東方白英録   作:六月(ろくがつ)

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第二章「忘れられた物の最後の楽園」

 「今宵(こよい)は夜空が綺麗だ‥‥‥」

 

 透き通った薄い夜空、満点の星々、それに優しい光を振り撒く美しい満月、そんなものを見ていたら、臭い台詞(せりふ)の一つでも言いたくなるよね。

 

 「‥‥‥はぁ」

 

 死に際になると現実逃避の一つや二つしたくなるよね‥‥‥

 

 

 「ぎゃゃゃゃ!!!!」

 

 

 ただいま俺アーサーは美しい夜空から地上まで落下中、地獄の扉から投げ出され今に至る。

 

 あの鬼っ子マジ許すまじ!

 

 このまま地面に叩きつけられると死んじゃいます‥‥‥

 

 どうにか冷静さを取り戻し回りを確認する、すると落下地点に緑の木々が生い茂る森が見える。

 

 「これなら助かる」

 

 森の木の枝をクッションにして落下すれば助かるかもしれない。

 

 落下に備えて両腕で頭と顔を隠す。

 

 バザッ、バギッ、バギッ、木の枝が次々と折れる音と共に枝が鞭の様にしなり体中を叩きつける。

 

 勿論痛くてないわけがない、しかし覆っている腕を話すと大怪我に繋がる。

 

 ドサッ、鈍い音と共に地面に到着する、高い所から落ち、木々の枝に叩きつけられたのにも関わらず体のどこにも目立った外傷はない無傷ですんだようだ。

 

 ゆっくりと起き上がる、これから何をしようものか辺りを見回す。

 

 アレは‥‥‥

 

 

 「上白沢(かみしらさわ)慧音(けいね)です、誰かいらしゃいますか?」

 

 横に立っている慧音先生がコンコンとドアをノックする。

 

 ここは地底の「地霊殿(じれいでん)」フランの友達、こいしのお家だ。

 

 私の横にいる人は上白沢(かみしらさわ)慧音(けいね)。通称・慧音先生、半人半妖で寺子屋で子供達に勉強を教えてくれている。

 

 「はーい、誰かニャ?おーフランちゃん、慧音先生、こいし様は大丈夫かニャ?」

 

 ドアが開くと赤毛の猫耳少女、火焔猫(かえんびょう)(りん)さんが現れた、この人はこの地霊殿のペット件使用人だ。

 

 「あぁ、『無意識状態』にはなっているが大丈夫だ」

 

 「良かったニャー、さとり様こいし様が帰って来たニャー」

 

 地霊殿の奥の方から誰かが小走りで走って来る。

 

 「こいし大丈夫?、慧音先生ありがとうございます」

 

 紫の髪に胸元に付けた目の様な装飾品、こいしのお姉ちゃん、さとりお姉ちゃんだ。

 

 「フランちゃんも来てくれたのね、ありがとう」

 

 中腰になりフランの頭を撫でるさとりお姉ちゃん、その笑顔は可愛いと言うより綺麗って感じの『大人の笑顔』だった。 

 

 「私達も帰るか、夜も遅いか紅魔館まで送ろう」

 

 「うん!」

 

 

 

 「しかし薄暗い森だな‥‥‥」

 

 「確かにあまり夜に通ったことながなかったから気づかなかった」

 

 毎日通って帰る森の中、大体森を通るのは日暮れ前なので日が暮れた後に通ったことがない、そのせいか夜の不気味さに少し尻込みしてしまう。

 

 「でも先生がいるから大丈夫だよね」

 

 横の先生に話かける、先生はとても強いからたとえ妖怪が襲って来ても大丈夫、本当は満月の日に全力が出せるのだが満月でなくても十分強い。

 

 「もちろん任せておけ、フランを無事送り届けよう」

 

 先生の手を握り森へと踏み出す。

 

 森の不気味さはどうやら気のせいではないらしい、どこか先生の顔が厳しい、妖怪が隠れている?そんなのいつもどうりのこと、でも何だか不気味だ。

 

