不遇な少女達の魔王道   作:那由多 ユラ

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一度やって見たかった前回のあらすじってやつ!

琴音「おねーちゃんの寝相が呼び出した異世界のシスターはなんと!」

希依「この世界に来て新たな勇者になってしまったとさ」

琴音「怒る勇者を実戦ではほぼ初めて魔法を使うおねーちゃんに勇者ちゃんは大苦戦」

希依「そこを私が華麗なる妙案でヘルムートに合法的に引き込むことに大成功」

琴音「今回はその一週間後位のお話だよ!」


第18話

「魔王様、お仕事の時間です」

 

その一言で、私の脳は一気に現実まで引き返された。

…時刻は12時頃。

 

「ラストさん、明日じゃだめ?私、今日三時間しか寝てないみたいなんだけど」

 

「三個のうち二つはそれで構いませんが、一件はすぐにでも向かってもらいます」

 

「ええ~。…どこよ?」

 

「学校です。七代目魔王、熱々おでん様から希依様とリンちゃんがお呼び出しされています」

 

「やだ、行きたくない」

 

「はぁ、

そう言って断って何ヶ月目ですか?そんなことしていると、次元規模の喧嘩になって諸共消し飛びますよ?」

 

行きたくない理由なんて、当然である。なんせ私は学校という設備にいい思いが全くと言っていいほどない。

琴音との出会い?それ学校外の話だから。

 

「だって、学校ってあれでしょ?生徒を教師が思うがままに、やりたいようにステ振りと性格設定する洗脳設備でしょ?

やだよ。しかもリンちゃんを連れてこいなんて、なに?そのおでんはロリコンなの?それともケモナー?どっちでもいいけどそんな危険区域にリンちゃんを連れていきたくないし私も行きたくない」

 

「いやまぁ、確かにあながち間違いではないのですが、熱々おでん様は歴代の魔王様方の中では比較的人間的な方ですよ?

それと、今回来なかった場合、勇者を引き込んだことを人間にバラすと言われています」

 

「えぇ…

もぅ、分かった分かった、行くよ。

着替えるから部屋から出てちょうだい」

 

「あ、お手伝いしますよ?」

 

「もう一生あんな十二単みたいなドレス着ないから。

パーカーにジーンズだから手伝いもいらない」

 

私の言葉にラストさんはあきれ返ったような表情をする。

 

「魔王様がそのような格好では威厳がありませんよ」

 

「私、威厳とかカリスマとかは見た目よりも態度と行動で示すタイプだから」

 

「ま、まぁそんなこと言わずに、ゴスロリなんて可愛らしくて良いではありませんか?」

 

「ゴスロリに威厳なんて微塵もなくない?あと多分私には似合わないし」

 

「ではスーツなんていかがでしょう」

 

「私、正装アレルギーだから」

 

「魔王様、それは社会不適合者というものなのでは?」

 

「それ言ったの琴音でしょ?違うから。社会が間違ってるのであって私は何も悪くないから」

 

「それでも正装はマナーです」

 

「ここでは私がマナー。スーツや制服を着るやつは全員髪の毛と眉毛を入れ替える刑に処す」

 

「地味にえげつない刑を思いつきましたね。あ、私のメイド服はあくまでコスプレなので正装ではありませんからね?」

 

「うん、それは知ってる。たまにナースさんとか婦警さんのコスプレとかしてるしね。

あ、最近リンちゃんが巫女服を着るようになったのはラストさんのせい?」

 

「ええ。私が布地から作り上げた自慢の逸品です」

 

「あれを見て私思ったことがあるんだよね」

 

「…?なんでしょう」

 

「つるぺたストンな幼女には露出度が少ない巫女服の方がいいと思うんだよね。

あと、脇丸出しとかありきたりすぎる」

 

「そ、そうだったのですか!?…近いうちに作り直しておきます」

 

「でも、あえて紅白じゃなくて白黒にしたのは正解だと思う。リンちゃんの金髪が映えていい感じ」

 

「ですよね!私もいざ完成して来てもらった時には私のセンスをつい褒め讃えてしまう程でした!」

 

「うん、それはちょっと気持ち悪いかな?」

 

「うぅ、魔王様も巫女服いかがですか?白黒以外にも青白とかもありますよ?」

 

「それ完全にバイトじゃん。神社で巫女さんのアルバイトするJDじゃん。年齢的にも見た目的にも」

 

「いえ、身長的にどちらかと言うと職業体験じゃないですか?」

 

「まぁ、低身長は自覚してるけども」

 

「まぁ、そう――ってあ!魔王様、そろそろお時間です!急いで着替えてください!」

 

「はいはい。…そう言えばリンちゃんにはもう伝えてあるの?」

 

「はい。魔王様が寝てる間に」

 

「悪かったね、生活リズムがズタボロで」

 

 

 

 

着替えを終えた私はリンちゃんを連れて魔族地区にある『人外戦教育学園』、通称学校に二人で向かった。

 

