陰陽師になりました。   作:ラリー

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3話

クソガキ様事件より5年近くの時が流れた。

 

特にする事もなく、普通に過ごしている毎日。

そんな怠惰な日常を描いている俺とは違い、

世間は去年東京で起きた陰陽師のテロにより発生した霊災の復興作業などがテレビでたまに

目に付くが、それだけで特に俺の日常には変化がなかったのだが…

 

突然、変化しないと思っていた日常に変化が訪れた。

陰陽医をしている父さんの患者が引っ越して来たのだ。

なんでもテロに巻き込まれて『鬼の生成り』になってしまい、父さんの治療を受けるために

こんな田舎までわざわざ引っ越してきたらしいのだが……。

 

なんで俺と春虎が面倒を見なくてはならないんだ?

患者は春虎と同年齢の少年だ。

同い年である春虎が面倒を見るのは分かる。

何故俺まで………。

しかもだ、あの少年は俺と春虎に出会った瞬間…。

 

『うおぉぉぉぉおお!!』

 

と、雄叫びを上げながら襲ってきたのだ。

もうびっくりして思わず……

 

陰陽術を使ってしまった。

正直やりすぎたと思ったが相手が『鬼の生成り』であった事が幸いしたのか

少年は多少の怪我と気絶だけで事がすんだ。

 

後日の朝、お詫びに彼の家に訪れたが何故か楽しそうに春虎と談笑していた。

一体何があった?

 

あと、俺についてきた紅蓮と勾陣がとても静かだったが何かあったのだろうか?

 

 

ちなみにこの生成りとは鬼や竜など、その身に何らかの霊的存在を

憑依させた者達のことであり、いわゆる憑き物とほぼ同義。

霊的存在を宿すという事は言わば歩く霊災にも等しい危険な状態であり、

生成りとなった者には封印術が施され、宿った存在を押さえ込むことが求められる。

後、稀にだけど、宿した霊的存在の持つ力を自身のものとして

強大な戦闘力を発揮する術師も存在する。

ただし人間性の喪失や自我消滅、暴走の危険を伴う諸刃の剣で一歩間違えれば

取り返しの付かない事から大抵は押さえ込むだけで戦闘しようなんて考えるのは

ごく僅かな人間だけだ。

少年も抑えるだけのようだしね。

 

まあ、それで春虎と仲良くなっている少年。

阿刀 冬児(あと とうじ)とお互いに自己紹介してそこそこ仲良くやっている。

父さんの治療はうまくいっているようで、彼は春虎と良く遊ぶようになり、

学校にも通い始めた。

 

そして俺はと言うと……。

 

自堕落な生活をしつつ、暇つぶしに冬児の先生をしている。

 

何故、冬児の先生をしているかと言うと、彼が学校に通い始める一週間ほど前に、

自分でも鬼を抑えられるように色々と教えて欲しいと頭を下げに来たので、

暇だった俺は、いい暇つぶしが出来たと思い彼の頼みを聞き入れた。

 

彼が俺に頼みに来たのは、どうやら父さんが冬児の診療中に

勉強やら修行をしていた俺の事を話していたらしい。

5年前は酷い中二病で、いろいろな呪術や知識を貪欲に手を出したからな……。

今となっては誰もが持つ、恥ずかしい黒歴史だ。

 

まあ、俺の黒歴史はどうでもいいとして…。

冬児に頼まれてから、現在に至るまで実技は教えていないが役に立ちそうな知識を春虎に内緒で彼に

教えている。

春虎に内緒なのは、彼に黙っていて欲しいと頼まれたからだ。

理由は恥ずかしいらしい。

 

まあ、別にいいけどね。

 

しかし、この暇つぶしは意外と面白い事に気が付いた。

彼の頭がいいのか?俺の教え方がいいのか分からないのだが、彼は

俺が教えるたびにどんどん知識を吸収し、最近では教えることはもう

ないのでは?と思うほどになっている。

そして俺は思ったのだ教師って意外とらくじゃね?と…。

 

何故なら、ヘタに生徒に干渉せず、教えることだけ教えとけば後は生徒の

責任だ。

教えて欲しいと生徒が言ってこれば教えてやるようにして、生徒の成績が悪いと

文句を言われても教師に分からない所を聞きに来なかった

生徒の努力不足と言ってしまえば問題は無い。

しかも公務員だから、給料は安定しているし将来も安泰だ!

 

よし!俺は教師になるぞ!!

 

 

 

☆☆

 

 

俺の名前は阿刀 冬児。

東京に住んでいた時、霊災に巻き込まれ、鬼を体に宿す事になってしまい

土御門 鷹寛(つちみかど たかひろ)と言う陰陽医の治療を受ける為に田舎に

引っ越す事となった。

 

当時は鬼のどす黒い感情を抑えることが出来ず、陰陽医の息子と聞いていた

兄弟に殴りかかったりしていた。

 

まあ、殴ることは出来ず兄弟の兄の方に、あっさり陰陽術で気絶させられたが……。

 

後日の朝、弟の方がやって来て話しかけてきた。

話す内容はコイツの兄についてで、気絶させられた事もあったせいか話は弾み

弟のほう、春虎とは仲良くなったよかったのだが……。

 

話の途中で兄の方が来たときはやばかった。

正直、殺されるのではないかと思うほどのプレッシャーを放っており、もしかしたら

話の内容を聞かれていたのかもしれない。

春虎もそれを感じていたようで、俺たちは取り留めのない適当な談笑をして誤魔化す事にした。

 

 

春虎の兄、武さんともそこそこ仲良くなり治療も順調に進んだ頃、そろそろ

学校に行っても問題はないと二人の親父さんに言われた。

正直、鬼を暴走させないか不安だったが……。

ふと、親父さんに聞いた武さんの事を思い出した。

 

親父さんの話が本当なら陰陽師としてかなり優秀な人らしい。

もしかしたら、色々と教えてもらえるのでは?

鬼を抑える方法を独学で探すのはかなりの時間がかかる。

もし、教えてもらえるのであれば独学で学ぶよりも時間は少なくてすむだろう。

 

俺は武さんに頭を下げ、鬼を抑えるための知識を教えて欲しいと頼み込んだ。

初めは断られるのではないかと思ったが意外にもすんなり承諾された。

 

それ以来、武さんから色々と陰陽術に関して教えてもらうようになり

学校に通ってからは陰陽術に関係する授業はそこそこいい点数を取らせてもらっている。

後、武さんの授業を受けているとき気が付いたことが在る。

時々、武さんの肩に違和感を感じることがあるのだ。

俺は生成りとなった事で『鬼見』の才能を得た。

それにより霊気の流れや霊的存在を視認し感じ取ること出来る。

つまり武さんの肩には何かが居るという事になる。

それがなんなのかは分からないが武さんが連れているのなら問題はないのだろう。

 

 

 

 

 

 

 

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