新年会と舞台
~12月31日、年越し新年会~
会場入り口には黒い車が止まってる。これ、一目見て高級車だ。的な感じだ。帰宅の際は、名刺に書いた電話番号に電話をしてくれだそうだ。その時間に車を出してくれるらしい。ちなみに、俺は黒系はスーツで、加奈はワンピース風のドレスだ。肩にはストールを羽織っており、かなりの美貌である。
ともあれ、会場に入ると作家さんや、芸能人の方々が集まっていた。てか、『波木歩夢だ。今年は新年会に来てたんだ』『人気声優、南波加奈と結婚してるんだろ?……羨ましすぎだろ』『まだ10代らしいぜ。マジでチートだろ』『あの歳でアニメ化してるんだろ?天才だよな』って声が時々聞こえる。……うん、マジで止めて欲しい。
「……私たち、かなり目立っちゃってるね」
「一時期ネットで騒がれたからな。てか、所々は合ってるが尾鰭がつきすぎだ」
だね。と加奈は同意する。
加奈は俺を見て、
「ね、翔太君。芸能人を見て思い出したんだけど、私『向日葵と太陽』の舞台に誘われたんだけど……どうしよう?」
『向日葵と太陽』は、今注目されている公開前の舞台だ。まあでも、今の人気を利用して客寄せのパンダにする。という点も否めないが、もし成功すれば、舞台オファーが殺到するかも知れない。ある意味チャンスでもあるのだ。あれだ、『声優』から『声優兼舞台女優』の肩書きが変わるという事である。いや、まだやるとは決まってないけどさ。
「舞台かぁ……。てか、公開されるのはNGじゃないのか?」
いやまあ、既に写真がネットで公開されちゃったんだけど。
「……そうなんだけど。でも、何かを演じる事で、一流声優になる為に必要な経験にもなるかなって。それに、舞台とテレビは違うものだとも思ってるから」
それは何となく解る。俺も今の連載だけではなくて、月刊とか読み切りで経験を積むかも知れない。そして、今の“ダブルダンク”を名作にしてから、ヒロインを加奈が演じる。その為にも、俺たちは経験を積んで土台を固めて於く必要があるのかも知れない。
俺は頷き、
「――舞台が加奈の力に変わるなら、受けても良いと俺は思うぞ」
加奈は、そっか。と言い、笑みを浮かべた。
「――私やってみる。絶対成功させるよ」
「ああ、成功させてこい」
そんな時、俺を見つけた新妻君が、シャンパンが入ったグラスを持ち近づいて来る。ちなみに新妻君は、いつものスウェット姿である。
「波木先生!今年は来たんですね!」
「お久しぶり、新妻君。――――新妻君の連載、“CROW”絶好調みたいですね」
そう。俺の作品と新妻君の作品で、アンケートの食い合いが勃発しているのだ。その所為で、編集部も色々大変らしい。何て言うか、ごめんなさい……。
そして、新妻君の目が細まり、声を低くする。
「……波木先生の“ダブルダンク”も好調で何よりです。最近、絵を変えてきたですネ。いや、質が上がったと言えばいいんでしょうか」
「いえいえ、新妻君には敵いませんよ。新妻君の方が、俺より絵の質は上です」
「……でも、話は僕より面白いでス」
「バトルと友情はジャンルが違いますから、そう見えるだけです」
新妻君と俺の視線の先では、火花が散っているように見える。まあ、本人たちにしか見えない錯覚だろうけど。
すると、優しいゲンコツが降ってきた。
「こら、翔太君。喧嘩腰になっちゃダメだよ」
「す、すまん」
俺は苦笑し、
「すいません、新妻君。熱くなってしまって」
「いえ、僕も熱くなってしまったデス。勝負は漫画で、ですネ」
「確かに、俺たち漫画家ですし」
その時、おずおずと2人組が近づいて来る。
1人は真城君で、もう1人は高木君だっけ?で、2人コンビで“亜城木夢叶”。
「初めまして、亜城木夢叶というペンネームで2月から“疑探偵TRAP”を連載させて戴く2人組で、原作を担当する高木です」
「作画担当の真城です」
ぺこりとお辞儀をする高木君に次いで、真城君。
俺は苦笑し、
「2人共固すぎですよ。同年代なんだから軽くいきましょう」
「い、いえ。人気作家に軽くなんて申し訳ないです」
「ぼ、僕も」
そんなの気にしなくていいのになぁ。と内心でボヤク俺。
ともあれ、隣に立っている加奈が、
「こんばんは、亜城木夢叶さん。柏木翔太君の妻、柏木加奈です。よろしくお願いします」
「「こ、こんばんは。よ、よろしくお願いします」」
にっこり笑う加奈だが、亜城木君たちはガチガチである。
まあ確かに。家の嫁さんは、有名な
てか、“ラッコ11号”を書いた平丸さんはどんな方だろう。と思って見たんだが、彼が言うには『働いたら負け!僕は働きたくないんだ!週間連載なんて、僕には無理だ!騙しやがって、あの長髪ナルシスト!』と、いう事らしい。まあ、吉田さんの口車は巧いからなぁ。ともあれ、平丸さんは吉田さんに連れていかれたのだった。
それからビンゴ大会が開催させ、高木君がビンゴになり選択したのは大き目のデジタルテレビだった。ちなみに俺たちは、ペンケースと万年筆だ。まあ、手紙を書く時に便利な品物だ。有り難く使わせてもらおう。
それにしても、ジャック
「しょ、翔太君。あ、蒼樹紅さんって、中井さんと組んでた
「あ、ああ。蒼樹さんは、
「い、いえ。僕たちも今始めて聞きました!?」
「お、おそらくですが、中井さんは蒼樹さんと
マジか。と額に右手を当てる俺。
こりゃ一波乱あるな。と思い、俺と亜城木君の気が重くなったのは言うまでもない。
加奈ちゃん『声優兼舞台女優』ですよ。おそらく、加奈ちゃんの演技ならほぼ成功を収めるですしょうね。
真城君は一度翔太君と会っていますが、彼が大物になっていたので委縮してしまった感じです。ちなみに、新妻君は翔太君と話した後、雄次郎さんの所に行っちゃいましたね。
ではでは、次回もよろしくですm(__)m