となりのガハマさん   作:ぶーちゃん☆

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メリークリスマス!(遅い)

ふ、ふぅ……、なんとか今年中に間に合ったぜ……(--;)





今度こそとガハマさん

 

 

 

 引き手に手を掛けたあたしの胸が、どくんどくんと激しく波を打つ。

 

 

 優美子達と別れて新しいクラスへとやってきたあたしは、つい先ほど起きたばかりのすっごい奇跡にまたもや勝手にヒッキーとの運命を感じてしまい、情けない事に恋したてのちっちゃな女の子みたいに、好きな男の子との二週間ぶりの再会に凄く緊張している。

 

 ──ヤバい、まだヒッキーの姿見てもないのに、もう顔とか真っ赤になっちゃってそうだよ!

 

 簡単にそう自己分析できてしまうくらいには、顔も体も超熱い。おまけににやけも止まらない。これ、完全にただの変な子じゃん。

 

 しかし、ここまで顔が熱くなっているのは、なにもこれからヒッキーと会えるからってだけじゃない。ヒッキーとまた一年同じ教室で過ごせるんだ! っていうウキウキだけじゃない。

 もちろんそれらが原因の多くを占めるんだけど、それ以外のなにが原因かと言えば、なんとあたしの気持ちが優美子達にバレていて、つい先程その件についてさんざん冷やかされたからだろう。

 ……な、なんでバレてたんだろ……!? あたし、優美子達にそんなこと一言だって言ったこと無かったのに……! うー……、もしかして、あたしって分かりやすい……?

 

 でもね、なんていうか、冷やかされるのは思ってたよりも嫌なものじゃなかった。

 もちろんすっごい恥ずかしかったしすっごい慌てまくってわちゃわちゃしてた。もう恥ずかしくて恥ずかしくて、冷やかされてる最中どんな顔してればいいのかとか、全然わかんなかった。

 でも、なんかちょっと嬉しかったのかも。あたしの恋が友達に認められた気がして。

 

 

 ──うん。誰かに好きな人がバレるのは、そんなに恐いことじゃない。

 もちろん誰もが好意的に見てくれるわけじゃない。あたしを嫌な気持ちにさせる人達だって居るとは思う。

 でも、そんなのもうどうだっていいや。だって、好意的な目を向けてくれる人達からの冷やかしやからかいが、悪くないものなんだって解ったんだから。

 

 

 だからあたしは力いっぱい扉を開く。これからあたしが一年間お世話になる……ヒッキーと一緒にお世話になる新しい教室の引き戸をがらりと開くのだ。

 周りからどう見られたって構わない。あたしは、この教室でヒッキーとたくさんお喋りするんだ!

 

 

× × ×

 

 

「あ! 由比ヶ浜さんだぁ」「やったぁ! 結衣ちゃんと同じクラスなんだぁ!」「有名人と同じクラスとか超ラッキーだよぉ。よろしくね! 由比ヶ浜さん」

 

 教室に入ったあたしを待っていたのは、ヒッキーではなく新しいクラスメイトの子達からの明るい声だった。

 

「う、うん! よろしくね!」

 

 一年のトキ同じクラスだった子、一年のトキも二年のトキも別のクラスだったけど友達繋がりで知ってる子、見たことはあるけど話をしたことの無い子。

 見知った顔もあれば初めて会った子も居る、そんな新しいクラスメイト達。

 ……てか有名人ってなに!? あたし有名人なんかじゃなくない!?

 ……ま、まぁゆきのん優美子隼人くんいろはちゃんと、あたしの周りは超有名人ばっかだから、いつも超有名人の周りをちょろちょろしてるあたしも無駄に目立っちゃってるのかも……? あたし自身の魅力とか実力とか話題性とかではないのに、知らない所で有名人とか言われてちやほやされるのは、正直気まずいし恥ずかしい……。あんまり目立っちゃうとヒッキーに声掛けづらくなりそうだし……

 

 クラスメイト達に囲まれたははと愛想笑いを浮かべつつも、あたしの心は違う場所にいる。せっかくみんなが挨拶してくれてるのに心ここにあらずだなんて、ダメだな、あたし。

 だけど、どうしてもあたしの目と心は、この子達ではない他の人物を探してしまう。求めてしまう。

 そしてあたしは、申し訳ないな、なんて思いながらもみんなの目を盗んで教室の中をくるりと見渡してみた。

 

「……んと」

 

