シャニマス小説も増えてるみたいだし、最近は盛り上がってるのかな?
もっと流行れ。
※2020/08/04 なんか話の位置が一つずれていたので、修正しました。
そんなこんなで数日間に及ぶ特訓により、へっぽこぴーの甜花ちゃんから「最低限の接客法習得した甜花ちゃん」へとグレードアップしたのであった。
これによりお客さんを見ても、回れ右して撤退をすることはないだろう。
うん。元が割と酷いかったからめっちゃ成果があったように見える不思議。
そんなんで接客のイロハを叩き込んで、海の家へと信じて送り出した、甜花たち御一行アルストロメリア……うん。前回の話で俺が海の家にいるのは繋がらないと思ったよな?すまない。この話にはまだ続きがあってだな……
「春彦くん!この度、放課後クライマックスガールズはですね「あー、知ってるからいいよ。海の家で店員まがいのことをするってことは前回聞いたから」雑いっ!そろそろお客さんとして扱ってくれてもいいんじゃないかなっ」
「店員まがいじゃなくて、店員だっつーの。つーか、知ってたんだな」
「あちらのお客様から話を伺っておりましたので」
特訓後翌日。つまるところ海の家アルバイト前日。
放課後クライマックスガールズ、フルメンバーが来ていた。
チョコと樹里に果穂は結構な頻度でやってくるから良いとして、凛世と夏葉さんがここに来るのは珍しい――――や、そうでもないか?3人に比べたら頻度は少ないけど、週に1回は2人の顔見てる気がするし。
チョコと果穂に引っ張られるように連れてこられる凛世に、樹里に誘われるがままに付いてきた夏葉さん……初めて来た時は内心ビビっていたのは秘密な。
公式サイトや姉さんから聞いてた限りじゃ、このお2人って名家育ちの娘さんらしいし。
らしいっていうか、夏葉さんに至ってはモノホンのお嬢様だったけど。
下手な振る舞いをしたら、警察上層部のコネかなんかで速豚箱行きだと思いました。そんな心配2人の人柄の良さに次元の彼方に消え去りましたけど。
「やっほー☆樹里ちゃんに放クラのみんなー」
「こんにちはー。みんなゆっくりしていってね」
「あう……み、みなしゃんっ今日は、良い天気でしゅねっ!…………あうぅ」
最近は常識人ツッコミポジション化してきた樹里に、一足早く来て、ティータイムと洒落こんでいるアルストロメリアに手のひらを向ける。
いやー、当初は風当たりの強かった西城さんが今となっては、牙の抜けた手乗りタイガーみたく丸くなっちゃってまぁ……たまに1人でここにやってきて、やけに疲れた表情で愚痴りに来ることも増えた事から心情が伺える。
とは言っても、なんだかんだ言いながら楽しそうにしてるあたり、充実してるアイドル生活を送れているのだろう。
良かったね、西城さん。あなた、ひとりぼっちじゃない……!
