バクマン。~未来へ向かって~   作:舞翼

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お、お久しぶりです。……覚えてる人いるかなぁ。


ライバルと漫画

 ~少年ジャック、編集部~

 

 この日、少年ジャック編集部は酷く困惑していた。

 その原因は、編集部のPCの液晶に映された漫画の本チャン(順位)だ。

 

「……ちょ、ちょっと待て!?ダブルダンクとCROWが1位、だと!?」

 

 そう言ったのは、PCの液晶画面を食い入るように見つめている、班長の相田だ。

 ダブルダンクとCROWの票数は、1889票と同じ数字(・・・・)なのだ。

 

「じゃ、じゃあ、CROWの10週連続1位の宣言はどうなるんですか?新妻君は、CROWの連載を終了することなく、このまま連載継続、ですか?」

 

「いや。現時点で、新妻君は1位を取り続けている。このまま行けば、新妻君の宣言通りCROWは終わるだろうな」

 

「付け加えるなら、新妻君は結果を確かに出している。こちら(編集部)が反論した所で論破されるだけだろうしな。……しかし、ダブルダンクのポテンシャルも凄まじいな……」

 

「でもそうなると、CROWを止めることが出来る作品は、ダブルダンクだけ、ですか」

 

 編集部の一人が静かにそう言った。

 そう。他作品は、順位を尤も上げることが出来るであろう、センターカラー、巻頭カラー、新キャラ登場回でCROWと勝負をし敗退してしまっているのだ。

 なのでこの意見は、ほぼ的を得ているだろう。

 

「だろうな。あと2週でCROWを抜ける可能性を秘めているのは、ダブルダンクだけだろう」

 

「……改めて思いますけど、この偉業は成し遂げた新妻君も波木君も天才、ですね」

 

 一人のこの言葉に編集部全員は、披露困憊気味で頷くのであった。

 

 

♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦

 

 ~新妻エイジ、仕事場~

 

 新妻エイジの仕事場に到着した雄二郎は、いつものようにエイジの後方に立ち、A4サイズの用紙に記載された今週の本チャン(順位)を告げる。

 

「新妻君、今週も1位だ!……1位なんだが――」

 

「わかってますよ、雄二郎さん。――ダブルダンク、ですよね?」

 

 エイジは椅子に座り、雄二郎に背を向け漫画を描きながら平静に告げる。

 これに雄二郎は、目を丸くし口を開く。

 

「……あ、ああ。ダブルダンクも同票で1位だ」

 

 エイジは、CROWは負けることはなくても、ダブルダンクはCROWと同等に仕上げてくると踏んでいたのだ。

 

「そうですか。でも、次が山場になるでス」

 

 雄二郎は首を傾げる。

 今の発言、エイジは負けること可能性も考慮しているのだろうか?他作品が票を詰めた時も、『1番を取り続けて終わる』宣言をしていたというのに。

 

「……新妻君、まるで次負けても不思議じゃないように聞こえるんだけど」

 

「そうですネ。この話のダブルダンクは、話の構成、絵の詳細な描写が組み合わさっていて、読者を引き込む形になっていたデス」

 

 雄二郎は首を傾げる。

 確かにこの話は、読者の気持ち()を引き込みしやすくしていると雄二郎も感じていた。だが現段階の描写としては、バスケットの試合はまだ2、3話先の回だ。

 次週のCROWの戦闘の爽快感で追い抜けると雄二郎は予想している。

 

「きっと雄二郎さんたちは、ダブルダンクの次の話は、ただの繋ぎ(・・・・・)と予想してるはずデス」

 

「あ、ああ。話の展開的にそうだろうな」

 

「雄二郎さんがそう考えるのは当然デス。でも考えてみて下さい、波木先生のセンターカラーを」

 

 エイジが言う、最近の波木歩夢のセンターカラーは……――あの絵だけの描写だけだ。

 

「――ッ!?そうか!波木君なら、この引き込みを上手く使って、また絵だけで勝負するかもしれない!……いやでも、そうとも限らないか」

 

 そう。ダブルダンクは、確かにバスケットの試合をメインに進める漫画のように感じるが、作品全体で見ると【青春】が漫画のコンセプトなのだ。なので、バスケットの試合だけで勝負する漫画ではない。

