陰陽師になりました。   作:ラリー

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18話

ー春虎ー

 

ただでさえ、大変な時に現れた厄介な化け物。

奴の出現により、恐怖と驚愕に支配されるクラスメイトや講師達。

しかし、そんな中で一人だけ恐怖にも驚愕にも支配されず、ただ、バケモノの

前に立っている男が居た。

 

そう、見た目は俺がよく知る友人の天馬。

しかし、中身が全然違う。

根拠はないけど、俺にはそう感じる。

バケモノと一対一で睨み合う天馬?

周りに居るクラスメイト達と先生は息を呑み、一体と一人の様子を見守る。

そんな中……。

 

「なんだぁ~~~?」

 

一人のヤンキーが現れた。

 

「ガキが俺の獲物に何をやってやがる」

 

突如、俺達の前に現れた謎のヤンキーは天馬?を睨みつける。

獲物?何言ってんだこのヤンキー?

額にバッテン付けてるし、薬でもキメてるのか?

 

「…オ……『オーガ・イーター』……!!」

 

異常事態に空気を読まずに現れた頭のイカれたヤンキーと認識してみていたが、先生

が驚いた様子で暴走族のニックネームみたいな名前を口にする。

先生の知り合いなのか?

 

「おい、ジジイ。その名で俺を呼ぶんじゃねぇ。

俺の名は鏡(かがみ)怜路(れいじ)だ。

『十二神将』相手にチョーシくれてっと…ぶっ殺すぞ」

 

先生の知り合いではないようだが…じゅ…十二神将だって?

先生に指を指してぶっ殺すと言ってるこのヤンキーが?

いやいや、ありえないだろ。

こんなヤンキーが十二神将なわけが……。

 

『虫が多いからぁ!!』

 

『うっせぇブス!!』

 

『ち○こ、もいじゃうから♪』

 

うん。

あのヤンキーは間違いなく十二神将だ。

夏の事件を思い出し、奴が十二神将の一人だと俺は確信した。

 

「くくく……あははははははははは!!」

 

「…メガネのガキ、何がそんなにおもしれぇんだ?」

 

十二神将のぶっ殺す発言を聞いて始めは堪えていたが無理だったのか

爆笑する天馬?。

 

「君のような男が十二神将だって?だったらウチの塾の講師達は皆、十二神将だね。

嘘をつくんだったらもっとマシな嘘を付くんだな……三下」

 

「…よし、決めた。獲物の次はてめぇだクソガキ」

 

「百枝!!挑発をするんじゃない!!……鏡独立祓魔官!我々は陰陽塾の者だ!!

実技試験中にこのフェーズ3の襲撃を受けた!!至急応援を―――」

 

「応援もクソもあるか…そいつは俺の獲物だ。テメエらは邪魔だ。

退け。」

 

くそ!ヤンキーの奴めちゃくちゃだ!!

天馬?の挑発が相当ムカついたのか、先生の話を全く聞いていないぞ!!

 

「ばっ―――刺激を与えるな!!」

 

先生の警告を無視して自分に近づいて来るヤンキーに対して戦闘体制をとるバケモノ。

奴の瘴気の高まりを感じる。

このまま戦いが始まったら冬児や皆が……。

 

「ナウマクサンマンダボダナン、

ギャランケインバリヤハラハタジュチラマヤソワカ!」

 

これから行われる戦闘に戦々恐々としていると、天馬?の

言霊と共に一陣の風が吹き……。

 

『ギョォオオオオオオオオ!!!』

 

バケモノの四肢が空に舞ってボトボトと音を鳴らしながら地面に落ち、自分の手足を

斬られたバケモノは悲鳴を上げながら地面に転がっている。

試験の時も思ったけど本当に凄い。

天馬の姿をしたあいつは一体何者なんだ?

 

「……古書でも漁らない限り、分からないような呪術にあの男を思い出させる

メガネ…気にいらねぇ………そして何より…俺の獲物を横取りしてんじゃねーぞ

クソガキが!!ぶっ殺してやるよ!!!」

 

「ど、独立官!その生徒の問題行動については我々が―――」

 

「知るかジジイ!!ノウマク・サラバタタギャテイビャク・サラバボッケイビャク・

サラバタタラタ・ センダマカロシャダ・ケンギャキギャキ・サラバビギナン・

ウンタラタ・カンマン!!」

 

呪文詠唱と共にヤンキーの周りに吹き荒れる炎の嵐。

そのすべてが天馬?に向かっていく。

なんだよこれ!?まるで災害じゃないか!!

 

「火界咒……!?なんて力だ!?」

 

夏目の言う通りあの炎に凄い力を感じる。

あんなのがまともの当たれば天馬?は跡形も残らないぞ!!

 

「オンキリキリバザラウンハッタ、オンハンドマダラアボキャジャヤニイ、ソロソロソワカ!」

 

天馬?を焼き尽くさんと迫る炎。

しかし天馬?に届く数メートル程のところで天馬?の言霊による呪術が

発動した。

天馬?の呪術は目の前に水の竜巻を発生させて迫り来る炎を飲み込みながら

ヤンキーに突っ込んでいく。

 

「なめるなぁ!!」

 

早九字!?呪文詠唱も手印もなしで発動させてあの水の竜巻を防ぎやがった!?

もう、ハイレベルすぎてスゲェ以外に言葉がでないぞ!!

 

「……てめぇ。マジで何者だ?ぜってぇ塾生じゃねぇだろ?双角会か?」

 

「双角会?何それ?」

 

「……まあいい。てめぇの手足を焼いて、尋問すれば言いだけだ。」

 

「やれるの?三下の君に……さ」

 

距離を取り、睨み合う両者。

双角会?まったく次から次えと新しい単語を……。

筆記惨敗者の理解力をなめるなよ!!←ヤケクソ

 

「まあいい。地獄を見せてや―――くそがっ!!」

 

ドパン!!!

 

今度はなんなんだよ!!

地面から吹き出る大量の瘴気。

その光景はさっきのバケモノが現れた時の状態によく似ている。

 

「ざけんじゃねぇぞ!!誰かが霊脈をいじりやがった!!!」

 

ヤンキーの声と同時に瘴気が倒れているバケモノの体内へと吸い込まれていく。

まさか!?

 

「っち!食って回復しやがったか!!」

 

俺達の目の前で完全回復したバケモノに舌打ちをするヤンキー。

これって、かなりやばい状況なんじゃないか!?

って……消えた?

 

瘴気で完全回復したバケモノ。

てっきり襲い掛かってくると思っていたのに奴は姿を消した。

 

もしかして逃げたのか?

 

 

 




結構早めに更新できたはず……。
これからも応援よろしくお願いします。

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