恥ずかしがり屋な提督が鎮守府に着任してました。   作:グラヌンティウス

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長くなりそうなので二つに分けます。
申し訳ありませんが、提督の大暴れは後編にて……。

誤字脱字報告ありがとうございました。


第3話 -乱闘(前編)-

 

 

 

 よく晴れた日の事である。

 鎮守府演習場。海面を疾走しながら、深雪は軽く息を吸った。

 手には連装砲。装填されているのは演習用の代用弾だ。

 砲のグリップの握りを確認する。次に、前方に集中する。

 視線の先には、今回の演習相手の艦娘――大井の姿があった。

 向こうも完全武装だ。砲は勿論、魚雷もしこたま装備している。

 深雪は左右の味方に視線を送り、何処か不敵な笑みと共に速度を上げた。

 右には秘書艦――叢雲。連装砲と魚雷を装備。手には長槍。

 左にはZ1――通称レーベ。砲二門と魚雷を装備。手には小銃型単装砲。

 深雪の増速を合図に、叢雲とレーベが各々同時に左右に展開する。

 これから大井打倒の為に、とっておきの戦法を試すのだ。

 

 深雪はバカ正直に直進しながら砲を構えた。

 大井に照準を合わせようとするが――当然、上手くいかない。

 大井は不規則に蛇行しながら後退していた。狙いが付けにくいのだ。

 更に、大井は深雪の直進を妨害するように砲を撃っていた。

 足下に――もしくは前方の視界を遮るように、次々と水柱が上がる。

 恐らく、これで減速した所に、砲と魚雷の集中砲火をブチ込む算段なのだろう。

 深雪は「うーし」と腹を括ると、身を屈め、更に直進の速度を上げた。

 続けて、照準は大まかに、弾をバラ蒔くように砲を連射させる。

 大井の行動を抑制、及び、狙いが自分一人に集中するように――

 兎に角、撃って撃って撃ちまくる。

 

 急速に大井との距離を縮めていく深雪だったが――

 やがて、大井は突撃してくる深雪の側面を取るように動き始めた。

 砲撃で数本の水柱を上げられ、深雪の視界が上手い具合に遮られる。

 一瞬、大井を見失う深雪だったが、直ぐに見つけなおして砲を構え直す。

 ――しかし、ここで深雪の直感が働いた。相手は最前線で鍛えられた艦娘だ。

 僅かなミスもチャンスも命に直結する事は、身に染みて分かっている筈。

 ――そう思った直後だった。深雪は偶然、直進してくる魚雷を見つけた。

 計五本。等間隔に並んで、深雪目掛けて一直線に突き進んできている。

 恐らく、水柱で視界を遮られた時に放たれた物だろう。なんていやらしい。

 当然ながら、魚雷は航跡視認が困難な酸素魚雷だ。発見は奇跡といえた。

 

 深雪は慌てながらも、なんとか魚雷の進路を見極めた。

 前進を止めずに、向かってくる魚雷と魚雷の間に逃げ込む。

 魚雷はギリギリ足下――深雪の直ぐ両隣を、真っ直ぐ通過していった。

 だが、ホッとしてなどいられない。大井を見ると既に砲を構えていた。

 やっべ――と心の中で呟きながら、落ちていた速度を上げる。

 次の瞬間、深雪の耳に幾つもの砲撃音が聞こえた。

 大井が涼しい顔で回避運動を取る。彼女の側に幾つか水柱が立つ。

 レーベの砲撃だ。艤装の砲二門と小銃型単装砲による苛烈な援護だった。

 その隙に、深雪はその場からスタコラサッサと離脱する。

 

 レーベは全砲門を乱射させながら、全速で大井に突撃していった。

 練度の差か性格の差か――同じ直進でも、深雪のような無謀さはない。

 大井は回避運動を取りながら「へぇ」という感心した表情を浮かべた。

 そして『付き合ってやる』と言わんばかりに、砲を撃ち返し始める。

 砲の数も連射速度もレーベが勝っているが、精度は大井に分があった。

 牽制も織り交ぜ、一発、二発、三発と着実にレーベに当てていく。

 一方、至近弾はあるものの、大井に命中弾はまだない。回避が上手なのだ。

 やがて、その砲撃戦に叢雲も参加し始めた。しかし、状況は変わらない。

 どうも、フェイントが上手いらしい。砲撃が誘導されている節がある。

 

 ――だが、それもこれまでだ。

 深雪は〝所定の位置〟に着くと、自らもその砲撃戦に参加した。

 ただし、今度は闇雲に突っ込んでいく方法ではない。

 大井とは一定の距離を保ちながらの立ち回りである。

 深雪も砲撃を開始すると、大井は流石に回避に専念し始めた。

 既に叢雲もレーベも、一定距離を保っての砲撃を始めている。

 深雪はしめしめと喜んだ。――よしよし、なんだかんだで計画通りだ。

 第一段階である『三人での包囲』は成功したといって良いだろう。

 後はこのまま、円の動きで目標を中央に固定するように包囲を続けながら――

 頃合いを見て砲撃・雷撃、持っている火力の全てを速やかに集中。

 最後は、叢雲が槍の突撃をお見舞いして――華麗にフィニッシュだ。

 すると、レーベから全員に向けて通信が入った。怒声のような声だった。

 

