不遇な少女達の魔王道   作:那由多 ユラ

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第14話

「……どういう状況?」

 

食堂からドヌーヴに転移してもらって視界に入るのは焼け砕けた床と壁、氷で出来た剣を二本構えるクズ勇者、そして九本の尻尾を生やして小柄な身体がより小さく見えるようになったリンちゃんだった。

そこから離れた位置にリリアちゃんとマフィさんも居たので二人に聞く。

 

「えっと、あれが来てリンちゃんがブチ切れてとち狂って何やかんやで今に至る、かな」

 

「ありがとリリアちゃん。…マフィさんどしたの?」

 

マーフィーは青ざめながら慌てている。

 

「リンちゃんのあれ、かなりヤバいの」

 

「もうちょい具体的に」

 

「ほっとくと勇者に勝てるだろうけどリンちゃんの魔力が文字通り空になっちゃう…かもしれない」

 

「最悪どうなる?」

 

「死ぬ。良くて苦しまずに即死、最悪苦しんだ後だんだん粉末状になる」

 

「めっちゃマズいじゃん!?止めないと―「でも、リンちゃんの魔力が濃すぎて近づけない」……。あっ!私なら行けるじゃん!」

 

「きー、リンちゃんを助けてあげて」

 

「ん、任せて。『対魔力 敏捷 MAX』」

 

私は必要なものを揃え拳を振るう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

…勇者に。

 

「ウグァッ!?」

 

「殺ったか!?」

 

「「それ、フラグ」」

 

マフィさんとリリアちゃんにつっこまれた。解せぬ。

 

…あれ、リンちゃんはつっこんでくれない?

 

「ちょっと魔王さまぁ、邪魔しないで欲しいかなぁ?」

 

「リンちゃんに邪魔って言われた!?」

 

「気のせい気のせい♪」

 

リンちゃんは青々と燃え盛る尾を勇者に振るう。

両親に特技を披露するように、友人に手品を披露するように、嬉嬉として攻撃する。

 

…これ、サポートの方が良さそうかな?魔法は苦手というか、使うより使われたい方なんけど。

 

「『魔力 5000』『魔力付与〈リン〉10%』」

 

リンに希依の魔力の10%付与する魔法を即席で作り、発動する。

 

「よくわかんないけどぉ、これはあれだね、力が湧いてきた!『始まりの炎、終焉の炎、つべこべ言わずに手伝いたまえ!』」

 

「「「ちょっ、リンちゃん!?」」」

 

リンちゃんは恐らくオリジナルであろう魔法(琴音もラストさんもあんな雑な詠唱教えないと思う)を発動し、さらに火力を上げた尾と爪で勇者に絶え間なき連撃を振るい続ける。

 

 

 

 

…数分後。

 

「…ごめんなさい」

 

「いや、私はまったく怒ってないよ?むしろあれをぬっ殺してくれてラッキーって感じかな」

 

途中で勇者が絶命した事にリンは気づき完全に正気に戻ると真っ先に希依の前に駆けてきていかにも申し訳なさそうに、今にも泣きだしそうな様子で謝った。

九本の尻尾は無くなるなんてことは無く、リンのテンションに合わせてなのかへんにょりと床に伏せていた。

 

「でもでもっ、お城めちゃくちゃにしちゃったし。人、殺しちゃったし。…あとあと、ダメって言われてたのに九尾つかっちゃったし、「リンちゃん」魔王様のこと邪魔って、言っちゃったし「リンちゃん!」っ! …?」

 

私に対して懺悔を始めたリンちゃんを私は止めた。

 

「お城はいいよ。…私もたまに壊すし。

九尾は仕方ないよ。どれだけ危険でも、それはリンちゃんの力でリンちゃんのものだもん。

私に邪魔って言ったのも許す。謝ってくれたからね。

殺したのは…そうだね、後で一緒に謝りに行こっか。リンちゃんのお父さんとお母さんに、ね?」

 

