剣鬼と黒猫   作:工場船

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第三十九話:グレモリー対シトリー《その2》

 濃霧の海を切り裂いて、銀色の鋼が疾風と走る。

 遠心力によって最大限まで威力を高めた刃は、分厚い鉄板すら容易に切り裂く鋭さだ。首筋に迫るそれを、木場は寸でのところでかがんで回避し、低い体勢のまま素早く体を捻り反撃の聖魔剣を振るう。

 しかし相手はすぐさま後ろへ下がり、白い空間の中に姿を消した。

 

「――くっ……!」

 

 もう何度目になるかもわからない展開に、思わず声を漏らす。

 

 先に進んだ木場とゼノヴィアを待ち受けていたものは、一面に広がる霧の空間だった。

 シトリー本陣を覆い尽くす濃霧は、少しでも離れれば互いを見失ってしまうほどの密度だ。それらは冬の大気にも匹敵する冷気を湛えており、生理的な反応として木場もゼノヴィアも身震いを止めることができなかった。

 

 なるほど、確かにこうやって本陣に目くらましを張れば敵が侵攻して来ようと容易く決戦に持ち込まれることはない。

 しかしこれでは、相手からもこちらが見えないのではないか。

 その疑問は直後の襲撃で間違いであると知った。

 濃霧を切り裂いて現れたのは、駒王学園生徒会副会長にしてシトリー眷族『女王』真羅椿姫。

 

 視界を遮られ、その機動力を活かせない木場たちとは違い、どうやら椿姫は霧の中でも敵を視認できているらしい。

 こちらが風の聖魔剣を創造するなどして霧を払おうにも、まるで意志があるかのごとくすぐさま元通りになってしまう。この霧が水の魔力を得意とするソーナ・シトリーの仕業であることは疑いようが無かった。

 ならばその眷族たる彼女たちが見通す方法を知っていても不自然は無い。

 

 椿姫がとった戦法は単純、霧に紛れてのヒットアンドアウェイである。薙刀(なぎなた)の名手でもある彼女の一撃は、『騎士』の速度に『戦車』の膂力も合わさって必殺の攻撃として二人に襲い掛かる。

 距離感を惑わし、姿を隠す幻術の滑らかさは『僧侶』の特性を引き出しているが所以だろう。

 同じ眷族の朱乃や、以前戦ったライザー眷族のユーベルーナは魔力戦闘を得意としていたが、椿姫の戦い方は三種の駒が持つ特性を全て利用しており、まさしく『女王』のお手本そのものだ。

 

 ゼノヴィアと互いに背中を合わせながら、襲い来る殺気を読むことで何とか敵の攻撃を躱し続けていられるが、攻勢に打って出るまではいかない。

 椿姫一人が迎撃に出ている現状、ソーナを除くとしても他のメンバーは全てグレモリー本陣へ侵攻をかけていると見ていい。つまり彼女さえ倒してしまえばこの場は切り抜けられるのだが、しかしそれが難しかった。

 戦場の悪さに加えて、何よりも相手の立ち回りが上手過ぎるのだ。手慣れていると言うべきか、木場の剣もゼノヴィアの剣も悉く受け流される。

 

 最小限の人員で防衛を成功させるこの布陣、リアスや朱乃、ギャスパーならば魔力を用いて対処することも可能だろうが、接近戦重視の木場たちとは凄まじく相性が悪い。

 ここでまとも戦える者は、気で相手の行方を掴める小猫ぐらいのものだ。それにしても、地形の把握までは行えないため十全とはいかない。

 広域攻撃が使えればまだ違うだろうが、こちらへの対策として単純ながら凄まじく嵌まる作戦だった。

 

 椿姫はどう見ても時間を稼いでいる。本陣まで侵攻してきた相手を場に釘付けにすることが、彼女の役目なのだろう。

 たとえリアスたちが敵の攻勢を押し返したとしても、返す刃で木場たちが包囲されてしまう。

 このままではまずい。

 退くなら今だ。この霧の中で多数から襲われては、如何な木場たちであろうと脱落は避けられない。やはり、リアスたちを放って侵攻を続行したのは悪手だったのだろうか?

 

 その時。

 

『リアス・グレモリーさまの「僧侶」一名、リタイヤ』

 

 アナウンスが鳴り響く。

 突如告げられた仲間の敗北に、しかし木場もゼノヴィアも態度を変えることは無かった。

 

「……意外と冷静ですね」

 

 霧の向こうから聞こえる声は椿姫のものだ。

 

「ええ、いちいち反応していては戦いなどできませんから」

 

 木場は冷静な口調で返す。

 とはいえ動揺がまったく無いわけではない。脱落したのはアーシアか、それともギャスパーか。

 内心には煮えくり返るような思いが渦を巻いていたが、それで焦ればこちらがやられる状況だ。

 

「確かに。戦場で臆せば死ぬだけです」

 

 直後、左後方の霧が割れる。

 下方から斜め上方への切り上げは、空を舞う燕が如く静かに、そして速く鋭い。

 

