バクマン。~未来へ向かって~   作:舞翼

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綾ちゃんは、モデル(グラビア)女優の撮影で、オーデションには参加しませんでした。
まあ、3人の勝負を書けるか解らなかった作者の力不足でもあるんですが……。


夢とマイク

 ~公開オーディション、運命の日~

 

 オーディション当日になると、会場参加者を一目見ようと出待ちが殺到し、会場の出入口がてんやわんや状態になり、声優参加者が会場入りするまでに僅かな時間だが足止めされる。という事柄もあったが、無事オーディションは開催された。

 

 

♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦

 

 会場に亜豆が到着し控室に入ると、他声優の目は亜豆の方へ向く。

 また陰口として、『よくオーディションに参加出来たわね』『あんなことがあったのに、亜豆さん来てるんだ』『やっぱり、亜城木先生のコネなんだよ』という声が上がる。

 ――だが、ある人物が亜豆の隣まで移動した。

 

「こんにちは、美保ちゃん」

 

 加奈がこのように言葉を発すると、先程の陰口はパタリと消える。

 やはり、加奈のカリスマ性が陰口を封殺したのだろう。

 

「こんにちは、加奈さん」

 

 ペコリと頭を下げる亜豆。

 加奈は、亜豆に微笑みかける。

 

「うん。今日はよろしくね。――手加減はしないよ」

 

 頭を上げた亜豆は真剣な表情になる。

 それはそうだろう、人気声優(舞台女優)からの宣戦布告なのだから。

 

「もちろんです。よろしくお願いします!」

 

 すると、加奈たちの元に有力候補の声優が姿を現す。

 

「こんにちは、亜豆さん南波さん。今日は良い勝負にしましょう」

 

 今そう言ったのは、有力候補を謳っている声優――大月奈々観だ。

 そして、最後に控室に足を踏み入れたのは、大御所声優である、郷田夫人だ。

 その郷田夫人は、亜豆の元へ歩み寄る。

 

「あら、あなたが亜豆さんね。今日はよろしく」

 

 そしてこうも言っていた、『この話題の中、自分が奈保役を勝ち取る』と。そして、大御所の威圧感はかなりの物だ。

 ともあれ、集合時間になり集合した所で、各々に音響監督からREVERSI(リバーシ)のオーディション台本が渡される。

 その台本は、約5分と言った物量の台本だ。それを開始時間までに覚え、本番に挑まなくてはならない。

 

 

♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦

 

 オーディションの段取りは、名前を呼ばれた順番から1人ずつアフレコ室に入り、収録用のマイクの前に立ち、配信するカメラの赤いランプが点灯したら演技が開始される。

 そして、加奈の順番は最後から2番目であり、亜豆が出演者の最後だ。

 

「それでは南波さん。スタンバイをお願いします」

 

 加奈は「はい!」と返事をし、スタッフの案内の元アフレコ室に向かい、アフレコ室に入った所でマイクの前に立つ。

 それから、所属事務所名と名前を告げ、手元に持った台本を開き読み始める。

 

 

♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦

 

 ~音響室~

 

「抜群ですね。さすが南波です」

 

 席に座りヘッドフォンを肩耳に押し付けて、音響担当がそう呟く。

 監督は「ええ」と頷き、

 

「確かに、おそろしく演技が巧いですね(亜豆さんはまだですが、今までの声優さんの中では飛び抜けてますね)」

 

 監督の見る限りだと、全てが平均以上だ。

 そんな中加奈のアフレコが終了し、加奈の「ありがとうございました!」という言葉の後、カメラが止まった所でアフレコ室を後にした。

 

 

♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦

 

 備え付けられている椅子に座る亜豆は、自分の順番を待っていた。

 そして、加奈の後に演技をする。ということは、かなりのプレッシャーでもあった。

 

「(今は真城君が、私が受かるのを待っていてくれる)」

 

 目を閉じそう思っていたら、控室の扉が開きスタッフが「18番、亜豆美保さん。スタンバイお願いします」という言葉と共に、亜豆は席を立ち、アフレコ室に向かう。

 

 

♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦

 

 亜豆がアフレコ室に入りマイクの前に立つと、カメラマンの合図と共にカメラが赤いランプで発する。

 この撮影合図を見た所で亜豆は一礼し、

 

「18番、亜豆美保です。よろしくお願いします!」

 

 その手には、台本の姿はない。きっと、台本を見ることで自身の演技に支障が出ると判断してのことだろう。

 そして、これから亜豆が演じる一言一言が夢に繋がる言葉だ。――その言葉には、亜豆の想いが込められている。

 

 

♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦

 

 控室のモニターで亜豆美保の演技を拝見していた加奈は「これが美保ちゃんの想いの強さかぁ」と内心で苦笑していた。

 途中セリフのミスもあったが、きっとあれは台本の方の誤植だろう。

 今日の亜豆の覚悟の強さを見れば、あの程度の間違えなどする筈がない。おそらく、原作の何ページもの“奈保”のセリフを練習し、原作を尊重しての演技なのだろう。と加奈は予想する。

 そして加奈は、亜豆の演技を見てこうも思っていた。

 

「(きっと負けかなぁ)」と。

 

 ほぼ全ての技術は“南波加奈”の方が高かっただろうが、“亜豆美保の覚悟”は、加奈の技術を抑え込んでの勝利、となるだろう。

 そして全ての演技が終了し、声優たちは控室に集まる。

 

「皆さんお疲れ様でした」

 

「「「「「お疲れ様でした!!」」」」」

 

 音響監督の言葉に、声優たち一礼する。

 

「別室で拝見していましたが、皆さん素晴らしい演技でした」

 

 音響監督によれば、結果は投票が行われ2時間後との事だ。

 また途中、他の声優が亜豆美保の演技の誤植の指摘をしたが、その言葉は加奈の「山崎ちゃん。美保ちゃんが持っているREVERSI(リバーシ)の単子本を見ればわかるよ」と優しい声言った。――そしてこの言葉で、回りの陰口を封殺する加奈。

 

 

♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦

 

 別室に移り、各々が指定された席に座り結果発表を待つ。

 そして結果は、数々の声優を抑え、亜豆美保は102801票で1位。南波加奈は102798票で2位。

 それに続くように他の声優であり、2位とは3票差で、亜豆美保が1位を勝ち取り、REVERSI(リバーシ)ヒロイン役“水鳥奈保”は、亜豆美保に決定したのだった――。




加奈ちゃんの懐が大きすぎる。実は、亜豆の覚悟を世間に知ってもらう為に負け役をかって出た感がありますしね。(悪く言えば、ピエロ役をかって出たですね)
まあ、最後は亜豆ちゃんの想いの強さに押し切られた加奈ちゃんでしたけど。

きっと加奈ちゃんは「ほぼ負けるかもなぁ。でも、簡単には負けないよ!」という言葉を頭の片隅に置きながら演技に臨んだんでしょう。
それに、亜豆ちゃんが加奈ちゃんに勝ったという見方が世間に知られれば「南波加奈を倒したんだから、奈保役は亜豆美保で問題ない」的な感じで。
てか加奈ちゃん、マジで包容力(ちょっと違うかも知れんが)がある女の子だと思います(*・ω・)ノ

ともあれ、亜豆と真城の夢は叶いました。
ちなみに、加奈ちゃんが亜豆ちゃんのREVERSI(リバーシ)の漫画を見たのは、結果発表終了後です。
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