バクマン。~未来へ向かって~   作:舞翼

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今回は、加奈ちゃんsideを書いて見ました。ちなみに、加奈ちゃんのスペックはかなり高いです。
では、どうぞ。


舞台女優

 ~舞台練習当日~

 

 舞台役者さんには個室が用意されており、個室で準備をしてから大広間で稽古。という形式を採っているらしい。なので私は控室で緊張を解していたのだが、マネージャーさんから舞台の台本を受け取り、目を丸くし緊張が走る。

 

「あ、あの、マネージャーさん。“向日葵役”に私の名前があるんですけど、印刷間違えじゃ?」

 

 マネージャーさんは、頭を左右に振り、

 

「いえ、監督から戴いた脚本です。なので、“向日葵役”は南波さんで間違いないです」

 

 そう、この舞台は『向日葵と太陽』、主人公が2人居るのだ。その1人の主人公役に私が抜擢されたらしい。そして対する“太陽役”は大川奏さん。誰もが認める役者さんだ。

 

「(……うぅ。胃が痛くなってきたかも。胃薬が必須になるのかなぁ……)」

 

 もの凄く不安で、弱気の私である。いや、だって初主演が主人公だよ!?……うぅ、誰に言ってるんだろ私。

 その後、大広間に移動してから、各自自己紹介をして全員で軽く読み合い。役者さんたちは、自分の役についてどのように振る舞えばいいのかを話し合っていた。そう、皆で完成度が高い作品にしようと頑張っているのだ。

 そんな中で、私は一人取り残されている感覚に陥っていた。……確かに、今まで『声優』を夢にしていた私が『役者』を演じるのだ。なので、始めから自分の演技が劣っているのは解っていた事。……でも、これからの舞台稽古に不安しか抱けなくなっている。

 そんな時、傍で監督と話し合っていた、大川奏さんが此方に歩み寄る。

 

「加奈ちゃん。初めての舞台はどう?」

 

「……不安しかないです。私に、 “向日葵役”が務まるでしょうか?」

 

「最初は、皆不安なものよ。私だって、舞台の始めは不安で押し潰れそうになってたしね」

 

「か、奏さんがですか!?」

 

「ええそう。だから頑張りましょ。監督さんも言ってたわよ、『君らしい演技をすれば大丈夫』って」

 

 おそらく、監督と奏さんは、私の雰囲気で今の私の状況を察していたのだろう。

 それに、と言って、奏さんは悪戯っぽく笑う。

 

「まずは、旦那さんを思い浮かべて演技して見たらいいかもね」

 

 奏さんも、最初の頃は緊張を紛らわす為、好きな物を想像しながら演技したそうだ。それで、演技に慣れてきた所で役に入り込んだ。という事らしい。確かに、そのように段階を踏んでいけば大丈夫なのかも知れない。

 ふふ、と奏さんは笑った。

 

「監督は言ってなかったけど、監督は、加奈ちゃんの“ひたむきさ”に惹かれたらしいの。――大丈夫よ、私たちもフォローするから」

 

 私は、「わ、わかりました。頑張ります!」と返事をする。

 私は皆さんの実力に負けないように、努力を積み重ねた。そして、その中で一番親身になってくれたのは奏さんだ。奏さんは、私が残って自主練している時も、相手役として練習を手伝ってくれたのだ。

 

 

♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦

 

 ~2週間後、舞台稽古~

 

「向日葵、今は一緒に歩いて行こう」

 

「一緒に行こう、太陽」

 

 監督さんが「OK。休憩にしよう」と言い、午前の練習が終わり、私は一息ついてから、端にあった椅子に腰をかけて台本の確認をする。

 

「ええと。あそこでは、もうちょっと感情を上げた方が良いのかなぁ?いやでも、上げすぎると“向日葵”じゃない気も……」

 

 うーん、難しいなぁ。と悩む私。

 その時、隣の椅子に奏さんが座る。

 

「か、奏さん、お疲れ様です」

 

 奏さんは、「お疲れ様」と言って笑った。

 

「悩み事?」

 

「えっとですね。 “向日葵”の感情に、もっと強弱をつけた方がいいのかぁ、と考えてて」

 

「なるほど、そういう悩みね。……そうね。“太陽役”の私から見れば、今のままで問題ないと思うよ。無理に演技をしようとすると、空回りする危険が出てくるかも知れないしね」

 

 確かに。と頷く私。

 奏さんは苦笑し、

 

「それにしても、今の加奈ちゃんは紛れもなく『舞台女優』ね。最初の時とは大違い」

 

 奏さんの言う通り、最初の頃は委縮してた点が多々あったからなぁ。

 

「さ、最初の頃は『舞台初心者』でしたから仕方がなかったと……」

 

「そうだったかしら。私からしたら『可愛い娘』って気がしたけど」

 

「も、もう。からかわないでくださいよ、奏さん!」

 

「ふふ、ごめんなさい」

 

 それから、私たちは談笑しながら昼食を摂り、午後の練習をこなしていった。“役の質”も上がってきており、2週間後の公演までに間に合うだろう。てか、全国公演って噂もあるんだけど、そうなったら日本を回る事になるんだよね?いやね。……私の本業は『声優』なんだけどなぁ。

 ともあれ、練習が終わり、私は奏さんと帰路に着いていた。

 

「加奈ちゃんは、この後仕事なの?」

 

「そうです。『――絆、永遠と共に』の声の収録です」

 

 ちなみに、21話の収録だ。『絆』は全24話なので、後3回だけの収録になってしまう。てか、『絆』のお陰なのか、声のオファーが結構あるらしい。

 

「そっか。あんまり無理はしないようにね」

 

「大丈夫です。その辺は、しっかり考慮してますから」

 

 そう言って、笑みを浮かべる私。

 そして私たちを、夕焼けが綺麗に照らしていた。




監督さんは、この作品に化学変化?が欲しかったので、声優である加奈ちゃんの“ひたむきさ”に賭け、主役に抜擢した感じです。てか、加奈ちゃん『声優兼舞台女優』になりましたね(笑)

では、次回もよろしくですm(__)m
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