バクマン。~未来へ向かって~   作:舞翼

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ネタが尽きてくるよぉ……。


夢の為に

 俺はボイコット期間で脚本を書き上げ送付したが、監督からセリフについて話し合いたいと言われたので、舞台稽古の練習場にお邪魔している。さすがと言うべきか、舞台稽古の熱気は凄い。どれだけ真剣に稽古に打ち込んでいるのかが解る。

 ともあれ、俺は監督の前で一礼をする。

 

「始めまして、脚本を手掛けました、柏木翔太です」

 

 俺を見て立ち上がった監督も、一礼する。

 

「監督を務める、大山です。今日は忙しい所、申し訳ありません」

 

「いえいえ、今はちょっとした休憩時間なので問題ないです」

 

 俺と監督は隣同士に座り、台本を取って指摘したページを開く。

 

「ここでの“楓”のセリフなんですが、もう少し感情的にしてもいいと思いまして」

 

 監督は、楓のセリフを指差す。

 其処のセリフは、楓が親友の葵を呼び止めるセリフだ。

 

「確かに、『――葵!』と呼び止めるより『――待って!葵!ちゃんと話し合おう!』の方が、観客の心に響きますね」

 

「やはり、翔太さんもそう思いますか――後は、ここなんですが」

 

 俺と監督は、修正点であるセリフを見て所々を修正していく。

 そして、全部を修正し終わった所で、監督が「全員、脚本を持って集合!」と号令を掛け、舞台役者が脚本を取り集合する。

 

 

♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦

 

「紹介します。『――絆、永遠と共に』の脚本を手掛けた、柏木翔太さん」

 

 俺は前に出て、皆の視線を集める中口を開く。

 

「皆さん初めまして。『――絆、永遠と共に』の脚本を手掛けた、柏木翔太です。本日は、よろしくお願いします」

 

 一礼すると、皆さんから力強い拍手を貰えた。それから、役を演じる方々が1人1人自己紹介をして、脚本の変更点に移る。

 ちなみに、監督との打ち合わせから、今に至るまで『19才の子供が脚本を書いたのは解ったが、修正まで本当に大丈夫なのか?』と思ったが、周りの者たちの不安な感情”が見受けられなかったので安心した。

 

「――というふうに、楓役の方には、“感情的”に演じて欲しいと思っています。よろしいでしょうか?」

 

 俺はこのように、楓役の方(加奈)に指摘をする。

 

「――はい!」

 

 加奈は、張りのある声で返事をする。

 そして、次は葵役(大川奏さん)だ。

 

「――葵役の方には、“楓とはずっと一緒にいる、どこに行っても親友だから”。と、曖昧な表現で申し訳ないですが、このようにお願いします」

 

「――わかりました」

 

 葵役は、凛とした表情で答える。

 それから俺は、楓たちに関わる関係者の人たちに修正点を伝えていった。

 解散し、稽古中の役者たちは俺の要求に答えるように演技をしていた。そして俺は、さすがプロだと感嘆する。

 

「どうでしょうか?舞台稽古は?」

 

「……凄いですね。 “真剣さ”って言えばいいんでしょうか、それがひしひしと伝わってきます」

 

 俺は、思った事を監督に伝える。

 

「皆さん、やる気に満ちてますからね。人気漫画の舞台となれば尚更ですよ」

 

「そうすっか。『絆』が役に立って良かったです」

 

 ともあれ、稽古が終わり全体の反省会・及びミーティングを済ませる。

 

「本日の稽古はここまでです。皆さん、次回の稽古もよろしくお願いします」

 

 監督が、集合した役者にそう言い、

 

「「「「「よろしくお願いします!」」」」」

 

 役者は、大きな声で返事をしたのだった。

 始めて稽古場に赴いた俺の感想は、“緊張感と熱気が凄かった”。という感想だ。

 

 

♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦

 

 舞台稽古が終わり、俺は加奈と一緒に帰路に着いていた。

 

「舞台稽古って凄ぇな」

 

 加奈は苦笑し、

 

「だね。私は最初の頃は、気圧されてたから」

 

「そっか。でも今は違うんだろ?」

 

「うん!やっぱり、舞台を経験したからかな。今じゃ、あの環境で役に打ち込めるのが楽しいよ」

 

 このように思える加奈は、『舞台女優』のプロと言っても過言じゃないのかも知れない。てか、俺があの中に入ったら、不安と緊張で押し潰されそうだし。

 加奈は「そうだ」と言ってから、

 

「翔太君、ボイコットはどうなったの?」

 

「4月まで休載って形だけど、真城君が32号のジャックを見ての反応によるな。――今思えば、俺は中立が良かったかも。って思ってるよ。でも、福田さんの言い分も理解できるし、編集長の立場(感情)になって考えると編集長の判断も解る気がする、『身内が亡くなったからこその、不条理な決定を下した』って」

 

 俺も加奈も不条理事を嫌うが、もっと俺は考えてから説得するべきだった。……だからこそ、今の状況を上手く使ってるんだが。

 そして今日の舞台稽古を見て、俺はこう思った。

 

「……手のひら返しの意見だとは思うが、全ては、俺の精神面はまだまだ未熟って事だと思う。――重要な判断事になると、俺は1人じゃ巧く立てない子供(・・・・・・・・)なんだよ。……だから加奈、精神面でも俺を支えてくれ」

 

 加奈は俺の右手を、ぎゅ、と握った。

 

「……うん、支えるよ。――どんな時も支える」

 

 加奈は、笑みを浮かべた。

 

「だって私たち夫婦でしょ。――離れてても、いつも一緒なんだから」

 

 俺は「ああ」と頷き、

 

「俺も加奈を支えられるように、精一杯努力する事を誓う。――加奈、愛してる」

 

「――私も、翔太君を愛してます」

 

 そして俺たちは、握る手を恋人繋ぎにした。――永久を誓うように。

 それから数日後、真城君の説得があってボイコットが終了し、描き溜めていた原稿は俺は吉田さんに渡した。

 ――今度からは自分に芯を持ち、自己を通すと心に誓った俺。――加奈との夢の為(約束の為)に。




今回の話は、賛否が分かれるだろうなぁ。と思っている作者です。……話の方向性的に、翔太君の気持ちの切り替え(ご都合主義)が必要だったので(^_^;)
一番の決め手は、舞台稽古の熱気と真剣さに感化された所でしょうか。

ではでは、次回もよろしくですm(__)m

追記。
舞台のメンバーは、前回と余り変わっていない(特に奏さん)感じです。
ちなみに、役者の方々は、『翔太(君)(さん)』『加奈ちゃん(さん)』と呼んでいます。2人共、『柏木』で紛らわしいですからね。

追々記。
作者は、舞台の事について全くの無知です。ほぼ妄想で書いてるのでご了承を(^_^;)
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