 

『ミユキ! ムラクモ! 今だッ!』

 

『了解!』

 

「よっしゃあッ! 喰らえぃッ!」

 

 

 三人の内で、最も戦闘経験のあるレーベの号令。叢雲の声も聞こえる。

 深雪は気合いと共に、手持ちの魚雷を全弾景気良く放った。

 続けて、横に動きながら、やはり大雑把な照準で砲を連射する。

 回避運動に徹する大井を目で追いながら――深雪は勝利を確信した。

 様子を見る限り、砲撃の回避で手一杯といった感じだ。

 これでは三方向からの魚雷を避ける事は、まず無理だろう。

 更に、自分も含めて三人全員、放った魚雷は全てが時限式だ。

 これならば、例え避けられても、魚雷の傍に居たならば爆発に巻き込める。

 事前にそう三人で考えた末の攻撃だ。何もかも計画通りだ。

 

 だが、ここで大井が予想外の行動を見せた。

 回避運動を取りながら、一斉に、自身の周囲八方に魚雷を放ったのだ。

 やぶれかぶれか――? 深雪が眉根を寄せる。

 すると、轟音と共に、大井の周囲に大きな水柱が何本も立った。

 通信から叢雲の声が聞こえてくる。興奮気味な声だった。

 

 

『やった!?』

 

「いや、こいつは――」

 

『二人とも、まだだっ!』

 

 

 魚雷の爆発が早すぎる――

 そう言葉を続けようとしたが、レーベの声に遮られた。

 同時に、深雪は大井の放った魚雷の正体に気づく。

 ――あれは自分達が放ったのと同じ、時限式の魚雷だ。

 ただし、自分達の魚雷よりも設定されている時間は遥かに短い。

 恐らく、元から魚雷の迎撃用に用意していた代物だろう。誘爆させたのだ。

 そして――立ち上がった各水柱が、その頂点まで達した時だった。

 突如、大井が水柱の一本を食い破り、前方に突き進んでいった。

 全速なのだろう、凄まじく速い。進路の先には叢雲の姿があった。

 大井が砲を構え、直進しながら次々と休みなく発砲する。

 砲弾は、ほとんどが命中弾だった。たちまち叢雲が爆炎に包まれる。

 

 

『――――!!!』

 

「叢雲ォっ!?」

 

『ッ……! ミユキ、援護に行くよ! 右後方からお願い!』

 

「お、おうッ!」

 

 

 ノイズに掻き乱された叢雲からの通信を耳に――

 深雪がレーベと共に、叢雲に砲撃を続ける大井に迫る。

 その直後――爆炎の中から、叢雲が勢い良く飛び出してきた。

 ズタボロの格好で長槍を構え、正面の大井目掛けて猛然と突進していく。

 大井は減速していたが、二人の激突は避けられそうにもなかった。

 そして、両者が交錯した瞬間――叢雲が大井の直ぐ後方で宙に舞った。

 大井が槍を避けたと同時に掴み、勢いを利用しブン投げたのだ。

 確かアレは――合気道の技だ。杖取りとかいうヤツの一種の筈。

 ――尤も、本来の技よりも、だいぶ豪快な投げ方になっているが。

 まるで、防波堤からの投げ釣りのような――

 

 深雪がそう思った瞬間、宙にいた叢雲に砲弾が命中した。

 当然、大井の砲撃だ。更に、落ちていく間にも二発三発と当てていく。

 そして、ようやく海面に着水すると――今度は轟音と共に水柱が上がった。

 深雪が驚く。魚雷の爆発だった。いつの間に放ったのか。

 高々と打ち上げられた叢雲が、腹からド派手に海面に落下する。

 大淀から『叢雲撃沈判定』の通信が入ったのは、丁度その時だった。

 深雪が「わーお」と複雑な表情で感嘆の声を上げる。

 

 

「さっすが、元最前線基地の元教艦様だぜ。容赦ゼロだ、チキショー!」

 

『ミユキ!』

 

「わーってるって! 次の手だろ!?」

 

『うん! それじゃあ、手筈通りに!』

 

「おう! いよーし、行っくぞーッ!」

 

 

 深雪は身体を限界まで傾けて、更に疾走した。

 レーベは左側から。深雪は右側から。

 二人は蛇行を繰り返しながら、全力で大井に襲い掛かった。

 波状的に肉薄しては、至近距離から砲を乱射する。

 しかし――これでも、大井にはまともに砲撃が当たらなかった。

 急加速と急反転の繰り返し。二度と同じパターンのない蛇行。

 それでいて、こちらには的確に砲撃を当ててくるから始末に負えない。

 こんな技術差どうしようもねえじゃん――と、半ば諦めかけた、その時だった。

 偶然か何かの間違いか、深雪の放った砲弾が大井の片足の直ぐ隣で炸裂した。

 超至近弾。大井の身体がぐらりと傾く。

 深雪とレーベが同時に、驚喜に叫んだ。

 

