純代「今日来るのって清澄の男子部員なんですよね」
美穂子「ええ、なんでも強くなるために話を聞いて回ってるとか」
華菜「コーチには話を通してあるから安心するし!」
星夏「先輩たちは会ってるんですよね、どんな人なんですか?」
未春「普通にいい人だったよ、見た目はあまり麻雀やりそうにない感じだけど」
華菜「コーチと同じ金髪だしな!」
未春「そういう意味じゃなくて……あ、車の音」
星夏「あの車ですかね。あの真っ黒な──リム、ジン?」
純代「……出てきたのは金髪をオールバックに固めて……」
未春「サングラスをかけた長身で額に傷のある黒スーツの男性……」
華菜「ヤクザだし!」
美穂子「あら、須賀くん来たのね」
純代「えっ!?……ああ……えっ!?」
星夏「……た、確かに麻雀部って感じはしませんね」
未春「私も驚いてるよ……」
未春「なるほど、龍門渕で」
京太郎「お騒がせしてすみません」
純代「……その傷は……」
京太郎「これについては聞かないで下さい……」
華菜「キャプテンはよくわかりましたね」
美穂子「私、顔を覚えるの得意だから」
星夏「そういう問題では無かった気もしますけど」
未春「存在感という意味では試みは成功だったね」
京太郎「すみません……」
華菜「とりあえず気を取り直して本題に戻るし」
未春「でも、清澄や龍門渕の人たちに学んでいるなら私に教えられることはないかなぁ」
星夏「ウチは基本的に堅めのデジタルが主流ですから。原村さんや龍門渕さんに教えてもらったなら基本はそれと同じですし」
京太郎「深い部分じゃなくても、ここに気をつけてるといったさり気ないことで十分なんですけど」
華菜「文堂もみはるんもそんなんじゃ今後後輩指導も満足にできないぞ。まずは華菜ちゃんが見本を見せるし!」
純代「見本?」
華菜「そう、見本だし! すーみんもよく見とくといいし」
華菜「さて須賀、麻雀は運の競技だ。常勝とはなかなかいかない」
華菜「それでも、限りなく常勝に近づくことはできる。運だけの競技ではないからだ」
京太郎「その、常勝に近づくことができる、というのは?」
華菜「ずうずうしく、諦めないことだし! どんな悪い状況でも、それをひっくり返せる可能性というのは絶対にある」
華菜「その可能性を常に探して、可能性のイメージをいかに実現させるかを考え続ければ自然と常勝に近づくのだよ。潔く諦める、なんてことをせずにずうずうしく常に勝つイメージを持ち続けること!」
華菜「聞いた感じ須賀は打たれ慣れているが勝つイメージを持っていない、まずは勝つイメージを模索するところから始めると良いし」
京太郎「なるほど……」
華菜「どうだし!」
純代「おお……」
京太郎「教わっている身で言うのもなんですが今までで一番"先輩"って感じがしました」
星夏「池田先輩は後輩指導も手慣れてますから」
未春「華菜ちゃんは面倒見いいからね。妹さんがいるからかな?」
華菜「もっと褒めると良いし!」
美穂子「じゃあ華菜が頑張ってくれたし、私も頑張らないとね!」
京太郎「よろしくお願いします!」
華菜「……なんか私の時と態度が違わないか、あいつ」
未春「相手がキャプテンじゃ仕方ないよ……」
美穂子「私の場合オカルトというか能力というか……この目に依るところが大きいのだけど」
京太郎「綺麗っすね、オッドアイって言うんでしたっけ」
美穂子「ふふ、ありがとう。昔はそんなこと言ってくれる人も居なかったのだけど」
華菜「凄く綺麗ですよ、キャプテン!」
京太郎「え……意外ですね」
未春「(オッドアイのことを色々言われて、イジメられていたこともあったみたいで……)」
京太郎「(男からは主に中学二年くらいの頃だと憧れの的だったと思うんですけど……)」
京太郎(女子は嫉妬……か? 男子は福路さん相手ならいくらでも褒め言葉が出そうなもんだが)チラ
美穂子「?」
京太郎(……ああそうか、この人綺麗すぎるんだ。男では近寄りがたくて軽口で褒め言葉とか言えないタイプだ……)
美穂子「この右目が青いのは色素が薄いからなのだけど、私の場合光に弱いだけじゃなくて入り込む視覚情報も多いみたいなの」
美穂子「入ってくる情報量が多い上に光量の刺激もあって、右目を開いている間は脳の働きも活発になる。人よりも多い視覚情報と上がった思考精度で、場から手牌や相手の思惑を読むのが私の打ち方……だそうなの」
京太郎「だから普段は右目を閉じてるんですね」
美穂子「いつもそうだと疲れちゃうから」
京太郎(邪気眼的なものだと思っててすみません……)
純代(……両目開いてるときならPCも使えるのかな……)
京太郎「……ん? だそうなのってなんか他人事みたいでしたけど」
美穂子「コーチが私の打ち方見て教えてくれたの。なんとなくでは感じてたことだけど、私そういうことを考えるの苦手だから」
華菜「コーチもたまには役に立つし」
貴子「池田ァ!」
華菜「ひいいッ!」
未春「どこからかコーチの叫び声が」
京太郎「いったいどこから……というかどうやって」
美穂子「コーチは華菜に目をかけてるから」
星夏「そういう問題ではない気がしますけど」
【照編】
京太郎「おみやげにクッキーまでもらってしまった……お菓子まで作れるとかどこまで完璧なんだ」
照「……」
京太郎「さて、次は最後の……」
照「……」
京太郎「……」
照「……」
京太郎「……何してるんですか照さん」
照「その手に持ってるもの、美味しそうだね」
~カフェ~
照「良かったの?奢ってもらって」
京太郎「今更でなんですけど個人戦三連覇のお祝いってことで」
照「団体戦は持って行かれちゃったけどね」
京太郎「しかし、咲から聞いてわざわざ来てくれたんですか」
照「ちょうどこっち戻ってきてて、暇だったから。中学時代から咲が世話になってたみたいだし、その御礼」
京太郎「俺も色々手伝ってもらったりしてましたけどね」
照「ふふっ、その辺の話はまたゆっくり聞かせて欲しいかな」
京太郎「でも、どうしますか。卓のある場所に……」
照「いや、とりあえず基本だけでもここで」モグモグ
京太郎「……ゆっくり食いたいんですか?」
照「そんなことないけど」モグモグ
照「とりあえず、私と同じ能力を身につけよう」
京太郎「え、そんなあっさり身につくものなんですか」
照「多分平気。まずは見本を見せるから、後から続いてね」
照「まず、腕を回します」ギャルルルル
京太郎「すみません、先約に急がなければいけないのを思い出したのでもう行ってもいいですか」