 「フラン‥‥走るぞ!」

 

 急に慧音先生がフランを抱えると走り出す、後ろを見ると妖怪達が追って来ていた。

 

 「おい!生者を見つけたぞ!」

 

 「殺して喰おうぜ!」

 

 「生肉なんていつぶりだ?」

 

 それも一人二人ではなく、ニ、三十の大所帯だ。

 

 「先生ならあんな奴ら敵じゃないのにどうして逃げるの?」

 

 「あぁ、確かにあいつら程度に負ける私ではない、だが‥‥‥」

 

 「どうしたの?」

 

 「奴らは本当にただの妖怪なのか?しかし‥‥‥マズイ!」

 

 急に減速する先生、前を見ると数十の妖怪達が待ち伏せしていた。

 

 「へへへへ、やっと生者を見つけたぜ、これで食事にありつける」

 

 先頭の耳の長い妖怪、ボドボドよだれを垂らしながら下品な笑みでこちらを見てくる。

 

 「お前達今宵は随分と強気だな、まるで違う()()のようだ」

 

 「ようだ?違うね俺たちゃ、ただの妖怪じゃないんだぜ!」

 

 先頭の耳長妖怪が戦いの火蓋を切ると当時に四方八方(しほうはっぽう)から妖怪達が先生に襲いかかる。

 

 「産霊(さんれい)『ファーストピラミッド』」

 三方向に放たれる慧音先生の波動のスペル、押し寄せて来ていた妖怪達を吹き飛ばす。

 

 「始符(しふ)『エフェメラリティ137』」

 魔力を綿毛の様に飛ばし触れた相手が爆発するスペル、爆発に巻き込まれ次々と妖怪達が倒れて行く。

 

 先生のスペルのおかげで大所帯だった妖怪もみんな倒された。

 

 「しまった正体を聞くために一人は残しておくはずだったのに‥‥‥、まぁいい早く森を抜けよう援軍が来な‥‥‥そこに隠れているのは誰だ!」

 

 先生は草村に向けて波動を放つ、そこから現れのは‥‥‥

 

 「ばれていましたか、いや残念残念」

 

 ぬらりと飛び出した男、黒のタキシードに灰色の長ズボン、そして何よりも特徴的な()()()()()()

 

 「私めは妖怪・手長足長のシルクと申します、貴方には私の(にえ)になって頂きますよ」

 手長足長のシルクは口元を引きつらせ不気味に笑う。

 

 

 

 「なんてことしてくれたんですか!」

 

 地獄中に響き渡る声で怒鳴る、ロリ閻魔、四季映季・ヤマザナドゥ、その原因は部下の鬼達にあった。

 

 「だってよー、普通生者が地獄にいたら迷い込んだって勘違いするだろ」

 

 ぶーぶーと頬を膨らませる鬼の少女、赤鬼(せっき)

 

 「ああああああ、どどどどどど、どうしよう、罪人達が幻想郷に‥‥‥」

 

 招待不明の少年を幻想郷に投げ込み、その上幻想郷に繋がる扉の施錠(せじょう)を忘れて、多くの亡者達が幻想郷へ向かったのだ。

 

 赤鬼の横で慌てふためく同僚、漆鬼(しっき)

 

 「まぁ、過ぎたことは仕方ないないです、では私は幻想郷に行って来ます」

 

 扉に向かい歩きだす四季。

 

 「閻魔さま、随分とあの子供に肩入れしますね」

 

 「別にそんなこたありませんよ、ただ気になるのです‥‥‥」

 

 「何故生者だったあの子が地獄にいたのか‥‥‥ですか?」

 

 手をもじもじさせながら漆鬼が四季に問い掛ける。

 

 「えぇ、ことの真相を確かめたいのです」

 

 

 

 

 




 死者の群れが幻想郷に流れこんで来ましたね‥‥‥てか今回アーサーの出番少なかったですね
 次はもう少しアーサーの出番があると思います。
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