 

『Gut!』「よぉしッ!」

 

 

 この速度の中だ。コケたら――まず、タダじゃ済まない。

 そして、倒れた状態から、立ち上がる際の時間も重要だ。

 こちらからしてみれば値千金――黄金の時間と言っていい。

 その間に集中砲火し、ケリをつけられれば――

 と、思った次の瞬間――深雪とレーベは目を剥いた。

 大井が砲を片腕に持ち替え、海面に向けて撃つ。

 百分の一秒ほどもない――まさしく、刹那の出来事だった。

 海面に激突寸前の大井が、砲撃の反動で浮き上がったのだ。

 そして深雪達が瞬きをしている間に、体勢を立て直してしまった。

 

 

『なっ――!?』

 

「うっそだろオイ!?」

 

 

 深雪がわめいた。レーベも驚愕する。

 直後、深雪の視界が衝撃と共に爆炎に覆われた。

 続けて、片足に衝撃。バランスが崩れ、海面に転がる。

 大井の砲撃だった。通信にノイズが走る。レーベも同じ目にあってるらしい。

 こんにゃろ――と、視界の利かない中、深雪が砲を前に向ける。

 丁度その時だった。真下から、轟音と衝撃が襲ってきた。

 何事――!? と、思った時には既に、深雪は宙に浮いていた。

 あぁ、と察する。魚雷が真下で爆発したのか――と。吹き飛ばされたのだ。

 ふと、下に目線がいく。レーベがズタボロの格好で仰向けで倒れていた。

 目が合った気がしたので――取り敢えず、苦笑を浮かべる。

 大井から追撃の砲撃を食らったのは、それから直ぐだった。

 

 

 

 

 

 演習場の見学席は、ちょっとした高台にあった。

 演習場全体を見渡せ、かつ、不意の流れ弾が来にくい場所だ。

 尤も、演習用の代用弾は特殊であり、爆発は派手だが殺傷性が極めて低く――

 仮に、流れ弾が見学席に直撃しても、大した怪我は負わない仕組みだ。

 最悪でも、気絶と衣服がズタボロになるくらいで済む優れ物である。

 演習終了後、ズタボロの深雪達三人は提督のいる見学席へと向かっていた。

 自ら――本人達による演習の結果報告と、これからの指示を貰う為だ。

 ちなみに艤装は、演習の終了後に船渠の整備担当の妖精達が預かっている。

 艤装の整備や修理は、基本的に船渠の整備担当の妖精の仕事なのだ。

 深雪は大仰に肩を落とすと、そのまま一つため息を吐いた。

 そして、どこか気の抜けた様子で口を開く。

 

 

「いやー、しっかし……スッゲー強かったな大井さん」

 

「そうだね……。手も足も出なかったよ……」

 

 

 レーベも深雪と似たような調子で言う。

 レーベは三日前に、Z3――通称マックスと共に転属してきた艦娘だった。

 吹雪達と同じように、無茶な人員整理で混乱中のとある鎮守府から――

 提督が〝謎の手段〟を用いて、どさくさ紛れに引き抜いてきたのだ。

 

 

「なんなんだろうな、アレ。撃っても撃っても当たんねぇんだもん」

 

「技術差――なんだろうけど、なんか信じられないよね。凄すぎて……」

 

「予知能力使ってたりしてな。それだとあの動きも納得なんだけどなー、アハハ」

 

「! そうか、予知能力か……!」

 

「……いや、レーベ? 今の話、冗談だかんな?」

 

「え? ……あ、冗談だったの?」

 

「逆に聞くけど、どうして本気にしたんだよ……」

 

「だって――オーイさんって、たまに凄い閃きするじゃないか。この前だって、廊下で擦れ違ったら、いきなり『キタカミさんが困ってるッ!?』って叫んで何処かに走り出していったし……」

 

「あぁ……。あれは――まぁ、ビョーキみたいなモンだから」

 

 

 深雪は苦笑いを浮かべると、ちらりと叢雲の様子を確認した。

 ……見事に不機嫌な面をしている。悶々と何かを考えているようだった。

 深雪の視線に気付いたレーベが、同様に叢雲に視線を向ける。

 具合が悪そうに見えたらしい。レーベは心配そうに叢雲に尋ねた。

 

 

「ムラクモ? 顔色が優れないけど――どうしたの?」

 

「…………」

 

「……? ねぇ、ムラクモってば」

 

「――! な、なに? 呼んだ?」

 

 

 気付いた叢雲が、少しびっくりしながらレーベに顔を向けた。

 レーベが顔を曇らせる。ますます心配した様子で再び尋ねた。

 

