シスター死亡フラグ   作:桐宮

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買ってきたチョコレートがめちゃくちゃ美味しかったので、短いですが続きを書きました。
戦闘描写が苦手なのがよくわかる回です。

来週辺りに次のお話を投稿出来るよう頑張ります。


22話 急襲

 少年はあてがわれた部屋で一人うずくまっていた。

 

 乗っている船が攻撃を受け始めてからどれくらい経つだろう。時折耳に届く悲鳴に聞こえないふりをし、砲撃の音がするたび身をすくめる。

 

 自分は何も知らないと頭を振りながらシーツに包まってただ時が過ぎるのを待つ少年をあざ笑うかのように大きな音を立てて扉が壊された。

 

「ロー! 迎えに来たよ!」

 

 聞き覚えのない少女の声に呼ばれた彼――X・ドレークは射し込んだ陽の明るさに目を細めた。

 

 

 

 

 目前にステューシーと諜報員の男。見えないけれども足下にはマリアたちが縛られて横になっているはずだ。私は部屋の最奥、固定された寝台の上。そして向かいには唯一の入り口と既に虫の息となった見張り、――ドンキホーテ・ドフラミンゴがその上に立っている。

 

 一瞬の目配せでステューシーが前へ出て、男は私のそばに立つ。室内は異様な緊迫感に包まれていた。

 

「ここにはオペオペの実はないわよ、ドフラミンゴ」

 

「らしいな。だが、ホビホビの実はあるだろう? そこに証拠がいるもんなァ」

 

 つい、と示された指先におもちゃが宙へ浮く。そのままヒュッと音を立ててドフラミンゴのそばへ移動し、行動を縛っていた縄もぱらぱらと地に落ちる。

 

「これで3対2ってところか。フッフッフッフ、だが……それじゃあ足りねえよなあ」

 

 途端、がくんと視界が低くなった。何もないはずの地面から人影が現れ、同時に拘束具が外される。

 

「しまった――指銃!」

 

 遅れて飛んできた見えない弾丸はとぷんと沈んだ人影には届かなかった。まるで水中を泳ぐかのように床を移動した人影はドフラミンゴの背後へ出ると抱えていたもう一人……私の手を引いて立ち上がらせる。

 

「荷物はこれで合ってるか、セニョリータ」

 

 差し出されたのはいつものトランクだ。カルテはすべて託し、ノースの地図と着替えくらいしか入っていないけれど使い慣れたそれを持つと少しだけ安心した。

 

 一気に形勢逆転だ。指先を構えたステューシーと男がにじり寄る先で悠々と構えている大男の懐から耳慣れた着信音が響き、後ろ手に放られたそれをスーツの男性がキャッチする。

 

「プルプルプル…・・・ガチャ、若!? どうしよう、ローがいないの!」

 

 電伝虫が発したのは甲高い少女の声で、今にも泣き出しそうな表情が再現される。状況が読めないと疑問の声を上げるドフラミンゴに代わり電話を受けた男性が応答する。

 

「ベビー5、こちらセニョール。何があった」

 

「それが、ほごされた少年の部屋に行ったのにちがう子がいたの! 海軍に聞いてもこの子しか乗ってないって、あっ」

 

「ディアマンテだ。確かにガキは一人しかいねえ、バレルズのところから逃げ出したらしいがどうする?」

 

「いや、いい。こちらも目的を果たした。船に戻っていろ」

 

「ガチャ」

 

 ドフラミンゴの返答を受けて電伝虫の受話器が下ろされる。しぃんとなった室内でその内容を聞いていたステューシーは一層表情を険しくさせる。

 

「そう簡単に帰すと思って?」

 

「ああ、用は済んだからな。お前らも海賊団丸ごと一つ対応してる暇はねぇだろう?」

 

 問いかけと同時にさっと腕が振り下ろされる。かろうじて武装色を発動したステューシーがそれを受けるが放たれた糸は長く、広く――船をバラバラに切り刻んでいく。

 

「っデタラメな……!」

 

「フッフッフ、そりゃあ褒め言葉だぜ。あばよ、せいぜいうまい言い訳でも考えておくんだな」

 

 いつの間にか離脱していたセニョールを追うようにバサリとドフラミンゴが宙に浮く。マリアたちを抱えた私も同じく抱き上げられ、一気に崩れだした屋根から脱出する。

 

 段々と遠くなっていく軍艦を尻目に、私はこの先どうなるんだろうと一抹の不安を抱いていた。

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