「――ふっ!」

 

 反応のまま聖魔剣で受け止めるが、薙刀の重量を存分に活かした攻撃の威力に身体を浮かせてしまう。会話に意識が逸れた隙を的確に突かれ、衝撃を受け流すタイミングを誤ったのだ。

 斬り上げた体勢のまま、流れるように薙刀の刃が返される。速い。

 このままそれが振り落とされれば負傷は避けられない。防御の薄い木場では、下手すれば撃破されるだろう。

 だが、それは彼が一人だった場合の話だ。

 

 椿姫の痛烈な一撃を迎え撃つは一振りの聖剣。

 ゼノヴィアだ。

 

「私を忘れてもらっては困るな!」

 

「忘れてなど!」

 

 振り落とされた薙刀が、ゼノヴィアの脳天を割る軌道に変化する。

 木場への攻撃はブラフ。椿姫は最初からゼノヴィアを狙うつもりだったのだ。

 しかしゼノヴィアもさるもの。

 突如として蛇のように動きを変えた敵の攻撃を、もう一振りの聖剣を取り出すことで受け止める。

 

 青い巨大な刀身は彼女本来の刃、デュランダル。

 切断の権化とも言うべき最強クラスの聖剣が、その莫大なオーラを解き放った。

 勢いのままゼノヴィアは膂力を振り絞り、敵の攻撃を椿姫の身体ごと撥ね飛ばす。

 そうして木場に向かって叫んだ。

 

「木場、出し惜しみは無しだ! この際多少の周辺被害もやむを得ない、やるぞ!!」

 

「――! ……そうだね、彼女はここで落とす!」

 

 ゼノヴィアに応じた木場は、精神力を集中させる。

 手を前にかざし、高まる戦意に火を灯せば、咲き誇るは聖魔の剣群。

 

「デュランダルよ!」

 

 同時にデュランダルより莫大なオーラが木場へと流れ込む。

 アザゼルより示されたデュランダルの可能性。オーラの譲渡によって他の剣を強化する能力だ。

 聖なるオーラを纏いながら、次々と床より立ち昇る聖魔剣がシトリー本陣を覆っていく。おそらく、店内に少なくない破壊をもたらすだろう。しかしこれは紛れも無く起死回生の一撃だった。

 だが。

 

「その程度」

 

 真羅椿姫は小揺るぎもしない。

 その背に翼を広げて空中へと跳躍すれば、たかだか最大2メートル程度の刃など恐るるに足らず。

 この剣群は確かに強力だ。悪魔からすれば見るだけで寒気すら感じる光景だろう。しかしこれより理不尽な脅威に連日さらされていた椿姫にとっては、今更どうということはない。

 むしろ、大技を繰り出すにあたって硬直した二人は明確な隙を作っていた。それを見逃すほど椿姫は甘くない。

 

 回避と同時に大きく身体を回転させ、魔力を乗せた薙刀を振るう。刃が最高速に達した瞬間、月牙状の光波が撃ち放たれた。

 

「木場ッ!!」

 

 木場の首筋に迫るそれを、間一髪アスカロンで切り裂くゼノヴィア。無音にも等しい光波の飛来に彼女が対応できたのは、完全な勘によるものだった。

 自身が危機から救われたことを肌で感じながら、しかし木場の表情に焦りは無い。ゼノヴィアの実力を信頼していたからだ。

 さらに精神力を研ぎ澄ませ、己が神器の力を引き出す。

 

「聖魔剣よ、吹き荒べ!!」

 

 天へと伸びる聖魔剣が、一様に輝く。

 その直後、凄まじい突風が辺りに吹き荒れた。木場が創造した聖魔剣には全て風の属性が付与されていたのだ。

 霧を駆逐しながら、空間全体を大気が暴れ狂う。店舗の商品が吹き飛んでいく中、空を飛ぶ椿姫はその影響の直撃を受けた。

 

「くっ!」

 

「――そこだっ!」

 

 大きく体勢を崩す椿姫へと、二振りの聖剣で風を切り裂きながらゼノヴィアが迫る。

 完全に隙を突いた。そう思って放った一撃は、しかし空を切る。

 見れば、上空へ舞い上がる敵の姿。ゼノヴィアが剣を振るう直前に、抵抗をやめて風に乗ったのだ。

 

 再び薙刀の刃に魔力が集まる。

 光波の一撃をゼノヴィアに振り落とさんとしたその時、椿姫の下に迫る影があった。

 

「はあああっ!!」

 

 咆哮をあげて空を駆ける木場。

 翼を広げた彼は、聖魔剣からの風を操作してさらなる加速を実行する。神速の刃が、椿姫に襲い掛かった。

 寸でのところで反応し、得物の()で受け止める椿姫。

 両者しばらく競り合ったのち、激しい攻防に移行する。

 