 どうやらヒッキーはまだ到着してないみたい。

 あたしと同じで新たな生活が待ちきれないのか、登校時間にはまだ早い時間にも関わらず教室には結構な生徒達の姿があるんだけど、肝心のヒッキーの姿はまだ見えない。

 ま、ヒッキーに限って、新しいクラスでの新しい生活が楽しみすぎて張り切って早めに登校しちゃう、なんて事あるわけないしね。もしくは、さいちゃんと違うクラスになっちゃって、今ごろ掲示板の前でがっくし崩れ落ちてるかも。うわぁ……超あり得そう。

 

「どしたの? 結衣ちゃん」

 

「あ、ん、んーん? ……な、なんでもないよ?」

 

 上手くみんなの目を盗んだつもりだったんだけど、ヒッキーを探しすぎてちょっとキョロキョロしすぎちゃったみたい。こっそりクラスを見渡してるのを見られて質問されて、思わずなんでもないと誤魔化してしまった。

 

 ──なんであたし誤魔化してるんだろう。正直に言えばいいのに。前のクラスメイトだった仲のいい男の子を探してたんだよ、って。

 ……あたし、大丈夫かな。せっかくまた同じクラスになれたのに、こんなんじゃ、また教室でヒッキーに声を掛けるのを躊躇っちゃうんじゃないの……? 今年こそはって決めたはずなのに、あまりの自分の情けなさに、膨らんでいた決意とか期待とかあれやこれやがぷしゅっと萎んでしまう。

 それから自分の席へ移動したけれど、あたしの沈んだ気持ちなど知る由のない子達にわいわいがやがや囲まれてしまい、相変わらずの愛想笑いを浮かべる時間が続く。気持ち悪いな、あたし。

 

 ──しかし……

 

「っ!」

 

 そんな暗い感情は、いとも容易く吹き飛ぶ事になる。

 一発でころっと変わってしまった自分の心に苦笑いが浮かんでしまいそうだけど、でもそれは仕方ないよね。だって、ようやくヒッキーが教室に入ってきたんだもん。

 

 今日から新学期だというのに、いつもと全然変わらない超カッコ悪い姿。

 ぼさぼさの頭にみっともない猫背。どんよーり濁りまくったいつもの目も健在だ。いや、あの目はいつもの1.5倍は腐ってるな。やっぱさいちゃんと違うクラスになっちゃった辛い現実を目の当たりにして凹んでるんだろう。あはは、ヒッキーマジキモい!

 そんな情けなくてカッコ悪くてめっちゃキモい、あたしの大好きな男の子。その姿に、さっきまでの変な落ち込みは一瞬で吹き飛んで、胸がほんわかとした温かさで満たされてゆくのを感じる。

 

 今年も一年間よろしくね、ヒッキー!

 

 

× × ×

 

 

「よーし、じゃあまずは席替えでもすっかー」

 

 今年から担任となった体育の厚木先生の一言で、クラスはざわりとした空気で満たされていた。

 てっきり今の席のままで一学期を過ごす事になるもんだと思ってた。まさか初日から席替えをやるだなんて全然予想できてなくて、この厚木の一言は結構意外。たぶんクラスのみんなも、そんな意外さに騒ついてるのだろう。

 

 正直あたしは厚木が苦手。なんていうか、声おっきいし態度もおっきいし、おまけに体もおっきいし。その全てが高圧的に見えてしまい、あまりお近づきにはなりたくない先生だ。

 でも、今回ばかりはナイス厚木! 席替え超さんせー!

 だって、このままの席だとヒッキーが遠いから。少しでも近付ける可能性があるのなら、あたしは席替え大賛成。ヒッキー、あたしの存在に全然気付いてないし、この席替えというイベントに乗じて、あたしの存在を気付かせなくちゃ。

 

 

 ──そう。ヒッキー、あたしの存在に全く気付いてない。

 教室に入ってきて席についた途端机に突っ伏しちゃって、ずっと見てるあたしの視線に気付きもしない。

 あたしはクラス表みて飛び上がらんばかりに喜んだのに、ヒッキーはクラス表に由比ヶ浜結衣の名前があるかどうかを探してくれなかったんだと思うと正直凹む。どうせさいちゃんの名前しか探さなかったんでしょ、ヒッキーマジキモい!

 思わずむきーっ! ってしちゃいそうなくらいムカついたから、この席替えであたしの存在を知らしめてやるんだから。

 

 

 そして変な喧騒の中、ついに始まった席替えイベント。まずは男子からクジを引くという事で、あたしはヒッキーの様子をじっくりと観察する。ヒッキー、どこら辺の席引くのかなー?

