サティスファクションの人たちみたいに、サティスファクションするまで回します。
突然ですが、皆さんはご存知だろうか。花を育てるに当たって大事な要素と言うものを。
まずは水やり。基本中の基本ですね。室内のような雨降らない場所では絶対必要案件ですね。それくらいは誰だって知ってるさ。俺だって知ってるくらいだしね。
まぁ、品種や季節によって変わってくるとはいえ、水やりは大事。
そして、肥料。大事ですよね、肥料。俺たちが肉や野菜で色んな物を食べて、栄養を取るように花だって同じである。
まぁ、これは教室に飾られているヤツだから、肥料云々は担任がやってるんだけど。
そして最後に愛情。たとえ、この花が俺が一から育てている花じゃないとか、時々他の人に水を与えられて、しかもその量が多すぎたり、足りなかったりと余計なことをすんじゃねぇと思うことはあるが、そんなことはいい。重要じゃない。
そう、愛。愛情。愛さえあればなんでもできる!……とは思ってないけど。それなりに重要だと思いマス。
コミュニケーションは大事。人であれ、ペットであれ、植物であれ。
人の言葉が通じない思っているそこのアナタ!
たしかに意志疎通はムズカシイでしょう。犬や猫と違ってわかりやすい反応が返ってくるわけでもない。
でもね、生きているんですよ。植物、動物、生物。
生きているんですから!ほら、この力強い根っこ見てくださいよ。力強いよねぇ~、この俺の熱い燃えるようなパッションが伝わっているはず。
そして、いつかふつくしい花を咲かせれば、きっと美少女化して恩を返してくれるさっ。
ほら、ドラ◯もんののび太君にそんな話なかった?夢は叶う。諦めれなければきっと叶う!だから俺は話しかけるのをやめない。
君が、擬人化、するまで、私は、トーク、やめません。
Never Give Up!!!
「……どうしよう、いつ話しかけようか鍵?」
「一心不乱に花に話しかけまくってるクラスメイトを見つけたんだが、どう思う?っと。……お、レスはえぇな」
私、人に、見られても、気にしませんっ!!
「まったく、人がせっかくパンジーさんに話しかけてたってのによ」
「え?パンジーさんってこの花の名前?確かこの花って、ナデシコじゃなかった?」
「あぁ、そうだけど?何か問題でも?」
「いや、問題しかないだろ……なんだよ、パンジーでもないのにパンジーさんって」
「名前がないよりかはいいだろ?大事なのは外見じゃない。中身だ」
「うわぁ……説得力の欠片もないね」
なにやら、俺のネーミングに納得がいってない友人のYとS。
むむ……やっぱきらめくパンジーさんの方が良かったか。
「なに言ってんだ春彦!ルックスは大事だろう!中身なんて二の次だ!」
「ねぇ、春。鍵は一体何の話をしているんだろう?」
「気にすんな。いつもの発情だろう」
そっかと言って、納得した友人Yは友人Sを放置し、俺と一緒に俺の席に向かう。
やつは365日、年中無休で脳内ピンク色な思考回路をしているんだ。それをやめろと言ったら死んでしまうだろう。
マグロと一緒なもんだな。
……あ、それはマグロ失礼か。
「おいおい、無視するなっての!いいか?大事なのはーーーー」
「お前はマグロに謝って、地中海付近を遊泳してろ」
「いきなり何の話!?」
おまいう。
この如何にもな二枚目風のチャラいDQNなりさがりの残念なイケメンは杉崎鍵。
去年からクラスメイト、女好き、モテない。以上。
「ちょっと待って!?あんまりな紹介じゃない!?俺こう見えても主人公だから!ここじゃあただの主人公の相棒ポジションだけど、原作では輝いているから!みんな、誤解しないでね!」
「ねぇ、春。鍵は誰に向かって話しているんだろう」
「気にするな。いつもの発作だろ」
どこからともなく、自身が執筆したらしい議事録書籍を取り出して、回りにアピールし出した。
なお、今現在この教室には俺ら三人しかおりません。
「向こうの杉崎もこっちの杉崎も対して変わらないだろうに……」
「変わるわ!俺あっちではめっちゃモテモテだから!ハーレム王だから!ちゃんと主人公しているし!」
「昼夜問わずこの世の全ての美少女は俺のもの発言したり、初対面の女性相手だろうが、形振り構わず告白したり、自分より一回り……いや、二回り小さい幼女を辱しめることに快感を覚えたり、見目麗しい先輩に、雑に扱われて興奮したり、同じクラスメイトの副会長を襲ったのはいいものの、返り討ちにあい、だんだんと痛みが快楽に変わってきたり、インドア系後輩には薄い本のネタにされている男が、か?」
「めっちゃ悪意のある解釈すぎません!?事実だけど!事実だけどさ!!あぁっ!明久引かないでくれ!確かに春彦が言っていることは間違っちゃいないけど、脚色入ってるから!」
てゆーかお前詳しくね!?俺のファンなの!?なんて自意識過剰も甚だしい勘違いをしている杉崎はスルー。
みんな信じられるか?こんなんでもコイツ、この学校の副会長なんだぜ……?
