ー春虎視点ー
「そんな!?夏目君は、まだ学生なのよっ?どうして祓魔局の作戦に
むりやり駆り出されなきゃならないのよっ!」
塾長室で京子の声が響き渡る。
あの後、塾長室に呼び出され、俺達が聞かされたのは夏目が祓魔局の作戦
の参加要請が来ているという話だった。
「ちなみに、これは強制ではありません。夏目さんには拒否権があります。
それと……京子さん塾内ではちゃんと敬語をつかいなさい」
「でもっ!」
あらぶる京子をいさめるような口調で語り掛ける塾長に天馬が食い下がる。
俺もそうだがいくら拒否権があるといっても今回の話には納得がいかないからだ。
「あんな事件のすぐあとですよ?失礼ですけどあんまりだと僕は思います。
祓魔局は陰陽塾の現状を把握していないんじゃないんですか!?」
「……父は」
天馬が塾長に祓魔局に対する感情をぶちまけていると傍らで夏目が
ポツリと呟いた。
「父は、OKを出したんですね?」
「祓魔局はそう言っているわ……なんならお父さんと相談してみますか?」
「…いえそれには及びません」
塾長と話し始めた夏目を静かに見守る俺達。
俺は…なんとなく夏目が言おうとしていることが分かる。
正直…作戦参加には納得できない。
でも……俺はコイツの式神だ。
だから……
「祓魔局に出頭します」
どんな道でも付いていって、全力で守ってやる!
「まってよ夏目君!祓魔局だって竜が君に譲渡されているって分かっていたら
きっと次善策を採用していたはずだよ!!」
「父が引き受けた以上、これは土御門の問題……なら、土御門の人間として
僕は責任を果たしてみせる」
「でもっ!」
「天馬さん」
作戦参加を決めた夏目の考えを変えようと必死に説得する天馬に
塾長が声を掛ける。
「残念ですが…おそらく祓魔局は最初から夏目さんに竜を使わせるつもりで
この作戦を立てているわ。
囮になるのが『夏目さんの』竜であることこそに意味があるのです」
塾長の言葉に背筋が凍る。
なんとなくだが馬鹿の俺でもわかった…つまり祓魔局の連中は……。
「今回の霊災は二年前と同じ……今回も夜光信者によるテロ行為である
可能性が極めて高いんです。
だからこそ夏目さんが現場に立てば信者達も無茶な行動はできない。
つまり……」
「『人質』代わりってこと?」
夏目を人質にするつもりだ。
ー武視点ー
塾長室から部屋に戻って慌てて準備したのに部屋の中がシリアスすぎて
中に入れないし、人に見られるのも面倒なので隠形をして塾長室を盗聴中なう。
ちなみに現在の俺はスーツ姿に変声機の代わりとなる呪符を内側に貼り付けた
狐の面を装備している。
さすがに着物を着ている時間はなかったよ。
しかし、人質とは夏目も大変だな。
しばらく盗聴していると、夏目の話から冬児の話へと変わった。
何でも眼を離した隙にいなくなってしまったようだ。
塾長の話では意識が朦朧としている状態だったとか……。
ふむ…一応軽い封印処置をしたから安心だと思っていたんだが……。
何か不具合でも起きたか?
それとも処置をミスったか?
『春虎、天馬は急いで冬児を探して。夏目君には私が付き添う』
京子ちゃんの言葉に思考がとまる。
あれ?今いけんじゃね?
『なら俺もつきそおう』見たいな感じで入れるんじゃね?
俺の出番そろそろじゃね?
『……なら、私が個人的に雇った陰陽師も夏目さんの護衛につけましょう。
もうそろそろこちらに来ると思いますが……かなりの凄腕なので安心ですよ』
塾長ナイス!そして風呂敷がでかすぎです!!
「どうも、本郷(ほんごう)明(あきら)です。」
心の中で塾長に抗議しつつ、何食わぬ顔で塾長室に入った。
顔…みえないんだけどね。
久しぶりの投稿……。
仕事が大変でなかなか更新が……。
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