 空中戦は、風を味方に付ける木場が有利だった。

 加えて二人の距離は既に剣の間合いにある。椿姫の扱う薙刀は、その刃の形状から「薙ぎ払い」を最大の攻撃法としているため、距離が近すぎると力を発揮しづらい。鋭く巧みな剣捌きと、風の聖魔剣から放たれる鎌鼬(かまいたち)に防戦一方となる。

 とはいえ、『女王』の名は伊達ではない。受ける手傷を最小限に止めながらうまく敵の剣を受け流す。

 木場の神器制御に対する集中が途切れたためだろう。床を覆い尽くしていた聖魔剣は次第に砕け数を減らしていく。それに伴って風も弱まり、場は再び濃霧に覆われだした。

 それに乗じて敵の剣を弾き、再度幻術で姿を暗まそうとする椿姫だったが……。

 

「あああっ!?」

 

 木場の刃を受けた途端、突如として激しい痛みが身体中を駆け巡る。

 椿姫が受けたのは電撃を纏う聖魔剣だった。

 木場は敵の手強さをこの短時間で把握していた。おそらく普通に電撃を放つだけでは容易に防御されるだろう。故に、幻術で隠れようとする一瞬の隙を突いた。高速の属性変更は、修行で得た力の一つだ。

 落ちていく椿姫の真下には一際大きな聖魔剣の刃があった。デュランダルのオーラが込められたそれは、当たれば一撃のもとに彼女を撃破に追い込める。

 

「甘いッ!」

 

 もっともそれは、当たればの話。

 床から伸びる刃が椿姫に突き刺さる直前、彼女の背後が爆発する。それによってあらぬ方向へ吹き飛んだ椿姫は空中で半回転し、不恰好に着地した。

 

「な……!?」

 

 驚く木場。

 痺れて動けなくなった椿姫は、魔力で自分自身を吹き飛ばすことで無理矢理回避に移ったのだ。

 確かに一撃リタイヤ無くなっただろうが、あのタイミングで自分を傷つけないように出力調整するなど不可能だ。今の行動は自殺行為にも等しい。

 現に彼女の身体は衣服も含めてボロボロで、足元はひどくふらついている。それでも、その瞳から戦意は消えていない。

 

「情けはかけない、これで決めるッ!」

 

 絶好のチャンスに駆けるゼノヴィア。

 デュランダルのオーラで強化されたアスカロンが、椿姫に迫る。

 しかし。

 

神器(セイクリッド・ギア)――『追憶の鏡(ミラー・アリス)』」

 

 椿姫の眼前に、装飾された大鏡が出現する。

 盾の如く彼女を守るそれに、聖剣が突き立ったその瞬間。

 

「――ッ!?」

 

 ゼノヴィアはとっさにアスカロンを捨てた。

 直後、割れる鏡から莫大な波動が放たれる。

 デュランダルを盾にそれを受けたゼノヴィアは、凄まじい勢いで店舗の一つに吹き飛ばされた。

 

「ゼノヴィア! ……カウンター使いか!」

 

 神器『追憶の鏡(ミラー・アリス)』。

 リアスより聞いていた情報とは違う能力だ。おそらくは訓練期間中に成長を遂げ、能力を発展させたのだろう。

 見た限り、受けた攻撃の威力を増大させて返す……と言ったところだろうか。かなり厄介な力だ。

 

(でも、だからこそ、連続では使えないはず……!)

 

 空中に浮かぶ木場は聖魔の短剣を連続で生みだし、椿姫目掛けて投擲する。

 予想通り、椿姫は神器を使わず薙刀だけで防御を行った。しかし痺れが抜けないのだろう、次第に傷ついていく。

 

「く……うっ……」

 

 苦悶の表情で薙刀を振るう椿姫。

 いくら威力に欠ける短剣であろうと、聖なる力を有している以上、当たれば少なくないダメージを与えられる。仮に彼女が連続で神器を扱えたとしても、この攻撃ならば木場の損害も少なく済む。

 

(このまま押しきる!)

 

 短剣を順次放ちながら、勝利の確信と共に椿姫に迫る木場。

 その時、耳元に何かが飛来する音が聞こえた。

 

「――!」

 

 手に握る聖魔剣を音の方向に払う。

 刃が切り裂いたのは圧縮された魔力弾。硬質なそれを剣に受け、木場は椿姫への攻めを止めてしまった。

 その隙に、霧の向こうへと消える椿姫。

 

「援軍か……!」

 

 悔しげに呟く。

 もう少しというところで、間に合わなかった。

 続けざまに襲い掛かる敵の射撃を躱すため、急いで降下した木場は店舗の物陰に隠れる。

 攻撃の方向を探しても、敵の姿は見つからない。床の聖魔剣が全て砕けたことで、霧はもう元通りになっていた。

 

「ぐっ……黒歌さんの水鏡(みずかがみ)を受けたことが無かったら危なかったな……」

 

 店舗の奥からゼノヴィアが現れる。

 奇しくも木場が隠れた場所は、彼女が吹き飛ばされた店だったらしい。

 姿を見たところ、ややふらついてはいるが健在なようだ。戦闘続行は十分に可能だろう。だが、戦況は思わしくない。

 