「…うん。」

 

「でもリンちゃん」

 

「…?」

 

「許すけど、邪魔って言われて傷ついた私を癒して」

 

「えっ…え?えぇ!?」

 

私はリンちゃんを押し倒すように抱き締める。

 

…あ、いい匂い

 

 

 

 

 

「おねーちゃん、浮気?」

 

「…違うの。これはリンちゃんを愛でてるだけ」

 

私はリンちゃんを押し倒し、マフィさん達は片付けのためにクラークを呼びに行った頃に琴音達が降りてきた。

 

「浮気する人は皆そういうんだよ?…私も混ぜて」

 

「んみゃー!?」

 

琴音はリンちゃんの尻尾の山に飛び込んだ。

 

「こいつら・やはり・変態か・それともラストよ・今どきの女子は・皆これか?」

 

「いえ、希依様と琴音様が特殊でございます。変態かどうかは分かりませんが。…エリー様、混ざってきたらいかがですか?」

 

「うん!」

 

「あ・おい!」

 

「うにゃ~♡…うにゅ!?」

 

小柄の更に上を行く小型なエリーはリンの頭部、もっふもふの狐耳に飛びかかる。

 

「女三人寄れば姦しいとはいいますが四人ともなると…」

 

「気色悪い・だろ」

 

「むしろ微笑ましい、ではありませんか?」

 

「ラスト・やはり貴様とは・気が合わんな」

 

「何を今更。魔王一のボッチを誇る貴方と気が合う方などそうそういませんよ」

 

「黙れ。さもなくば・黙らすぞ」

 

「こわいこわい(棒)」

 

 

 

「どー言う状況だよこれ」

 

女の子四人が九尾の妖狐に引っ付き、その光景をメイドとダサい青年が険悪な雰囲気で眺めていた。

 

そこに『ねもい』と日本語で書かれたTシャツにジーパンの色黒美形、釣竿とバケツをもったクラークがりんご飴に苦闘しているリリア、わたあめを頬張るマーフィーを引き連れてやってきた。

 

「む・クラークか」

 

「…おぉドヌじゃねぇか。相変わらず服装だせーな」

 

「今の貴様・だけには・言われたくない!」

 

「オマケに喋り方までだせぇじゃねぇか!クッハハハ」

 

「お義父さん、あれ誰?」

 

「ん?あぁ、リリはあったことないんだっけか。あいつは九代目魔王でボッチでロリコンのドヌーヴだ。近寄るなよ」

 

「人聞きの!・悪いことを・言うな!」

 

「大体あってるだろーが!」

 

「ロリコンを悪いことみたいに言うな!」

 

「うおっ!?いきなり何しやがる希依!」

 

希依がクラークに殴りかかるが躱されてしまう。

 

「ロリコンに悪人はいない!…あんまり」

 

「いや、自信なくすなよ」

 

「そういえばリリアちゃんとマフィさん、なんでそんなTheお祭り、なもの食べてるの?今日なんかあったっけ?あとそのバケツ何?」

 

「知らんのか?今日勇者が倒されたからその祭りだ。『勇者討伐記念祭』

このバケツはな、さっきまで釣りしてたんだよ。ラスト、後で天ぷらにでもしてくれ」

 

「了解です!下ごしらえだけ先にしてきますね~」

 

そう言ってラストはクラークからバケツを受け取って厨房に向かう。

 

「……いや情報早くない!?」

 

「ツッコミ遅くないか!?」

 

「リンちゃ~ん、クラークがいじめる~」

 

そう言いながら希依はリンのもとへ戻っていく。

 

 

 

「…いや、先に片付けろよ」

 

 

その後、結局クラークが一人でほどんどの瓦礫の片付けをし、最後にドヌーヴが内装を元通りにしましたとさ。




ちょっと短いかな?まぁキリがいいからね仕方ないね。

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