バクマン。~未来へ向かって~   作:舞翼

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遅れて申し訳ない。
投稿です。


結果と青春

 声優の発表が終了し、加奈は席を立ち関係者扉のドアノブに手をかけドアを開けようした時、後方から走って来たと思われる亜豆が両手を両膝に当て上半身を倒して荒く息を吐いていた。

 おそらく、“奈保役”の意気込みなどの取材が終わった所で、早足で加奈を追って来たのだろう。

 そして亜豆は上半身を上げる。

 

「あの加奈さん。もしかして、今回のオーディションに参加した理由は私の想いを――」

 

 加奈は苦笑し、

 

「私はオーディションに参加しただけで何もしてないよ。“奈保役”を勝ち取ったのは、紛れもなく美保ちゃんの実力だよ」

 

「あ、あの加奈さん。ありがとうございました!」

 

 亜豆は、がばっと頭を下げる。

 それを見た加奈は苦笑し、

 

「うん。こちらこそ」

 

 加奈はそう言ってから、ドアノブを回しスタジオを後にした。

 

 

♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦

 

 加奈がスタジオから出ると、加奈は次のスケジュールの為マネージャーの指示の元、次の現場に向かう。――次の現場は、公演の為の舞台練習である。

 舞台練習会場に到着し、加奈が練習場に入るとパタパタと歩み寄ったのは舞台の先輩である“大川奏”だ。

 

「加奈ちゃん。オーディションお疲れ様」

 

「ありがとうございます。……でも、負けちゃいました」

 

 加奈は悔しそうに呟くが、「今は舞台稽古に集中」と心の中で呟きすぐさま気持ちを切り替える。――さすが舞台女優と言った所か、気持ちの切り替えが凄まじい。

 奏は、そう。と目を伏せる。

 

「わ、私の力不足なんですから、奏さんが落ち込まないで下さい。ぶ、舞台の練習をしましょう」

 

「わ、わかったわ」

 

 舞台の練習では本番までの仕上がりが順調であり、後は公演まで今の質を落とさなければ問題ないだろう。

 

 

♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦

 

 ~舞台本番~

 

「私はそんな天性の鈴音()は持ち合わせてないッ!……私の才能が羨ましいですって!ふざけるのも大慨にしてッ」

 

 香織にとってその才能は妬ましい。

 夏帆のその声は、天性のものであり、世界に通用する美声なのだ。

 

「香織も凄いカリスマ性(才能)を持ってるのに、何をそんなに悲観してるのッ!……その才能、私にとっては手に入れたくても手に入らないものなんだよッ!」

 

 夏帆にとっては、香織の才能が妬ましい。

 自分が持つ美声なら、()鍛錬(努力)を続けていれば、手に入れることが出来るかもしれないのだ。だが、天性のカリスマ性は手に入れる事は不可能だ。

 ――仲違いの場面が終了し、舞台上は暗闇に包まれる。

 そして、この舞台を観覧に来た観客は舞台上に釘付けだ。それ程までに加奈と奏の演技は鬼気迫り、観客の心を惹き付けるのだ。

 

 

♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦

 

 舞台も終盤に差し掛かった所で、香織と夏帆の場面に移る。

 

「ねぇ夏帆。あなたの声と私の力、二つの力を合わせて見ましょうよ。それで答えは出るわ」

 

「うん。私も香織の全てを受け留める。この全国大会、私たちの力で皆を引っ張っていこう」

 

「そうね。全てはそれからね」

 

「うん。これで仲直り、だね」

 

 夏帆がそう言った所で、舞台の幕が閉じる。

 これのセリフを最後に、舞台の演出は全て終了だ。その証拠に、観客からの拍手が沸き起こる。

 ともあれ、舞台の出演者は舞台袖から出て、ステージに前に一列に並び、再び膜が上がる。

 

「本日はお越しいただき、誠にありがとうございました!」

 

「「「ありがとうございました!」」」

 

 舞台出演者はそう言ってから一礼し、観客の拍手に送られるようにして幕が閉じるのだった。これで舞台“蒼空の君の想い”は完全に閉演である。

 ちなみに、帰りに物販の販売もあったそうだが、売上好調だったということだ。――このことから、如何にこの舞台が注目されていたかが解るのであった。

 

 

♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦

 

 ~帰り道~

 

 舞台が終了し、加奈と奏は歩道を歩き帰路に着いていた、

 

「加奈ちゃん、これから私とご飯に行かない?舞台成功の御祝いとして」

 

「いいですね。行きましょう(翔太君には申し訳ないけど、今日は作り置きで我慢してもらおっかな)」

 

 まあ確かに、舞台の打ち上げなのに、その場に翔太が居るのは違和感があるだろう。なので、翔太は作り置きで我慢、ということだ。

 ともあれ、これが舞台役者の一幕であった。

 

 

♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦

 

 ~数週間後、仕事場~

 

 吉田さんが座るソファの対面になるように、ソファに座る俺は、目を丸くしていた。

 

REVERSI(リバーシ)が7月の頭に終わるんですか。凄い決断をしましたね、亜城木君と服部さん」

 

 REVERSI(リバーシ)という人気作品を終わらせるということは、編集部で一悶着あっただろう。

 でも担当の服部さんは、終わらせる権利を勝ち取った。なので、服部さんの手腕がかなりのものだったと窺える。まあ簡単に言えば、会社と作家が対立したということになるのだ。

 

「うむ。僕は正しい判断だと思う。REVERSI(リバーシ)は長く続けるような漫画じゃない」

 

「そうですね。REVERSI(リバーシ)は駆け上がるタイプの漫画ですから。ずるずる続けたら、作品の質が落ちるでしょうし」

 

 俺が思うにREVERSI(リバーシ)の本質は、テンポ良く黒と白のバトルを展開することだろう。人気作品だからと言って、長く続けるような漫画じゃないと俺は思う。

 

「てことは亜城木君。ラストシーンにかなり力を入れてるでしょうね」

 

 てか、アンケートでぶっちぎりの一位を取りそうな感じなんだが。まあ、俺の勘なんだが。

 

「それは僕も予想している。おそらく、これまでに無い力作をぶつけてくるだろうな」

 

「ですよね。まあ、俺はいつも通り漫画を描くだけです」

 

 ダブルダンクの“青春”の路線を変更するのは、読者を手放すことに繋がりかねないし。

 吉田さんは「そうだな」と言って、

 

「その辺の心配はしてないよ。柏木君の隣には、南波君もいることだしね」

 

「そうっすね。あいつの助言があれば、作品の失敗はないので心配いりません」

 

 このようなやり取りをしてから、吉田と翔太は打ち合わせの続きをするのだった。

 そして翌週の見本誌を見て、翔太は目を丸くするのだった。




香織→奏。
夏帆→加奈。です。ちなみに、夏帆の美声は努力をすれば手に入るかも知れないとありますが、似たような声を手に入れても天性の声と比べたら劣化版みたいな感じです。夏帆ちゃんの声は、本人だけのもの。ということですね。

舞台に関しても、ほぼ妄想で書きましたので、何か間違っていたらごめんなさい……。
てか書いていたら、加奈ちゃんの声優オーディションが薄くなっちゃって、舞台女優が本業って感じになってしまいました。
舞台も声優も平等に書いているつもりですが、舞台寄りになっちゃいましたね(-_-;)

あと書いていて、加奈ちゃんのカリスマ性凄ぇな。とも思いましたね。
ではまた。
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