1週間後。――連載会議。出席者は
始まる、もしくは終わるかも知れない作家は、連絡があるまで落ち着かない日になるのだ。……まあ、ある作家だけは対象から外れているのだが。
ともあれ、連載会議では連載候補ネームのコピーが配られる。
「では、私矢作の進行で進めて行きたいと思います」
進行の担当が、手に持った書類の1ページ目を開く。
「まずは、折原さんの『タンクトップ』」
話し合われる作品は順番ではなく、コピーを刷った順で行われる。
「うちの班の内田が担当です」
それから、作品の担当がいる
ちなみに、会議に掛けられた作品は4つの結果に分けられる。1つ、連載になる作品。2つ、練り直して再び会議に出す。3つ、読み切りで試す。4つ、やり直しのボツ。
「連載できると思いますが、無理に始めて打ち切りよりも、皆さんが評価したように慎重を記するべきかと」
評価とは、1週間前に
「確かに。質を高くしてから、再び会議に望んだ方がいいと思います」
「なしだな」
連載会議では、編集長の《あり》と《なし》に分けられ、《あり》の中の2~4本が新連載、《あり》の本数が多い場合は、またその中から更に話し合われ、新連載を決定する。
「次は、新井先生の『君といる』」
「これも、うちの班の柳田が担当しています。新井は、前回は見送りになりましたが、今回はそこを修正し期待できるかと」
班長たちはネームを見ていく。
「確かに、前回の指摘点を修正している」
「ですが、学園ものはジャックでは有り触れたジャンルかと。友情の、『絆』の上に行くのは厳しいと思いますが」
「ですが、新井先生の話作りは問題ないかと思います」
ネームのコピーを見ながら、意見を交わす班長たち。
そして、編集長は頷き、
「ありでいいだろう」
「どうも」
それからは、このように意見が交わされ、新連載や打ち切りの作品が決まっていった。
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「次は、波木歩夢の『ダブルダンク』」
「はい。これは僕、吉田が担当しています。波木先生は、ジャックにはない作品を生み出しています。今回もそうと言ってもいいでしょう」
ネームを見る班長たち。
「確かに、『絆』の時より質を上げてきてるようにも見える」
「スポーツ、友情、熱血。ですからね」
「だが、彼はまだ高校生だろ?前回は何とかなったと思うが、今回は巧くやれるのか?」
やはり、『高校生』という話題が上がるのは必然だったようだ。
だが、担当の吉田は切り札を持っている。
「いえ、心配はありません。彼は高校3年生であり、自由登校も来年から始まります。ちなみに、勉学を懸念しているなら、そこでは彼を支えている者もいるので問題ないかと思います」
これ以上は、プライバシーに関わるので黙秘しますが。と、吉田は付け加える。
「それに、このネームは彼が2日で書き上げた物、それも3話もです。普通なら直す点が出てくる筈ですが、彼の場合は直す点が見当たりません。――彼は天才です」
「波木君は、新妻君とは違った意味で天才ですね。本人は否定すると思いますが」
「だが、前回の作品とのスパンが短すぎる。前回の勢いに乗っただけでは。という懸念も」
「いや、彼の場合は引き出しが多いのは証明済みだろう。――友情物語、これはやるべきだ」
「確かに、前回の作品と比べても、これは根負けしてないと思います。いや、こちらの方が若干強い気も。次話への引きも上手い」
班長、副編集長が編集長の判断を待つ。
「――――ありだな」
「ありがとうございます」
このようにして、連載会議は進んで行った。
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~仕事場~
ソファに座りながら、俺はコーヒーを飲んでいた。
「やっぱ、家より仕事場の方が落ち着く。いや何、俺って既に社蓄だったりする?」
「ど、どうだろう。でも、仕事場に居ると、私も漫画を書いてる気分になるから楽しいけど」
「し、仕事場が楽しいのか」
対面のソファに座る加奈は、満面の笑みを浮かべた。
「もちろん!翔太君の力にもなれるしね」
「お、おう。てか、いつも助かってます」
「いえいえ、いつでも力になりますよ。波木歩夢先生」
「その名前、お前がつけてくれたんだよな。結構気に入ってる」
その時、テーブルに置いているスマートフォンが震えた。ディスプレイ画面には、吉田さんの文字。おそらく、会議の結果報告だろう。
ともあれ、俺は通話ボタンをタップし、通話口を右耳に当てる。
「もしもし、柏木です」
『――おめでとう!連載決定だ!』
お、おう。テンション高いな、吉田さん。
「了解っす。会議の感触としては、どんな感じでした?」
『か、軽いな。まあいつもの君って感じだが。で、会議はほぼ断トツだ。――やはり、君は天才だよ』
「いや、天才は止めて下さい。連載ってことは、契約諸々ってことですよね?」
『その辺りは、また追々だな。今は、連載に喜んでくれ』
「そうします。電話ありがとうございます。では、失礼します」
俺はそう言ってから通話を切り、拳を握りガッツポーズ。
「よしゃ、連載だってよ」
「今日はお祝いだね。ここでする?」
「いや、何処でもいいよ。でも丁度いいし、2人で祝いますか」
「りょうかいしました♪」
こうして俺は、高校生にして2度目の連載が決まったのだった。
翔太君、チートすぎだね(笑)
ご都合主義が満載だが、許してっちょ(-_-;)