今日は午前中で仕事を終わらせ、俺は黒いV ネックに、シャツの上に黒いジャケット、紺色のスラックスにレザーシューズといった恰好でショッピングモールの入り口付近で、加奈の到着を待っていた。
俺が空を見上げていると、とたとたと足音を立てながら、加奈が到着した。
加奈は、白シャツにお洒落なセーター、白を基調にしたフレアスカートに身を包み、肩からはブラウンのショルダーバックを下げた恰好で笑みを浮かべていた。
「お待たせ」
「いや、そんな待ってないぞ」
家を出たのはほぼ同じだったので「一緒に行けばいいんじゃね」と提案した所、「デートは待ち合わせからっ」という事らしい。……乙女心は難しい、と改めて思った俺である。
ともあれ、俺たちは手を繋ぎ、ショッピングモールの二重自動ドアを潜り内部へ入った。
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ショッピングモールの案内板には、本屋やレディース服店や、メンズ服店。ショッピングセンターやゲームセンターなどがあり、とても魅力的である。
「……それにしても、同じ店がありすぎだろ」
「服とかは、メーカーさんが沢山あるからしょうがないよ」
なら、回る店は厳選しなければかなりの時間を要してしまう。だが、最初に回る店は決まっているんだが。
「んじゃ、他の店は追々回るとして、目的の店に行こう」
目的の店とは、3階に点在する指輪店だ。
「りょうかい。楽しみだよ」
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3階に到着し指輪店を発見した。表に出ていた看板には、指輪を銀色のチェーンに通してネックレスできて、取り外しも可能だそうだ。
「んじゃ、行きますか」
「う、うん。わ、私たち場違いじゃないよね」
「客なんだし、問題ないだろ」
といっても、俺たちはまだ未成年なんだけど。
俺は加奈の右手を引いて店のドアを開けると、扉のベルが、カランカラン、と店内に響いた。店内は、20~30才代の客がばかりだ。10代は俺たちくらいだろう。
店内を見回ると、高い指輪が100万円台、安くて3万円台だ。ちなみに、俺の今の手持ち金は、300万と少しである。カードでもよかったが、使えない場合を考慮して現金にした。という事である。
と、その時、加奈があるショーケースの前で止まった。
「これが気にいった感じか?」
「う、うん。でも――」
加奈が言い淀んだ原因は、値札の事だろう。――値段が150万だったからだと思う。
「いや、構わないぞ」
加奈は目を丸くする。
「い、いいの?」
「いいぞ」
俺の貯金からすれば微々たる値段である。確か、最後に見た通帳は億単位だった気がする。
指輪が決まった所で、俺は「すいません」と言って近場の店員を呼び、シルバーリングを欲しいと伝える。店員は「え、君に払えるの?」的な視線を送ってきたが、俺は苦笑して「大丈夫です」と返す。
店員さんの話によると、指輪の裏側にイニシャルを刻む事が可能だそうだ。なので、『S、K』『K、K』と、彫り込んでもらう事にした。
案内された椅子に座り、店の奥から出てきた店員さんが、指輪が乗ったジュエリートレイを俺たちの目の前のテーブルの上に置いた。
「イニシャルを刻んだので 、確認をお願いします」
俺たちは指輪を手に持ち、裏面を確認する。
「問題ありません」
「はい。これで大丈夫です」
「畏まりました」と店員さんが言った所で、俺は細い銀色のチェーンを追加注文した。
ともあれ、店員さんは対面の椅子に座り、料金の提示をする。
「指輪が2点で300万円、付属品が3万で、合計303万円です」
「解りました」
そう言って俺は、懐に仕舞ってある茶封筒から303万円を抜き取り、テーブルの上に置いた。
店員は「失礼します」と言って金を取り、専用の機械に入れて金額を確認する。
「確かに、丁度受け取りました」
俺たちは店員さんから、紫色の小箱に入れられた指輪を受け取り、「ありがとうございます」と言ってから、席を立つ。
俺たちは、店員さんの「またのご来店をお待ちしています」と言う声を背に店を出たのだった。
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俺たちは休憩室に入り、先程購入した小箱から指輪を取り出し、交換するように左手薬指に嵌めた。
「わあ、綺麗」
加奈は、指輪を見ながら呟く。
「翔太君。一生大切にするね」
「ああ。てか、もっとムードがある所で渡せればよかったんだけどな」
加奈は苦笑し、
「でも、この方が私たちらしいよ」
俺は「だな」と頷いた。
確かに、俺たちには高級店で食事をしながら、夜景を見ながら臭いセリフを、って言うのは似合わないのかも知れない。
「そうだ。翔太君、プリクラ撮ろうよ」
「ん、まあいいけど」
俺たちは休憩所を後にし、エレベーターに乗り込み1階にゲームセンターへ向かった。
ゲームセンターに入った俺たちは、『プリクラコーナー』と記載されている垂れ幕を潜り向けると、様々なプリクラの機械が目に入った。
「な、なあ加奈。どれがいいのか、俺にはさっぱり解らないんだけど」
「そこは任せて」
加奈は俺の右手を引き、選択したプリクラ機械の垂れ幕を潜り中に入る。
そして、金を入れ背景などを選択し、写真撮影になる。
「えいっ」
「うおっ」
加奈は俺の左腕に抱きつき、顔を俺の肩に預けるようにする。
「ち、近くね」
「ち、近づかないと、フレームに入らないから」
「そ、そうか。なら仕方ないな」
撮影が開始され、3、2、1、0とカウントダウンされた後のシャッターが切られ、できた画像には、ハートマークで囲んでから『ずっと大好き』『ずっと一緒』『愛してます』などの文字を、加奈が書いていた。
「一緒にスマホに貼ろうね」
「ま、マジで」
「うん、マジで」
俺は溜息を吐きながら、ポケットからスマホを取り出し、見えない位置に切り取ったプリクラを貼った。加奈も、俺と同様である。
俺たちはスマホを仕舞いながら、
「プリクラを撮るのは、結構恥ずかしいもんなんだな」
「そうかも。ほぼ密閉空間だからね」
ゲームセンターを出た俺たちは、手を繋いでショッピングモールを後にし、俺たちを照らすように、夕焼けの空が顔を出していた。
そして、今日の吉田さんとの打ち合わせの時の報告で“KIYOSI
100万円台の指輪は、店の奥に保管してある感じです。並べられているのは、レプリカですね。
基本は、結婚指輪を左手薬指に嵌めている感じですが、何かしらがある時は、ネックレスとして首からかけてる感じです。てか、ラブラブな2人やね(^◇^)
追記。
翔太君の貯金は、2億はありますね。