陰陽師になりました。   作:ラリー

14 / 28
11話

 

武 視点

 

先日、中二病をこじらせた男による誘拐事件は終了した。

タイガーさんを滅した後、俺の正体がばれる可能性をより低くする為、

さっさと紅蓮以外の十二神将を連れて『兎歩』で男子寮にある自室に帰還した。

 

残してきた紅蓮の話によると、春虎一行は講師と呪捜官の事情聴取を夜の十時まで

受けていたそうな……。

ちなみに犯人は逮捕されたらしいのだが、記憶を呪術によりロックが掛けられていて

今も陰陽庁では犯人から情報を少しでも得るために解呪の作業をしているようだ。

ご苦労様です。

 

そして現在の俺はというと……。

 

「住むって……お前が!?」

 

「そう言っただろ?」

 

「ここは男子寮だぞっ!?」

 

「僕だって男子生徒だ」

 

廊下で愚弟の幼馴染の女の子が愚弟の隣にある空き部屋に押しかけてくるというラブコメ展開

を遠くからメンチを切りながら観察している。

春虎……。

そういえば引越し祝いを渡していなかったな……。

うん……春虎の引越し祝いには不能になる呪いでいいな!!

俺がとある漫画を思い出して製作した呪いの一つ、『THE EN○ OF SON(ジ・エン○オブサン)』

を食らわせてやるぞ!!

 

「わかっていないな春虎…。

この前の件で君は何も思わなかったのか?」

 

ほほう?この間とな?

その辺を詳しく聞かせてもらおうやないか……。←嫉妬により思わず関西弁

 

「な……何を?」

 

「ぼくがいかに常日頃から危険に晒されているかってことさ」

 

危険?あー…あの変態の事か……。

つまりあれか?大好きな春虎に対して遠まわしに『私を守ってね!』と言いたい訳ですか?

かわいいじゃないですかコンチクショウ!!

 

「……それで?」

 

そ……それでだと…?愚弟よ、何故こんなにも分かりやすいサインにお前は気づかないだ?

わざとか?わざとなんだな?

夏目もかわいそうに……あんなラブコメ主人公みたいな奴に惚れるなんて……。

 

「それで?じゃないっ!!

君は僕の式神なんだぞっ?

君には僕を守る義務がある…二十四時間ずっと!!」

 

に…二十四時間ずっと……だと…?

夏目の大胆な発言に戦慄する俺。

なに?最近の高校生は恋愛の順序をすっとばしてゴールするのが普通なの?

それとも俺の考えが古いの?

……やばい。

ちょっと俺にはショックが強すぎた……。

部屋に戻ってお茶でも飲んで落ち着こう。

俺は脚を引きずりながらトボトボと自室に戻った。

 

ま、呪いは確実に掛けてやるがな!!

 

 

富士野 真子 視点

 

み、見てしまったわ……。

春虎君と冬児君に夏目君の夢の三角関係を観察しようと見ていたけど……

まさか…まさか……春虎君の実の兄である武君を巻き込んだ四角関係だったなんて!!

武君が夏目君と春虎君の二人を見るあの嫉妬のこもった瞳……。

間違いないわ!!

ああ!!本当に目が離せないわ!!

 

 

 






▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。