こんなノリと欲望と下半身だけで生きているような男が、人の上に立つ立場にいるなんて……こんなの普通じゃ考えられない……!
「……で、お前ら来るの早くないか?普段もっと遅いだろ」
「うん。僕だってもっと寝てたかったんだけどね。先週、鉄人が早く来いって言ってたのを思い出してさ」
「なんだ。またお呼びだしか」
「またとは失礼な!それじゃあ、僕が毎回問題を起こしてるみたいじゃないか!」
「いや、じっさい問題児だろ」
友人Yこと自身のやらかしてきた事の大きさを理解してない男、吉井明久。
一言で言えば馬と鹿。この男と言えば、馬鹿。
馬鹿であるが、なんというか、居心地の良い馬鹿?あぁ、あれだ。よく言う愛すべき馬鹿的な。
なお、鉄人と言うのは2年生の学年主任で、うちの担任のあだ名。西村先生。
趣味がトライアスロンの見るからに、体育会系の先生。
熱血指導で、生活指導に力を入れており、一部の生徒には恐れられているが、生徒と向き合おうとする姿勢は本物であり、真面目な生徒からはめっちゃ頼りにされてる先生だ。
明久から、鉄人の愚痴を散々聞かされている身ではあるが、俺としては鉄人みたいな先生は好ましいし、こういった先生ってそうそういるわけじゃないしなぁ。それに鉄人の教え方ってかなりわかりやすいし。
外見、中身とめっちゃエリーちゃん好みの人である。
……うん、この情報はどうでもいいわな。
「むっ、言うに事欠いてそれを鍵が言う?鍵よりかは断然僕の方が善良生徒だって!」
「善良生徒は教師の私物を売りさばいたりしないんだよなぁ」
「うっ!い、いやあれはそうせざるを得なかったというか……事情がありましたというか……」
「事情って?」
事情を知らない杉崎に聞かれ、答えにくそうにし、こっちに助けを求めるように、視線をチラチラと向けてくる。
その件に関わっているのが、この場には俺だけだから助けを求めるのはわからなくもないが。
明久よ。あまり公にしたくはないとはいえ、隠し事をするならもうちょっとポーカーフェイスをだな……ほら、意味ありげな視線を向けてくるから杉崎に気付かれちゃったじゃん。
踏み込みにくい事を聞いてしまったかと、バツの悪い顔をし、頭をかく杉崎。
普段は大変変態な男なくせに、こういうとこは気が利くとかなんというか……
「そんで、杉崎も明久と同じく呼び出しをくらった系?解雇?退学?」
「待てぇい!何がどうなってその2択が出てきた!学校辞めさせられる用な事してなくね!?」
「え?ついに女子生徒を襲ったのが学校側にバレたんじゃないの?」
「何の疑いもなく言い張るのやめてもらえません!?俺そんな見境ないわけじゃないし!」
美少女にしか、興味ありません発言してる男が何を言っているんですかねぇ……
なんにせよ、話題の方向を逸らすことはできた。杉崎の性格からして、それでさっきの話は?って聞いてくることはないし。
明久から、小声で助かったよ、お礼を言われる。
貸し一つな。
「生徒会のことでちょっとな。早く来てやりたいことあったんだよ」
「お、案外まともな内容だった」
「美少女の為なら、俺はどんなことでしてみせるさっ」
キラーンとニカッ笑ってみせ、爽やかスマイルを浮かべる。
若干その顔を吹っ飛ばしたい衝動に買われたが、なんとか抑える。
静まれ、俺の左腕よ……!落ち着くんだ、冷静になれ。俺の拳はこんなやつに振るうためにあるんじゃない……
「そ、それで春はどうしてこんな早く?」
震える左手を抑えている俺に気がついたせいなのか、それとも同じ思いを抱いていたのか、明久が割り込んできた。
「俺はたまたま早く来ただけ。で、ついでにパンジーさんの水やりやら、鉄人に色々頼み事をされたりしてたわけ」
そう言って、頼まれた事を説明していく。
つっても、HRに必要な書類のコピーだとか、ちょっとしたお使いだけど。
「ほぇ~……クラス委員でもないのに、春って先生たち良く頼まれ事をされるよね」
「ふっふっふ、一応優等生で通ってますしおすし」
