バクマン。~未来へ向かって~   作:舞翼

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邪道と王道

 ~少年ジャック、編集部~

 

 この日編集部では、ある読切の話題が上がっていた。

 そんな中、山久が問いかける。

 

「どうしたんですか?」

 

「亜城木君が、新作読切のネームを」

 

「凄く面白いんですよ」

 

 港浦と小杉が返答し、山久は「へー」と声を上げる。

 

「でも、この前出された新妻先生のZOMBIE(ゾンビ)GUN(ガン)には敵わないでしょ」

 

 雄二郎も、山久の言葉に続く。

 

「新妻君と比べられるってことは、自然と波木君の作品とも比べられる、ってことにもなるもんなぁ」

 

 世間では、波木歩夢、新妻エイジはジャックの看板作家と謳っているので、読者目線から見ると、波木歩夢=新妻エイジ。という図式が完成しているからである。

 

「と、とにかく、ひと読みさせてもらわないと……小杉、早く」

 

 小杉が座っている、作業椅子の後ろに移動する山内。

 

「あ……はい。もうちょっと、待って下さい」

 

 小杉から、読切を受け取った山内。

 

 

♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦

 

 数分後――。

 

「お、面白いですね。ひと言でいえば、亜城木先生特有の邪道を残したバトル漫画」

 

 そう言う山内。

 そして吉田が、スッと立ち上がる。

 

「それぞれのキャラの位置づけが良い」

 

 吉田がいうキャラの位置づけというのは、W主人公である黒悪魔と白悪魔、両者は地球滅亡を目論んでいるが、黒悪魔は洗脳の能力を人間に与え滅ぼそうと、白悪魔は手を出さなくても地球は滅亡する運命なので、黒悪魔は余計なことはするなと介入する、という内容だ。

 

「やっぱり、そういうブラックな部分は上手いですね」

 

「ああ、しかし――」

 

 吉田は一泊置き、

 

「今回は邪道ではなく、王道バトル漫画として成立させている!」

 

 吉田の言葉に、おー。と頷く編集部。

 

「なるほど。亜城木先生は、新妻先生、波木先生と競う為、邪道の殻を破り進化したと」

 

「そう。僕の見立てでは、REVERSI(リバーシ)は、新妻君たちと競えるポテンシャルを持っていると思う」

 

 そう言ってから、吉田は頷く。

 そしてREVERSI(リバーシ)が連載になれば、新人の連載枠がほぼ無くなってしまうのだが。

 

「こうなると、REVERSI(リバーシ)は連載ですか?」

 

「いや、亜城木君はPCPもやってるんだぞ。読切で良い結果が出たとしても、連載は厳しいんじゃないか?」

 

「まずは上の判断で、REVERSI(リバーシ)誌面(読切)に載せるかだろ」

 

「でも亜城木君たちにとっては、新妻君たちと競える可能性を持った漫画ですよね?」

 

 意見が飛び交う編集部。

 そして、それを見ていた瓶子副編集長は、バンっ、と机を叩く。

 

「おいおい君たち」

 

「「「「「はい?」」」」

 

 瓶子の声に返事をする編集たち。

 

「読切枠は3本だぞ!だが、出ているのはその1本だけ。ほら、ガンガン持ってこいよ!」

 

「「「「「は、はい!副編集長」」」」」

 

 一斉に動き出す編集たち。

 それを見ていた瓶子は「まったく……」と溜息を吐くのだった。

 

 

♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦

 

 ~新妻エイジ、仕事場~

 

 REVERSI(リバーシ)読切掲載から、1週間後。

 

「雄二郎さん。REVERSI(リバーシ)の読切の結果ってわかりますか?」

 

 エイジは作業椅子に座りながら、右手でペンを持ち机の上に置いた原稿に漫画を描いていく。そして今回の報告で、ZOMBIE(ゾンビ)GUN(ガン)は連載だ。

 ともあれ、エイジの後方に立っている雄二郎が、

 

「ああ。REVERSI(リバーシ)は736票で読切1位だ」

 

 エイジはニヤッと笑い振り向く。

 

「そうですか。ZOMBIE(ゾンビ)GUN(ガン)と2票差ですね。……ここまで追い上げて来るとは、さすが亜城木先生でス」

 

「ん?その感じだと。新妻君の相手は波木君だけだった。って聞こえるんだが?」

 

「はい。僕の自惚れかも知れませんが、現状では福田先生たちには負けないと判断して、僕の相手は波木先生だけだったデス」

 

