~少年ジャック、編集部~
この日編集部では、ある読切の話題が上がっていた。
そんな中、山久が問いかける。
「どうしたんですか?」
「亜城木君が、新作読切のネームを」
「凄く面白いんですよ」
港浦と小杉が返答し、山久は「へー」と声を上げる。
「でも、この前出された新妻先生の
雄二郎も、山久の言葉に続く。
「新妻君と比べられるってことは、自然と波木君の作品とも比べられる、ってことにもなるもんなぁ」
世間では、波木歩夢、新妻エイジはジャックの看板作家と謳っているので、読者目線から見ると、波木歩夢=新妻エイジ。という図式が完成しているからである。
「と、とにかく、ひと読みさせてもらわないと……小杉、早く」
小杉が座っている、作業椅子の後ろに移動する山内。
「あ……はい。もうちょっと、待って下さい」
小杉から、読切を受け取った山内。
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数分後――。
「お、面白いですね。ひと言でいえば、亜城木先生特有の邪道を残したバトル漫画」
そう言う山内。
そして吉田が、スッと立ち上がる。
「それぞれのキャラの位置づけが良い」
吉田がいうキャラの位置づけというのは、W主人公である黒悪魔と白悪魔、両者は地球滅亡を目論んでいるが、黒悪魔は洗脳の能力を人間に与え滅ぼそうと、白悪魔は手を出さなくても地球は滅亡する運命なので、黒悪魔は余計なことはするなと介入する、という内容だ。
「やっぱり、そういうブラックな部分は上手いですね」
「ああ、しかし――」
吉田は一泊置き、
「今回は邪道ではなく、王道バトル漫画として成立させている!」
吉田の言葉に、おー。と頷く編集部。
「なるほど。亜城木先生は、新妻先生、波木先生と競う為、邪道の殻を破り進化したと」
「そう。僕の見立てでは、
そう言ってから、吉田は頷く。
そして
「こうなると、
「いや、亜城木君はPCPもやってるんだぞ。読切で良い結果が出たとしても、連載は厳しいんじゃないか?」
「まずは上の判断で、
「でも亜城木君たちにとっては、新妻君たちと競える可能性を持った漫画ですよね?」
意見が飛び交う編集部。
そして、それを見ていた瓶子副編集長は、バンっ、と机を叩く。
「おいおい君たち」
「「「「「はい?」」」」
瓶子の声に返事をする編集たち。
「読切枠は3本だぞ!だが、出ているのはその1本だけ。ほら、ガンガン持ってこいよ!」
「「「「「は、はい!副編集長」」」」」
一斉に動き出す編集たち。
それを見ていた瓶子は「まったく……」と溜息を吐くのだった。
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~新妻エイジ、仕事場~
「雄二郎さん。
エイジは作業椅子に座りながら、右手でペンを持ち机の上に置いた原稿に漫画を描いていく。そして今回の報告で、
ともあれ、エイジの後方に立っている雄二郎が、
「ああ。
エイジはニヤッと笑い振り向く。
「そうですか。
「ん?その感じだと。新妻君の相手は波木君だけだった。って聞こえるんだが?」
「はい。僕の自惚れかも知れませんが、現状では福田先生たちには負けないと判断して、僕の相手は波木先生だけだったデス」
だがその勝負の中に、亜城木夢叶は食い込んで来たのだ。
さすが、亜城木夢叶の底力と言った所だろうか。
「(……凄いな、亜城木君。天才たちとの勝負に割って入るなんて)」
そう雄二郎は、内心で感嘆していた。
ともあれ、雄二郎はエイジから
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~波木歩夢、仕事場~
エイジの仕事場と同時刻、翔太と担当の吉田は打ち合わせをしていた。
ともあれ、翔太と対面のソファに座る吉田が、
「柏木君。今週の本チャン、1位だ」
と言っても、2位の漫画とは5票差であり、ギリギリ1位を継続出来た、と言った所だが。
次週は
翔太は「そうですか」と言って、安堵の息を吐く。
「ところで吉田さん、
「ああ。736票で1位だ」
「新妻君とは2票差ですね」
翔太にとっては納得する票であった。
見本誌で
「てことは、
「そこは上の判断に任せるしかない。なんて言っても、PCPと2本同時連載になるからな」
「……確かに。真城君、TRAP連載時に過労で倒れてますからね」
だが、真城たちがこの結果を見て、簡単に引き下がるようにも思えないが。きっと今頃、担当の服部に食って掛かっているに違いない。
でも翔太は、
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~亜城木夢叶、仕事場~
対面のソファに座る真城たちと、担当の服部は真剣な面持ちで顔を合わせていた。
「新妻君たちに追いつくため、
「はい!こうやって結果も出てるんです!PCPでもエイジたちに追いつくことが出来ると思いますが、現状を見る限り、新たな試みが必要だと思います!」
「そうです!彼らを抜けるかも知れない漫画があるんです!」
「「――服部さん!」」
服部は溜息を吐く。
「止めた所で首を縦に振らない事はわかっていた。気持ちは上に伝えるよ」
服部は頭に右手を当てる。
「問題はどうやって連載に持って行くかだな……ある程度、連載ネームを形にするべきか……いやまず、連載会議にこの作品を回す確約をもらってからか……」
高木は、服部の前に連載ネームを持っていく。
「いえ、ここはビシッとした連載ネームを提出することだと思います!もう1話目は出来ています!次回の連載会議までに間に合わせて見せます!」
ネームを受け取った服部が、
「わ、わかった。じゃあ、読ませてもらうよ」
「「はい!よろしくお願いします!」」
立ち上がり、頭を下げる真城と高木。
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「(……面白い。これならPCPの上にいける!……しかし、連載になればPCPと週刊2本に、亜城木君たちには出来るのか……?)」
服部は、読み終わったネームを机の上で整える。
「面白いよ。読切よりいい、続きが気になる」
「やった!じゃ、2話・3話もすぐに作ります!もう頭の中にあるんです!1週間もあれば――」
「……その前に言っておくが、ネームが出来たからと言って、連載にしてもらえるかはかなり難しいと思った方がいい」
真城と高木は立ち上がり、
「わかってます!」
「そのかなり難しいを覆すネームを作って見せます!」
苦笑し、ネームを机に置く服部。
「……全く、いつもやる気だけは凄いな」
服部はこうも思っていた。「やはりこの2人なら、週刊で2本連載が可能かも」と。
そして1週間後、PCPは必勝ジャックで連載、
マンネリ化してないか不安です……。てか、視点切り替えが多くてすいません(>_<)
ではでは、次回もよろしくです!