年が明けて数日後。
この日
このことをブログに上げた声優さんには悪気は無いだろうが、これがネット上に広まり、悪い意味で大変なことになった。また、テレビや新聞にも採り上げられているのだ。
「真城君と美保ちゃん、世間で凄い騒ぎになってるね」
そう言ったのは、仕事場の掃除にやって来た加奈だ。ちなみ今日は、声優の仕事の帰りである。
それから、原稿にペンを入れ終わった翔太が口を開く。
「そうだな。でも、俺たちは余計な心配をしない方が良い」
今の状況で、翔太たちが真城たちを心配をする言葉を掛けるよりは、いつも通り振舞っていた方が良い筈だ。
加奈は「うん」と頷き、
「でも、私たちの時よりも事が大きいのは気のせい、かな?」
翔太は「気のせいじゃないだろうな」と前置きをし、
「俺たちの時は
「……そっか。私たちの時は、既に結婚してたもんね」
だが世間的に、漫画家と声優が結婚となれば何かしらの話題になっていた。という可能性が否定できないのが悲しい所である。
「でもそうなると、
そう。この数週間で、
そして、菜保役は公開オーディションで行い、視聴者からの投票で決定する。おそらく、今回の騒動を考慮し公平を期す為だろう。
「いや、一部の選出もあると思うけど、オーディションの参加資格は皆平等にあるだろ」
翔太の言う通り、声優は皆平等である。だがまあ、自己参加の場合は、声優からプロデューサー、プロデューサーから社長への報告が必要になるんだが。
「で、加奈さんや。もし加奈に、
加奈は「んーとね」と、右手人差し指を唇に当てる。
「舞台稽古や声優のお仕事が重ならなければ、受けるかも」
もちろん、真城と亜豆の夢を阻んでもだ。
それに亜豆も解っているのだろう。実力でヒロイン役を勝ち取らなければ、夢が叶ったとは言えないと。また声優の世界も、完全な実力主義なのだ。
「もちろん、美保ちゃんたちの夢を阻む可能性があっても、手加減なんてしないよ」
「そうだな。手を抜いたら、亜豆さんに失礼だしな」
翔太がそう言うと、加奈は「うんっ!」と頷くのであった。
そして
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~亜城木夢叶、仕事場~
「やっぱり、世間の目に注目されちゃうと、一気に知られちゃうのねー」
そう言ったのは、仕事場のフローリングにモップを掛けている、高木香耶である。
そして真城が言うには、仕事場に来る途中でサインを求められたらしい。
「でも、何で加奈さんたちは
香耶の言う通り、翔太と加奈は結婚しているがここまでの騒ぎにはなっておらず、ネット上だけで事が済んでいる。
「波木さんは直感で感じ取ったのかもな、世間に自分たちの関係が露見したらどうなるかを」
高木秋人は、ソファに座りパソコンで
「だから
まあ確かに、幼少期から共に育ち、将来を共にした。と解れば、世間の声は『まあ、その関係なら一緒になるわな』『確かに、幼少期から共に育った幼馴染だしな』『オレ同級生だけど、柏木と南波はいつも一緒にいたし』という言葉が広がり、世間的に『まあ、そうなるのは必然かもな』と納得させたのである。
やはりあの時の翔太のプロポーズの言葉が、ある意味抑止力になっていたのだろう。
「翔太さんって、ある意味策士?」
「いや、策士じゃ無い気がする」
香耶の問いに答えたのは、作業椅子に座り原稿にペン入れをしている真城だ。
まあ確かに、柏木翔太は直感方なので、策士では無いだろう。……うーむ、悪く言えば天然だろう。
「ねぇ秋人さん。公開オーディションって、何人か選出されるんだよね?」
きっとその中には、南波加奈の名前は確実にあるだろう。
「ああ。その中に南波さんは確実に入っているだろうな」
そして加奈は、舞台女優も兼任しているので、表現力と言った点では群を抜いているだろう。
「でも亜豆はその上を行く。だから大丈夫」
だが真城が思うに、凄く厳しい戦いになるとも思っている。しかし真城は、亜豆が菜保役に受かると信じているのだ。
――それから数日後、運命の日を迎える時が来るのだった。
加奈ちゃんは
うーむ。加奈ちゃんと合わせて、二大声優設定ですからねぇ。まあ綾ちゃんは、モデル(グラビア)女優も兼任してますが。