成績も上位にいつも食い込んでるし、先生達の前では頼み事をされやすいように立ち振舞っているからな。そうしておくことで、こっちも色々融通が利きやすいし。
「まぁ、そんなわけで今から鉄人の依頼をこなしていくわけですが……二人とも暇だろ?手伝ってくれるよな?」
「オッケー、することもないし手伝うよ。鉄人評価も上がりそうだし」
いや、それ以前に、明久に対する鉄人の評価は挽回できないレベルで地に伏しているんだよなぁ……日頃の行いって大事だネ。
「しょうがねぇなぁ。そんなに俺の手を借りたいって言うんならーーーー」
「あ、やっぱ明久一人で十分だし、杉崎は別にいいや」
「待って、すみません置いていかないでください。一緒に連れてってくださいませんか」
しょうがねぇなぁ。
「それでさ、それでさ、来週に新しい機体が追加されるんだって。春も行こうよ!」
「バイトが入ってなければな。具体的な日にちは知らないんだろ?」
「そうなんだよねぇ、噂じゃあ追加されることだけは確かなんだけど」
鉄人のランダムクエスト終わらせ、明久と駄弁りながら廊下を歩く。
杉崎?あいつなら、下級生の女の子を口説きに行った所を、同じ副会長に見つかって、連れていかれた。
「お、桑山に吉井か。おはよーさん。昨日のマド◯ギ見た?おぉ、見たか同士よ!やっぱほむほむいいよなぁ、ほむほむ!あんなクール系美少女が、クラスにいたらなぁ」
「桑山君に吉井君はよーっす。先週の英語の宿題やった?さっすが、桑山君。……え?吉井君やってないの?大丈夫?英語の授業、1時限目だけど」
クラスに戻ると、ぼちぼちとクラスメイトたちがいて、話しかけてくる。
対応をしつつ、自分の席にと戻り、一息着く。
明久?大慌てで席に戻り、教科書を探して机の中を漁っている。持ち帰ってすらいないのか。
……HRまでは時間があるな。何をしようかな。
「……あ。ひー君……おはよ」
そろそろ、F◯OのAPが完全回復するはずだったので、ポチポチと素材周回をしている所だった。ホントマジでオーロラのドロップ渋すぎやしませんかねぇ。しかもなんで水着ジャンヌの再臨素材が、スカスカさんとほぼ被ってんだよ……こんなんじゃ俺、素材周回したくなくなっちまうよ……
……愚痴はさておき、隣からか細い声の持ち主が話しかけてきた。
俺の事をそんな風に呼ぶのは一人しか知らない。
「甜花か。おはよーさん。朝はちゃんと起きれたか?」
赤みのかかった長い髪とハの字に垂れ下がった眉。
口元前に手を合わせ、パッと見からでも人と話すのが苦手だと言うのがなんとなくわかる。
大崎甜花。去年からのクラスメイトで、現在は席がお隣さん。
「うん。今日はなーちゃんに起こしてもらう前に……起きれたよ」
俺が知る限りの彼女についてのことを軽くまとめると。
①かなりの人見知り
②アニメ、ゲーム大好き
③自分に自信がない
④一人じゃなにもできないらしい
⑤身の回りのことは妹(例のなーちゃん)に頼りきり。
こんなもんかね。
②以外の事に関しては、今じゃある程度は改善されている。
出会った頃と比較すると、成長したなぁ……これも俺と回りの人たちの努力の賜物かね。
しどろもどろなのは今もだけど、こうして自分から進んで話しかけてくるなんて……
「そうか。やっぱすげぇよ、甜花は。自分の力で朝起きれるなんて」
「そ、そうかな……にへへ。……ひー君?泣いてるの?」
これが娘の成長を目の辺りにした父親の気分なのかね。
年はとりたくないものだな。涙腺が緩くなってしょうがねぇや。
って、いかんいかん。感傷に浸ってる場合じゃないか。
急に顔を手で覆った俺に、困惑している。
「泣いてないさ。ちょっち目にゴミがだな」
「そう……なの?つ、つらいこととかあったら、甜花でよければきくよ……?」
なんやこの娘。天使か。俺にとっての唯一女神は姉さんだけど、今の甜花も勝らずとも劣らない。
『でしょ~。甜花ちゃんは天使☆はっきりわかるよね』
あいつ……直接脳内に……!?
