オリジナル展開に徐々になっていると思います。時系列の矛盾とかは「二次小説だし……」の一言で済ませますので、ご了承ください。
ツナ達と合流した次郎長一行は、周囲を警戒しつつ奥へ進む。
「……にしても、
「そもそもこの時代のてめェがあんなやられ方しなきゃ、こうはならなかったろうが!」
「青タンついたケツのガキにギャーギャー言われるのァ癪に障るが、並盛最強でも年には勝てねェっつー事実の証明になっちまったからな……オイラもまだまだだねェ」
「おじさん、これ以上強くなってどうするの……」
ただでさえ化け物じみた強さなのに、さらに人外の領域へ突き進む気満々の次郎長に、ツナは顔を引きつらせた。
「……次郎長。貴様、
「話が長くなんぞ」
「結構だ。俺はお前を信用してないからな」
警戒心を解かないラルに、次郎長は煙管の紫煙を燻らせながら歩きつつ、関係を吐露した。
「オイラが組を持ってヤクザ稼業が板についた頃……並盛商店街で催されていた福引で一等のイタリア旅行を当てたのが始まりだ」
「誰がそこから話せと言った!? 要点を伝えろ!!」
「暇なんだから最初っからでいいだろうが。それにこの件は組の人間にも言いふらしてねェんだぜ?」
その一言に、一同の視線が次郎長に集中する。
マフィア界の掟と番人達と、どうやって出会ったのか。次郎長の過去に何があったのか――それが気になって仕方がない。
それを察してか、次郎長は言葉を続けた。
「そんでイタリアに一人で旅行に行ったんだが、宿泊先のホテルが12人の男達がエレベーターに箱詰め状態で惨殺される事件があってな」
「何それ!? 何の悪夢!?」
「そりゃあ、運が無かったのう……」
「ホントだよ。何が太陽の国イタリアでい」
嬉々として到着した矢先、殺人事件でホテルが一時営業中止となるという悲劇。
気の毒としか言いようがなく、ツナ達は同情の眼差しを向けていた。――二人を除いては。
(……次郎長の奴……あの事件の現場にいやがったのか)
(――まさか「血の洪水事件」か!?)
リボーンとラルは、表情には出さなかったが動揺した。
血の洪水事件。
それは、ボンゴレファミリーの門外顧問であるツナの父・家光の部下12人がホテルのエレベーター内ですし詰め状態で惨殺された事件。その血は最上階から地下まで溢れており、凄惨な現場だったという。
その事件の当日に、次郎長がイタリアを訪れていたのは初耳だった。
リボーンとラルは、何か知らねばならない真実が隠れてるのではと勘繰り、次郎長の昔話に耳を傾けた。
「仕方ねェからホームステイ先を探してたところに、古美術商の古里真とその一家に出会い、飯奢ってもらったんでい」
「! 炎真達と仲が良いのは、まさか――」
「そういうこった」
ツナは次郎長と古里家の親密な間柄である理由を理解し、声を上げた。
「…………そういやあ、あの日の夜だったな……オイラとボンゴレが対立するきっかけとなったのァ……」
「きっかけ……!?」
「ああ……人間やめたのも、思えばあの時が始まりだった」
次郎長は拳を強く握り締め、怒りの空気を発する。
今もなお、あの男は生きて暗躍しているのだ。裏社会における次郎長の最大の敵との因縁は、あの日から始まり、そして決着も付いていない。あの夜のことを思い出すと、嫌と言う程にズキズキと右肩の傷が疼く。
今は優先事項が違うが、元の世界に戻ったら――
「おい、次郎長……殺気
「…………
右肩を押さえる次郎長。
その表情はよく見えないが、苛立っているのはすぐわかった。
「……話を続けるぞ。その日の夜、俺は襲撃に――」
遭った、とまで言おうとした途端。
複数の気配を感じ取り、次郎長は居合の構えをとった。
「構えろ、何か来るぞ」
『!!』
敵の襲来と悟り、得物を構える一同。