「……なんだその生暖かい眼差しは。気持ちわりぃぞ」
今ではこんな軽口を言える仲ですものね。
でもお兄さん気持ち悪いは言いすぎだと思います。同年代の異性にキモイはめっちゃ心に刺さりますので。
「知っているなら話が早くて助かるわ。春彦、貴方も私たちが経営する海の家にいらっしゃいな」
「ハル先輩にとっておきの焼きそばを食べてもらいたいです!一緒に海行きませんかー!!」
「果穂もこう言ってることだしさ、どうせ暇だろ?アタシも来てくれると……やっ、なんでもねー!」
「ふふっ……共に夏を、凛世達と過ごすのは如何でしょう……?」
「うんうんっ。普段私たちがサービスしてもらってるし、今回は私たちが色々サービスしちゃうよー!焼きそば大盛り、かき氷チョモランマ盛り!ドリンク飲み放題!なんでもござれっ」
カウンター越しから放クラみんなから海への誘いが来る。
まぁ、予想はしていましたよ。5人全員が揃いにも揃って来たとこで察しはしてました。
前回、姉さん、甘奈、甜花にも誘われたわけですが……昨日の今日でそうホイホイと心変わりが起きるわけじゃないからね。
故に――――
「や、行かないけど」
俺は自分を曲げません。
キンキンに冷えた室内で、ポテチを摘みながらメロンクリームソーダで一杯しつつ、積み上げられたゲームを消化するという贅沢で無駄な時間を過ごすんだ。
「「「「「「「「えーーーーー!!!!!」」」」」」」」
「なんでなんで!夏だよ?海だよ?放課後クライマックスガールズだよ?食べ放題飲み放題だよ!?」
「そうだよそうだよ!夏で海で、アルストロメリアに甜花ちゃんだよ?これはもう来るっきゃないっしょー☆」
「いや、お前ら夏と海だからってユニットは関係ないんじゃねーか?……で、なんか理由でもあるのか?」
「樹里の言う通りだわ。予定があるなら仕方ないけれど、そうでもなければ納得のいく説明が欲しいわ」
案の定と言うべきか、放課後クライマックスガールズの面子から詰め寄られる。
一人違うユニットが混じっていたが。お前どんだけ甜花のこと好きやねん。
「理由?理由なんて一つだ。いいか、季節はもう8月だぞ?」
「そうだね。まだまだ夏も始まったばかり!私たちの夏休みはまだまだこれからだよ!」
「猛暑は続く中セミ共がけたたましく鳴き……聞いてるだけであっつくて敵わん」
「夏の風物詩って言われるぐらいだしな。わからなくもねーけど……なぁ、もしかしてお前――――」
樹里の奴がなんとなくだが感づいたようだ。
こんだけヒント出してたらわかるか。
大きく息を吸って、この場にいる全員に聞こえるよう宣言してやる。
「夏なんてクソみたいに暑い季節嫌いに決まってんだろ!!!」
「夏にしかない楽しみ?山?海?花火?ハッ!そんなん夏じゃなくても行けるだろ。夏の山は比較的涼しかろうが大量発生している蚊が鬱陶しいし、頼んでもないのに発情しきったセミたちの野郎が大合唱しやがるし、夏の海だってそうだ。夏の陽気に浮かれたIQ足りてないDQN同士のカップルがそこら中に蔓延ってやがる。こちとら出会いを求めて夏の海に来たってのに、見渡す限り男女男女女男女男女の組み合わせだぞ?こっちは見たくもないむさ苦しい男の(上半身だけ)裸体が隣に。対して向こうは水着をまとった彼女、異性、ガールフレンドだぞ?そしてなにより(物理的にも精神的にも)ATUI!!夏といったらお祭り?花火大会?知るかそんなもん!花火が見たきゃそこらのコンビニで花火セットを買って家の中でやってろ(※絶対にやらないで下さい)あ?打ち上げ花火が見たい?今のご時世実物なんか見なくてもテレビの特番かなんかでも見れる!それどころかゲームの中でだって見れるぞ!二次元だからって侮ることなかれ。モノホンに近い再現度で見れるんだからな。それならばわざわざクソ暑くてクソみたいに人で溢れかえった密集地帯に飛び込むくらいなら、俺は家でクーラーのきいたキンッキンに冷えた部屋でカキ氷食べながらサイダーで一杯しながら、る○ぶの花火特集を見る方がよっぽど合理的だ!」
「そんなこんなで俺の夏は最低限の出歩きしかせずに引き篭もってだらだらと怠惰な生活を過ごすと決めてるんだ。わかったか?」
「「わからないよ!!」」
夏に対する不満を3分間スピーチみたく、ぶちまけたのだがわかってもらえなかった。
「どんだけ夏に憎しみを抱いてんだよお前は……あまりにも具体的すぎて軽く引いたぞ」
「あはは……春君、暑いのは苦手だものね」
「甜花もあついのは苦手……わかる」
「まるで自分が体験したかのように語っていたみたいだけれど、過去に何かあったのかしら。それならば、尚の事私たちと海へ行くべきよ!」
「辛き思い出ならば……新たな出来事に塗り替えてしまいましょう」
なぜだ。こんだけ力強く否定したのに、姉さんを除く全員が諦めてない。
どうしてそこで諦めないんだそこで!ダメダメダメ頑張っちゃ!行きたくない人(俺)の事を考えてみろって!
