書けって言われたので、性癖をひとつも入れずに書きなぐりました。(健全とは言ってない)
「提督! トリックオアトリート!!」
「トリート!!」
「おー。じゃあ間宮のとこの引換券やるよ」
「やったぁ!」
「あンがとな提督!!」
ドアを開けるなり大声で叫んだ赤と青を二文と二枚で躱し、書類作成へと戻る。
赤と青が券を1枚ずつ持って出て行ったあたりで、隣の机から視線を感じた。
「……なんだ海風。お前も行きたいのか?」
「いえ、そうではなくてですね」
「まあ、もう券ないからやれないんだけどな」
「そうなんですか……」
「まあ、そんなに数用意出来るものでもないし、そもそも俺みたいなやつがいる執務室に来るのなんて、それこそ限られてるしな」
提督は自虐気味に溜息を吐きつつも、書類を海風に回した。それを受け取る海風の表情も微かに引きつっている。
「ま、俺は黙々と仕事してるのがお似合いらしいしなー」
「…………」
「じゃあ、さっさと片そう──」
「提督」
提督の発言を遮りつつ、海風は提督の前に出る。何事かと構える提督をよそに、海風は言葉を続けた。
「トリックオアトリート」
「……んあ?」
「トリックオアトリート、です」
「……俺、ついさっき券はもうないって言わなかったか?」
海風は困惑する提督に詰め寄る。
提督は困りながらも、決して避けることはしなかった。
「だから、トリックオアトリートです」
「そうか、イタズラがしたかったのか」
「お菓子をくれれば、イタズラなんてしないですよ?」
「そうか……海風もそっち側か……」
「じゃあ、イタズラしていいってことですね?」
「……ああ。好きにしてくれ」
「じゃあ、遠慮無く──」
海風は椅子に項垂れている提督の顔へ手を伸ばし、その手で提督の頬を包む。頬を包んだまま提督の顔を前へと向かせた。
「──戴きます」
「え?」
提督の目が開かれる。
──海風は提督へ口付けをしたのだ。
「んっ……」
「んんんんー!?」
提督が衝撃で動けなくなっているのをいいことに、海風はさらに深くキスをしていく。自身の舌に唾液を絡め、相手の舌へと送り付けていく。
「んはぁっ……」
やがて苦しくなったのか、海風はゆっくりと唇を離した。提督と海風の間に銀色の糸が光り、海風の頬は赤く染っていた。
「……海風?」
「提督は、自身のポテンシャルを理解してないんですね」
「いや、うみか、えぇ?」
彼女はゆっくりと提督に体重をかけていく。提督がその重さで我に帰る頃には、海風は再び唇を奪っていた。
「んんっ……んはぁっ……」
「ういあえ……はあっ……」
提督の呼びかけで海風は唇を離す。提督は息を整えつつ、目の前の彼女を見据えた。
「海風、何故急にこんなことを……」
「海風が提督のことを慕っているから、ではだめですか?」
即答。
それが、彼女の言葉の本気度を示していた。
「提督」
「……なんだ」
「トリック、オア、トリート」
「…………」
提督が「トリックで」と返すまでに、そう時間はかからなかった。
海風……そろそろギャンブルからは手を引いた方が……ヒッ……ゴメン……ゴメンね……これ……今日のパチンコ代……海風……今日のご飯は……あっ……食べてくるからその分のお金を……うん……分かった……はい……これ……じゃあ……気を付けてね……