「限界だ。いったん退こう、ゼノヴィア」

 

「できればこちらも一人は討ち取っておきたかったが……仕方がない、か……」

 

 ゼノヴィアの顔は悔しげだが、内心の思いは木場も同様だ。

 聖魔の剣群をもう一度放てばまたチャンスを作れるかもしれない。しかしそれでは木場の消耗が激しすぎ、この後が続かないだろう。援軍の戦力も未知数であるし、リアスたちの状況も気にかかる。ここは、態勢を整えなおす場面だ。

 業腹ではあるが、ともあれ敵『女王』に大ダメージを与えたことを良しとするしかない。

 木場たちは駐車場方面から撤退することにした。ショッピングモールから戻るとなると、十中八九多数の敵増援と鉢合わせするからだ。

 

「僕が道を開こう。……まさか風属性の修行を重点的に行ったのが、こんなに活きるなんてね」

 

「ああ、頼む」

 

 聖魔剣から放たれた突風が退路を開く。

 逃げに徹した『騎士』二人は、見事敵の追撃を無傷で潜り抜け本陣へ戻ることに成功した。

 

 試合開始から十数分、ゲーム序盤はシトリー側優勢で始まったのだった。

 

 

 

 

 

 

 

                  ―○●○―

 

 

 

 

 

 

「こりゃまたのっけから大番狂わせだな」

 

 空中に投影されたモニターを見ながら、アザゼルが呟く。

 場所は冥界、魔王領のレーティングゲーム観戦会場――各陣営の重鎮が集う所謂VIPルームである。

 

 先ほど繰り広げられたゲームの展開を意外に思っているのはアザゼルだけではない。この場に集う人物のほとんどが、同様の驚きを抱いていた。

 下馬評通りならばリアスたちの勝率は八割以上。にもかかわらず、実際はソーナたちが圧している。

 ソーナたちが健闘しているのか、それともリアスたちが不甲斐無いのか。各人物がそれぞれ評価しながら、話に花を咲かせている光景がそこにはあった。

 

「しかしなんともまあ、うまい具合に戦況が固定されやがった。これ、リアスたち負けるんじゃねえだろうな?」

 

 それなりに関わって指導してきた身としては、彼女たちの現状に苦い表情を作ってしまう。

 その時、横合いから呟く声が聞こえた。

 

「……ん~、グレモリーは開幕から速攻をかけるべきだったね。これ」

 

 そちらを向けば、面倒くさげに椅子にもたれかかる青年の姿がある。

 四大魔王が一人、ファルビウム・アスモデウスだ。

 アザゼルの視線に気づいたファルビウムは、眠そうな表情で「何さ?」と言った。

 

「いや、悪魔きっての戦略家と噂される、お前さんの意見を聞きたいと思ってな」

 

「……やだよ面倒くさい。そっちだってわかってるでしょ?」

 

 答えるファルビウムは本当に面倒くさそうだ。

 相手も把握していることを説明するのが嫌なのだろう。アザゼルも気持ちだけはわかる。

 

「そう言うな、ファルビウム。私としても意見を聞きたいところだ」

 

 そんな彼にさらなる声がかかる。サーゼクスだ。

 傍らには喜色を湛えたセラフォルーもいる。妹たちの優勢が嬉しいのだろう。

 

「サーゼクスまでなんだよ……まあいいけどさ、これ喋ったら僕もう働かないからね」

 

 そんなダメ宣言をして、ファルビウムは話し始めた。

 

「……前提として、今回のゲームはグレモリーにとって良い環境じゃない。それはわかるよね」

 

 話を聞く面々は頷く。

 リアスたちの持ち味は、メンバーを見て一目でわかる高火力だ。

 赤龍帝のパワーを筆頭に、聖魔剣、デュランダル、雷光、滅びの魔力と決め手には事欠かない。しかし今回のゲームでは、今まで経験の無い閉所での屋内戦であることに加え、被害を抑えなければならないというルールによりそれらの強みは活かしきれない状況がある。

 

「多分、力を出し切れるのは『騎士』の男の子と『戦車』の女の子ぐらいじゃないかな。ああ、あとは『僧侶』の二人は関係ないか」

 

 強大過ぎる赤龍帝の力は言わずもがな、雷光も消滅魔力も外れれば確実に大きな破壊を及ぼす。デュランダルは制御ができていない時点で論外だ。

 つまるところグレモリー眷族は、戦う前から攻撃力が制限されている状態だった。

 匙の雷光返しが成功したのも、朱乃が全力を出し切れなかったことが大きい。

 

「それに対して、シトリー眷族はどうも閉鎖空間での集団戦闘に慣れてるみたいだ。いや、どちらかと言うと障害物が多い場所での戦闘かな? 反応・判断・行動の全てが速い。なんというかアレだね、当たったら死ぬ、みたいな気迫を感じる。軍隊か何かで訓練でも受けたのかな、対応力だけならプロ並みだ」

