連載が始まって約6ヶ月が経過し、今は6月前半である。
高校を卒業した俺は、漫画家だけに絞り大学は行かなかった。加奈も声優業に力を入れていきたい。という事らしく、高卒である。
俺は自宅で過ごす時間はほぼ無く、仕事場が家って感じである。昼食や夜食も、仕事場で摂っている感じだ。ともあれ、原稿にペン入が終わりペンを机に置いてから伸びをする。すると、作業机の椅子の背凭れが、くい、と動く。
「終わった。――悪いな、待たせて」
「うんん、大丈夫だよ」
そう言って、ソファに座る加奈が、手に持っていた台本を閉じた。
年末のオーディションから1週間後、結果が届いたそうだ。――結果は、激選を掻い潜り、加奈は『ヒロインの親友、葵役』を勝ち取ったのだ。ヒロイン役の方は、
「放送開始まで、後2週間か。もうそろそろだな」
「うん、その時は一緒に見よう」
了解。と頷く俺。
仕事場には大き目のデジタルテレビもあるので、アニメは仕事場で見よう。という事だ。
「私、翔太君の作品に声を当てられるとは思ってもいなかったよ。……私、オーディション少しだけ弱気になってたんだ」
あの時、励ましてくれたのにごめんね。と、加奈は表情を暗くする。まあ確かに、何かの結果報告は不安にもなる。結果報告待ちで、落ち着いていられる俺が
「気にすんな、終わり良ければ全て良しだ。世間体はそんなもんだしな」
だが、途中までの努力は無駄にならないと思う。結果は、これまでの成果だと思うし。
漫画家っていう才能?を掘り出してくれた加奈には、とても感謝している。てか、連載始めの時の波木歩夢は、編集部もかなり不安だったかもしれん。と、今は思う俺である。
「世間体かぁ。――私たちって、これからも一緒に居られるよね?ほら、漫画家と声優って、何かとネットに書き込まれたりするから。それに、最近私たちの中ではそんな話も持ち上がるし」
加奈の言う通り、『○○と○○は付き合ってる!』『オレたちのアイドルが……』『マジか~』のように、
「うーん。婚姻届出して、俺と籍を入れちゃえばいいんじゃね。事前に手を打っていれば問題ない」
って、うわー。今のナルシスト発言じゃね……。
加奈は、頬を朱色に染めた。
「しょ、翔太君。今のってプロポーズ、なの?」
相手目線から見れば、プロポーズ、なんだろうなぁ……。つーか、何気ない告白だよね、今の。てか、俺の顔熱っつ。俺今、顔が赤いだろうなぁ。
「……そうだな。つか、まだ俺らの年齢じゃ、親の承認等が必要になるが」
「……そ、そっか」
数分の沈黙の後。加奈が『丁重にお受けします』と、承諾してくれました。
「不束者ですが、これからよろしくね」
「これからもよろしくな。つっても、何も変わんない気がするけど」
書類上では、加奈の苗字も『柏木』になると思うが、世間体として、旧名の『南波』で通した方が楽かも知れない。
『籍』を入れており、『夫婦関係』になってる以上、
「ふふ、いつも一緒に居るしね」
「それが当たり前になってるしな」
稼ぎ等も、今の連載があるし、『絆』の時に貯金した9000万程あるので問題ないだろう。てか、金を使う機会がないのが本音でもある。使うとしても、コンビニとスーパーの買い出し位だし。
うーむ、仕事場に近くに家を買えば大金を使った事にはなるけど、今は実家でいいと思うし、家まで要らないよなぁ。
「夫婦かぁ。意外に早かったかも」
「世間一般で言えばかなり早いだろうなぁ。まあ、早くても問題ないと思うぞ」
「そっか、そうだね」
加奈は、そういえば、と話題を変えた。
「そろそろ、金未来杯だっけ?」
「6月22日にエントリー決定だしな。そろそろだ」
エントリー作は何本になるんだろうか?
俺の予想では、福田さんと亜城木君たちはエントリーされるだろう。……本当は、俺もこういう工程を踏んでから、連載だったんだろうなぁ。
俺を見つけてくれた吉田さんは募集の時に出した原稿と、3話までのネームの後付けを連載会議に出してくれて、それを通してくれたので、俺はこういう工程をする事なく連載できたのだ。俺って、本当に運がよかったんだなぁ、ってしみじみ思う。
「亜城木君たちと勝負になったら、今以上にアンケートの食い合いがあるな」
今の所俺の作品は、連載開始から5位以内をキープしている。だが、アンケートの食い合いになれば、順位の低下の可能性が出てくるだろう。
「でも、焦ってストーリーの方向転換とか考えちゃダメだよ」
「大丈夫だ。俺の作品は、ストーリー重視だからな。それを崩したら本末転倒だし。――本当、お前の意見は色々と助かるよ」
それもあってかは解らないが、吉田さんとの打ち合わせは、かなりスムーズに進むのだ。
「なら良かった」
と言い、加奈は微笑んだ。
それから仕事場で数分話し、俺たちは仕事場を後にしたのだった。ちなみに、翌日に市役所に行き、書類上では俺と加奈は夫婦になったのだった。まあ、今後も特に変わる事もないと思うが。
婚姻届とか戸籍とかは調べたましたが、違ってたらごめんなさい(^_^;)
まあ違ったら、こうなるように法律を捻じ曲げちゃいます(笑)
ちなみに、加奈ちゃんはまだ、翔太君との関係(美保ちゃんは除く)は聞かれてないです。
てか、独身とか既婚とかも声優プロフィールには書かれてない感じですね。なので、今露見しちゃえば、人妻声優って事です(笑)
ということは、ネットでもちょっとは話題にはなると思いますが、炎上?まではいかないはず。あれです、穏便に事は進むって感じですね。
追記。
最初の連載の原稿とネームは、所々修正してます。