君だって学校もあるんだし、私にも手伝わせて。ね?』

 

家事も料理も、一緒にやる方が二人で生活してるって感じがするでしょ?とのこと。

なので今ではお互いに話し合い、家事等分担している。食事に関しては状況にもよるが交代制でいて、今日で例えると朝が姉さんなので、夜は俺。翌日は朝が俺で夜は姉さん。

とまぁ、こんな感じのローテーションである。

 

「それじゃ、行ってくるね」

 

「うん。行ってらっしゃい。気をつけてね」

 

姉さんに見送られ、家を出るーーーーが、ここで普段と違うことが一つある。

俺が家を出る前に、姉さんは決まって

 

「ハンカチ持った?忘れ物もない?宿題はちゃんと鞄に入ってる?身だしなみも……あ、ここ。前髪が跳ねてるよ。しょうがないなぁ、じっとしてて。直して上げる。…………うん、よしっ。これで大丈夫。バッチリ♪」

 

母さんか!……姉さんだった。

とまぁ、これは一昨日のやり取りを記憶の過去ログから引っ張ってきたわけですが。

要は、小学生のお子さんを持つ母親の門前チェックを行う姉。それが今日は朝からトラブルが起き、弟が知らぬ間に知らない女と仲良くしている事実。

おねえちゃん!おれ、しってるよ!そういうのって「シット」ていうんだよね?

 

家族愛だろうが、親愛から来た嫉妬だろうがそんなことはどうでもいい。重要じゃない。重要なのは姉さんが妬いてくれたという事実。

姉の嫉妬に喜ぶ弟なんて、引くわ~マジ引くわ~なんて言われても良いんだ。重要じゃない。

 

私にももっと甘えて、構ってという願望がありつつも、弟の手前それをおおっぴらに出さず。が、仕草や表情でそれが出てしまっている。うん、こんな姉さんを見てるだけでご飯三杯はいけるね。

今ならどんな敵でも倒せそう!こんな気持ち初めてじゃないけど気持ちいい。もうわたし、なにもこわくない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

これで、全部俺の妄想から産まれた産物だったら笑うわ。

 

「姉さん」

 

玄関の取っ手に手をかけたまま、肩越しに本音の言葉をかける。

 

「俺の一番はどんなことがあろうと、姉さんが一番だから」

 

ギャーーーー!これは恥ずかしい!そして俺キメェ!よく噛まずにこんな上から目線の言葉言えたな俺!ギャルゲーやハーレム物の主人公たちは息を吐くように、歯が浮くような台詞を言えるの?歯だけにって?やかましいわ!

こんなの他の人には絶対言えませんわ。自意識過剰とかナルシストとかってレベルじゃないわ。やっぱ主人公ってすごいのね。俺には無理だったよ……こんなに天然ジゴロ主人公たちと俺で意識の差があるとは思わなかった……!

 

「じゃ、じゃあ、行ってくるかりゃ!」

 

あ、噛んじった。

結局姉さんの口から、彼氏がいるかいないか聞けてなかったけど、さっきの反応からしたら、いなそうだよなぁ……なんでだろ?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

春君可愛いかったなぁ。恥ずかしいのを堪えてまで、私の為に言ってくれて。

あんなに顔真っ赤にしちゃって。私が一番……なんて。

 

「~~~♪」

 

思わず鼻唄を口ずさむくらいに、私のテンションは上がっている。

最近は春君も大人びてきていて、あんな風に隙を見せてくれることも少なくなってきたからなぁ。

いつの間にか背も抜かされちゃって……今じゃ、頭を撫でるにも背伸びをしないといけないし。

でも、大きくなっても、小さい春君でも春君は今も昔も変わらず優しい春君のまま。

お姉ちゃん知っているんだよ?春君がいつも自分の事を二の次にして、私を最優先に考えて、行動しているんだって。

 

いつかはそれも、春君の隣に立ってくれる好い人が現れるんだろうけど、その日が来るまでは……私でもいいよね?

よしっ、そろそろお仕事に向かいましょう。

 

「ふふっ、今日も1日頑張れそう♪」

 

 

 

 




桑山春彦 2話目にして、名が明かされる。弟君、春君、春秋君。色々な呼び名がある。青春を謳歌中。

青葉さん ワレアオバ。商店街の一角で夫と八百屋をやっている。夫に内緒で深夜通販にて、ダイエット商品を良く買っている。

マサさん 魚屋を経営してる気前の良いおじさん。悩める少年達を激励したり、相談にのったり、自分の武勇伝を語ったりと救いの手を差しのべ、正しき道に導く人生の先輩。奥さんが凄い美少女で、結婚してから20年経った今でも仲は良好。
「いやー!たまには千雪ちゃんみたいな若い娘とお近づきになりたいねぇ!アイツも最近は年のせいで、肌の張りがーーーー」
実はこのキャラにはモデルがいたりする。今後登場するかは未定。

千雪さん 弟の女性関係が凄く気になるこの頃。弟以外とは手を握ることすらしたことがない。弟が絡むとたまに思考回路が暴走する。
学生時代、年齢問わず男子から人気があり、お近づきになろうとしたのが多数いたが、友人たちのブロックと本人がそこまで男女の交際に興味を持っていたわけでもないので、玉砕された男子は数知れないとか……
今現在交際している彼氏はいないという。
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