~少年ジャック編集部~
「お、今週は
「完全に1位から3位は、
そう言ったのは、自身の作業椅子に座り、机の上のパソコンの液晶を見た港浦と小杉だ。
小杉の言う通り、小杉が挙げた作品が1~3位を独占し、
「まあ4位以下との差がかなりあるしなぁ」
小杉の呟きに、自身の作業椅子に着席した雄二郎が答える。
「今新連載を立ち上げても、生き残れる気がしませんよ」
……うーむ。雄二郎にとっては、小杉の問いは服部とのデジャブである。
「そんな弱気でどうする?中堅を終わらせる位の作品でなきゃ、連載しても仕方ない位に思ってやれよ」
「……いやでも、現状を見たら弱気にもなりますよ」
そして新連載の上位維持は至難の技、とも言える。
特に、1~3位に入るのはかなり難しいだろう。
「そうだよなぁ。票数を見たらなぁ」
新妻エイジ、波木歩夢、亜城木夢叶は、常に500票を
なので新連載が上位を維持する為には、中堅の漫画を抑え、新妻エイジたちから票を少しでも奪わなければいけない。
ともあれ、雄二郎の呟きの後、編集部の各自は仕事に移るのだった。
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それから数週間後、柏木翔太の耳に、意外な話が飛び込んで来る。
翔太は原稿のペン入れを終わらせ、ペンを元の位置に戻す。
「平丸さんと蒼木さんが婚約とはなぁ」
「まさかの展開だなぁ」と呟く翔太。
でも確かに、平丸が蒼木にかなりアプローチをしていたと翔太は吉田から聞いていた、それが身を結んだのだろう。
ともあれ、翔太の向かいのソファに座り、舞台の台本を読んでいる加奈が、
「平丸さんと蒼木さんかぁ。ちょっと意外かも」
翔太は「俺もそう思う」と頷く。
余談だが、翔太と加奈は結婚6年目である。といっても、翔太と加奈は幼少期から共に育ったので、結婚はその延長線上、という感じもするが。
「それよりもいいなぁ。プロポーズ」
加奈は、頬をぷくっと膨らませる。
いやまあ、翔太の場合のプロポーズは、口を滑らせた感じなのだ。
翔太は「あー、えーと」と呟く。
「ふふ、冗談だよ。私はあの時のプロポーズで満足ですっ。それに、今更間もあるしね」
それに今となっては、翔太は加奈に好意を難なく伝えることが出来るだろう。
なので、プロポーズの緊張感と言えばいいのか、その雰囲気を作り出せないだろう。
翔太は「そ、そうか」と頷く。
「いやまあ、あの時は口を滑らせた感じだったしなぁ」
翔太は、その時を思い出しながら口を開くのだった。
加奈は「そうだね」と言ってから、
「でもあの時が無ければ、今私たちは結婚してなかったかも知れないんだよね?」
「幼馴染のままだった、ってことも有り得るな。それに、こうして一緒に居られるのが怪しかったかもな」
きっと、人気漫画家と
しかし、翔太が先手に打った
「でもこうして見ると、今は偶然が重なった結果なんだな」
「うん。私も同感かな。それに今、とっても幸せだしね」
加奈にとっては、
もちろん、翔太も加奈と同じ気持ちだろう。
「てか、そろそろ年末かぁ」
「うん。でも、今年帰るのは難しいかも」
確かに、加奈の言う通り、加奈の舞台稽古も年末に本格的に始動しだし、翔太も今の連載から手を離すことが出来ないので帰省は難しいだろう。
「まあ、親父たちも分かってくれるよ」
「だね。この埋め合わせは、きっと何所かでしようね」
翔太は「ああ」と呟き、漫画と声優事情についての話題になる。
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「そういえば、加奈がこれから演じる舞台って、林監督の有名作品なのか?」
「うん。舞台業界では、ほぼ有名女優にしか声がかからない作品だって奏さんが言ってたよ。……まさか、私にも声がかかるとは思って無かったけど」
加奈は「舞台稽古中、胃が痛くなりそうだなぁ」と言って、苦笑する。
まあ確かに、その舞台の主演は、有名役者を集った選ばれた作品と言っても過言ではない。だが、数年の
「翔太君も、1位死守は難しいの?」
「ああ。1位にはなれるが、それを
特に、ここ最近の
加奈は「そっか」と頷く。
「ところで翔太君。翔太君は今年、手塚赤塚二大賞パーティーには参加するの?」
確かに、帰省することは叶わないが、パーティーに参加する程度の時間は作れる。
――だが、
「行く予定はないなぁ」
特に、アニメ会社の人たちに囲まれるのは目に見えているので、ほぼ行かないだろうが。
それに翔太は、過去のパーティーで人酔いしたことがあるので、あの二の舞には成りたくない。
「そっか。なら今年は、私と一緒に年越しをしよっか」
「おう。楽しい年越しにしような」
そう言ってから、翔太と加奈は仲睦まじく仕事場を後にするのだった――。
翔太君と加奈ちゃんは、幼少期から共に育った幼馴染、という武器があったので、炎上(スレが荒れる)まですることはなかったです。
まあ少しは名前とか関係性がネットに挙がりましたが。
やはり翔太君の、加奈ちゃんのプロフィールが公開される前に結婚(人妻)、が決定打になった感もありますが。
まあ、原作でのあれは凄まじかったですからね。