 

「ムラクモ……もしかして疲れてる?」

 

「へ? いや別に……」

 

「でも、なんか上の空だったし……」

 

「だ、大丈夫よ。――ちょっと考え事してただけ」

 

「考え事?」

 

「……それよりもレーベ。一つお願いがあるんだけど」

 

「? なに?」

 

「今度から――自主訓練付き合ってくれないかしら。気が進む時だけでいいから」

 

「それはいいけど……」

 

「ん、ありがと。――あ、深雪は絶対に協力しなさいよ!? 今日はわざわざ、アンタのヘンテコな作戦に、真面目に付き合ってやったんだから」

 

「おいおいおーい、なーんで深雪様にはそんなに辛辣なんだよー! このこの~♪」

 

「ちょっ、引っ付かないでよ鬱陶し――脇腹突っつくな、コラ!」

 

「なんだぁ? 生意気言う口はこうしてやるー!」

 

「ひゃっ!? ひょっほ、ひゃひひゅんひょよ!? ひゃへひゃひゃいっへ!」

 

「あっはっはっはっは!」

 

「ふ、二人とも、落ち着いて……」

 

 

 叢雲の両頬を引っ張って、じゃらけながら――

 深雪は『よかった。そんなに落ち込んでないみたい』と、心中で安堵した。

 実は、深雪は提督から叢雲の経緯を聞かされていた。

 それで性格上、自身には無理や無茶も厭わない叢雲の為に――

 提督は密かに、深雪に精神的な補助役を頼んでいたのである。

 叢雲と姉妹である深雪は、その役目を喜んで引き受けた。

 なお、この役目は長女たる吹雪にも与えられている。

 ただ、吹雪は過干渉になりがちなので、色々と釘を刺されているが。

 

 しばらく歩いて、三人は提督のいる見学席に辿り着いた。

 演習場を一望出来る以外は、よくあるプールサイドのような場所だ。

 提督は、よくある日除けシェルターの下にいた。ベンチに座っている。

 その側には、何やら雑談をしている大淀と吹雪と北上の姿。

 深雪は片手を上げ、親しげに「ただいまー」と近づいていった。

 北上から「おー」と。大淀や吹雪からは、お疲れ様といった声が返ってくる。

 

 

「いやーもー、ボッコボコだぜちくしょー! 強過ぎだっつーの!」

 

「良かったじゃん。駆逐艦にはいい経験でしょ、現実見れてさ」

 

「いやでも北上さんさぁ、普通手加減とかするだろうがよお! 十中八九こっちが負ける――って分かるくらいの実力差があるんだしさぁ!」

 

「してたよー、大井っちは手加減。ねぇ、ブッキー」

 

「うー、まぁ――はい、そうですね。珍しく……」

 

「え、マジで? アレで?」

 

 

 深雪が信じられないとばかりに目を丸くして言う。

 すると、急に演習場にサイレンの音が響き渡った。

 大淀が通信で、全艦娘に第二戦目の開始を告げる。

 深雪は演習場を一望した。四人の艦娘の姿を見つける。

 艤装を身につけた暁と響とマックス。相対して大井。

 暁達は単縦陣を元に、蛇行しながら大井へと迫っていった。

 大井も蛇行しながら、様子見のように後退していく。

 よくよく見ると、大井の魚雷発射管は幾つか空だった。

 深雪が眉間に皺を寄せる。

 

 

「……もしかして、大井さん連戦?」

 

「えぇ、連戦です」

 

 

 深雪の疑問に大淀が少々困ったように答える。

 そのままの調子で言葉が続く。

 

 

「せめて弾薬は補給して下さいと言ったんですが……」

 

「はぁ!? 弾薬もそのままなのかよ!?」

 

「ま、大井っちは、その気になれば衝角戦もワケないから」

 

「す、凄いんだね、オーイさんって……」

 

 

 レーベが驚きを通り越して呆れたように呟く。

 しばらく演習の様子を見ていた一同だったが――

 暁に撃沈判定が下された所で、提督が長い腕で深雪の肩を叩いた。

 はて、と深雪が振り向く。提督は庁舎を指差していた。

 首を傾げて数秒考え――ようやく意図に気づく。

 入渠してこいと言っているのだろう。多分。

 

 

「叢雲、レーベ。司令官がとっとと入渠してこいってさー」

 

「あ、うん。分かったよ。行こっか」

 

「…………」

 

「叢雲ー?」

 

「……分かってるわよ。今、行くってば」

 

 

 どこか未練ありげに叢雲が返事をする。その視線は演習場に向いている。

 深雪は大袈裟にため息を吐くと、叢雲の手を取り、強引に引いていった。

 目を丸くし「ちょっと!?」と抗議する叢雲に、にししと笑みを向ける。

 

 

「心配すんなって! 訓練なら、いくらでも協力するからよ!」

 

「……! そ、それは――まぁ、ありがと」

 

