では、どうぞ。
~仕事場、午後7時~
俺は原稿の見直しを終え、原稿を整えて収納ケースの中へ仕舞った所で、机横に置いてあるスマホが鳴った。着信者は、『柏木加奈』。
俺は通話ボタンをタップし、スマホの通話口を右耳に当て、
「もしもし、どうした?」
『うん。今帰ったから連絡を入れようって』
今日は、加奈の舞台初主演日でもあった。
初舞台を見に行きたかった俺だが、さすがに原稿を放り出して行くのはマズイ。そんな事したら、加奈に合わせる顔が無くなる。
話を聞く所、舞台は成功に終わったらしい。そして、『向日葵と太陽』の舞台が成功した事で、加奈の知名度は今まで以上に上がるだろう。
「そか。てか、LINEメッセージで良かったのに」
『そうしようと思ったんだけど、声が聞きたくなって』
お、おう。かなりの不意打ちである。……加奈さん、心臓に悪いです。
「そ、そうか。つか、俺も巻頭カラーが決まったよ。これで、もっと知名度を上げていかないとな」
『だね。私たちの夢の為に』
「おう。頑張ろうぜ」
『うん。――じゃあ、またお家で』と、加奈が言い、通話が切れたのだった。
それにしても、中井さん大丈夫だろうか?蒼樹さんと間界野昂次が組んだショックで自殺、とかないよね?……も、もちろん冗談だが。でも、俺は連載に集中しなければいけないので、中井さんの事は福田さんたちに任せるしかない。
俺は荷物(傘も)を持ってから仕事場から出て、ドアの鍵を閉める。
「……大雪じゃん」
うーん、予報では小降りだったのだが、大雪になっていたとは。
兎に角、雪が積もる前に帰っているが、途中で通りかかった公園で、誰かが木の机に道具を広げて何かを書いていた。よく目を凝らして見ると、あれは中井さんか?その公園の入り口付近では、大型バイクが停車している。
俺は歩み寄り、
「福田さん?」
「お、波木君じゃんか。どうしたんだこんな所で?」
「いや、帰ってる途中で見かけただけですよ」
「そうなのか?じゃあ、波木君の家はこの辺りに?」
「ええ、ここから徒歩5分位です。あんまり公園側を通って帰らないんですが、公園が明るいので気になって」
「そうか」
福田さんが言うには、中井さんはこの寒さの中でペンを持ち
「福田さん、このままじゃやばいですよ。色々な意味で」
中井さんは、間界野昂次から蒼樹さんを取り戻す為の行動だろうが、俺から見たらストーカーにしか見えない。まあでも、蒼樹さんが警察に通報していないので、不審者逮捕。という事にはなっていないが。
「わぁてる。今、亜城木君たちも来る予定なんだ」
と、その時。
「福田さん!」
「な、波木さんも居る!」
此方に走って来たのは、亜城木君だ。いや、見慣れない女の子も居る。おそらく、真城君か高木君の彼女だろう。
俺と亜城木君、福田さんは、中井さんを止めるべく走り寄ろうとするが、そこでは蒼樹さんが中井さんの頭上に傘を刺していた。
「ごめんなさい、悪いのはあなたの絵じゃない。私の方なのに……。認めなくて逃げてしまって、あなたの絵に負けない話を作ります」
中井さんは涙を流しながら、
「蒼樹さん、そんなことない!僕の絵の力が足りなかったんだ!」
その後は、蒼樹さんが中井さんの為に部屋に上げようとしたが、中井さんがそれに過剰時反応した為断られていました、はい。
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「……解決しちゃいましたね」
「ちっ、なんだよ」
「やった」
「ぼ、僕たち、来た意味なかったんじゃ」
「う、うぅ。よかったよかった……」
俺、福田さん、真城君、高木君、彼女さんの反応だ。
「それじゃあ、俺は帰ります。妻が待ってますんで」
「あ、そうか。波木君は既婚者だったもんな。てか、その年で結婚とか凄ぇよ」
そう福田さんが言った。
おそらく、此処に居る全員が、俺が既婚者だという事を知っているだろう。まあ、ネットで話題になったので、当然なのかも知れないが。ちなみに、今の俺の年は19才だ。
「いえ、偶然が重なった結果ですよ。プロポーズも、口を滑らせれた感じですし」
プロポーズ、正式にした方がいいのかなぁ。でも今更って気がするし。……つか、『結婚指輪』を嵌めた方がいいのか微妙な所でもある。いや、ネックレスにする手もあるな。
その時、真城君が俺を見た。
「な、波木さん!僕は、波木さんが目標なんです!必ず追いついてみせます!」
「……サイコー」「……真城」と、高木君たちが呟く。
ともあれ、俺は口を開く。
「な、何で俺なんかが目標なのか解らないけど、頑張ってください」
「はい!」
真城君は、勢い良く返事をする。
ともあれ、俺は福田さんたちに挨拶をしてから帰路に着くのだった。
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家に到着し傘を閉じて玄関を開けると、白いエプロン姿の加奈が、パタパタとスリッパを鳴らしなしながら迎えてくれた。
「おかえりなさい、翔太君!」
俺が玄関を閉め「ただいま」と返事をすると、加奈は顔を赤くする。
なぜ?と思ったが、次の言葉が原因らしい。
「――ご、ごはんにする?お、お風呂にする?そ……それとも、わ、私?」
「……それ、無理にやらなくていいぞ」
おそらく、俺たちの両親が吹き込んだのだろう。てか、俺ら未成年だからね。ココ重要。
「そ、そっか。じ、じゃあ、ごはんでいいかな?」
「おう。それでいいぞ」
俺は、傘を仕舞ってから玄関で靴を脱ぎ、スリッパに履き替え廊下に上がる。
うむ。廊下に漂う匂いから察するに、今日はカレーらしい。
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俺と加奈は椅子に座り、テーブルに置かれている、カレーが盛られたご飯をスプーン食べていた。
「す、凄いね、中井さん。そこまで
俺が先程の事の顛末を伝えると、加奈は目を丸くしていた。
「だな。中井さんは、蒼樹さんに惚れてる以前に、
加奈は「そっか」と頷いていた。
ともあれ、必然的に舞台の話題なった。
「今日、無事に終わったんだな、舞台」
「うん!初舞台だから緊張したよ!」
加奈は「それとね」と話を続ける。
「『向日葵と太陽』を全国公演にしないかって話が挙がってるらしいんだけど、私参加してもいいかな?」
話によると、県を飛び回る弾丸ツアーらしい。
でも、各自に予定があるならば、舞台は東京限定になる。という事だ。
「俺は加奈の意思を尊重するよ。てことは『声優業』は休業するのか?」
「うーん、どうだろう?でも、私の予定も考慮してくれるって監督が言ってたよ。まだ、『絆』の声の収録もあるしね」
「そうか。でも、無理をして体を壊したりするなよ?そうなったら、本末転倒だからな」
「そこは安心して、無理は絶対にしないから。でも、それは翔太君にも言える事なんだからね」
俺は「そうだな」と言い、苦笑したのだった。
飯を食い終わった後は、就寝の準備を完了させ、――俺と加奈と同じベットで眠りに就いたのだった。
加奈ちゃん、全国公演に参加ですね。うーん、加奈ちゃんのメインが『舞台女優』になりそうで怖い。設定からずれちゃうよ(^_^;)
一応、メインは『声優』ですからね。
ちなみに、時間がある限り、加奈ちゃんは翔太君と同じ時間(休みの日とか、仕事場に寄ったりとか)を過ごしています。まあ、全国公演も日帰りですからね。
ではでは、次回もよろしくですm(__)m