どうも、前回偉大なる野望を掲げ陰陽術の勉強をしている土御門 武です。
今自室で父親にとんでもない人生の選択肢を突きつけられています。
なんと、俺は土御門の分家だったようで『しきたり』とやらで本家の娘さんの式神にならなくては
ならないそうだ…。
メンドクセェ……。
陰陽術の勉強で忙しいし…子供の面倒なんてとてもやる気はでない。
そんなのは同い年らしい弟君に頼んで欲しいものだ。
美少女なら考えるがな!!
「春虎にやらせれば?本家のお嬢さんと同い年なんでしょ?」
「……わかった」
式神になれ的な事を言っていたわりにはあっさり俺の提案を受け入れるこの世界の父さん。
すこし間が気になるが、了承してくれたのならいいだろう。
俺はさっさと勉強に……。
「武。」
「なに?」
「お前は陰陽術を学び、何がしたいんだ?」
勉強を再び再び開始するために机の参考書を開くと、父さんが話しかけてくる。
まさか…俺の野望に気が付いたのか?
いや、今まで将来についてはこの家で口にした覚えは一度もない。
なら、単なる好奇心だろうか?
まあ、十歳児が陰陽術の参考書や土御門の資料を漁って修行していれば
気になるのはしかたがないか…。
ふむ、ヘタに嘘ついてこれ以上聞かれたりするのは嫌だし正直に答えるか。
それに父さんも男だ。
俺の気持ちを察してくれるはず。
野望を話す事を決めた俺は本気である事を父さんに示すため真剣な表情で口を開いた。
「父さん。俺は…理想郷(美少女ハーレム)が見たいんだ」
俺の言葉の全てを理解したのか父さんはそうかと言って俺の自室を出るさいに
難しいと思うががんばれよと言って去っていった。
父さんの始めてみた男らしさに感動しながら父さんの背を見送った俺は
もし理想郷が完成したら父さんにも見せてあげようと心に誓った。
パピー視点
数ヶ月前から陰陽術の修行するようになった武。
修行するその姿はどういうわけか鬼気迫る物があった。
気になった私は、『しきたり』の話をするついでに息子に修行する目的について
聞くことにした。
すると息子は……。
「父さん。俺は…理想郷が見たいんだ」
と言った。
理想郷。
かつて我等土御門の祖先、安部晴明が夢見た場所と聞く。
清明本人は理想郷が何なのかを文献には残してはいないが歴史学者の間では
清明が望んだ理想郷とは悪鬼や怨霊など、人に害ある存在がいない世界と聞く。
もしかしたら息子は安部清明の夢を実現させようとしているのではないだろうか?
もしそうであるのなら、無謀であるがその心意気はよし。
霊災はこの世からなくならないだろうが幼いながらに人々の平和を望み努力する
息子を私は影ながら応援する事を決めた。
無茶はするなよ……。
☆☆
父さんに夢を語った後、応援されやる気の出た俺は夢の実現を少しでも早めるために
被害がでないように部屋に結界を張った後、式神製作の実験を開始した。
資料に従い、人型の紙に自分の呪力を帯びさせた筆と墨で術式を書き込む。
そして肝心の容姿だが…やはり美少女…しかし、失敗してブサイクなのが出来たら
最悪だし…まずは実験として男だな。
……。
少年陰陽師の十二神将を作ってみるのはどうだろうか?
たしか、あのアニメの十二神将はジジイが一名いたがそれ以外は美男、美女
美少女、美少年、美丈夫の集団だった。
つまり、十二神将全員を作ることが出来れば俺の理想郷はすぐ目の前じゃね?
それに男は俺の理想郷を護るためのガーディアンとしてこき使えば最高じゃね?
くくくくく、リア充なイケメン共をこき使い、美女・美少女を侍らせる。
まさに理想郷!!
よっしゃ!みなぎって来た!!!
人型の式にさらに霊気を込めて術式を書きなぐる。
容姿は原作一番のイケメンだと思われる貴様だ!!
煉獄の将・騰蛇(とうだ)!!
驚恐を司る十二神将最強にして最凶の闘将。
コイツなら立派なハーレムガーディアン……もとい、護法式(ごほうしき)になれるはずだ。
護法式とは4つに分類される式神の中の一つで、精霊や鬼などの異形の物を使役する
使役式の代替品として作られた、人造式の事。
常に主の傍におり、主の護り主の命令に従う。
忠実な人造の守護者。by猿でも理解できる陰陽術の著者
霊気をこれでもかと言うくらいに注ぎ、憎いイケメンをイメージをする。
アニメで見た奴の動きを思い出し
アニメで見た奴の戦いぶりを妄想し
アニメで見た奴の言動と経験を再現し
ここに、幻想を結び式と成す――――!
※テンションが高いせいか何故かフェイカー風
作業が終わると式は光だし光はどんどん人の形となり大きくなっていく。
俺より大きくなった人型は一定の大きさになると発していた光がなくなっていき…
一人の男が姿を現した。
姿を現した男は身長186cmぐらいで精悍な顔つきをし、黒とも見紛う深い紅の髪と切れ長の黄金の双眸をもつ。
褐色の肌で、一切の無駄のない逞しい体躯をしている。
うん、どこからどう見ても殺意が沸いてくるほどのイケメンさんだね。
思わず殺気を込めて睨んじゃうよ。
視線で死なないかな…。
「十二神将の騰蛇だ。よろしく頼むぞ晴明」
「は?」
イケメンを睨んでいると、奴は気にした様子を見せず驚きの挨拶をかましてきた。
なに、言っちゃてんのこのイケメンは?
「えっと…君は何?」
「何を言っているんだお前は…。
俺はお前…晴明に作られた式、十二神将の騰蛇に決まっているだろう」
いや、十二神将をモデルに作ったんですが……
え、何?、もしかして自分を十二神将だと思い込んでんの?
そんで十二神将の主=晴明だから俺がを清明と?
やべぇ、失敗だ。
どうやら調子に乗りすぎちゃったようだ。
呪力を無駄に消費しちまった……。
頭を抱えどんよりとしているとイケメンが俺に視線を合わせるようにしゃがみこみ
話しかけてくる。
「どうした?晴明」
「とりあえず晴明呼ぶな。俺は武だ」
「分かった」
……。
ふむ一応主で在る俺を心配しているし従順っぽい。
まあ、余計な事を言わなければ立派なハーレムガーディアンだし……。
余計な事を喋らないようにさせれば大丈夫なんじゃね?
「お前、これからは紅蓮と名乗れ。自分を十二神将と言うの禁止な。」
「いいだろう」
想像した通りだ。
コイツは俺の失敗で余計な刷り込みが入っているが基本は唯の式神だ
余計な事を言わないようにすれば何も問題は無い。
ふう。とりあえず安心安心実験は成功。
さっさと風呂入って言って寝よ。
「紅蓮。とりあえず姿を変えて、部屋で待機してて。」
俺が命令を下すと、奴は身体から真紅の光を放ち、小さくなって……
大きな猫か小さな犬のような体躯に、長い耳とあいまって兎にも似たかわいい顔。
毛は白だが、額の模様や首回りにある勾玉のような
突起・瞳の色など赤い色がアクセントとなっているアニメおなじみの姿に変化した。
式神というよりペットみたいだ。
そんな感想を抱いて居ると紅蓮が話しかけてきた。
「この姿で居るのは構わないが、俺は一応お前の式神だぞ。
どこか行くなら俺を連れていけ」
「風呂に行くだけだ。大人しくしてろ」
それだけ言って、部屋に張った結界を解いた後、一直線に風呂へと向かった。