「あ、そうだ。何なら折角だし、司令官にも色々協力してもらおうぜ。道着持ってたし」

 

「道着?」

 

「そうそう。この間見たんだよ。洗濯したのか、道着と黒帯干してるところ」

 

「……へぇ」

 

「多分、空手の道着じゃねえかな? 今度聞いてみて、何か教えてもらえるようなら教えてもらおうぜ。もしかしたら、衝角戦で使えるかもしれないしさ! な?」

 

「…………。――そう、ね。一回、話を聞いてみるのもいいかもしれないわね」

 

 

 叢雲が仕方なさそうな微笑みを浮かべて言う。

 その後、深雪達は入渠手続きを済まし、風呂場へと直行した。

 身体を洗い、湯船に浮いてる幾つかのアヒル隊長達を尻目に、湯に浸かる。

 しばらくすると、演習の終わった暁達も風呂場へとやってきた。

 それなりに賑やかになったのは、言うまでもない。

 

 

 

 

 

 数日後、深雪は吹雪と叢雲の二人と共に海に出ていた。

 鎮守府の近海である。三人は警備の任務中だった。

 警備とはいえ、この鎮守府初となる艦娘の出撃が伴う任務である。

 旗艦は叢雲。単縦陣で、前に吹雪、後ろに深雪と挟まれている。

 順番が決められ、ローテーションで行われる手筈のパトロールだが――

 暫くの間、順番関係無しに、叢雲だけが連続で旗艦を務める事になっていた。

 勿論、強制などではない。本人の強い希望によるものだ。

 当然、損傷を受けた場合は、全快するまで次の旗艦を外れる事になっている。

 

 時刻は午前十一時に差し掛かろうとしていた。

 前を進む吹雪が「叢雲ちゃん」と、後ろの妹に声を掛ける。

 叢雲は「ん」と返事をすると、直ぐに鎮守府に通信を入れた。

 

 

「こちら叢雲、エリアCに異常は無し。次の場所に移動するわ」

 

 

 青い空。白い雲。穏やかな海面。

 凪の中、少し緊張した面持ちで叢雲が報告する。

 そんな叢雲の後ろ姿を見ながら、深雪はうんうんと一人頷いた。

 緊張しているが、問題は何もない。初任務の時は誰だってこんなモンだ。

 訳有りで卒業した為、付け焼き刃な実力がコンプレックスのようだが――

 この調子だと、それもやがては跡形もなく解消される事だろう。

 ――まぁ、近海警備と数回の戦闘経験しかない自分が評価するのもアレだが。

 そう思っていると、深雪は叢雲が首から何かを下げている事に気付いた。

 長い後ろ髪に隠れて見えにくかった為、速度を上げて側まで近づいてみる。

 並走して前を覗くように見た所で、ようやくそれが何なのか分かった。

 お守りだ。神社で授与している、よくある形のヤツである。

 出撃前は何も付けていなかった筈だが――いつ身につけたのだろうか?

 

 

「なぁ、叢雲ー」

 

「なによ――っていうか、勝手に隊列崩さないでよ」

 

「ゴメンゴメン。ちょっと気になってさ」

 

「何が」

 

「ほら、お守り首から下げてるじゃん。どうしたのかなーって思って」

 

「あぁ、コレ?」

 

「うん。出撃前は何も下げてなかったじゃんか」

 

「……出る直前に、司令官から押し付けられたのよ。後で落ち着いてる時に受け取る――って言っても、全然聞く耳持ってくれなくて。……だから、仕方なく首から下げてるのよ」

 

 

 叢雲が少し照れ臭そうに言う。

 確かに出撃の際、司令官が直々に見送りに来てくれていたが……。

 見かけによらず気配り上手なんだなー、と一人心の中で感心する。

 しばらくすると、深雪達は次のエリアへと辿り着いた。

 所定の位置に戻った深雪が、軽く周辺を見回す。

 景色におかしいところはない。実に平和な海だ。

 叢雲もそう思ったらしい。言葉を漏らすようにポツリと呟く。

 

 

「パッと見、異常は無し――と」

 

「海の中までは分かんないけどな」

 

「だからパッと見、って言ったじゃない。――吹雪、お願い」

 

「りょーかーい!」

 

 

 叢雲の言葉に、吹雪が景気の良い返事と共にソナーを使用する。

 そして、単縦陣で進んだまま、三回程ピンガーが打たれた後だった。

 吹雪がいつもよりも少し真剣味のある声で、二人に話し掛けてきた。

 

 

「ねぇ、叢雲ちゃん。深雪ちゃん」

 

「んー?」「なに?」

 

「ちょっと戦闘準備を整えた方がいいかも」

 

「はぁ? 何よ急に――」

 

 

 訝しむ叢雲だったが――

 一応、言われた通りに砲や魚雷の調子を確認した。

 深雪も叢雲と同様、自身の武装の調子を確認する。

 ――何も問題はない。いつでも攻撃可能だ。

 最前線で幾度も深海棲艦と死闘を繰り広げた吹雪の意見だ。無下には出来ない。

 深雪はそう思いながら、長女に発言の理由を尋ねた。

 