「俺の意見はあくまで全国2830万人いる夏嫌いの人による一般論だ。断じて!俺の実体験じゃないからな」
「そんなにいるわけないでしょ!」
「……そういえば、ひーくん。去年……杉崎くんたちと海に行った「そういえば甜花この間W.I.N.Gの1次審査通ったんだってなこれはそのお祝いだ」わぁっ……おっきなカキ氷……!」
普段のほほんとしていやがるのに、余計なことに気付きやがった甜花にシロップ特盛!チョモランマ盛りカキ氷を贈呈する。
「そっかぁ。去年の春彦君の夏の思い出は灰色に彩られた暗い1ページだったんだね……」
感の良い奴は嫌いだよ。
その同情するような視線やめろ。
「いや、別にそういうわけzy」
「それなら今年は私たちと一緒に楽しい夏の一時を過ごそうよ!」
「チョコ先輩の言うとおりです!ジャスティスレッドだって言ってました。ツライ過去を思い出すよりも、未来へ向かってススメって!!」
なんでこの娘らこんなグイグイ来んの?こんなに押せ押せゴリ押しモードで迫って来たことが過去にあったっけ?
このままだの流れだと俺が頷くまで誘ってきそうな勢いだ。
ぶっちゃけると暑いから行きたくない。姉さんと二人っきりなら考えた末に行くだろうが……そもそもこれって遊びの誘いなん?
私サテンでバイトしてるんだ〜来てくれたらサービスするね!的なアレでしょ。売上貢献しろよ的なやつ。
こういうのって移動費とかも考慮するとマイナスになる事多いよね。場所にもよるが。
なんて考えていると姉さんが手を合わせ、こんな事を言ってくる。
「ずっと海の家を手伝うわけじゃなくて、自由時間も結構多くもらっているの。プロデューサーさんが春君との時間を作ってくれたのよ。だから、お姉ちゃんともみんなとも遊べるよ」
さすがは姉さん。俺の考えなんてお見通しか。
姉さんとの時間……魅力的な言葉ではあるけど……
「そうそう!甘奈たちだけじゃなくて、イルミネーションスターズのみんなとアンティーカの5人も遊びに来てくれるんだ〜これはもう来るっきゃないっしょ☆」
「えぇ……あいつらも来んの……」
「え、なんでそんな嫌そうな顔に」
チョコが不思議そうに聞いてくるが……だって、ねぇ?
真乃と灯織はいいとして、めぐるがなぁ……年中所構わず抱きついて来るような奴だよ?年齢性別時間場所を考えなさいと言っても数秒後には抱きついてくるめぐるだぞ?
炎天下のクッソ暑い中、しかも太陽に焼かれ続けた砂浜の上で。ああ苦しいどころじゃないよ。ああ暑苦しいだよ。
我慢できるか。そんでもってお互い水着という名のぺらっぺらの紙装甲やぞ?我慢できるか!(二重の意味で)
……まぁ、イルミネはまだ良いほうだ。
問題はアンティーカの方だ。あの頭部にグレープ味の綿飴を装着した娘に誰よりも周りを見ているが悪ノリ大好きな大学生。極めつけがあの年上に見えない天然長崎娘。
あいつらを相手すると必要以上に疲れるんだもん……それに最近は咲耶先輩も変なベクトルで暴走したりするし。……いつものように同性相手を口説く台詞を俺に向けてくる事が多いし。
あの中での癒やしは霧子だけやわ……たまに言ってることがふわふわしすぎて、肌がむず痒くなることがあるけど。
とまぁ、色々と言ってはいるものの別にアンティーカの面々が嫌いなわけでも苦手でもないんだけどな。
取りあえずは今だ。それっぽいこと言って断ることが大事。俺はNOと言える日本人なんやで工藤。
「とにかくだ。その日はシフトが入ってるし、わりぃが断らせて――――」
「そ の し ん ぱ いはいらなふごぉっ!?」
『て、店長(店長さーん)!!!』