昼過ぎなので生徒達は授業か昼休みか、のはずなのだが校門に子供が一人立っていた。

 

「…なにやってんの?サボり?」

 

「ま、魔王様?この人があの熱々おでん様だよ?」

 

少年の容姿は青髪糸目にシンプル柄の着物。

 

「よう、あんさんらが魔王とその子供で間違いないな?まぁ、ついてきんさい。お茶くらいは出したる」

 

おでんは胡散臭い口調で、有無を言わさずに校舎へと歩き出す。

 

 

場所はこの学校の校長室。

棚や窓際には無数のガラス細工のようなフィギュア?が全て部屋の中心を見つめている。

 

「…その口調デフォ?見た目と合ってないからやめた方がいいよ?」

 

「はっ、そっちこそ、なんやその服装?舐めとんのか?おどれ」

 

「あんたこそ、そのバカみたいに雑な名前なんなの?ちゃんと親から愛されてた?」

 

「知らんがな。まぁ、…名前のせいで苦労したとだけは、言っておく」

 

「そ。

要件はなんなの?今すっごい眠いからさっさと帰って寝たいんだけど」

 

「ああ、そうやったそうやった。

おい、リンとやら、おどれ、学校に通う気は無いか?」

 

「はい?…えっと、なんでですか?」

 

「聞いたとこによるとおどれ、城に住んで鍛えてるんやろ?それじゃあ友達とか、親友とか、ライバルとか出来ひんとちゃうんか?ずっと一人なんとちゃうんか?」

 

「友達とかって学校に行けばできるの?私は十年弱通って、出来たことないけど」

おでんの言い分に、私は口を挟まずには居られなかった。

 

「一人じゃ、ないです。琴様とかラスト様とかが教えてくれるし、魔王様とかリリアちゃんと一緒に遊んだりもするから。だから、私には学校に行く必要は無いかな、って」

 

「そもそもなんでリンちゃんを学校に通わせようなんて言い出したの?仕事が増えるだけでしょ」

 

「別に大したことじゃあらへん。この国の子供は8~9歳頃になると学校に通うのがここ数百年で普通になってきとる。リンもその一人ってだけのことよ」

 

「ふーん。さ、リンちゃん帰るよ」

 

「あ、はい」

 

私達が帰ろうとするとおでんは私達を引き止める。

「まだ帰るなっての。おい、現魔王、おどれに頼みたいことがある」

 

「…一応聞いとくよ。なに?」

 

「学校の生徒達に一度講演会をしてもらいたい」

 

「はぁ?」

 

「魔王が新しくなって数年は魔王になりてぇ、つう物好きなガキが増えんだ。そこで、おどれが、どうしたら魔王になれんのかとか、魔王とはなにかとか、色々話してもらおうっちゅーわけや」

 

「わけや、とか言われてもねぇ。あんたがやればいいじゃん」

 

「おどれ、十年だか学校に通ってたんなら知っとんのやろ?『校長の長話と昔語り』」

 

「……?」

 

「あぁ、なるほどね」

 

リンちゃんはわからない様子だが私はかなり経験がある。なにせよく校長室と職員室には呼び出されてたからね。

 

「ってわけで、やってくれんか?」

 

「やだ。めんどい」

 

「ガキか、おどれは」

 

「あんたと比べたら赤ん坊どころか末裔とか来世とかそのレベルで歳下だわ」

 

「ちっ

わっーたよ。ほら、もう帰ってえーぞ」

 

「うーい。

んじゃ、もう呼ばないでね?えっと、冷凍パスタくん?」

 

「熱々おでんだ!」

 

「あ、あははは…」

 

 

 

 

帰りの道中

 

「あ、魔王様

私、ドーナツが食べたいです」

 

「お、いいねぇ。私あれ、コロコロモチモチしたやつが食べたい」

 

「なんですか?それ」

 

「いや、名前出していいのかよくわかんないし」

 

「でしたら私はふんわりサクサクしたやつがいいです」

 

「大体のドーナツはそうじゃない?」

 

「あっ」

 

「みんなのおやつと私の朝ごはんにどら焼きでも買いに行こっか」

 

「はい!…あれ?どら焼きですか?」

 

「嫌ならたい焼きでもいいけど」

 

「別にいいですけど。…魔王様、たまにいじわるです」

 

「あはは、これはあれだよ。好きな子にイタズラしたくなるってやつ」

 

「…琴様に浮気してるって言っちゃいますよ?」

 

「別にしてないもん。確かにリンちゃんには親愛とか友愛とか幼女愛とかはあるけど恋愛は琴音だけだから。

だから、浮気じゃないもん」

 

「浮気してる人はみんなそう言うんです」

 

「少なくとも私は聞いたことないかな~」

 

「パパが言ってました」

 

「…ちなみにそれを言われたお母さんは?」

 