「大丈夫だ。問題ない」
「……そんな顔して大丈夫……なの?」
「だいじょうぶだ。もんだいない。所で、甜花は一限目の英語の宿題はやったか?」
「う、うん。ひー君の言ったとおり、甜花……一人で頑張ったよ」
「おぉ、偉いな。結構難易度の高い問題もいくつかあったはずなのに」
「うん……わかんないところ、いっぱいあったけど……で、でも、できるところはちゃんとやったよ……?」
「あぁ、それでいいんだよ。まずは一人でやるってことが大事なんだ。重要じゃないわけがないさ。事前にやっておけば、自分が理解できてる所と出来ていない所が把握できるわけだし。教える側からしたら、やりやすいからな」
「ひー君、教え方……すごい上手……。甜花でも……わかりやすいし」
「なに、甜花だって理解しようと頑張る姿勢。それもあるからだ思うぞ。いくら指導する方が優秀でも、受ける側のやる気がなきゃ、身に付かないし」
「にへへ……前は、勉強にがてだったけど……ひー君が教えてくれてからは……前よりも楽しくなったかな」
「良いことじゃないか。モチベーションは大事だしな。……さて、HRまでは時間あるし、わからなかったとこのフォローするか。どうする?」
「う、うん!て、甜花。頑張りゅね!……あ、あう……が、がんばる……」
とまぁ、こんな感じで去年から今まで。甜花が困っていた所を、やたら俺が居合わせていたので助けたり、手伝ったりしていたら……懐かれた。表現があまり良くないか、頼りにされるようになった?うん、こっちのほうしっくりくるかね。
「くそぅくそぅ!甘酸っぱい空気を振り撒きやがってからに……!俺だって美少女に頼られてみたぁい!!」
「うぅ……僕の方が春と付き合いが長いはずなのに……大崎さん、羨ましいなぁ」
「ヴぇっ!?あ、明久……お前、ひょっとして……」
「僕が宿題見せてって言った時は断られたのに……僕たちの友情はこんなにも脆いものだったなんて……!」
「な、なんだ……そういうことかい。それはお前が悪いでしょ。明久は答えを丸写ししようとしてるだけなんだし」
「丸写しじゃないよ!回答も全部同じだと先生にバレるから、所々変えてるし!」
「……口を動かす前に、手を動かしたらどうだ」
「……鍵の宿題を見せてはーーーー」
「昼飯1食分ならいいぞー」
「……親友たちが冷たい」
「親友だからこそだ。ほら、わかんねーとこは教えてやっからよ」
「春は女の子に教えてるのに、僕ときたらむさい男が相手なんて……!この差はいったいなんなの……!」
「さて、固体値厳選作業でもするかなー」
「あぁ、待って!嘘です嘘です!鍵様神様仏様!ほんの冗談だから、見捨てないでぇ~!」
「今日はここまで。各自復習はやっておくように。それと吉井に放課後、職員室に来るように伝えておいてくれ。授業中寝ていたから、居残り補習とな!」
これで午前中の授業は終了っと。厳密にはまだチャイムが鳴るまで数分あるけど。
鉄人が教室から出てくのを確認してから、大きく伸びをする。
こういった動作はなるべく先生達の前では見せないようにしとく。あくびもそうだが、授業をする側からしたら「こいつやる気ねーな」と受け取れるからな。
大人は常に考えて、周囲を見ているのだ。まともな大人ならだが。
「いよっし!待ちに待ったご飯の時間だ!春、一緒に食べようよ」
4限目終了のチャイム同時に、夢の世界から帰って来た明久。毎度思うのだが、普段朝起きれない人が一寸の狂いもなく、授業終了同時に起きれるのはなんでなのだろうか。
あれと同じなのかな。ほら、犬とか猫といったペットが飯の時間になってくると、近寄ったり飯くれアピールをしてくるアレ。
要は習慣と言う名の本能か。
「別にいいけど、お前学食か購買だろ?俺弁当だぞ」
「あ、そういえばいつもは弁当だっけ。しかも、自分で作ってるんでしょ?朝の忙しい時間にだなんて、僕には絶対無理だよ」