音も無く俺の背後に回ってきたエリーちゃんに穴の穴が縮こまると寒気を感じ、振り返ることもなく反射的にエリーちゃんの顔面を掴みぶん投げる。
ギャグ漫画のように綺麗な放物線を描きながら、本棚に激突し周りに本が散らばる。
あーあ、後で片付けないとな……
「さ、さすがは私の弟君……良い送球だったわよ。あなたならプロの道も目指せるわ」
「そんな道開拓しませんから。エリーちゃん、許可なく俺の背後に立つなと言いませんでしたっけ?」
「(えっ、なにそれ。春彦君って暗殺者か何かなの?)」
「もう、店長。春君は私の弟ですよ。いくら店長でも春君を所有物扱いするのは許しませんよ?」
「(甘奈にはわかる、わかるよ千雪さん!他の人が勝手に弟(お姉ちゃん)を自分の弟(お姉ちゃん)呼びするなんて。自分だけの特別なポジションだもんね。そりゃ怒りたくもなるよね☆)」
「店長じゃないわ。いえ、確かに私は店長なんだけど……そんな質素な呼び方じゃなくて、エリーちゃんって呼んで☆」
何事もなかったかのように起き上がる。タフだなーこの人。
結構な距離をぶっ飛んだのに。
「お、おい。大丈夫なのかよアンタ……顔から突っ込んで行ったよな」
「あぁ〜ん☆私の身を案じてくれるなんて、なんてイイ子なのっ!弟君もこれくらい優しくしてもいいのに!!」
「樹里よ、甘やかすと付け上がるから塩対応でいいぞ。事あるごとにセクハラしなければ考えてあげなくもないです」
「それは無理ね!1日に最低3回は弟君のお尻を撫でないとムラムラしちゃうもの!」
物凄く聞きたくない事を堂々と言ってのけるエリーちゃん。
その発言にドン引きする樹里や、甘奈とチョコみたいに男同士だよね!?と頬を赤らめたり、夏葉さんみたく春彦の筋肉はそんなに凄いのかしら……今度頼んでみようかしら。
……等など、様々な反応を取るアイドルたち。
「……本格的に春君と辞める事を検討した方がいいかしら……」
うん。そうしたほうが良いと思う。
「それよりも!ダメじゃない弟君!!こんなかわいい女の子たちからのお誘いを無下にするなんて!」
「俺はNoと言える日本人ですので。実質その日はシフト入ってますし」
「心配いらないわ!その日の弟君の配置は2Fだし、どうせお客様も来ないだろうしいいわよ、休んじゃって♡」
「言っちゃたよ。遂に客が来ない事を店長本人が言ってしまったよ」
暗黙の了解みたいな感じでみんなが口にすることはなかったのに。
「おやすみ……ということはハル先輩が来てくれるって事ですか!!」
「そうよ果穂ちゃん!思う存分弟君と遊んで楽しい楽しい夏休みの思い出にしなさい!」
「おい、何を勝手に――――」
「ふふっ、お店の最高責任者からの許可は得たわね。これであなたも何も心配することはなくなったわね」
「……ま、アタシは来ようが来なかろうがどっちでもいいけどな。けどよ、果穂が楽しみにしてるわけだしその期待に答えてやってもいいんじゃねーの?」
「甜花ちゃん、甜花ちゃん!これでおニューの水着を買った事が無駄じゃなくなったね☆」
「あうう……なーちゃん、ほんとうに着なきゃ……だめなの?」
「まだ時間はある……あるもんね!……それまでに余計なお肉はつけないようにしないきゃ(もぐもぐ)」
「智代子さん……まずはお手元を止めるのが一番かと……」
完全に俺が行く流れになってるよねこれ?俺参加表明の発言してないけどこれそういう流れよね?
いやいやいや、ここで流されちゃダメだ流されちゃダメだ流されちゃダメだ流されちゃダメだ。
俺は自分の意見を言える日本人!周囲の圧や空気なんて気にしない!この流れを変えて自分の方に持ってかないと……!