「包丁を研ぎ始めました。

あの時は怒った魔王様よりも怖かったです」

 

「…私ってそんなに怒ると怖いってタイプじゃないと思うんだけど」

 

「無意識に殺気とか威圧感とかを増加させてるんじゃないですか?」

 

「なるほど、そりゃ怖いわ。

あれ、それより怖いリンちゃんのお母さんって何者?」

 

「さ、さぁ?」

 

「もしかしてあのクソ勇者、意外と強かった?」

 

「勇者の戦闘能力は魔族の平均とほぼ同等だと言われてますから、並の勇者よりは強かったんじゃないですか?」

 

「ふーん。…なんで人間の国はそんな勇者に頼りっきりなんだろ。50人とか100人とかで攻めてくれば勇者よりもダメージデカいでしょうに」

 

「まぁ、魔族に傷を付けられる人間は希少ですから。

あ、おじさん!ドーナツコンプリートセットDXを三箱ください」

 

「はいよ!DX三箱!」

 

いつの間にかお店に着いていたようでリンちゃんが凄いでかいのを三箱注文する。

ちなみにドーナツコンプリートセットDXは全種類のドーナツを10個ずつ入ったセットでダンボールに入れて渡される。

 

「なるほどねぇ。

ちょ、そんなの買って食べ切れるの?」

 

「お城のみんなで食べるんです!」

 

「にしても多くない?ただでさえ少食が多いうえにドヌーヴとエリーちゃん帰っちゃったんだから」

 

「…二箱は孤児院に持っていきましょうか」

 

「それだとちょっと足りないかもね。すいませーん!DX追加で二個お願いしまーす!」

 

「はいよ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ってことがあったんだよ」

 

「長い!そしてそこのバカでかい肉塊は何!?」

 

「あぁ、これはクックちゃんのおやつで金色豚の肉塊」

 

場所は孤児院。子供達にドーナツ、クックちゃんには肉塊をあげに来たら一応勇者で今は孤児院で世話をしてくれるジュリエットに絡まれてる。

 

「そういうのはせめて前日には伝えなさい!みんながビックリするじゃないのよ。

いきなりバーベキュー大会をドーナツ大会に変更だなんて意味がわからないわ」

 

「だってリンちゃんがドーナツ食べたいって言うから。

さすがの私も幼女のことばには弱いわ」

 

「弱すぎるでしょうが!」

 

「あと大量のドーナツ持って商店街を歩きたくなかった」

 

「…確実にそっちが本音よね?

そう言えばリンって子を学校に通わせなくて良かったのかしら?孤児院(ウチ)の子達も何人か通ってるみたいだけど」

 

「リンちゃんみたいな子は確実にいじめに遭っちゃうからいいの。出た頭は撃たれるって言葉を知らないの?」

 

「そんな物騒な言葉は私の故郷にはなかったわね」

 

「ふーん。平和だったんだね」

 

「…バリバリ戦争中だったわよ。防戦一方だったけど。

今頃滅んでるんじゃないかしらね~

…勇者は呼べなかったわけだし」

 

「それってジュリエットちゃんがここに居るから?」

 

「そうよ。…悪い?」

 

「いや別に。逃げるは大正義、追うは糞外道が私の故郷で学んだことだから」

 

「女の子が糞とか言うんじゃないわよ。

待って、なにそのあからさまに糞みたいな世界。あんた大丈夫だったの?」

 

「勇者が糞とか言うなよ。

大丈夫じゃなかったからここに居るの。

そもそも私と琴音は勇者召喚の時に巻き込まれてここに来たわけだし」

 

「え?あんた魔神の娘とかじゃなかったの?」

 

「いやそんなコミックス化しそうなラノベ主人公みたいな産まれ方してないし」

 

「よく分からないわよ」

 

「私は人の子ってこと。

ねぇ、いい加減帰らせてくんない?凄い眠いんだけど」

 

「そんなになるまで何してたのよ」

 

「財政管理とか国民の要望に対応したりとか…どったの?」

 

ジュリエットは私をありえないものを見るような目で見つめてくる。

 

「あ、あんたって仕事とか出来たのね」

 

「拳と声でしか解決できない聖女様とは違うの。

所であれ、止めなくていいの?」

 

私が指さす方向にはドーナツを揚げる為の大きい鍋から火柱が天へと立ち上っていた。

 

「ちょっー!?あんた達今すぐ離れなさい!」

 

ジュリエットは子供たちの方へ駆けていく。

 

怪我人はいなそうだし私は帰ろう。リンちゃんもいるしなんとかなるでしょ。

 

 

 

 

 

 

 




ラスト「…なんですか?この大量のドーナツは」

希依「お土産。二つくらい残しておいてくれればあと全部食べていいよ。
こ~とね~?」

ラスト「琴音様なら今は魔王様の部屋ですよ?」

希依「…ラストさん、今日は夕飯要らないから」

ラスト「了解です。扉の前にドーナツを置いておきます」




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