 

 ソーナたちは決定力に欠けるものの、全員が安定した能力を持ち、それ故に屋内戦闘を苦にしていない。チームワークも素晴らしく、互いに目を合わせず、声も掛けずとも絶妙な連携が取れている。

 全力を出し切れる者とそうでない者が戦えば、よほど大きな戦力差が無い限り前者に有利なのは必定。将来的にはともかく、現状そこまでの差は両チームの間に存在していなかった。

 

「それに、グレモリー側は作戦を読まれてたのが痛い」

 

 今回リアスが立てた策は別段間違ったものではない。

 ゲームを行うに当たって重要な『王』と『女王』を奥に下げ、サポート役の『僧侶』たちは前に出さないというのはセオリー通りと言える。

 しかしだからこそ、それをソーナに読まれた。

 

 リアスは馬鹿ではない。それ故にいきなり全員で突撃するような、思考を放棄した脳筋戦法はとらないだろう。

 そもそも今回、グレモリー側はそういったパワープレイを許されていない。

 この戦いは彼女たちの『王』としての資質を周囲に見せつける意味合いもある。何から何まで眷族の性能に頼っていては、まったく評価につながらない。あの赤龍帝がいるのだから、力押しで勝てるのは当たり前だと思われてしまう。

 それを考慮して、しかし眷族たちの高い攻撃能力を活かす以上、攻め入ってくることは確実。おそらくアタッカーを二手に分けて、片方を陽動、もう片方を本命にするだろう。ソーナはそう読んだ。

 

「本当は全員で突撃された方がシトリー側にとって都合が悪かったはずだ。彼女たちは策を張り巡らせるタイプだから、力押しで速攻されると準備時間が無くなって、それだけ不利になる。地力では負けてるし、最悪その時点で敗北することもあるかもしれない」

 

「だからこそ、シトリー側から速攻を仕掛けたのか」

 

 サーゼクスの言葉にファルビウムは首肯する。

 匙たち多勢による速攻は、敵の出鼻を挫き、あわよくば『王』を討ち取る以外にも、相手の総攻撃を防ぎ時間を稼ぐ意味合いがあった。

 

「そうだね。まあ結果としては予想通り二手に分かれてて、そのせいでグレモリーは『僧侶』を獲られた。『騎士』が戻れば防げたはずだけど、その『騎士』たちも本陣側に誘導させられた形だ。中々うまいよね」

 

 木場たちが巡と遭遇した地点は、グレモリー本陣とシトリー本陣のちょうど中間地点にあたる。

 2階から1階に到達したことで、気分的には敵本陣に近いと感じていただろう。

 相手の守りは確実に薄くなっている状況。自然、敵を追いかけるよりも、このまま本陣に押し入って『王』を獲った方が速いのではないか、と考えてしまう。

 

「赤龍帝……イッセーがモール側にいたのも大きいだろうな。グレモリー眷族は、あいつに依存している傾向がある」

 

 アザゼルが補足する。

 彼ならばなんとかできると言う信頼感もあるだろうが、まさかソーナたちが赤龍帝を無視するとは思ってもいなかったに違いない。

 ファルビウムは続ける。

 

「極め付けはあの霧だ。あっちは見えなくて、こっちは見える。単純だけど非常に有効な戦法だよ。多分、前々から用意してたか、使ってたのかもしれないね。グレモリーの『騎士』たちが相手の『王』を獲れなかった時点で、フィールドは全てシトリーの戦場になった」

 

 いくらリアスや朱乃が優れたウィザードとしての素質を持っていようと、あれだけ丁寧に魔力が練り込まれた霧を見通すには実力もそうだが経験が足りない。

 

「霧を回避しようにも閉所だからね。これが外なら範囲外から絨毯爆撃って手もあるんだろうけど、逃げ場が無いんじゃどうしようもない。一人獲られちゃってるから、動かなければ判定負け確定の状況だし、もうグレモリー側に出来ることは全員で突撃かけて、それこそ総力戦に持ち込むしかないんじゃないかなぁ」

 

 このまま何もしなければ、時間切れで判定に持ち込まれるか、気付かないうちに各個撃破されるのがオチだ。

 それならば、こちらから攻撃を仕掛けることで多少なりとも主導権を握らなければならない。それがたとえあちらの思い通りだったとしても、戦闘力だけならば依然としてグレモリーに分がある。勝てる見込みを作るとしたら、その方法しかない状況だった。

 問題は、シトリー側がまともに戦ってくれるかだが……。

 

「ふむ、シトリーはそれに応じるか?」

 

 サーゼクスが問う。

 

「応じるだろうね」

 

 ファルビウムは答える。

 そして続けた。

 

「判定勝ちなんて消極的な勝利も、評価の上昇にはつながらないからね。序盤を制したからこそ、それ相応の試合運びが要求される。観客の期待、ってやつさ。グレモリーが動かなければ攻めてくるだろうし、動けば当然それに応じて迎撃するよ。まったく、面倒くさいよねぇ……」