 でも当のヒッキーはというと、じっと視線を送り続けているあたしに気付くこともなく、また、この席替えイベントに少しも興味を示すこともなく、相変わらず面倒くさそうに目をどんよりさせて自分の順番が回ってくるのをただ待っている。

 これがさいちゃんと同じクラスだったら、この席替えイベントにもそわそわしっぱなしなんだろうなぁ、なんて思うと、ついつい苦笑も漏れちゃうよ。

 

「……あっ」

 

 そしてついに回ってきたヒッキーの順番。本人は溜息吐きながらやれやれ感丸出しでクジ引きに臨んでるけど、それを見守るあたしはといえば、半分ドキドキ半分モヤモヤ。なるべく近くになるといいんだけど、今より遠くなっちゃったら最悪だもん。

 

 ……ん? あれ? あんだけ興味なさそうにしてたヒッキー、クジを見た瞬間、ほんのちょっとだけ口元がニヤけたぞ? なんだろ、いい席でも引き当てたのかな。

 

「……おぉー」

 

 それもそのはず。ヒッキーはクジを引き終えたその足で、教室後方の窓際へとまっすぐ向かった。なんとヒッキー、窓際最後列というめちゃラッキーな席を引き当てたらしい。ヒッキーってクジ運とかあんま良さそうじゃないんだけどなー。ヒッキーには似合わないクジ運に、思わず感歎の声を上げてしまった。

 

 ……でも、これは考えようによってはとてもマズい状況だ。なぜなら窓際最後列という場所は、とても限定的な席だから。

 廊下側最前列、廊下側最後列、窓際最前列、窓際最後列というこの四席は、例えるならオセロの隅っこと一緒? とかでいいのかな? よくわかんないけど。

 ソコを取れた人には最強の席だけど、取られた人からすると最悪の席だったりする。教室の角っこゆえに、隣接する席がとても少ない。つまり狙ってる人がその席を取ってしまった場合、少しでもその人の近くに寄りたい側からすると、近くになる確率が超減っちゃうのだ。

 あそこは、あんま人と関わりたくないヒッキーからすれば最高の席だけど、ヒッキーの近くを狙ってるあたしからしたら、とてもとても厄介な席。

 

 恨めしげにヒッキーの姿を追うあたし。そんなあたしの複雑な気持ちも知らず、ヒッキーは自分の席に着くやいなや机に突っ伏してしまった。

 どうせ自分が最高の席を引き当てた以上、あとのことは知ったこっちゃ無いとか思ってるんでしょ!

 

 

 男子がクジを引き終えて、次は女子に順番が回ってくる。ヤバい、超ドキドキしてきた。ヒッキーの近くを引き当てるのは超確率低いけど、せめてあたしにクジ引きの順番が回ってくるまでは、ヒッキーの近くの席が空いてますよーに!

 

 

× × ×

 

 

「うっわぁ、窓際後ろの席とか絶対引いちゃいたくないよねー。てかあいつってアレでしょ? 文化祭んトキに話題になったキモい陰キャ」

 

「ねー! てか私、さっきまであの陰キャの隣だったから、マジ今学期終わったと思ってたわー。席替えしてくれてちょーラッキーなんですけどー」

 

 

 そろそろあたしの順番が回ってきそうだったから、騒ぐ心臓を押さえ付けてクジ引きの列に並んでいたそんな時だった。あたしの耳に、数人の女子達の嫌な会話が届いたのは。

 

「……っ」

 

 ……間違いない。今のはヒッキーの悪口だ。いんきゃ? とかいうのはよく分かんないけど、文化祭の時に悪い話題になってしまった人の事なら、誰よりも痛いほど知っているから。

 

 

 ──まさか、未だにヒッキーの悪い噂が燻ってたなんて……

 

 あの嫌な空気だった毎日を思い出してしまう。

 ただでさえヒッキーに声かけづらかったのに、あの日以降はもっと近づきにくくなっちゃった、あの文化祭後の毎日の淀んだ空気。

 あれから暫らく経ったから、てっきり忘れ去られているかと思っていたあの嫌な空気。そんな空気をまた感じてしまったら、嫌でも気持ちが萎んでしまう。ヒッキーとたくさん話す気満々だった、あたしのわくわくな気持ちが……

 

「……むー、ダメだダメだ……!」

 

 でもあたしは、誰にも聞こえないくらいの小さな声でぽしょりとそう呟き、萎みかけてしまったその気持ちを無理やり引き戻す。実際にはやらないけど、気持ちの中だけでは両手でぱーんて両頬をはたいてるまである!