 

「どうしたよ。敵でも見つけたのか?」

 

「敵――っていうよりは、徴候みたいなものだけど……」

 

「徴候?」「徴候ォ?」

 

「うん。ここら一帯の魚達がヤケに大人しいから、多分――って思って」

 

「それ初耳なんだけど――魚が大人しいと敵襲来の徴候なの?」

 

「別にそういう訳じゃないけど……」

 

「? じゃあ、どういう訳なのよ」

 

 

 叢雲が実に素直な表情で尋ねる。

 吹雪は「う~ん」と算数の問題が解けない小学生のように唸ると――

 一度唇を捻じ曲げ、非常に言い辛そうに口を開いた。

 

 

「え、えっとぉ…………か、勘――かな?」

 

「か、勘?」

 

「いや、全くの当てずっぽうってワケじゃないよ!? なんて言うか、こう――非常にビミョーな変化だから、言葉にするのがちょっと難しいっていうか――」

 

「……なんにせよ、異変は感じてる訳ね?」

 

「それは――うん。間違いなく。絶対」

 

 

 吹雪が神妙に頷く。

 ――その時、全員に緊急の通信が入った。

 救援・救難を求める通信だった。全周波数で垂れ流されている。

 酷いノイズに混じって「Help!」だの「ベーイ!?」だの悲痛な声が聞こえた。

 一緒に、銃撃音や発砲音。爆発音も聞こえてきている。

 深雪は思わず声を荒らげた。

 

 

「叢雲!」

 

「分かってるわよ! 今、司令部に通信入れて――」

 

 

 しかし、叢雲は直ぐに司令部への通信を諦めた。

 叢雲が舌打ちする。悪態を吐いた。

 

 

「あぁ、ったくもう! 通信が妨害されてるわ!」

 

「マジで!?」

 

 

 試しに――と、深雪も通信を使用してみる。

 確かに、どの周波数もノイズでしっちゃかめっちゃかになっていた。

 唯一聞こえる意味のある音は、救援を求める声だけだ。距離が近いのだろうか?

 それでも、ノイズに紛れて僅かに聞こえる程度だが。

 

 

「どうするよ、二手に別れるか!? 救援と鎮守府に戻るのとで」

 

「……そうね、ここは――」

 

 

 叢雲が判断を下そうと口を開く。

 水平線に一人の艦娘と敵艦載機の姿が現れたのは、丁度その時だった。

 

 

 

 

 

 提督と共に、任務に出掛ける艦娘達を見送った後――

 大淀は通信を担当しながら、執務室で秘書艦の仕事を手伝っていた。

 秘書艦は暁だ。雫型の謎生物、索敵ちゃんと共に執務を取り行っている。

 なお、秘書艦の件だが、叢雲の執務慣れと艦娘の人数増加もあり――

 今週の始め――というか今日から、提督の提案により当番制に変更されている。

 主な執務――書類仕事では、暁が記入し索敵ちゃんがチェックを行っていた。

 書類に不備があると、索敵ちゃんが甲高いざわめきで教えてくれるのだ。

 その共同作業の為か、書類の捌け具合が普通よりも早い気がした。

 ――まぁ、明石や間宮等の各部責任者が、ようやく着任したのも大きいのだが。

 

 

「よし、これでオシマイ……っと! 司令官、他にお仕事はあるかしら?」

 

 

 書類に判を押した後、暁が提督に聞いた。

 提督が静かに首を横に振る。暁の表情がパァと明るくなった。

 ちなみに提督は現在、窓際の小さな植木鉢に水やりをしている最中だった。

 トマトの植木鉢である。小ぢんまりとした全体。中玉の実を三つ程付けている。

 まるで盆栽だ、トマトの。そういうものが実際にあるのかは知らないけども。

 

 

「ふふん。それじゃあ、暁はレディに相応しい、ユーガでブリリアントなお茶の時間を取ることにするわ! ――という訳だから……司令官、デーズさん呼んでもいい?」

 

 

 恐らく、エレガントと言いたかったのだろうが――

 指摘すると、なんだか可哀想な感じになってしまうので黙っておく。

 提督は暁の要求に対し、快く(?)ハンドベルを手渡した。

 暁が無邪気で晴れやかな笑顔を浮かべ、提督に礼を言う。

 そして応接スペースのソファに座ると、大淀も休憩に誘ってきた。

 通信機に入る連絡もほぼ定期的で、特にやる事もないので誘いに応じる。

 