 

 眠たげに瞑目するファルビウム。

 

「……そんじゃ、以上お仕事終了。僕もう休むよ」

 

 そう言ったのを最後に、彼は黙った。

 だらしなく椅子によりかかるさまは怠惰そのものだ。魔王の威厳など欠片もありはしないその姿に、アザゼルは思わずため息を吐く。自分のいいかげんさは棚に上げた形だ。

 

「どちらにせよ、このまま時間切れを待つことだけはあり得ないってことか。しかし下馬評の勝率とは逆の状況になるとはなぁ……。大体、あの神器は何だ。あそこまで成長した『黒い龍脈』なんて見た事ねえぞ。いったい何やりゃあんなことになるってんだ?」

 

 巡巴柄の急成長やら色々と注目すべき点はあるが、アザゼルが最も気になるのはそこだ。

 神器使いが短期間で異常な成長を遂げる例はそれなりにあるものの、あれはもはや「成長」と言うより「進化」に近い。ともすれば禁手と間違えそうなほど、基本性能が向上している。

 

「きっと修太郎くんのおかげね! ソーナちゃんをコロコロしかけた時はどうしようかと思ったけど、やっぱり頼んでよかったわ☆ あとでお礼言わなくちゃ!」

 

 ゲーム開始当初のハラハラした様子は吹き飛んで、満面の笑みを浮かべてはしゃぐセラフォルー。

 ちなみに彼女はシトリー眷族がこうなるに至るまでの過程をそこまで詳しく知らなかったりする。

 

「む、そう言えばその修太郎くんが見えないようだが……」

 

 セラフォルーとは対照的に妹を思って苦い顔になるサーゼクスだったが、話に出た当人の姿が見つからないことに気付いた。

 

「ああ、俺もさっきから探してるんだがな……。ゲーム開始前までは黒歌と一緒にいたのを確認してたんだが……」

 

 アザゼルも同じく修太郎がいないことに気付いていた。

 今回のゲームを観戦するにあたって、一応修太郎たちもVIP待遇で招待されている。そして彼はそれを受け、ここにやってきたはずなのだ。

 

「そやつなら、ゲームが開始されてすぐ部屋を出て行ったぞい」

 

 突如として背後から声がかかった。

 振り向けば、そこには古びたローブの老人がいた。

 隻眼と床まで届くほど長い白髭が特徴的なその姿は、まぎれもない北欧神話の主神、オーディンだ。背後には赤毛のヴァルキリーを侍らせている。

 

「――オーディン。暮の行き先はわかるか?」

 

「わしが知るわけないじゃろ。ただ、ここは息が詰まるとだけ言っておったな。挨拶もそこそこに、そのままロスヴァイセを連れて行きおった」

 

「息が詰まる、か……まあわからんでもないがな。 つーか、ヴァーリもどこいった? まったく、あいつら自由すぎるだろ……」

 

 おそらく修太郎たちがそれを聞けば「あなたには言われたくない」と答えるだろう発言をして、アザゼルはため息を吐いた。

 

 

 

 

 

 

 

                  ―○●○―

 

 

 

 

 

 

 

「良い滑り出しだ」

 

 モニターで繰り広げられた戦いを見て、修太郎は言う。

 

「そうですね。順調に戦えています」

 

 それに答えるのは対面に座るロスヴァイセだ。

 

「うにゃー……何やってんのよう、あの子たち。このまんまじゃ負けちゃうにゃん」

 

 修太郎の隣に座るのは黒歌。テーブルに突っ伏しながら、不満げな表情でそう言った。

 

「大体何よ、そっち滅茶苦茶いい動きしてるんだけど。いったい何をやったにゃん?」

 

「……スカアハ殿が影の国で俺たちにやったことと同じことをしただけだ。特別なことは何もしていない」

 

 いつも通りの仏頂面で答える修太郎。

 しかし黒歌は信じられないとでも言うように表情を変えた。

 

「それってアレでしょ、ギリギリで絶対躱せない、防御できない攻撃を放って『凌げるようになるまでボコるわ』って言う頭のおかしいやつでしょ?」

 

「ああ、少しでも手を抜いたり油断をしたりすると致命傷を負うアレだ」

 

「本気でやらないとソーナさんがやられちゃいますから、みなさん必死でしたね……」

 

「……バカじゃないの?」

 

 黒歌の顔には呆れの感情が満ちている。

 ある程度実力がある相手ならばともかく、未熟な子供相手に施していい訓練ではない。特に『兵士』二人はつい数か月前まで一般人だったのだ。

 

「だが限られた期間で効率よく戦力を上げるならば、肉体的な鍛錬よりも実戦での対応力が重要となる」

 

 秀才の集まりであるシトリー眷族に対して、グレモリー眷族は天才・異才の集まりだ。

 単純に性能を磨き上げるにしても、期間が定まっている以上はどうしても限界がある。あちらとて怠けてはくれないのだから、才能で負けている状況がある限り、まともにやっても到底超えることなどできないだろう。ならば別方面からのアプローチで戦力を高めるしかない。