きっとここが今回のターニングポイントだったのだろう。
周囲の事なんざ気にすることなく、そのまま拒否ればよかったものの。
盛り上がってるみんなとは裏腹に一人静かに紅茶を飲みながらみんなを見守っている人に視線を向けてしまった。
長年一緒に過ごしてきた俺にはわかる。一見、遠くではしゃぐ子供を暖かく見守っているように見えるがむしろ、自分がはしゃぎたくてたまらないはずだ。
あ、目が合った。あ、顔を逸した。
考えている事を見抜かれたと思って、恥ずかしくなったんだろう。
……行く気は一切なかったんだけどなぁ。夏とか好きじゃないし……けどまぁ、たまにはいいか。
「と思っていた時期が俺にもありました」
「いやぁ……暑いねぇ。これは日射病で倒れる人があとを絶たないわけだ。君もヤバいと感じたら遠慮なく言う様に」
「それはこっちの台詞なんですが……」
真夏にスーツをピシッと着こなしている人よりかは全然だ。
この人、スーツ姿以外の格好を見たことないんだけど。
以前樹里のやつから、貴重なプロデューサーの私服姿!というタイトルで、白コートを来て一服をするプロデューサーさんの写真が送られてきたけど。
やっぱこの人まごうことなきイケメンで仕事も出来る大人の男って感じだよな。
白コートとか俺には着れないし、ああいうのは青い瞳の竜をこよなく愛すイケメンの社長とかじゃないと無理だよね。
「うん?この格好のことかな?心配はいらないさ。普段から着慣れているし、こう見えても意外と通気性がいいんだよ」
「そうなんですか?見てるこっちが暑くなりそうなくらい、暑そうなんですが」
ちなみに俺は既に着替えた後で、水着スタイルである。
無難なタイプの涼し気な色で上下合わせたラッシュガードだ。
野郎だって女性程ではないかもだけど、日焼けとかには気をつけているんだ。
日焼けって一種の火傷だしな。事前準備は大事よ。
それで今は水着に着替えに行った女性陣……放課後クライマックスガールズの連中をプロデューサーさんと待っている最中である。
姉さんたちアルストロメリアはどうしたかって?今回のこの海の家での仕事は、前半後半で別れているみたいでこの午前中は放課後クライマックスガールズが。午後はアルストロメリアが切り盛りするのだ。
正直俺は姉さん目当てだから、午後から合流にしたかったんだけどね……それを見越してかは知らんけど、プロデューサーさん含めた放課後クライマックスガールズ御一行を乗せた車がお迎えに来てだな……魔王からじゃなくて、ヒーローからも逃げれないのを忘れていたわ。
回り込まれる以前に‘逃げる‘コマンドがなかったわ。
それにしても……
「見事に廃れた海の家って感じですね。アニメにでも出てきそうなくらいの」
「ははは……夏にしか経営してないみたいだし、しょうがないさ」
そう苦笑いでフォローを入れつつ、看板の位置を微調整するプロデューサーだったが、冷や汗かいているのを俺は見逃さなかった(そのクソ暑い格好だってのに、汗一つかいてないんだぜこの人)
この広い海水浴場に唯一つ、ポツンとそびえ立っている海の家。最低限の掃除はされているみたいだが、この華もなければ予算もないんだぜと言わんばかりの外装は果たして客が来るのかどうか怪しい。
少なくとも俺は一人でここに入るくらいなら、近場のコンビニで買って食うわ。
「海の家って言ったら速い、高い、不味いの三拍子揃ったクオリティだけど、これは正にその典型例だ」
「それをどうにかするのが今日のみんなの仕事なんだ。春彦君、君は楽しみながらもみんなを気にかけてくれると嬉しいな。千雪はもちろん、他のみんなも君がいるかどうかでやる気が目に見えて違うしね」
「まぁ、異性の目があるというのはそれだけで変わりますからね。俺は適当にラムネでも飲みながらのんびりとさせてもらいまs―――――」
「私も気にかけてほしいわああああああん!!!」
「アイアンデスクローサードイルミネーションッ」
