でも、これからの展開がマンネリ気味になりそうで怖い作者です。
では、どうぞ。
~遊英社、編集部~
俺は、傍らに備え付けられているテーブルの椅子に座り、吉田さんと対面している。
「すまんな。編集部まで来てもらって」
「いえ、契約諸々となればしょうがないですよ」
そう、契約等の書類は、遊英社の編集部で記入する事になっている。
まあ確かに、今後に関わる重要書類なので、この措置は必然なのかも知れない。
「そういってもらえると、僕も助かるよ。それじゃあ、契約書を片付けてしまおうか」
「了解です」
俺はテーブルの上に置かれた、書類の記入欄にボールペンで必要事項を記入していった。これで俺は、1年間「遊英社」以外の雑誌に漫画が書けない。
吉田さんは書類を手に持ち、記入事項を確認する。
「うむ、確認した。これからもよろしく頼むよ」
ちなみに、担当編集は変わる事はないらしい。
「こちらこそよろしくお願いします、吉田さん」
その時、
『僕の言う通りにやってくれ!僕が担当なんだ!僕は、何の根拠もなく言ってるんじゃない!連載作家が次の作品を書く場合、前作が大ヒット作でも作風は変えるべきだ!それを考えたら、高木君の場合だと笑いを取っていくのが1番いい!』
『作風は変えます。でも、高木の長所を活かすのは笑いじゃないと思います』
『――ッ!?僕が間違ってるって言うのか!?』
『『――はい』』
それからも口論は続き、編集部からの指摘で収まった。それにしても、今の口論は亜城木君と担当の港浦さんだ。まあ俺は、港浦さんとは面識がないんだけど。
ちなみに俺の場合は、担当の言葉があっても我を通すだろう。もし収集がつかなくなった場合は、他誌に行くと思う。
「全く、編集部は喧嘩する場所じゃないのにな」
やれやれ、と頭を振る吉田さん。
吉田さんに聞いた話だと、港浦さんは担当編集2年目という事。
「担当と意見が割れたら仕方ないと思いますけど。でも、亜城木君に笑いを入れるのはありだと思います。まあ、適度に程度ですが」
全体の話を笑いにしてしまうと、高木君の持ち味、濃い内容が霞んでしまうと思う。なので俺は、ギャグ路線は反対派である。
「僕もそれには賛成だな。亜城木君の話は、シリアスが濃すぎる。適度に笑いを入れるのは重要かも知れんな」
「まあ、俺と吉田さんが議論を交わしても意味がないんですけどね」
「担当は港浦だしなぁ。てか、色々な意味で大丈夫か?亜城木君」
「大丈夫ですよ。亜城木君は、芯を持って漫画を書いていますから、自分たちのスタイルは変えないはずです」
「亜城木君は、柏木君以上に頑固そうだしな。僕も、昔は大変だったよ……」
……吉田さんの言う通り、昔の俺は、自我だけを通そうとして吉田さんと口論になった事がある。でも、その時は
「加奈には感謝しかないですよ」
「あの時は仲裁に入ってくれて、本当に助かったよ」
吉田さんは、「話は変わるんだが」と前置きし、
「実は柏木君にも、
もし話を受ければ、新妻君と共に審査員。という事らしい。
「その話、受ける方向でお願いします。後、加奈の助言も聞いていいですか?あいつの見る目は、確かですし」
「うーん、そうだなぁ……わかった。話は上には通して於くよ」
そう言って俺は席を立ち、支度をしてから遊英社を後にしたのだった。
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吉田は、契約書を編集長に渡してから自分の作業場の椅子に腰を下ろし、机に置かれている書類を見て溜息を吐いた。
それを見ていた雄次朗が、
「どうしたんですか、吉田さん?溜息なんて吐いて」
「いや、柏木君にまた脚本のオファーがきてな。それも監督5人からだよ」
もちろん、監督や役者の力もあるが、翔太が手掛けた脚本が大作になりつつある。
そこに服部も加わり、
「そういえば、アニメも断ってるらしいですね。作家がアニメにしたがらないなんて、珍しいですよ」
「ああ。柏木君は、後3年はアニメにする事はないだろうな」
吉田の言う通り、翔太は今の連載を名作に昇華させるまで、アニメの話は受けないだろう。その前に、翔太の名作の線引きが解らないままなのだが。
「……3年ですか。長いですね」
「ああ長い。僕はそれまで、アニメ会社に断りの電話を入れるのが決定してるんだよ……」
そう言った吉田の作業机には、脚本の書類とは他に、アニメ製作会社からの書類もあるのだ。なので、吉田の作業机の上はA4紙がかなりの枚数で積み重なっている。
吉田は椅子を座り直し、
「でもまあ、担当として作家が大きくなるのは嬉しい事だよ」
「いや、大きくなりすぎたの間違えかも知れないな」と、内心で訂正し直す吉田。
ともあれ、これが編集部での一幕であった。
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~数日後~
仕事を終えた俺たちは、吉田さんが持ってきてくれた月例賞の原稿を見ていた。何故か訳ありらしく、亜城木君の原稿も入っていたんだが。
ともあれ、俺はソファに座っている加奈に感想を聞く。
「加奈の見立てだと、どの作品が1番だ?」
「……うーん。亜城木君の、
「亜城木君を除けば、
斜本の内容は、
「だよね。人を殺めるのは、少年誌に載せたら問題になっちゃうし」
ちなみに、吉田さんが言うには、加奈は編集者の卵以上の実力があるらしい。まあ、『絆』の連載から二人三脚で今の道を歩いているのだから、当然なのかも知れないけど。
ともあれ、俺たちがつけた結果は、入選、
原稿等も重要な書類ですが、契約書は別物ですよね(たぶん)
ちなみに、翔太君が手掛けた脚本の本数は、現在は5本ですね。てか、相変わらずスペックが高いねぇ(笑)
ではでは、次回もよろしくですm(__)m