バクマン。~未来へ向かって~   作:舞翼

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見切り発車のこの作品が、お気に入り700件を超えるとは驚きです\(◎o◎)/
でも、これからの展開がマンネリ気味になりそうで怖い作者です。
では、どうぞ。


契約と月例賞

 ~遊英社、編集部~

 

 俺は、傍らに備え付けられているテーブルの椅子に座り、吉田さんと対面している。

 

「すまんな。編集部まで来てもらって」

 

「いえ、契約諸々となればしょうがないですよ」

 

 そう、契約等の書類は、遊英社の編集部で記入する事になっている。

 まあ確かに、今後に関わる重要書類なので、この措置は必然なのかも知れない。

 

「そういってもらえると、僕も助かるよ。それじゃあ、契約書を片付けてしまおうか」

 

「了解です」

 

 俺はテーブルの上に置かれた、書類の記入欄にボールペンで必要事項を記入していった。これで俺は、1年間「遊英社」以外の雑誌に漫画が書けない。

 吉田さんは書類を手に持ち、記入事項を確認する。

 

「うむ、確認した。これからもよろしく頼むよ」

 

 ちなみに、担当編集は変わる事はないらしい。

 

「こちらこそよろしくお願いします、吉田さん」

 

 その時、

 

『僕の言う通りにやってくれ!僕が担当なんだ!僕は、何の根拠もなく言ってるんじゃない!連載作家が次の作品を書く場合、前作が大ヒット作でも作風は変えるべきだ!それを考えたら、高木君の場合だと笑いを取っていくのが1番いい!』

 

『作風は変えます。でも、高木の長所を活かすのは笑いじゃないと思います』

 

『――ッ!?僕が間違ってるって言うのか!?』

 

『『――はい』』

 

 それからも口論は続き、編集部からの指摘で収まった。それにしても、今の口論は亜城木君と担当の港浦さんだ。まあ俺は、港浦さんとは面識がないんだけど。

 ちなみに俺の場合は、担当の言葉があっても我を通すだろう。もし収集がつかなくなった場合は、他誌に行くと思う。

 

「全く、編集部は喧嘩する場所じゃないのにな」

 

 やれやれ、と頭を振る吉田さん。

 吉田さんに聞いた話だと、港浦さんは担当編集2年目という事。

 

「担当と意見が割れたら仕方ないと思いますけど。でも、亜城木君に笑いを入れるのはありだと思います。まあ、適度に程度ですが」

 

 全体の話を笑いにしてしまうと、高木君の持ち味、濃い内容が霞んでしまうと思う。なので俺は、ギャグ路線は反対派である。

 

「僕もそれには賛成だな。亜城木君の話は、シリアスが濃すぎる。適度に笑いを入れるのは重要かも知れんな」

 

「まあ、俺と吉田さんが議論を交わしても意味がないんですけどね」

 

「担当は港浦だしなぁ。てか、色々な意味で大丈夫か?亜城木君」

 

「大丈夫ですよ。亜城木君は、芯を持って漫画を書いていますから、自分たちのスタイルは変えないはずです」

 

「亜城木君は、柏木君以上に頑固そうだしな。僕も、昔は大変だったよ……」

 

 ……吉田さんの言う通り、昔の俺は、自我だけを通そうとして吉田さんと口論になった事がある。でも、その時は第3者(加奈)の意見を聞いて、収拾したのを鮮明に覚えてます、はい。

 

「加奈には感謝しかないですよ」

 

「あの時は仲裁に入ってくれて、本当に助かったよ」

 

 吉田さんは、「話は変わるんだが」と前置きし、

 

「実は柏木君にも、月例賞(トレジャー)の審査員をして欲しいそうだが――」

 

 もし話を受ければ、新妻君と共に審査員。という事らしい。

 

「その話、受ける方向でお願いします。後、加奈の助言も聞いていいですか?あいつの見る目は、確かですし」

 

「うーん、そうだなぁ……わかった。話は上には通して於くよ」

 

 そう言って俺は席を立ち、支度をしてから遊英社を後にしたのだった。

 

 

♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦

 

 吉田は、契約書を編集長に渡してから自分の作業場の椅子に腰を下ろし、机に置かれている書類を見て溜息を吐いた。

 それを見ていた雄次朗が、

 

「どうしたんですか、吉田さん?溜息なんて吐いて」

 

「いや、柏木君にまた脚本のオファーがきてな。それも監督5人からだよ」

 

 もちろん、監督や役者の力もあるが、翔太が手掛けた脚本が大作になりつつある。

 そこに服部も加わり、

 

「そういえば、アニメも断ってるらしいですね。作家がアニメにしたがらないなんて、珍しいですよ」

 

「ああ。柏木君は、後3年はアニメにする事はないだろうな」

 

 吉田の言う通り、翔太は今の連載を名作に昇華させるまで、アニメの話は受けないだろう。その前に、翔太の名作の線引きが解らないままなのだが。

 

「……3年ですか。長いですね」

 

「ああ長い。僕はそれまで、アニメ会社に断りの電話を入れるのが決定してるんだよ……」

 

 そう言った吉田の作業机には、脚本の書類とは他に、アニメ製作会社からの書類もあるのだ。なので、吉田の作業机の上はA4紙がかなりの枚数で積み重なっている。

 吉田は椅子を座り直し、

 

「でもまあ、担当として作家が大きくなるのは嬉しい事だよ」

 

 「いや、大きくなりすぎたの間違えかも知れないな」と、内心で訂正し直す吉田。

 ともあれ、これが編集部での一幕であった。

 

 

♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦

 

 ~数日後~

 

 仕事を終えた俺たちは、吉田さんが持ってきてくれた月例賞の原稿を見ていた。何故か訳ありらしく、亜城木君の原稿も入っていたんだが。

 ともあれ、俺はソファに座っている加奈に感想を聞く。

 

「加奈の見立てだと、どの作品が1番だ?」

 

「……うーん。亜城木君の、Future watch(未来時計)かなぁ。翔太君は?」

 

「亜城木君を除けば、斜本(シャポン)だな。でも、斜本は内容が暗過ぎて、ジャックの誌面に載せられないと思う」

 

 斜本の内容は、日本の人間(世界の人間)を殺していく内容だ。作者は、静河流(しずか りゅう)と言うらしい。

 

「だよね。人を殺めるのは、少年誌に載せたら問題になっちゃうし」

 

 ちなみに、吉田さんが言うには、加奈は編集者の卵以上の実力があるらしい。まあ、『絆』の連載から二人三脚で今の道を歩いているのだから、当然なのかも知れないけど。

 ともあれ、俺たちがつけた結果は、入選、Future watch(未来時計)、亜城木夢叶。準入選、斜本(シャポン)静河流(しずか りゅう)。という事なったのだった。

 




原稿等も重要な書類ですが、契約書は別物ですよね(たぶん)
ちなみに、翔太君が手掛けた脚本の本数は、現在は5本ですね。てか、相変わらずスペックが高いねぇ(笑)

ではでは、次回もよろしくですm(__)m
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