持参してきたクーラーボックスからラムネを取りだし飲もうとしたら、砂浜に潜っていたのか目の前にエリーちゃんが飛び出てきた。
上半身裸でいつも以上にむさ暑苦しい姿(しかもブーメランパンツ)で現れてきたので、考えるより先に手が出てしまいました。
さっきから姿が見えないと思ったら、なにをしてんだこの人は。
「まったく……ただでさえこのクソ暑い中イライラしてんのに、拍車をかけるような真似しないでくださいっての」
「お、おい……数十メートルは吹っ飛んだみたいだけど……大丈夫なのか?」
「大丈夫です。エリーちゃんは痛みを快感に変換できる力の持ち主ですから。それが男によるものであれば効力が増すので」
「ふぉぉぉぉおおお!弟くんの生水着キタ―――(゚∀゚)――――!!イイワ!実にいいわ!服越しから今まで見てきたけどその適度に鍛えてはいるけど、鍛え抜いてはいない絶妙なバランスの筋肉!!大胸筋から腹筋までのラインが素晴らしいわね……ごくっ。ね、ねぇ、弟くん。「お触りは当店禁止しております」あぁん!まだ何も言ってないのにぃ!!」
ね?と呆れ顔でプロデューサーさんの方を見ると長年付き合ってきた同性の親友が「お前の事好きだったんだ!」とカミングアウトしてきた時のようななんとも言い難い表情をしていた。
海の方までぶん投げたというのに、何食わぬ顔で戻ってきおってからに。
ちなみにだが、エリーちゃんがここにいる理由だがこの流行りそうにない海の家を経営していたのが、エリーちゃんの親戚だったようで、せっかくなら顔見知りがいる方がアイドルたちもやりやすいとのことらしく……エリーちゃんも久しぶりに海に行きたかったとのことで、自分の店をほっぽり出して来ているというわけだ。
今日のエリーちゃんは海の家の一日店長というわけだ。
「はぁ……これならあいつらの水着姿の方が100倍マシだわ」
ていうか、比べるのもおこがましい。
「あらあらあらーん?千雪ちゃん大好きっ子の弟くんがそんなこと言うなんて。これもSummerPowerなのかしらね。ね、ね、弟くんは放課後クライマックスガールズ……だったかしら?あの娘たちの中じゃ誰がタイプ?」
「なんでそこだけ英語読みなん?無駄に発音いいですし」
「それは俺も気になるな。今時の男子高校生の嗜好を知る良い機会だ」
あ、なんかめんどくさそうな流れだコレ。
「ふむ……千雪のようなタイプは放クラにはいないけど、年上で言ったら夏葉か?年下の面倒見もいいし、世話焼きな面もあるからな。将来良い嫁になるな。間違いなく。……ジューンブライドの仕事も行けるかもな」
「樹里ちゃんだったかしら?あの金髪のツンケンしたかわいい娘!あの子好きになった相手には絶対一途に尽くすタイプだわ!普段は素直に思いを伝えられなくても、二人っきりの時はストレートに好きをぶつける……やぁーん♡青春だわぁ!」
「智代子はどうだ?クラスに一人はいる普通の女子高生……なんて本人は言ってるが、俺はそうは思わん!あんな美少女がそうホイホイといてたまるか!!愛嬌もあってノリも良くて、ちっこくてミニマムな癖しておっぱい大きくてなんだアレは!最強だろ!あんな娘からチョコレートをもらった日なんかもう嬉しくて迸るよな間違いなく!」
「果穂ちゃん……はさすがに対象外かもしれないけど、将来絶対美人になるわよ。間違いないわ。スタイルももちろんだけど、あんなに純粋で優しい娘は今時中々いないわよ。あの年から中身と外見が出来ているのは素晴らしいわねホント。……果穂ちゃんが男の娘じゃないのが残念だわぁ」
えぇ……何このぶっちゃけトーク。やっぱプロデューサーさん暑さで知らずうちに頭をヤラれていたんじゃ……そしてエリーちゃんは今後必要以上に果穂に近づかないように。
……なんか俺そっちのけで盛り上がっているみたいだけど、放っておこう。
こんな炎天下の場所になんかいられるか!俺は涼める場所に移させてもらう!
勢いで書いて勢いで投稿して勢いで見直しただけなので、誤字たくさんあったらごめんなさい。