 以降はしばらく、暁と共にお茶の時間を楽しんだ。

 大淀はその最中、暁の振舞いが〝それっぽく〟なっていた事に気付いた。

 以前は、背伸びしたお子様の感じが全面に出ていたが――

 今の紅茶を嗜む暁の姿は、気品ある良家のお嬢様っぽくなっている。

 一体、何があったのか――という疑問はない。成り行きは全て知っている。

 ある日から暁は『一流のレディには、一流のマナーが必要よ!』との理由で――

 空き時間を利用し、デーズ氏から礼儀作法を教えてもらっていたのだ。

 一流の英国執事から、一流の英国式礼儀作法をひと通り――である。

 

 

「……暁さん、随分と上達しましたね。仕草というかなんというか――」

 

「そう? ありがとう大淀さん!」

 

 

 暁が嬉しそうに礼を言った。ここは良い意味で子供っぽい。

 そして、改めて決意した表情で言葉を続ける。

 

 

「でも、まだまだ一流のレディには程遠いわ! 形式は覚えたけど、ぎこちなさが残ってるから――もっと自然な感じに振る舞えるように努力しないと……!」

 

「その意気です、お嬢様」

 

 

 デーズ氏が深みのある笑顔で激励する。

 なお、デーズ氏のお嬢様呼びは、暁の要求によるものだ。

 本人曰く――『未熟者だという事を忘れない為の戒め』との事。

 ……どうやら、お嬢様という呼び方にあまり良いイメージがないらしい。

 そんな事を思っていると――突然、執務室の扉がノックされた。

 暁が『はい、どうぞ』と入室を許可する。扉が開かれる。

 入ってきたのは響だった。確か今日は、妖精達と共に門の修繕をしている筈……。

 すると、響に続いて、二人の艦娘が執務室に入ってきた。

 大淀は目を丸くした。軽巡と軽空母の艦娘――天龍と龍驤であった。

 両者共に、既に改二の状態である。

 

 

「ここに転属されたって聞いたから、案内したんだけど……よかったかな?」

 

「あ、うん。ありがとね、響」

 

「どういたしまして。――それじゃあ二人とも、до свидания」

 

「お、おう」「ど、どもなー、響」 

 

 

 天龍も龍驤も、二人とも困惑しながら響に礼を言う。

 二人の困惑については――まぁ、大体見当が付いていた。

 第一に――こってこての英国老執事の姿。

 第二に、バスケットボール程の一ツ目・雫型の謎生物の存在。

 第三に、提督の格好をした異様な長身痩躯の人型の化物の姿。

 第四に、それ等を全く気にせずお茶を嗜む艦娘二人……。

 それら全てが相乗され、混ざりあった末の反応だろう。 

 大抵の場合、提督を初見の者は、その異様な姿に恐れをなすのだが――

 今回は情報量が多かった為に、恐怖が薄れ、困惑という形になったのだ。多分。

 

 

「あ、あのさぁ。ちょっと聞きたいんやけど……ええかな?」

 

「はぁ」「? どうしたの?」

 

 

 口を開いた龍驤に大淀が頷く。暁の声と重なった。

 龍驤が迷うように言葉を続ける。

 

 

「えーっとな、まずは当たり前の事やねんけど――」

 

「?」

 

「任務娘の特務艦が――大淀やんな?」

 

「えぇ、まあ。はい」

 

「で、暁が秘書艦……と」

 

「そうよ」

 

 

 そりゃ当然――と、暁が頷く。

 大淀は龍驤の視線が左右に揺れるのを見た。

 あぁ、と理解する。大淀は龍驤が尋ねる前に先に答えた。

 窓際でトマトの剪定している提督を手で示す。

 

 

「提督は、あちらの軍服着た方です」

 

「……じゃあこのおっちゃんは誰?」

 

「執事のデーズさんです。鎮守府のサポート役に提督が雇ってます」

 

「どうぞお見知り置きを。天龍様、龍驤様」

 

 

 デーズ氏が笑みと共に一礼する。

 天龍と龍驤が「はぁ、どうも」と間抜けた礼を返す。

 それからしばらく、言葉に困ったかのような沈黙が続き――

 天龍が凄くわざとらしく、何かを思い出したかのように口を開いた時だった。

 

 

「あっ、そーだそうそう! そ、そーいえば龍田のヤツなんだけどよ! ちょっと引き継ぎの事で面倒が起きたみたいで、こっち来るの数日遅れるってさっき本人から――」

 

『――! ――れ……ッ! ――誰かーッ! オイ、誰か応答してくれってえ!』

 

 

 突然、砂嵐のようなノイズ音と共に――

 深雪の切羽詰まった、泣きそうな声が聞こえてきた。

 これは明らかにただ事ではない。

 大淀は直ぐに通信機にすっ飛んでいった。応答する。

 

 

「こちら司令部です! どうしましたか!?」

 

『やった、繋がった! 叢雲! 繋がったぞ!』

 

「深雪さん!?」

 

『大淀さん、直ぐに援軍送ってくれ! 敵艦隊が近づいてきてんだ!』

 

「敵艦隊が!?」

 

 

 深雪の報告に、執務室内が緊張感に包まれた。

 ノイズ混じりに深雪の言葉が続く。

 

 