 

「はい、予想外の展開があるかも知れませン。なので僕は、次の展開が読めないんデス」

 

 「だから、どう仕掛けてくるかも解らない」と、エイジは言葉を続けた。

 だが、雄二郎が考えるには、主人公たちの日常か、恋愛を絡めてくる位だろうと思っている。

 

「雄二郎さん、次週の原稿まだ入稿しないですよね?」

 

「あ、ああ。明日の夜までは時間が余っているが、どうしたんだ?」

 

「――今日来てもらって申し訳ないんデスガ、上げる原稿を見直してもいいです?明日の入稿ギリギリまで原稿の見直しをしたいデス」

 

「(……新妻君がここまで言うなんて、波木君の次話を相当警戒しているのか。……でもそうだよな、波木君も新妻君も天才と謳われている漫画家だしな)」

 

 雄二郎は「よし!」と頷いた。

 

「じゃあ、明日の夕方頃にまた来るよ。それまで見直し(修正)の時間に当ててくれても問題ない」

 

 雄二郎はエイジの「ありがとうデス」という言葉を背に、仕事場を後にしたのだった。

 

 

♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦

 

 ~新妻エイジと雄二郎が話し合っている同時刻~

 

 柏木翔太と担当である吉田は、ソファで対面に座り、吉田が原稿を観覧し、翔太が感想を待っている構図が出来上がっていた。

 吉田は原稿を一通り読み終わった所で溜息(良い意味で)を吐いた。

 

「……数年振りの幼馴染(・・・・・・・・)の登場とは恐れ入ったよ。しかも、明るい元気っ娘ときたか」

 

 だが、ここで幼馴染の女性が登場するとなると、恋愛も絡めていくということだろうか?

 吉田の聞いた限りだと、恋愛要素はあまり取り込まないと聞いているのだ。

 

「しかし、見た感じだと【恋愛漫画】にシフトしてしまう危険性があるんじゃないか?」

 

 そこまで言ってから、吉田は閃いた。――主人公と幼馴染のモデル(・・・・・・・・・・・)と言ったら居るではないか、こんなに近くに。

 この考えを読んだ翔太は「気づきますよね」と苦笑した。

 

「吉田さんの考えてる通りです。この作品の主人公と幼馴染のモデルは、俺と加奈です」

 

 翔太が言うには、主人公と幼馴染の行動には、自分たちの思考も織り交ぜて考えているらしい。

 なので、ダブルダンクの主人公、幼馴染は、翔太と加奈の分身のようなものである。

 

「なので、恋愛要素と聞かれれば、自分たちに当て嵌まれば簡単に描写できます」

 

 まあでも、翔太と加奈は、恋愛と言える恋愛をしたことがない。ただ翔太たちは、いつも同じ時間を共にし、将来を共にしただけなのだから。

 

「なるほどな。柏木君と南波君が作った作品の意味がやっと解ったよ」

 

 以前翔太は、ダブルダンクは加奈と共に創ったものだから簡単にアニメ化する気はないと言っていた。その意味は、今の言葉通りなのだろう。

 

「しかしそうか、柏木君の前話の意図がはっきりしたよ」

 

 そう、翔太の考えは――前話で読者の気持ち()を掴む。→不意を突く幼馴染の登場で最高潮に場を盛り上げ、抜き差す。→バスケットの国際大会の試合で熱くする。という【青春】なのだ。

 

「はい。この話は、CROWの戦闘回中盤でぶつけると決めていましたから」

 

 そして、CROWを抜き差す。

 吉田は「そうか」と頷いた。

 

「じゃあ、今週分の原稿はこれで入稿するが、いいか?」

 

「よろしくお願いします」

 

 翔太がそう言ってから、吉田は傍らに置いてあった茶封筒に原稿を包み込む。

 こうして、CROWとダブルダンクの勝負が再開されるのであった――。




展開がありきたりかも知れませんが、これが自分の限界っす(-_-;)
でも、この展開でかなり盛り上がった設定なので、そこはご了承を。前話で、読者を引き込んでいたのも強いかもですね。

追記。
本チャンが同じ票数になると、天文学的数字ですね(笑)
まあ、ssなので許して下さいm(__)m
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