アシスタントに来て、夜に差しかかろうとしていた。その間ではCROWの5話を意見を出し合いながら書き直す事になったり、新妻エイジがネームを書くようになったり、今の少年ジャックの事を話し合ったりと濃い時間を過ごした。も、もちろんアシスタントの作業もしてたよ、うん。
ちなみに、背景は俺たちが作業する事になった。前までは、新妻エイジが書いていたが、新妻君は話作りに専念する為、俺たちの作業になったのだ。
「僕はもう少ししてから飯にするから、波木君と真城君はファミレスで飯を食べて来たら?」
「そうっすね。んじゃ、行きますか。亜城木先生」
真城君は苦笑しながら、
「亜城木先生は止めてくださいよ。波木さん」
うーむ。俺ってペンネームが名前になってる感じかぁ。本名は、柏木なんだけどなぁ。まあいいけどさ。
ともあれ、俺と真城君はマンションを出て、近場のフェミレスに行く事になった。
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フェミレスに到着し、店の中に入ってからテーブル席で向かい合わせに座り、ナポリタンを2つと俺と真城君は注文をした。
「え、じゃあ、柏木さん漫画家になるつもりはなかったんですか!?」
「そうなるかな。まあでも、今は辞めるつもりはないよ」
「そ、そうなんですか。えっと、その、漫画家になる切っ掛けとかあったんですか?」
「幼馴染の所為?って言えばいいのかな。彼女の一言で、俺の漫画家人生が始まった感じだな。今は支えてくれる頼もしい奴だよ」
吉田さんにネームの確認を取る前に、加奈のOKを貰ってから吉田さんへ電話してるし。
「そうなんですか。てか、柏木さんと僕って、結構似てる部分があるかも知れないです」
真城君の話によると、原作を書いている高木君に誘われて漫画家の道を選んだらしい。あと、自分たちの作品をアニメにするのが夢。とも言っていた。その夢は、18歳までに叶えたいとも。――じゃあ、ペンネームもそういうことか。
「なるほど。『亜』は解らないけど、『城』と『木』は真城君と高木君の名前から取ったのか。んで、夢を叶える『夢叶』」
「あ、あはは、わかっちゃいますか」
「ま、まあ。てか、俺も同じ感じだからね。『波』は幼馴染の、『木』は俺の名前から取ってるから。『歩夢』は彼女がつけたんだけど。何か、『一歩一歩夢に近づくってカッコイイよね』って事らしい」
「へぇ。柏木さんのペンネームにはそんな意味があったんですね」
「でも、ある意味安直だと思うけど」
「それを言ったら、僕もですよ」
そう言ってから、俺と真城君は笑い合った。
「柏木さんは、高校1年から連載しているんですよね?」
「そう、高校生からだよ。最初の頃は、大変だったけどね……」
最初の頃は、アシスタント関係で大変だった……。勉強の方は、加奈のお陰で何とかなったけど。いや、今もだけどさ。
「真城君たちは、高校生時に連載を目指す感じ?」
「そうですね。アニメ化の近道は連載ですから」
「確かに。でもアニメ化の条件として、最低半年の連載が必要になると思う。まあ、俺の持論的な感じだから流してもらって構わない」
「その条件はあると思います。アニメが原作に追いついたら、アニメ会社の方が困りますし。ちなみに、『絆』のアニメ化の話はあったりするんですか?」
うーむ、その辺は吉田さん触れなかったからなぁ。話が無いって事は、アニメ化の話は編集部にはきてないのだろう。てか俺は、アニメになってもならなくても、どっちでもいいし。
「不明かな。担当からも、そういう話が話題になった事もないですし」
「(……人気作家でも、アニメになるならないはシビアなのか……。てか、亜豆の為にアニメ化したい――!……まあ、その前に連載を捥ぎ取らないと何も始まらないんだけど)」
「真城君は連載会議に向けてネーム提出するんだよね?」
「え、まあ。でも、話を作るのがまだなんで、ペンを入れる事ができないんです」
「ああ、原作を書くのは高木君だっけ」
「そうですね。そういえば、柏木さんも連載会議に向けてネームは提出するんですか?」
たぶん。と言い、俺はナポリタンを一口。てか、俺も連載会議までに面白い話を考えないとなぁ、どうしよう?……うーん。友情、部活、学園、根性、若干恋愛。的なネームにするかなぁ。あーでも、恋愛は無しでいきたし、どうすっかなぁ……。吉田さんの場合『今回の連載も確実にしたい!ネームを形にして連載会議に臨もう!』的な事になりそう。いや、十中八九なるよね……。ちなみに、今は8月である。
「まあ、10月後半の連載会議に間に合わせる感じだと思いますよ。あ、ちゃんと1週間のアシスタントはやっていくから心配しなくて大丈夫です」
そんな時だった、俺のスマホに着信があった。
ディスプレイには、『南波加奈』の文字。……確かに、何も言わずに来て、仕事場と家に俺が居なかったら心配するのも当然かも知れん。
俺は真城君に断ってから、通話ボタンをタップし、通話口を右耳に当てた。
「も、もしもし」
『よ、よかった。出てくれて。もお、仕事場に居なかったから心配したんだからね』
「わ、悪い。てか仕事場って、今夜だぞ?」
てことは、夕方から掃除をしてくれてたのか。
『心配しないで。翔太君の仕事場を掃除し終わったから帰るって連絡したら、お父さんが車を出すからそこにいなさい。だって』
まあ、夜に女の子1人じゃ危ないから、お父さんの反応は当然なのかも知れない。ちなみに、いつもは俺が加奈の送って行ってる感じだ。
「そっか。1週間位したら帰るよ」
『ん、りょうかい。どこかのアシスタントにでもついてるの?』
「新妻エイジっていう漫画家。知ってるか?」
『もちろん知ってるよ。私、漫画界についても勉強してるんだから。10年に1度の天才なんでしょ?』
天才が書いた漫画より、翔太君の漫画の方が面白い。って付け足すの止めてくれ。俺、かなり恥ずかしい気持ちになるからね。
「んじゃ、アシスタント終わったら連絡するよ」
『りょうかい。頑張ってね』
「おう、サンキュ」
そう言って通話を切り、俺はスマホをポケットに仕舞った。
まあそんな事もあり、俺と真城君は雑談をしながら夕食を摂ったのだった。
次回から話が飛ぶような感じ。もしそうなったら、ゴメンナサイ(^_^;)
ちなみに、翔太君は金未来杯の前にある連載会議に臨む感じです。