gold・Brigade ー黄金の旅ー   作:放浪者キカイマン

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放浪乙女其ノ五

───私は困惑していた。

一斉に何かを向けられたら誰でもそうなるだろうが…。

 

(いやいや、そんな事より)

 

「ちょ…ちょっと」

 

私はすぐ後方にいる、赤毛の男。我が人生の一部にせんとしている人に。

 

「どういう状況よこれ」

 

小耳をたてた。

私は入国したばかりで、狙われるような事は一切していないはずなのだ。

尚、彼は。

 

「まぁよ、普通そのコイン目に付いてそれが100億の価値って言われたら…」

「動くな…」

「…まぁ、"信じる奴は"こうなるだろうがよ」

 

後方から脅しの声が上がる。

脅されても動じずに話し終えた。

 

「じゃあ貴方は信じてないってことね…」

「当たり前だ馬鹿」

 

急に罵声を飛ばされたじろぐ。

大国とは聞いていたがこんなにも治安が悪いものなのか…

私は冷や汗を垂らすが。

傍らに居る彼は一向に焦る気配がない。

 

「おい」

 

銃を持っている中でも、一際前に乗り出している男が口を開く。

 

「そこの赤毛は分かってるようだが、どうだいお嬢ちゃん」

 

それを聞いてまた小耳をたてた

 

「お嬢ちゃん…?」

「お前の事だろ」

「初対面の人に対しておかしくない…?」

「知るかよ…てか状況分かってんのかアンタ」

「そんな事言われても…私は────」

 

そんな事は分かっているつもりだが、私にとっては何とも言えない。

まぁ言ってしまえば、”脅されている”のだろう。

そしてその対象は私。

 

「答えろよ!」

 

ズドンッ

 

直後、耳に重い金属音が響く。

その音の正体は前方の男からであり、その音の発生源は私の足元を貫いた。

 

(発砲…!)

 

私はようやく事の事態を理解し、

 

「…!」

 

言葉を返そうと開けた口を塞ぐ。

 

(打たれるのか)

 

今のが牽制の1発だったのは自明の理だが。

私にとっては十分恐怖たるものだった。

視線が逸れ、鼓動が早くなる。

 

「う…」

 

入国してから1日も経っていないが。

まさかこのような大事になるとは思いもしなかった。

人に銃を向けられ、牽制とはいえ狙いを定められたのは今まで経験しなかった事だ。

このコインの影響力を軽く見ていたのかもしれない。今後の出し方を考えた方が良さそうだ。

それはそれとして。

 

(どうすれば…)

 

どうすればこのがめつい人達を静められるのか。

本来赤毛の彼に渡すコイン。信じていないとはいえ当の本人も止めに入りたいであろうが。

囲まれている以上脅されているも同然だろう。

ジリジリと私達との距離を詰めて来ている。

 

「……」

 

(どうすれば…)

 

「おい」

 

後ろから声を掛けられた。

赤毛の彼から。

 

「…何」

 

小声で返事をする。

彼は気だるそうな声で。

 

「まだ、答えを聞いてねぇがまぁ…。一応アンタの依頼、受けてやる」

 

 

そう言いった。

そして──

 

「え…」

 

匿う為か、彼等に何かを言う為かは分からないが。

 

この状況で、私を背にしたのだ。

 

(なんで…)

 

何故、この状況で動いたのか。

その答えはすぐに分かった。

 

「お前ぇ…!やはり邪魔をするのか!ザッカス!」

 

連中の1人が怒りの声を上げる。

赤毛の彼はあの状況で動いたにも関わらず。

撃たれなかったのだ。

威嚇で実際に撃つ程相手はいきり立っているというのに。

理由は簡単だった。

連中は怖がっているのだ、赤毛の彼を。

はっきりと、畏怖の色が見える。

 

「邪魔ぁ?邪魔してんのはテメェらの方だろうがぁよ」

 

彼は貶すように正論をぶつける。

 

「クソ…撃っちまえお前らぁ!」

 

今まで様子見で抑えていた彼等が一斉に銃を構えた。

 

「ヤバ…ッ!」

 

私は今更ながら後ろにも連中の仲間がいた事を思い出し、振り返った。

同時に、その仲間が既に居ないことにも気づいた。

 

次いで撃たれるであろう赤毛の彼に目を向けたが。

その頃には

 

「あーあ、かったりぃなぁ」

 

 

 

連中はひっくり返り、彼だけが残っていた。

 

 

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