遠くからはジェットエンジンのような音が聞こえ、徐々に近づいていく。
「……あっ!!」
「アレは……ストゥラオ・モスカ!!」
その姿に、ツナとラルは汗を一筋流す。
ストゥラオ・モスカはゴーラ・モスカの二世代後継機で、乗り込んで操縦することができるミルフィオーレの人型兵器。高い戦闘能力と機動力を有し、通常のモスカが一般車両とすれば、ストゥラオ・モスカはF1マシン級のスペックとされている。
並大抵のマフィアでは歯が立たない強敵が、複数も向かってくれば苦戦は必須だろう。――並盛の猛者達さえいなければ。
「一人一体だな」
「準備体操にはちょうどいい」
「……フン」
すかさず次郎長・朧・剛田の三人が立ちはだかる。
その姿を確認したモスカは、加速して急接近する。
「逃げろ、お前ら!!」
ラルがそう叫んだ瞬間。
次郎長は抜き身も見せぬ居合を放ち、胴体を一刀両断。
朧は初手を躱し、掌底一発で内部破壊して行動不能に。
剛田は渾身の剛拳で頭部を殴りつけ、内蔵のコンピュータを損傷させてノックダウン。
その圧倒的な強さと鮮やかさすら感じる手際の良さに、ツナ達はポカンと口を開けた。
「…………アレから逃げるのにどれだけ大変だったか……!!」
「いや、おかしいのはおじさん達の強さだから気にしないで!!」
モスカ三体を蹴散らした一行は、分かれ道に直面した。
「ルートは三つ……ここにいるのは十人。三・三・四で分けるのか?」
「次郎長、剛田、我々は個々で分けるとしよう。四名の小隊には沢田と次郎長で決まりだ」
「だろうな。オイラもそうする」
次郎長は手短に話し合い、三チームに分けた。
次郎長はツナとリボーン、クロームを連れて正面を。
朧はラルと山本を連れて左を。
剛田は獄寺と了平を連れ右を。
戦力を分散しても、幹部格との戦闘でも問題ないようバランスを重視して編成する。
「まあ、ベタって言えばベタだな」
「立場上一番狙われるのはツナだ。だからオイラが先頭に立って正面突破で行く。敵の注目が集中するのは明白だからな」
「その間にわしらが両脇を征圧するんじゃな?」
剛田は拳をゴリゴリと鳴らし、獰猛な笑みを浮かべる。
「そうそう、それと
「なっ!? 何をバカなことを!! 敵に見つかるだろう!!」
その考えに、潜入するつもりできたラル達は反対する。
そもそもラル達は敵に見つからないように目的である研究室へ向かうのだ。次郎長の提案は受け入れられないモノだ。
しかし次郎長は、むしろ壊した方がいいと語る。
「この時代の技術はオイラの想像以上だ、部屋を丸ごと交換するなんてマネも可能かもしれねェ。だったら破壊しまくって、この秘密基地の指揮官の手札を減らした方がいい。てめーらは爆破は得意だろ?」
「!!」
「最終決戦ってのは、敵の戦力を直前まで
「色んな不安要素は残るが、向こうが残党同然の俺達を侮ってる内に潰すってのは賛成だゾ」
慢心や思い込み、情報不足は敗北者の共通点だ。
敗北者の共通条件が全て当てはまっている今の内なら、少ない戦力で
「俺は乗るぜ。全員果たさねえと気が済まねェ!!」
「俺も極限に同感だ!!」
「私はおじ様に従う……」
次々と賛同者が現れ、ラルは舌打ちしつつも了承した。
「決まりだな。――まあ敵の情報を知らねーのァ、お互い様だ。漢らしく
*
そういう訳で、正面から突破することにした次郎長チーム。
次郎長は刀に手を添えたまま移動し、感覚を研ぎ澄ましている。
「おじ様……」
「おじさんこそ無茶しないでよ……」
「若い芽を摘ませる訳にゃいかねーのよゥ。それに狙われるのはオイラよりおめーらだしな」
次郎長は空いたもう片方の腕で、ツナの頭を撫でた。
「それにしても、皆大丈夫かな……」