「慣れればどうってことないけどな。俺にとっては毎朝歯を磨くのと同じこと。習慣だよ、習慣。それに毎回俺が作ってるわけじゃないし」
このようにすげーだのエライだの、男なのに女子力高いだの言われるが、いまいちピンと来ないんだよねぇ。
当たり前のようにこなしてる事だからな。それに自分一人だけの分だったら、めんどくさくてコンビニのおにぎりとかで済ますしな。
姉さんの為に作るのが前提。俺の分はついでなのだ。
差し詰、姉さんが食玩の玩具で、俺は友達にでも押し付けられる食玩お菓子or外れ食玩みたいなもんだ。
「お姉さんが作ってくれる日もあるんだっけ?いいなぁ、羨ましいよ。家事ができる姉なんて。……本当に羨ましいよ」
最後は地の底から響くような低い怨念こもった声だった。
まぁ……うん。明久のお姉さんの家事の腕は………………
「そう言うなって。お前の姉さん、明久の事めっちゃ愛してるんだし。料理が壊滅的なくらい、お釣りが来るだろ?」
「こないよ!!それどころか、追加で料金を要求できるレベルだって!」
「チップみたいなもんだと思えば平気、平気」
「何処の世界に家族が料理する度に、お金を払わなきゃならないの!?」
「料理は愛情……愛を受けいれたのならば、愛をもって食べし……かの剣豪、宮本武蔵が残した言葉だ」
「嘘だ!絶対嘘だ!春は姉さんの料理を食べたことがないから言えるんだ……!あんな炭火と化した卵焼きなんて、卵焼きじゃないよ……」
「燃え尽きるくらい熱いハートってことじゃん。良かったな明久。異性にそこまで想ってもらえるなんて」
「実の姉じゃなければね!!」
「それより、いいのか?早く行かなくて」
トントンと、左腕につけた腕時計を指す。
ここの購買も学食も競争が激しいので、チャイムがなってすぐ行かないと売り切れたり、席埋まってることなんて良くある。
事実、杉崎はチャイムがなる前に購買へ行ったみたいだし。
それはそうと、武蔵ちゃんかわいいよね。バスターゴリラとか環境落ちセイバーとか言われてるけど、そんなことはどうだっていい。重要じゃない。
性能なんて二の次だ。シナリオゲーにおいて、ゲームの強さ云々は飾りだ。如何にキャラクターを魅力的に映せるかどうかが大事。偉い人にはそれがわからんのですよ!
「うわっ、もうこんな時間!?くそぅ、僕のBLTサンドが!春っ、先に食べてていいから!」
「あいよ~」
フリフリと手を振って、見送る。
彼の戦利品はあんぱんと他菓子パンといったとこか?いや、この時間ならまだカレーパンとかは残ってるかもな。
あ、そういや、鉄人の伝言伝えてねーや。まぁいっか、杉崎が購買にいるだろうから、杉崎に伝えてもらうようlineすっか。
なんにせよ、先にいただくとするかな。
今日は姉さんが作ってくれた弁当だ。いつもよりも、楽しみが三割増しだ。
「やっほー、甜花ちゃん。お昼だよ、お昼。今日は甘奈と一緒に食べよー」
では、箱をパカッと御開帳っと。なーにかな、なーにかなっと。
鳥と卵のそぼろご飯に、一から作ったであろうハンバーグinチーズ(ミニサイズ×2)にサニーレタスonポテトサラダ。それに加え、ちょこんと配置されたミニトマトが。食べやすいようにと、末端がハートマークになっているピックに刺さっている辺り、楽しんで作っているのが難なく想像できる。
「な、なーちゃん……うん、いいよ。一緒に……食べよ」
「やった☆甜花ちゃん確保~」
「ひゃぁっ!なーちゃん、くすぐったい……」
栄養バランスはもちろん、食べ盛りな高校生男子でも満足できるボリューム。
これを食べて、午後の授業もしっかり頑張ってね、と脳内の姉さんが笑顔でエールを送ってくれていた(なぜかチアガール姿で)
では、両手のシワとシワを合わせていただきます!