 

 あたし決めたじゃん。もうそういうの気にしないって。

 これからの毎日、ヒッキーと仲良く喋ってたら確かに目立っちゃうかもしんないし、ヒッキーも嫌がるかもしんない。

 それでもあたし決めたよね。もう周りの目なんか気にしないって。ヒッキーとたくさんお喋りするんだって。

 ヒッキーはあたしの大切な人。あたしの大好きな人。……空気を読むな、結衣。空気に流されるな、結衣。あたしはあたしの思うがまま行動するんだ。

 

 気持ちを切り替えたあたしは、意気揚々とクジが待つボックスへとまっしぐら。待っててねヒッキー、あたし、絶対ヒッキーの近く行くから。絶対ヒッキーにいっぱい話し掛けるから。

 

 

「……とりゃっ!」

 

 

 

 ──気合い一閃、ボックスから引き抜いた一枚のクジ。ハサミでチラシを切り揃えたらしき決して綺麗とは言えないその紙切れに書かれた数字を見た瞬間、あたしは決めた。

 今度こそ、今度こそだ。今度こそ、待たないでこっちから行くの、って。

 

 

 だって、ヒッキーは──、だって、あたしは──。

 

 

× × ×

 

 

 お気に入りの服に袖を通してセットを整えメイクを決めて、ばっちりと自分磨きを終えて家を飛び出したあたしは、いつもとおんなじようにお団子を元気いっぱいに揺らす。

 流れゆく街並みを横目に見ながら、一秒でも早く待ち合わせ場所に辿り着くため急ぎ足でヒッキーの待つ千葉中央駅へ向かいつつ、あたしはあの日の記憶に思いを馳せていた。

 周りからの視線をひしひし感じつつ、隣で眠るヒッキーを恐る恐る揺り起こしたあの日あの時、あたしは決めたんだ。今度こそって。

 

 

 ──ヒッキーが目立つのを嫌がるのを恐れて、あたしは今までヒッキーにあまり話し掛けなかった。ヒッキーの為に。ヒッキーに気を遣って。

 ……んーん? 違うよね、結衣。それはあくまでも表向きのお話。たぶん、ヒッキーもそう思ってるんだと思う。

 

 でも、ホントはあたしが何よりも恐れていたのは、あたしがヒッキーに話し掛ける事でヒッキーがあたしを拒絶すること。

 

 あ た し の た め に。

 

 あたしが何よりも恐れていたのは、あたしがヒッキーに話し掛ける事でヒッキーがあたしに向かって悪態を吐くこと。

 

 あ た し の た め に。

 

 

 もしあたしがヒッキーと仲良くする事によって、もしあたしとヒッキーの仲に変な勘繰りが入ったとしたら……、もしそれであたしに嫌な噂が立つとしたら……、彼はなんの躊躇いもなく、クラスメイト達の前で声高々にこんな事を言うだろう。

 

『ありがとな、優しいお前はぼっちの俺にわざわざ話し掛けてくれてたんだよな。でもそろそろ外野も騒がしいし、正直結構迷惑してんだわ。もう話し掛けないでくんない?』

 

 って。

 

 せっかく優しい由比ヶ浜結衣が、可哀想なぼっちを気遣ってわざわざ話し掛けてあげていたのに、その優しさを台無しにした悪者、という構図をクラス中に作りあげて。

 

 

 ……そんなの、全然あたしのためじゃないよ……

 

 

 だからあたしは恐くて話し掛けられなかった。だって、あたしは優しくなんてないから。ただヒッキーとたくさんお喋りしたいだけだから。

 自分の欲を満たす為に話し掛けるだけなのに、その欲のせいでヒッキーが自分を投げ出すのが嫌だった。ヒッキーに対する気遣いなんかじゃなくて、あたしが嫌だっただけなの。あたしのせいでヒッキーが悪者になるのが耐えられないっていう、他の誰でもない、“あたしの為”にヒッキーと距離を置いていただけ。

 

 

 ──でも、そんなのはただの言い訳だよね。

 だって、もしもヒッキーがクラスメイトの前でそんな風に自分を悪者にするのなら、その時はあたしがこう返せばいいだけのことなんだから。

 