『敵は主力艦隊規模! 損害は叢雲とガンビアさんが中破!』

 

「へ? ガ、ガンビアって――海外艦のですか!? 何で!?」

 

『なんか単艦で襲われてたから救援に入ったんだよ! ――それより早く援軍頼むって! 今、吹雪が一人で残って殿やってんだ! あの数は流石にヤバいって!』

 

「分かりました、直ぐに援軍を派遣します! 深雪さんはそのまま海域のデータをこちらに送って下さい! ――提督!」

 

 

 声を飛ばし、提督の方に振り向く。同時に、提督が壁の赤いボタンを押す。

 すると、庁舎内――いや、鎮守府全体にサイレンの音がけたたましく響き渡った。

 このサイレンの音は――特殊緊急警報の音だ。

 出撃可能な艦娘は、即座に敵迎撃の為に出撃せよ――

 そういう意味合いを持つ重要な警報音である。全国共通の警報だ。

 まさか、今押した壁のそれが警報のボタンか――? と思うが、後回しにする。

 冗談抜きで、今はそれどころではないからだ。マジで。

 あんなのは、全て片付いた後に明石に任せればいい。

 

 

「暁さん!」

 

「任せて大淀さん! 秘書艦暁、これから迎撃艦隊の旗艦を務めるわ!」

 

「天龍さんと龍驤さんも出撃を! 暁さんの補助をお願いします!」

 

「うっし、任せとけッ!」

 

「よっしゃ、お仕事やな! 駆逐艦龍驤ちゃんの出来るところ見したるでえ~! ――って、だーれが駆逐艦やねん! ウチはクーボや! 軽空母の――ごぶァッ!?」

 

「!?」「!?」「!?」

 

 

 鈍い音、断末魔のような悲鳴 。全員が一斉に目を剥く。

 目の前で、何やら一人喚いていた龍驤が急に吹き飛んだからであった。

 数瞬の滞空の後――龍驤はそのまま芸術的に床に転がった。

 仰向け。ピクリとも動かない。白目を剥いて気絶している。

 顔には、赤い物がべっとりと全体的に付着していた。

 血――ではない。色が余りにも鮮やか過ぎる。

 大淀はハッと気付いた。これは――トマトだ。

 ふと植木鉢の方に視線を向ける。実が一つ無くなっていた。

 

 

「…………。えっ、と……」

 

 

 訳が分からず、固まった一同を代表するかのように――

 大淀が、絞り出したかのような困惑の声を口から漏らす。

 ――その直後であった。世にもおぞましい叫び声が聞こえてきたのは。

 

 

「███████████████████████!!!」

 

 

 大淀が何事かと声の方向に振り向く。

 なんと声の主は提督であった。南瓜頭の顔を両手で覆い、酷く苦悶している。

 提督はまるで嘆き悲しむように泣き叫び、やがて支離滅裂に叫び始めた。

 一体どうしたのか――と聞きかったが、奇妙な恐怖で口が開かなかった。

 暁と天龍も同様らしい。顔を見ると明らかにビビっていた。

 そして――それから、一、二分程が経過した時だった。

 突如、提督がその場から駆け出し、壁を突き破り外に出ていってしまった。

 叫び声が徐々に遠くなっていく。大淀は壁に空いた大穴に慌てて駆け寄った。

 何かが海に飛び込んだような音が聞こえたのは、丁度その時であった。

 

 

 

 

 

「叢雲、吹雪から通信だ! 敵が一旦退いてったってよ!」

 

「! そ、そう。よかった……」

 

「――あ。叢雲、首に下げてたお守り……」

 

「ん? あぁ。衝角戦の最中、敵に引っ掛かったのよ。仕留めようとしたら退いてったから、そのまま持っていかれたわ」

 

「衝角戦……あー、そういえば強襲されてたな。何匹かに」

 

「まぁ、お守りの効果かもね。アレで中破で済んだんだし……」

 

「だとしたらスゲー効果だよな。何入ってたんだろ、あのお守りの袋の中」

 

「普通だと御札とか写真とかが入ってるらしいから――アレもそうなんじゃないの?」

 

「そうかなぁ……」

 

「――ンな事よりも深雪。アンタ無傷なんだから、もっと牽引に力入れなさいよ。こっちは通信機器もイカれたくらいにボロボロなのよ?」

 

「わ、分かったよ。――なあ、ガンビアさん。ちょっと速度上げるからな」

 

「りょ、了解デスゥ……」

 

 




SCP-662 - Butler's Hand Bell 
by Rick Revelry 
http://ja.scp-wiki.net/scp-662

SCP-131 - The"Eye Pods" 
by Lt Masipag
http://ja.scp-wiki.net/scp-131

SCP-504 - Critical Tomatoes
by BlastYoBoots
http://www.scp-wiki.net/scp-504
http://ja.scp-wiki.net/scp-504

次こそ、提督大暴れの巻。
でも、ちょっぴり期間空くかも。

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