 

「だからって……下手すれば再起不能じゃない」

 

「だがそうはならなかった。彼女たちの覚悟は相当なものだ」

 

 ソーナ・シトリーには夢があるのだと言う。

 ――下級悪魔でも通えるレーティングゲームの学校を作る。

 それが果たしてどれほど難しく、意義があることかなど修太郎は知らない。

 しかし、その目標に命を懸けると言う彼女たちの決意は、まぎれもない強さだろう。

 

 毎度のこと骨を折られ、血を流し、時には身体の一部を切り離され、人によってはしばらく流動食しか食べられない有り様になり、毎夜幻痛にさいなまれるような日々を送っても、彼女らは挫けなかった。

 それほどの価値があると信じるものを、ソーナたちは持っているのだ。

 

「あの『騎士』の子の異常な反応速度もその成果ってことにゃん?」

 

「巡のことか。そうとも言えるが、アレは俺も予想外だった」

 

「ふぅん……まあ、シュウの方はもういいにゃん。ロスヴァイセは何を教えたの?」

 

「私は、大体予想はつくでしょうが魔法をいくつか。とはいえ基礎理論からなので、そこまで多様な術式は教えられません。だから攻・防・補の基本三種と、それぞれ個人の役割に合った魔法をピックアップして指導しました」

 

 攻撃に関しては、前衛は障壁破壊、後衛は魔法射撃。

 防御に関しては、前衛は身体保護、後衛は魔法障壁。

 補助に関しては、前衛は反応強化、後衛は治癒促進。

 『王』であるソーナと『女王』である椿姫に関しては、これら全てを習得している。

 

「『騎士』の女の子がアーシアちゃんの防護壁を破ったのは、障壁破壊に特化させたからね?」

 

「ああ、巡の剣は速いが軽い。強力な盾の前にはどうしても止まってしまう。だから彼女には他のメンバーよりも強力な障壁破壊魔法を持たせた。特に北欧式を狙い撃ちにするものだ。お前が防御術式を教えるなら、北欧式との混合術が最も確率が高いと踏んだんだが、合っていたようだな」

 

 黒歌が習得している術式体系は、感覚的な才能に頼るものが非常に多い。他者に教えるなら、綺麗に体系化された北欧式が最も適しているのだ。

 修太郎はいつも通りの無表情だが、どことなく面白げな雰囲気があるのをロスヴァイセは感じた。「してやったり」という風に見える。

 黒歌も同じように感じたのだろう、「悔しいにゃ~!」と一度叫んで、修太郎の太ももを抓ろうとする。しかしながら、筋肉の詰まった彼の身体に抓めるほど余分な肉はない。仕方がないのでねこぱんちを放つ。

 

「それなりの障壁を張れるのが『王』と『女王』だけだったから、せっかくアーシアちゃんで防御を強化したのに~!」

 

「もっと強力な術を教えられてたら危なかったがな。お前が北欧式の勉強を怠っていたのが悪い。オーディン殿から貰った教本は、こっちで有効活用させてもらったぞ」

 

 気脈を乱す黒歌のぱんちを気功で受け流しながら、修太郎は古びた装丁の本を見せた。

 向こう一か月ほど彼女が放置していた北欧魔術の教本である。

 上級魔術までを全て網羅しているという触れ込み通り、これには非常に多様な術式が記述されている。ロスヴァイセはその内容を参考にしてシトリー眷族の指導に当たっていた。

 魔術書を見て、驚く黒歌。

 

「あーっ! 無いと思ってたらシュウが持ってたにゃん!? 探してたのに!」

 

「こんな危険物を居間に放っておくな。今度からはちゃんと保管しておけ」

 

 そう言って、置くように本の表紙で黒歌の頭を叩く。

 もぎ取るように本を抱えた黒歌は、急いで自身の亜空間にそれをしまう。

 

「ふーんだ、でもグレモリーの反撃はここからにゃん! これで勝ったと思わないことね!」

 

 そう悪態を吐いた。

 すると、修太郎たちより少し離れた席にいる人物が口を開く。

 

「確かに、これからが見ものだな。予想を裏切る展開になればいいが」

 

 暗い銀髪の少年は、ヴァーリ・ルシファーだ。

 腕を組みながら椅子に座ってモニターを見ている。

 

「お前がいるとは予想外だが、どういう風の吹き回しだ、ヴァーリ」

 

「アザゼルに誘われたんでね。兵藤一誠の成長も気になったことだし、サジ……と言ったか。そっちの方の仕上がりも見てみたかった。第一その件に関しては、まだキミから報酬をもらっていないぞ」

 

「ああ、すまんな。それについては後で話そう。それで、どうだ?」

 

「兵藤一誠は……どうかな。体術はそこそこやるようになったみたいだが、実際に見てみないことにはオーラも測れない。サジの方は中々予想外な進化を遂げている。今頃アザゼルは驚いているだろう」