 だがその勝負の中に、亜城木夢叶は食い込んで来たのだ。

 さすが、亜城木夢叶の底力と言った所だろうか。

 

「(……凄いな、亜城木君。天才たちとの勝負に割って入るなんて)」

 

 そう雄二郎は、内心で感嘆していた。

 ともあれ、雄二郎はエイジからZOMBIE(ゾンビ)GUN(ガン)の連載1話目の原稿を受け取り、仕事場を後にしたのだった。

 

 

♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦

 

 ~波木歩夢、仕事場~

 

 エイジの仕事場と同時刻、翔太と担当の吉田は打ち合わせをしていた。

 ともあれ、翔太と対面のソファに座る吉田が、

 

「柏木君。今週の本チャン、1位だ」

 

 と言っても、2位の漫画とは5票差であり、ギリギリ1位を継続出来た、と言った所だが。

 次週はZOMBIE(ゾンビ)GUN(ガン)も連載になるので、1位継続は厳しいものとなるだろう。

 翔太は「そうですか」と言って、安堵の息を吐く。

 

「ところで吉田さん、REVERSI(リバーシ)の読切の順位と票数、わかりますか?」

 

「ああ。736票で1位だ」

 

「新妻君とは2票差ですね」

 

 翔太にとっては納得する票であった。

 見本誌でREVERSI(リバーシ)の読切を拝見したが、あの漫画は話の密度も濃く、展開も早く、読者を引き込むように作られている。

 

「てことは、REVERSI(リバーシ)は連載ですか?」

 

「そこは上の判断に任せるしかない。なんて言っても、PCPと2本同時連載になるからな」

 

「……確かに。真城君、TRAP連載時に過労で倒れてますからね」

 

 だが、真城たちがこの結果を見て、簡単に引き下がるようにも思えないが。きっと今頃、担当の服部に食って掛かっているに違いない。

 でも翔太は、REVERSI(リバーシ)が連載になる予感がしているのだった。

 

 

♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦

 

 ~亜城木夢叶、仕事場~

 

 対面のソファに座る真城たちと、担当の服部は真剣な面持ちで顔を合わせていた。

 

「新妻君たちに追いつくため、REVERSI(リバーシ)も連載か……」

 

「はい!こうやって結果も出てるんです!PCPでもエイジたちに追いつくことが出来ると思いますが、現状を見る限り、新たな試みが必要だと思います!」

 

「そうです!彼らを抜けるかも知れない漫画があるんです!」

 

「「――服部さん!」」

 

 服部は溜息を吐く。

 

「止めた所で首を縦に振らない事はわかっていた。気持ちは上に伝えるよ」

 

 服部は頭に右手を当てる。

 

「問題はどうやって連載に持って行くかだな……ある程度、連載ネームを形にするべきか……いやまず、連載会議にこの作品を回す確約をもらってからか……」

 

 高木は、服部の前に連載ネームを持っていく。

 

「いえ、ここはビシッとした連載ネームを提出することだと思います!もう1話目は出来ています!次回の連載会議までに間に合わせて見せます!」

 

 ネームを受け取った服部が、

 

「わ、わかった。じゃあ、読ませてもらうよ」

 

「「はい!よろしくお願いします!」」

 

 立ち上がり、頭を下げる真城と高木。

 

 

♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦

 

「(……面白い。これならPCPの上にいける!……しかし、連載になればPCPと週刊2本に、亜城木君たちには出来るのか……?)」

 

 服部は、読み終わったネームを机の上で整える。

 

「面白いよ。読切よりいい、続きが気になる」

 

「やった!じゃ、2話・3話もすぐに作ります!もう頭の中にあるんです!1週間もあれば――」

 

「……その前に言っておくが、ネームが出来たからと言って、連載にしてもらえるかはかなり難しいと思った方がいい」

 

 真城と高木は立ち上がり、

 

「わかってます!」

 

「そのかなり難しいを覆すネームを作って見せます!」

 

 苦笑し、ネームを机に置く服部。

 

「……全く、いつもやる気だけは凄いな」

 

 服部はこうも思っていた。「やはりこの2人なら、週刊で2本連載が可能かも」と。

 そして1週間後、PCPは必勝ジャックで連載、REVERSI(リバーシ)は週刊少年ジャック連載が決まる――。




マンネリ化してないか不安です……。てか、視点切り替えが多くてすいません(>_<)
ではでは、次回もよろしくです!
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