『違うよヒッキー、あたしがヒッキーに話し掛けるのは優しいからなんかじゃない。ただ、ヒッキーが大好きだから、たくさん話したかっただけだよ?』

 

 って。

 

 でもそんな勇気がなかったから、だからあたしはクラスでヒッキーにあまり話し掛けなかった。

 色んな事を理由にして、色んな事を言い訳にして、あたしは本心を伝えることから逃げてたんだ。

 

 

 結局、あたしはいつもそうだ。サブレを助けてくれたお礼は今度こそ。ヒッキーに想いを伝えるのも今度こそ。クラスでヒッキーにいっぱい話し掛けるのだって今度こそ。

 今度こそ今度こそ今度こそ。あたしは、きっかけとか今度こそを言い訳にして、いつだって苦手な事を先延ばしにしてきただけなんだ。

 

 だからあたしは決めた。ヒッキーとまた同じクラスになれて、しかも席替えでお隣にもなれたというとびっきりの奇跡が舞い降りたあの日あの時、あたしは決めたの。

 

 ──今度こそを、これで最後にしようって。

 

 

 

 

 そして、あたしは待ち合わせ場所に辿り着く。そこには、小町ちゃんにしっかり鍛えられてるであろうヒッキーが、あたしよりも先に到着してた。

 もう! ヒッキーってばこれからせっかくの二人っきりの勉強会だっていうのに、あからさまにめんどくさそうな顔して待ってやんの。もっと楽しそうに待っててくれればいーじゃん! ホントヒッキーキモい!

 

 でも、そんなムカつくヒッキーを眺めるあたしの顔は、情けないことにどうしようもなく弛みまくるのだ。これから──、勉強会だけじゃない、ヒッキーの隣に居られるこれからのきらきらな毎日のことを思うと、あたしはどうしようもなく心が弾みまくるのだ!

 

「ヒッキー、やっはろー!」

 

「……おう」

 

「もー、ヒッキー超テンション低いし!」

 

「お前のテンションがおかしいだけだろ……。お前わかってんのか? 今からするのは遊びじゃなくて勉強だからな?」

 

「そんなの分かってるし!」

 

 ふふん、そんなめんどくさそうなフリしてるけど、あたし知ってるんだよ? あたしの姿発見したヒッキーが、キャミからちょっとだけ覗く胸とかミニスカートから伸びる足とかにチラッと視線向けて、顔赤くしてそっぽ向いたの。

 女子は男子のそういう視線、結構気付いてんだからね! てかヒッキーはいつもいつもあたしの胸見過ぎだし!

 

「えへへ〜」

 

「……んだよ」

 

「べっつにー?」

 

「……意味わからん」

 

 でも、あたしはそんなちょっとえっちぃヒッキーの視線が少し嬉しかったりする。一応女の子として見てくれてるって事だもんね♪

 だからね、これからはもっと女の子アピールしてくから。もう、ヒッキーに対して躊躇うのはやめたんだもん。もっともっとアピールして、あたしの魅力でメロメロにしてやるんだから。覚悟しててよね、ヒッキー。

 

「ほら、早く行こ? いつまでもここに居たって時間もったいないじゃん」

 

「先に到着して待ってた俺にそれ言っちゃうのかよ……。……ま、じゃあとっとと行くか」

 

「うん! よーし、待ってろハニトー!」

 

「メイン間違えてるから。お前を待ってるのはハニトーじゃなくて公式だから」

 

「うー、せっかく楽しいこと考えて誤魔化してんだから、ヒッキー空気読めし!」

 

「……へいへい」

 

 

 そして、やれやれと先に歩き始めたヒッキーの背中をにんまり眺め、あたしはとててっと定位置に駆け寄るのだ。四月からあたしだけの予約席となった、あたしだけのポジションに。

 

 となりのヒッキーさんの、誰にも譲りたくない隣へと──。

 

 

 







というわけで、今回も最後まで読んでいただきありがとうございました!
ついにクリスマスSSさえも書けなくなり、危うく年末のご挨拶も言えないトコでした(白目)




すっかり更新が滞るようになってしまった2018年でしたが、今年も大変お世話になりました!
読者数が少ないこの作品でしかご挨拶出来ないのが誠に心苦しいところではありますが、それでは皆様よいお年を☆



そしてこれからさらにさらに更新が滞っていく一方ではあるだろう2019年に読んでくださった皆々様方、明けましておめでとうございます☆



ではではまたいずれお会いいたしましょうっノシ


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