「今日の甜花ちゃんもサイッコーな抱き心地だね☆ふふーん。どうどう?羨ましいでしょ~」
すっかり冷めているにも関わらず、このお味。中身のチーズもトロみが衰えてないのがまた凄い。
むむむ……これはどう作ってんだろ?姉さんに聞いてーーーーいや、優しい姉さんのことだから、質問したら絶対教えてくれるんだろうけど……聞くだけなら誰にだってできる故、ある程度自分で調べてからの方がーーーー待てよ?姉さんのことだ。聞ける状況にも関わらず、あえて聞かないでいて、それが姉さんにバレでもしたら
『どうして聞いてくれなかったの……?やっぱり、お姉ちゃんはそんなに頼りにならないかな……』
うん、帰ったら聞いてみよう。
無意味に姉さんを悲しませる必要なんてないしネ!
「ちょっと~、聞いてる?おーい、もしもーし、無視するなんてひどいゾー」
やっぱ、自分で作る時よりも姉さんが作ってくれた物の方が美味い。忙しい最中、自分の時間を削って上に、俺好みの味付けをしてくれている。それに加え、俺の好物ばかり入っている。
ハンバーグだって、姉さんはケチャップの方が好きなのに、弁当のハンバーグはデミグラスソースときた。
姉さんの方の弁当が異なる可能性も低い。基本同じ中身にしてるって言ってたし。
いやあ……うちの姉さんが女神すぎてやばいわ。
軽く見積もっても神性[A]はありますね。
「むぅ……えーいっ、いただきー!」
「なにをしようと、しているのかね?」
横から手を伸ばしてきた不届き者の腕を掴む。
無論、力は混めていませんよ?これが杉崎と言った野郎の腕ならば、捻り上げている所だが、相手は女の子である。
俺だって、やって良い相手と、そうでない相手はちゃんと選びますよ!
「うぇえっ!?甘奈のこと気付いていたの?」
「隣であんなにはしゃいでいるのに、気付かないわけがないだろう」
「じゃあ、なんで甘奈の事無視したのさー。スルーされる側は寂しいんだぞー」
「無視していたわけじゃない。余りにも騒々しかったから、無意識に余計な音声をシャットアウトしていただけだ」
「それ同じじゃん!」
さっきから、やたら突っかかってくる甜花と瓜二つな彼女は大崎甘奈。甜花の双子の妹。クラスは隣なのだが、大好きな姉に会いにやたらとうちのクラス遊びにくる。
杉崎曰く、器量良し、見た目良し、性格良し。男子生徒に聞いてみた!彼女にしたい女子ランキングトップ3に入っているとのこと(新聞部より)
聞いた時は、そんなアンケート俺は受けた覚えも存在も知らんかったけどねぇ。
それに、俺からしたらコイツの印象はちょっとヤバめのクレイジーシスコンなだけなんだけどな。
……ちょっとヤバめってどっちなんだよ。控えめに言って、ヤバいのは確かだけど。
「愛しの姉と昼一緒に過ごすんだろ?俺は食べるので忙しいし、早く行った方がいいんじゃないか?」
「なーんか、邪険にされてるみたいでちょっとムカつくなー。それにあっち行けって言われると、ここに居座りたくなっちゃうな~」
なんだ?良いこと思い付いた言わんばかりに、口元を上げたらと思ったら、甜花と後ろを向いて、こそこそと話し始めた。
「きーまりっ☆ね、ね、春彦君。甘奈達もここで、お昼食べてもいい?」
「甜花……なーちゃんと、ひー君と一緒に……食べたいな……だめ?」
「俺は構わないけど……後で明久も来るぞ?」
「吉井君が?甘奈は気にしないよー。甜花ちゃんは?」
「吉井君なら大丈夫……甜花は平気」
そんなこんなで、大崎姉妹が仲間に加わった。
決まるがや否や甜花は自分の机をこっちにピッタリとくっ付け、甘奈は右隣の机をこっちにセッティングする。