「信じろ。それが仲間ってモンだろ。強いて言えば、問題は幻騎士ぐれーか。切り札を持ってるオイラならまだ手に負えるが」
「お前、幻騎士と戦ったのか」
「まあ、五分五分で持ち越しだったがな……っと、噂をすりゃあ何とかって言うが、本当にそうなりやがった」
次郎長は足を止めた。
その視線の先には、鋭い殺気を放つおかっぱ頭――幻騎士が立っていた。
「あれが、幻騎士……」
「何て殺気……」
今までにない殺気に、ツナとクロームは息を呑んだ。
「よう、また会ったな」
「……次郎長。俺は沢田綱吉の抹殺を命ぜられている。邪魔をするなら斬るぞ」
「バカ野郎、
次郎長は疑問を投げかけた。
ボンゴレ狩りを敢行しているミルフィオーレファミリーだが、ツナはリング争奪戦で正式にボンゴレ後継者から外されるようになったはず。10年後も決して変わらないはずで、これでツナに手を出せばカタギに手を出すも同然という意味となる。
「それでも狙うってのは……血筋か?」
「それについて答える義理は無い」
「だろうな。俺もここをどく義理もないし、むしろてめーと前の続きをしてー気分だ」
次郎長は鯉口を切り、笑みを浮かべた。
「どこからでも来い。おじさんは甘くねーぞ」
一方の剛田達はというと。
「何じゃあ、あのおっさんは。戦う気あんのかのう?」
そうボヤく剛田の視線の先には、ターバンを頭に巻いた恰幅の良い男が浮いてる絨毯の上で胡坐を掻いていた。
男の名は、バイシャナ。〝白の殺戮者〟と呼ばれる程に腕の立つ実力者だ。
「我、汝らの血と肉を所望す」
「……何か雰囲気がインドっぽいのう。カレーが食いたくなってきた」
「そんな呑気なこと言ってる場合か!!」
獄寺がそう叫んだ瞬間、壁をぶち破って大蛇が姿を現した。
「ハハハ! ツチノコがペットか!!」
「なっ!? 何を言っている!? これは
「いいや、そのフォルムは間違いなく日本が誇る幻の聖獣だ!!」
「貴様も何を言っている!?」
剛田どころか獄寺すらツチノコ呼ばわり。
これにはバイシャナもカチンと来たのか、抗議の声を上げる。
「そう言えば、ツチノコなら3年前に発見されたぞ?」
「「マジかよ!?」」
衝撃の事実に、剛田と獄寺は驚愕を隠せず声を荒げた。
その同時刻、朧達もまた敵と遭遇していた。
「……アンタ、何者だい……ミルフィオーレのリストに載ってない男だね……」
「生憎、貴様ら如きに名乗る名は持っていない」
朧は目の前の女にそう吐き捨てる。
相手は第12カメリア隊隊長、アイリス・ヘプバーン。〝妖花〟と呼ばれ、
(
アイリスは冷や汗が止まらない。
それもそのはず。八咫烏陰陽道は日本の徹底した秘密結社であり、その名を聞いたことがある者はいても実態を知る者は一人としていない。次郎長は密接な関係があるが、彼らの実態にはあまり興味がないため、実質無知である。
日本を掌握したも同然のミルフィオーレファミリーも例外ではなく、現に朧達を今まで見つけ出せず、この邂逅が初めてであった。だからこそ、放たれる殺気や威圧感で本能的にとてつもない相手だと悟ってしまったのだ。
「お前達は援護に徹しろ。力を温存しておけ」
「ダメだ! お前はこの時代の戦い方を知らないだろう!」
「ああ。だが奴は俺の手の内を知らない。それに俺の戦闘技術は、時代が変わろうとも生物の理を外れてない以上は確実に敵を滅する」
冷徹な声で告げる朧に、ラルと山本は息を呑んだ。
この男は、只者ではない。
「……アタイ達に勝てるとでも思ってんのかい? リングも
「心配することは無い。八咫烏の羽からは、何物も逃れられはしない」
朧はそう宣言し、小太刀を抜いた。
今思ったんですけど、本作の未来編はとっとと元の世界に戻って、当時の白蘭を探し出し脅しまくって大人しくさせた方が手っ取り早い気がするのは気のせいですよね?