ー京子視点ー
「っち!霊脈に逃げやがったか……」
舌打ちをするありえない十二神将から視線をはずし、天馬の姿をした何かを見る。
普段の天馬ではあり得ない霊力と呪力。
彼が天馬じゃない事は確実。
じゃあ本物の天馬はどこ?
今、十二神将と戦っているの目の前の彼は一体……。
「ああああああぁあぁああぁああ!!」
「冬児!!」
偽天馬の事を考えをめぐらせていると、突然の叫び声に思考を中断してしまう。
もう!今度は一体何なのよ!!
叫び声のした方に視線を向けると冬児が頭を抱え、苦しそうにしている。
そういえばさっきもあんな状態になっていたけど…まさかさっきの瘴気のせいで
体に影響が!?
皆が冬児を注目する中、偽天馬に気をつけながら一歩一歩と近づいていく。
「鵺じゃねぇ……動的霊災…?いや…そのガキ憑いてやがっ!?」
「彼に近づくな」
そして、冬児に近づく十二神将の足元から何らかの術式が発動し、呪詛の縄が
十二神将を縛り上げると共に偽天馬の警告が聞こえた。
「……。てめぇ…マジでブチ殺してやる……!!」
「この札を彼の額に張るといい。今よりもだいぶ楽になると思う」
「え?…ああ、ありがとう」
「シカトしてんじゃねーぞ、メガネェ!!」
偽天馬は呪術で十二神将を縛り、警告の声を発した後は、まるで十二神将に
対して興味を失ったかのように、縛られた十二神将の横を素通りして一枚の
呪符を、春虎に渡して、それを冬児の額に張るように指示をだす。
しかし、そんな偽天馬の行動が十二神将の怒りに更なる火をつけた。
十二神将は元から凶悪な顔をさらに憎しみの表情で歪め、刃物のように鋭い霊力
をあたりに撒き散らし、強引に呪詛の縄を引きちぎる。
が……。
「こ…これは……まさか…テメェ……局長の……」
引きちぎられた縄が十二神将の手に絡み付いたと思ったら、荒々しい霊力の嵐が消え、
十二神将の額に刻まれたバツと同じ物が十二神将の手の甲に浮かび上がった。
十二神将はそのバツを驚愕の表情で見た後、奴は前のめりに倒れこんだ。
「組長?まあ、使えそうな封印術だったから呪詛の縄に組み込ませてもらったよ。
あと、体力を奪う術式もついでに少々」
十二神将の呟きは聞こえなかったけど、どうでもいい。
驚くべき事に、あの偽天馬は一つの呪術に二つの呪術を組み込んだ。
それがどれだけ凄い事か、塾生の私にだって分かる。
そして、なんとなくだけど偽天馬の正体についても分かった。
私の想像が正しかければ彼は……呪練場で助けてくれた仮面の男。
あの仮面の男も、複数のプロの陰陽師がようやく発動できる呪術を一人でこなし、
跡形もなく対象のバケモノを消し去った。
それに、あの場には天馬もいた。
おそらく、仮面の男は私達の中で天馬が一番入れ替われ易いと判断されたんだわ。
こうして、偽天馬について考えていると……
「カガミ!何をしているカ!!」
「獺祭(だっさい)!?独りで先行きすぎ!」
上空から二羽の鴉?が現れ、ギャーギャーと騒ぎ始めた。
なに…あれ?
「カガミ寝てる!!サボッてる!!」
「カガミ!!」
「そもそも鵺どこ?鵺いない!」
「カガミ!きちんと祓ったか?」
「まさか逃がしたのか?カガミ、逃がしたか!!」
「もしかして、やられた上に逃がしたか!」
二羽のマシンガントークに誰もがぽかんとした表情を浮かべていると
大きなエンジン音と共に一台のバイクに乗った男が近づいてくる。
「鏡!どうした!?一体何があった!!」
「ゼンジロー大変!!カガミのバカ、鵺逃がした!!」
「失態!!失態!!」
男は私達の近くの路上にバイクを止めた後、すぐさま倒れている十二神将の男に駆け寄る。
たしかこの人…十二神将の……。
私達の前に現れたバイクの男はなんとニュースによく出る木暮(こぐれ)禅次郎(ぜんじろう)
だった。
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