 

 修太郎の問いにヴァーリは楽しげに答える。

 

「元士郎がああなったのはお前と戦った後だからな。今のあいつはそれなりにやるぞ」

 

「それは良い。禁手はまだなんだろう? 将来が楽しみだ」

 

 くくっ、と笑うヴァーリ。

 彼にとって、強者が増える事は望むところなのだろう。

 

「というか」

 

 そんな彼らに横合いから声がかかる。

 

「ここVIPルームじゃなくて警備室なんだけど、なんでおたくらここにいるのさ」

 

 呆れたような疑問の声を上げるのは茶髪の青年。

 ルシファー眷族の『兵士』ベオウルフである。

 彼は今回のゲームを開催するにあたって、観戦に訪れたVIPたちを守る警備担当の主任としてここにいる。

 修太郎たちは一応VIPとして登録された人物だ。それが揃いも揃っていきなりやってきたのだから、戸惑うのも無理は無かった。他の警備担当者も、修太郎たちに怪訝な目を向けている。

 そんな彼らの疑問に対し。

 

「あそこにいては何かと面倒なので」

 

「シュウがここに行きたいって言うから」

 

「私は黒歌さんに連れられて」

 

「俺もあそこは息が詰まる。こちらの方が気が楽でいい」

 

 答える4人。

 確かに彼らは全員が全員とも立場的に微妙な人物だったりする。気持ちはわからないでもなかった。

 

「まあ、いいけどさぁ……。邪魔だけはしないでくれよ」

 

 逆に考えれば、警備室にいることで彼らだけは確実に警護できるということになるのではないのだろうか。はたして彼らにそれが必要なのかどうかは別として。

 

「しかし、姫さまたち良くない状況だなぁ。シトリー側の『兵士』は昇格(プロモーション)済みだろ?」

 

 リアスについてはサーゼクス繋がりでそれなりに知っている。ベオウルフとしては彼女に勝ってもらいたいのだが、なかなか難しそうだ。

 

「そうですね。元士郎は『僧侶』、仁村は『騎士』になっているはずです」

 

「『僧侶』と『騎士』? 『女王』じゃないにゃん?」

 

 修太郎の説明に、疑問の声を上げる黒歌。

 『兵士』駒の売りは昇格(プロモーション)による駒特性の変化にあるが、普通は『女王』一択になるはずだ。

 

「確かに『女王』化による全能力の強化は魅力的だが、あれは今の元士郎たちには扱いきれない」

 

 修太郎の返答に、卓越した『兵士』であるベオウルフは同意するように頷いた。

 

「そうそう。『女王』の力を制御するにはコツがいるんだよ。いきなり出来ることが増えるから、初心者が完全に使いこなすのはキツいものがある。役割があるならそれに合わせた昇格の方が色々うまくいくんだな」

 

「へぇ~」

 

 元々は『僧侶』としてゲームに参加していた頃もある黒歌だが、他の駒が持つ特性まで詳細に把握しているわけではない。新しく知った事実に、感心の声を上げる。

 

「仁村は瞬発力――特に回避に優れ、遊撃に向く。故に『騎士』。元士郎は神器を精密制御するために、絶えずオーラを流動的に操る必要がある。故に『僧侶』。どちらとも『女王』の使用はしっかりと鍛錬を積んでからだ」

 

 模擬戦でも当初は『女王』に昇格して戦っていた匙と仁村だが、力の流れが散漫であることを修太郎に指摘され、ソーナの判断で今のようなスタイルとなった。

 本家『女王』の駒である椿姫でさえ、三種の駒特性を十分発揮できるようになったのはつい最近のことだ。悪魔に転生して数か月程度しか経過していない匙たちでは、よほど才能が無い限り『女王』を使いこなせないだろう。

 

「あっ、グレモリー側に動きがあるようですよ」

 

 ロスヴァイセの声に、全員がモニターへと目を向けた。

 レーティングゲームも中盤、下手すればそのまま終盤(エンディング)にもつれ込むだろう、決定的な戦いが始まる。

 

 

 




たいへんお待たせしました。更新です。
ゲーム序盤後半についてと解説的な話。
まさか何度も書き直す羽目になるとは思わなんだ。

リアスたちは縛りプレイ入ってるのに相手はまともに戦っても強敵と言う……。
まとめれば、両者とも訓練期間が同じである以上、単純なスペックはやはりリアスとその眷属たちが上ですが、ソーナたちは頭のおかしい訓練で得た経験とテクニック、あと戦術で互角どころか立場は逆転している状況です。
ちなみにたとえグレモリー側が開幕イッセー禁手化+全員突撃かましても、確実に半数は獲られます。あっちには強力なカウンターがあるからしょうがない。
主に主人公と魔人のせいでリアスたちハードモードに突入してますね。一応強化はされているはずなのですが……。

次回は総力戦。いやはや、集団戦闘は難しい。

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