陰陽師になりました。   作:ラリー

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14話

ー武視点ー

 

春虎の強制賢者の呪い(ジ・エンドオブ・サン)が解けた数日後

事件が起こった……。

事件の現場は我が男子寮のシャワー室。

まあ、事件と言ってもたいしたものではない。

 

ただ、男装少女がシャワーを浴びにやって来た人間の恥部を見て絶叫をあげたのだ。

お陰で悲鳴を聞きつけた寮内の人間、一部を除いて巻き込んだ大騒ぎとなってしまたが…。

と、くだらない事件の癖に凄まじい規模の事件だったわけだ。

それにしてもよく夏目が女であることが、バレなかったな。

運がいいのか悪いのかよく分からんな。

 

そんな昨日の出来事を思い出しつつ、寮の食堂で朝食を貪る。

たとえ……。

 

「夏目君と春虎君に武君は、あの名門である土御門の幼馴染!

半年遅れで夏目君と武君を追いかけて塾に入ったと思ったら……」

 

頭の中が腐っている寮母が妄想を垂れ流そうとも……。

 

「春虎君と冬児君に武君が三人で寮生活を始めちゃって!

そしたら夏目君も冬児君と武君の二人に負けじと入寮してくれて…」

 

腐った寮母が時々、俺をチラ見してこようと……。

 

「ほらっ?凄いじゃない?お姉さん凄くときめいちゃうわ」

 

朝食に集中しろ!心を乱すな!!

あんな腐った女は無視しろ!!!

明鏡止水だ!!

 

「女子寮の寮母さんと二人で大興奮!!『続報を待つ!!』ですって」

 

待つんじゃねぇ!!ぶち殺すぞ、クソ寮母共!!!

持っている箸がミシミシと悲鳴を上げる。

 

「さらにこれが女子寮の生徒さんにもバカ受けなんですって!」

 

バキっ!

クソ寮母の妄想によりついに箸がご臨終してしまった。

…やべぇ、さすがにキレそうだ。

これ以上ここにいたら思わず寮母の顔面に、拳を叩き込みそうだ。

寮母の妄想に耐え切れなくなった俺は、さっさと食器を戻して

学校に向かった。

 

 

ー春虎視点ー

 

「あ~~朝から疲れた~…」

 

「朝だけは俺も同意だ」

 

簡易式を動かす特訓と寮母さんの妄想に兄貴の漏れ出す呪力で、精神的に疲労した状態で

の授業だったからな……。

一日の授業が終わり、寮に帰ってきた俺と冬児は食堂でグッタリしていた。

 

「コラっ。二人ともだらしないぞ」

 

「ううっ、寮でくらい大目にみてくれよ……今日は朝と課題のせいで、えらい消耗

した……」

 

俺がグッタリしていると、夏目がやって来て俺と冬至に渇を入れてきたが

無理だ、勘弁してくれ……。

 

「ま、簡易式を動かすのにアレだけ全力振り絞ってりゃな…。

お前から漏れ出た呪力で、横の塾生の簡易式が反応して動いたくらいだ。」

 

畜生。なんで俺の簡易式が動かなくて隣の奴の式が俺の呪力で動くんだよ…。

 

「春虎は呪力のコントロールが大雑把過ぎるんだよ。

方向が定まらないからあんな事に……」

 

「たのむ夏目…もう式神の話はやめてくれ………」

 

「全く…じゃあ僕は部屋に戻るよ、また夕食の時にね………」

 

俺の決死の懇願が届いたようで、夏目は部屋へと戻っていった。

そして、夏目が部屋に戻った数分後……。

 

「ない!!!」

 

夏目の大きな声が聞こえた……。

 

 

 

 


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