つまりは甜花、俺、甘奈。姉妹に挟まれた配置になっていた。
君ら、これでいいの?俺はてっきり甜花の机で、甜花の横ないし正面で食べるとばかり思っていたんだけど。
「それじゃあ、いただきまーす☆」
「い、いただきます」
……ま、いっか。変に指摘して、わざわざ空気をぶち壊す必要はないだろう。
「みてみて、この唐揚げ。甘奈が朝早くから仕込んで、揚げた一品なんだ~。良かったら食べてみる?」
「えっと、甜花……水筒にお茶……淹れてきてるんだ。ふ、二人ともいる……?」
そんなこんなで、明久が来るまで両手に花?の状態で昼休みを過ごした。こういうのラノベやギャルゲだと、同性からは嫉妬&憎悪を込めた殺意の視線を向けてくるものだけど、不思議とそんなことはなかった。
むしろ、『なんだあの三人か』と何時もの事かと、納得されていたみたいだった。
ほぼほぼ、いつも通りの学園生活を過ごした。
パンジーさん パンジーを擬人化?したっぽい的キャラ。ヒゲとでっていうの作品に出てるらしい。
友人S コードネーム杉崎鍵。とあるラノベの主人公らしくない主人公。この作品と彼が出典してる作品との関連性は多分ない。つまり、この作品の杉崎鍵と原作の杉崎鍵とは似て非なる者。
しかし、女好き、女誑し、二枚目、生徒会所属と同じ特徴もあったりする。
友人Y 本名吉井明久。とあるラノベの(ry。彼と言ったら馬
鹿。馬鹿と言ったら吉井。そこは原作でもこの作品でも変わらない。
が、ここでは暴力をほとんど受けてない上に、主人公と杉崎の教育により、少しは改善されている。
最近の悩みは実の姉が何かと誘惑してくること。
鉄人 熱血漢の体育系教師。本名よりもあだ名の方が生徒の間では通っている。名は西村宗一。余りにも問題児な相手には拳で語る事があるが、基本真っ直ぐに生徒と向き合う出来た教師。
体力馬鹿だと思われがちだが、実はどの教科も担当教師以上に
教えられる。
ひー君 桑山春彦は裏表のある素敵な人です!シスコンだけど、成績優秀、運動能力○、交遊関係も広かったりと実はスペック高し。ただし、シスコンである。
ネーミングセンスは△。
甜花ちゃん 甜花ちゃんはすっごいかわいいんだ~☆大崎甜花よりかわいい存在なんて存在しない。はい、復唱☆
妹に溺愛され、甘やかされまくった結果がコレである。
……が、この作品においてはアイドルになる前であるが、一人でも頑張れるように努力している。
主人公とは一年前にある出来事を切欠に知り合い、色々とフォローをしてもらったり、教えてもらったり、ゲームをしたり……と、そんなこんなで現在の甜花ちゃんは思い出Lv3くらいはある。
ただし、友達は相変わらずである。
色々とソシャゲーをやってたりするが、ガチャの運はそんなにない為、驚異的な運を持つ主人公に時々引いてもらってる。
引いてもらった時はすこぶる機嫌が良い。
なーちゃん 甜花ちゃんさいっこう☆根本的な所はssでも変わらない姉至上主義な妹。甜花ちゃんを守れるのは甘奈だけ!悪い人は甘奈が追っ払っちゃうんだから!と中学時代は甜花に近寄る悪い虫やいじめっ子なんかを蹴散らしていたが、高校に入学してからはクラスも同じじゃなくなり、守護できなくなっていたのだが……そこに主人公が表れる。
最初は甜花に近付く為だけに、猫被って寄ってきた!と疑いまくっていたが話していくうちに、誤解だと気付き仲良くなる。
最近の楽しいことは甜花ちゃんの良いところを主人公に語る事である。
中々安定して勝てませんが、フェス編成は基本アルストロメリア編成でやってます。
みなさん、強すぎやしませんかねぇ……